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一部では支持率8割超!若者が高市内閣を支持する理由

昨今は新聞やテレビを中心とするマスメディアの社会的影響力が急落しており、昨年の衆院選や兵庫県知事選ではSNSが非常に大きな役割を果たしました。また、若年層ほどオールドメディア利用時間が少ないなかで、各社世論調査でも若年層ほど高市内閣に対する支持率が高いことが示されています。こうしたなか、高市内閣の支持率がJNNで8割を突破したとする話題も出て来ました。就任直後の外交日程を官邸や自民党公式アカウントがネットに流しまくったことが奏功したのでしょうか?

メディアとは権力だった

キングメーカーとしてのオールドメディア

著者は当ウェブサイトを通じ、ここ数年の間、一貫してこんなことを述べてきたつもりです。

かつて、新聞、テレビを中心とするマスメディアは、報道の力を事実上の権力として行使してきたが、ネットが発達すれば、今後、『マスコミ権力』は急速に瓦解するであろう」。

「報道の力を事実上の権力として行使してきた」とは、「報道の自由」に名を借りた恣意的で歪んだ報道の在り方をさしています。

実際、かつては報道機関が選挙結果に影響を与えようとした(あるいは実際に影響を与えた)こともありました。

そのわかりやすい事例が麻生太郎総理が率いる自民党が衆院選で惨敗し、民主党への政権交代が実現した2009年の「偏向報道事件」ですが、それだけではありません。古くは自民党が過半数割れして下野するきっかけを作った1993年の衆院選に関わる、いわゆる「椿事件」などの事例もあります。

少し古い用語を使えば、オールドメディアはまさに「キングメーカー」だったわけです。

ただ、なぜマスコミがこんな大きな権力を持ってしまっていたのかについては、それだけで何冊も本が書けるほどに大きく複雑な論点でもありますが、これを端的に表現すれば、「情報独占」のひとことに尽きます。

自民党であれ、社会党であれ、どんな政党であっても、自分たちの主張を国民に知ってもらうためには、まずは新聞やテレビに取り上げてもらう必要がありました。その過程でマスコミに対し批判的なことを述べると、マスコミ各社がへそを曲げてしまうおそれもあるため、下手なことが言えなかったのではないでしょうか。

日本は人口1億人超なのにメディアは少ししかない

ちなみにここで「情報独占」という表現を使うのには、日本独自の理由もあります。

日本はG7諸国でも2番目に多い1億人を超える人口を抱える大国ですが、その日本ではメディアは少数の資本に支配されてしまっていたのです。

世界最大級の(自称)公共放送であるNHKを筆頭に、新聞社でいえば大手全国紙5社(読売、朝日、毎日、産経、日経)、民放テレビ局でいえば在京大手5社(日テレ、TBS、フジ、テレ朝、テレ東)、これに2つの通信社(共同、時事)でほぼ全国の報道の多くを占めてしまっています。

これに新聞でいえば大手ブロック紙4つ(北海道、東京、中日、西日本)や主要な地方紙・地域紙、テレビでいえば在阪大手5社(毎日、朝日、関西、読売、テレビ大阪)などを付け加えることもあります。

ただ、地方紙の多くは全国・世界の話題について、時事、共同両社などの記事配信を受けていますし、なにより全国紙5社とキー局5社は同一の資本関係(または非常に緊密な関係)にあります。

大手8グループ
  • NHK
  • 読売グループ(読売新聞、日テレ、よみうりテレビなど)
  • 朝日グループ(朝日新聞、テレ朝、朝日放送テレビなど)
  • 毎日グループ(毎日新聞、TBS、毎日放送テレビなど)
  • フジサンケイ(産経新聞、フジテレビ、関西テレビなど)
  • 日経グループ(日経新聞、テレビ東京、テレビ大阪など)
  • 共同通信
  • 時事通信
  • その他有力地方紙など

【(注)民放・全国紙5社グループ名は当ウェブサイトにて名付けたもの】

なかったことにされる情報:権力監視役騙るメディア

つまり、日本の報道は大手8社・グループによって事実上、牛耳られていたのであり、これに記者クラブ制度などが加わることで、最近までフリージャーナリストの多くは記者会見などの場から排除されていて、結果的に大手メディアがほぼ情報を独占するという構図が出来上がっていたのです。

