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高市内閣に対する高い支持率に「期待先行」の危うさも

週末にいくつかのメディアが内閣支持率調査を公表しました。これらによると高市早苗内閣に対する支持率はおおむね60%台から70%台と、メディア調査にしては高い水準にあります。ただ、さまざまな状況からして、高市内閣を支持しているのは若年層・現役層であり、かつ保守層です。国民民主党や参政党などに逃げた支持者が高市効果である程度自民に戻る可能性はあるにせよ、現時点ではまだ期待先行であり、高市総理が打ち出す政策次第では状況がガラッと変わる可能性があります。

内閣支持率・2025年10月分

当ウェブサイトでときどき取り上げている話題のひとつが、新聞社やテレビ局、通信社などが実施する内閣支持率調査です。

メディアといえば、高市早苗氏が自民党総裁に選ばれて以降、急激にほころびが目立ち始めているフシがあり(『「支持率下げてやる」発言に見る「終わっている業界」』等参照)、メディアの支持率調査に全幅の信頼を置くのは微妙ですが、それでもはやり国民の考え方を読むうえでは、支持率はわかりやすい指標でもあります。

それはともかく、高市内閣が発足してそろそろ1週間が経過しようとするなか、いくつかのメディアが内閣支持率を公表しています。ここでは共同通信、読売新聞・NNN、日経・テレ東、朝日新聞の4つの調査を調べてみました(図表)。

図表 内閣支持率(2025年10月)
メディアと調査日 支持率(前回比) 不支持率(前回比)
読売・NNN(10/21~22) 71.0% 18.0%
共同通信(10/21~22) 64.4% 23.2%
日経・テレ東(10/24~26) 74.0% 19.0%
朝日新聞(10/25~26) 68.0% 19.0%

(【出所】各社報道)

保守層の支持が戻ってきた

支持率は朝日や共同の調査だとそれぞれ60%台ですが、読売・NNN、日経・テレ東の両調査だと70%第です。

憲政史上初の女性総理という事情もあるのか、それとも高市総理が故・安倍晋三総理大臣の実質的な後継者とみなされているからなのかはわかりませんが、比較的自民党政権に厳しい論調を取る(※著者私見)ことでも知られる共同、朝日の調査ですら60%台というのは印象的です。

ただ、ここでもうひとつ取り上げておきたい話題があるとしたら、これです。

日本経済新聞社の元編集委員でもある滝田洋一氏が日経電子版の記事を引用するかたちで、74%という内閣支持率が36%という自民党支持率の2倍を超えていると指摘したうえで、国民民主党や参政党からの支持率のシフトが生じているとも述べているのです。

先日の参院選では、保守層を中心とするこれまでの自民党支持層の多くが国民・参