当然、このメディアグループに拾われない情報は、「なかったこと」にされてしまいます。

また、少し前の『「支持率下げてやる」発言を業界はどう考えているのか』などでも触れましたが、マスコミ業界では、ともすれば自分たちのことを「国民の代理人」で「権力の監視役」であり、「官僚や政治家と対等な存在」だ、などとする勘違いが蔓延している可能性があることは間違いありません。

ただ、もしメディア関係者(とくに新聞記者やテレビ局関係者など)が「俺たちは政治家と対等な存在だ」などと勘違いしているのだとしたら、それは大変な思い上がりでもあります。

正直なところ、これらのメディア関係者は、私たち日本国民が選挙で選ばれたわけではないからです。

ときどき、新聞記者らが自分たちのことを「国民の代表」、「権力の監視役」などと勝手に名乗り、政治家に対しずいぶんと偉そうに接しているケースなども見かけますが、これもおかしな話です。「国民の代表」と名乗る資格があるのはこの場合、むしろ国民から選挙で選ばれた政治家の側でしょう。

また、国民から選ばれたわけでもないくせに、権力の監視役としての役割があると自認するのも変ですし、冒頭から指摘している通り、マスコミこそ、むしろ権力そのものと化しているフシがあるのです。

ネット化する社会

昨年衆院選と兵庫県知事選でSNSの役割高まる

ただ、著者はずいぶんと前から、インターネットが発達していけば、新聞、テレビなどのマスメディアの社会的影響力をネット側が上回る瞬間が来る、などと予言してきたつもりですが、ここに来て、その「予言」が成就し始めました。

それが目に見えるかたちであらわれたのが、ちょうど昨年10月に行われた衆院選であり、次いでSNSが選挙に大きな影響を与えた事例が11月に行われた「出直し兵庫県知事選」だったのだと思います。

このうち衆院選では、自民党総裁に選ばれたばかりの石破茂首相(当時)が率いる自民党が、いわゆる「裏金問題」で旧安倍派を中心とする議員に非公認などの二重処分を科したこともあり、呆れ果てた有権者の票を盛大に失い自民党が大敗。

続いて斎藤元彦・兵庫県知事の失職に伴う県知事選(同年11月17日)では、事前の大方の予測を覆して斉藤氏が圧勝しましたが、これもおそらくはSNSでの情報拡散が選挙結果に大変大きな影響を与えた可能性が濃厚です。

このように、SNSを中心とするネットの影響力が、近年、飛躍的に高まっていることは間違いありません。

もちろん、社会の動きは一方的に進むわけではありません。

ネットを中心に注目され、支持を集めるという事例が増えていることは間違いないにせよ、新聞、テレビの影響力がいきなりゼロになったわけではありません。ケースによっては、あるいは地域によってはまだまだオールドメディア側の影響力が強いことも多いようだからです。

若年層ほど高市内閣の支持率が高い

ただ、SNSの社会的影響力が確実に強まっていることもまた間違いありません。

そのことがわかるのが、FNNプライムオンラインが配信した『BSフジ プライムニュース』の10月31日放送回かもしれません。

動画の21:19~で取り上げられているのですが、メディア各社の調査で高市早苗内閣に対する支持率が若年層で高くなり、高齢層になるほどに下がる、という傾向が顕著だというのです。

詳しいグラフは動画で直接ご視聴いただきたいのですが、かいつまんで述べると、▼18~39歳で80%(読売)▼30代で86%(朝日)▼18~29歳で76%(毎日)▼40~50代で82%(日経)▼18~29歳で89%(産経・FNN)―――と、総じて若年層で高支持率を叩き出している、というのです。

ただ、高齢層になると、たとえば▼60歳以上で63%(読売)▼70歳以上で54%(朝日)▼70歳以上で53%(毎日)▼60歳以上で66%(日経)▼70歳以上で61%(産経・FNN)―――と、若年層とは対照的に支持率が下がる傾向がくっきり浮かんでくるのです。

若年層からそっぽ向かれるテレビ

こうした調査を見ると真っ先に思い出すのが、例の総務省による「メディア利用時間調査」です。

「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表

―――2025/06/27付 総務省ウェブサイトより

今年版に関しては東京経済大学コミュニケーション学部の北村智教授、東京大学の橋元良明名誉教授、青山学院大学総合文化政策学部の河井大介助教との共同研究形式ですが、これと同種の調査は(著者が確認した限りは)少なくとも2013年以降毎年公表されています。

これについては『情報通信白書』のバックナンバーを見れば数値が確認できるのですが、これをもとに、年代別の平日におけるテレビ視聴時間(※リアルタイムに限定)がどう変化したかを並べておくと、図表1の通り、若者を中心に人々がテレビを見なくなっている実情がわかります。

図表1 平日のTVの利用時間(リアルタイム視聴)
年代 2013年 2024年
10代 102.5分 39.7分
20代 127.2分 52.6分
30代 157.6分 80.2分
40代 143.4分 117.5分
50代 176.7分 159.0分
60代 257.0分 226.7分
10~60代平均 168.3分 123.8分
70代 310.7分
10~70代平均 154.7分

(【出所】『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』や『情報通信白書』等をもとに作成。ただし、70代データは2025年公表データで付け加えられたもの)

本当にわかりやすい現象ではないでしょうか。

JNN調査で8割台叩き出す

こうしたなかでもうひとつ取り上げておきたいのが、最新の世論調査結果です(図表2)。

図表2 内閣支持率(2025年10月~11月)
メディアと調査日 支持率(前回比) 不支持率(前回比)
読売・NNN(10/21~22) 71.0% 18.0%
共同通信(10/21~22) 64.4% 23.2%
日経・テレ東(10/24~26) 74.0% 19.0%
朝日新聞(10/25~26) 68.0% 19.0%
産経・FNN(10/25~26) 75.4% 19.1%
JNN(11/1~2) 82.0% 14.3%

(【出所】各社報道)

どの調査で見ても支持率は最低でも6割超、平均で7割超ですが、そのなかでも最新版のJNNによる調査では、なんと82%と8割台を叩き出しました。

もちろん、一般に発足したばかりの内閣は支持率が高めに出る傾向があるようであり、今回の支持率も一種の「ご祝儀相場」という側面もあるのかもしれませんが、それにしても驚きます。

高市総理をあまり歓迎していない(※著者私見)であろうメディアも含めて、これだけ各社の調査で高い支持率が示されているというのは、それだけ一部メディアの「支持率下げてやる」式の報道が通用しなくなっている、ということでしょうか。

しかも、82%の支持率を叩き出したJNNの調査は、高市総理の就任から10日あまり経過してから行われたものです。この間、高市総理のASEAN、日米首脳会談、APECという3つの大きな国際的イベントを見ていた有権者が、明確に「高市支持」に舵を切った可能性は十分にあります。

探したところこのJNN調査に年齢別のものは見当たらなかったのですが、首相官邸や自民党公式Xアカウントなどが高市総理の行動や発言を逐一ネットに流していることが、(先ほどのFNNプライムの動画などからもわかるとおり)若年層を中心とする高支持率につながっているのではないでしょうか。

高市内閣の今後に注目すべき

もちろん、内閣支持率がいくら高くても、選挙で勝てなければ高市内閣も退陣を余儀なくされることでしょう。

そして、いくつかの調査で見ると、たしかに内閣支持率自体は高止まりしているにせよ、自民党に対する支持率は大して増えておらず、このことから、高市総理が仮に今すぐ衆院解散総選挙に踏み切ったとしても、自民党が選挙で勝てることを保証する状況ではありません。

このため、高市内閣が今後、若年層・勤労層の支持を盤石なものにできるかどうかは、先週決まったガソリン暫定税率廃止などに続き、多くの有権者を引き付けるだけの魅力的な政策を打ち出せるかどうかにかかっていると断言して良いことは間違いないでしょう。

ただ、高市内閣や「高市自民」がSNSを含めたネット戦略を重視していることはどうやら間違いなく、そして、ネットは双方向性という特徴を持つ情報通信手段でもあります。

このように考えていくと、私たち国民の側も、高市総理を含めた政権幹部、自民党議員、さらには野党議員らに対し、「こうなってほしい」「こうしてほしい」をもっともっと積極的に伝えても良いと思いますし、それを真摯に聞き入れる政治家のみが生き延び、そうでない政治家は全員落選していくべきだと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (19)

  • 新聞売り上げ減らしてやる
    これは国民の総意なり
    汝逆らうなかれ

    • ネット民がいくらピヨピヨ鳴いたところで、新聞業界は安泰だよ(笑)
      赤子の手を捻るようなものだからね(笑)

      • あー“ジリ貧”ぢゃなくて“均衡縮小”でしたっけ?
        もーちょい“らしい”餌垂らさないと釣れてもワイくらいでっせ、知らんけど

      • >新聞業界は安泰

        安泰の定義は? 安泰の根拠は? 安泰の期間は?

        新聞業界が安泰なら、安泰ではない業界を探す方が難しいのでは?

    • 広告が減っていったらどんどん経営は苦しくなると予測します。切られる前に逃げろ、転職サイトが誘っています。

  • 高市さんはダメだね
    岩屋先生のような人権感覚ある優れた政治家がリーダーであるべきだよ

    • 手も上げず担がれもせん輩にリーダーの立ち位置が回ってくるトキて“率いる群”がソイツ独りの…
      知らんけど

    • どの国籍の人に対する人権感覚?

      日本人である私からすると、日本人に対する人権感覚が豊かだとは認識できない政治家ですね。(個人の感想です)

  • 若者にとって、高市総理は変化の象徴になっているのではないでしょうか。(もちろん、これから象徴のままで終わるのか、変化はあるのか、どう変化するのかは別の問題です)
    また、SNSで直接につながっている感(?)を出しているのも大きいと思います。

  • リベラルを名乗る勢力の言論が酷すぎるに尽きる
    差別反対暴力反対と言いながら
    同じ口で差別的ワードを吐き
    気に食わない言論に暴力で押さえつけようとする

    草津や福島の件でネガティブキャンペーンを行い
    素知らぬ顔で居続ける

    若者が求めてるのは高市政権ではなく真っ当に議論ができる政党です
    議論できる相手が高市総理しかいないのであれば、自然と支持率が増えるでしょう。

    日本には議論するべき案件が多々あります
    それに対してポピュリズム排外主義ファシストなどレッテル貼り議論すら拒絶されます。
    あまりにも低レベルなリベラル野党と自称知識人とマスコミに反吐が出ます。

    • 言論は死にました。91歳の著名人が破壊して、もう元には戻りません。

  • テレビ洗脳層は政治は「右派・左派」に分かれたイデオロギーの戦いだと思っているのでしょうが、ネットの陰謀論も含めた多岐に渡る情報からリテラシーを鍛えてきた若年層は政治を使っている侵略戦争が行われて結構押されている「愛国・売国」の戦いだと理解して危機感を抱いているのです。

  • いつからか
    マスゴミのネガキャンが
    応援メッセージに変わってる
    「支持率上げてやる~」

  • 高市内閣に対する若い人の支持率の高さは、今までの閉塞感の裏返しでしょうね。
    岸田、石破政権による高齢者優遇などリベラル的政策に対して、若年層は将来に対する夢也希望を持つことが難しかったのではないでしょうか?
    今後選挙があった場合には、高市さんを応援したいところですが、高市内閣の足を引っ張る宏池会系の能力が著しく劣る議員なども当選してしまうかも知れないところが悩ましいですね。

    • 選挙制度についてソノ在り方を抜本的に再考スベキトキかもシレヤセンな、知らんけど

      • もはや憲法改正を自民党がやる気ないし中選挙区制回帰で良いんじゃないですかね?
        少なくとも比例代表という失敗制度の定数は減らすべきでしょう。

    • 高市自民党が売国野党議員(公明党含む)を狩り取り、参政党等が売国自民議員を狩り取るのが理想なんですけどね。

  • 細かい点ですが年代別の支持率は公開されているようです。50代まではほぼ変わらず80%超となっています。
    https://www.arabnews.jp/article/japan/article_161858/
    ※当初はTBSのニュースページなどにも掲載されていた痕跡があり、私も見た記憶があるのですが、なぜかこの部分が削られているようです。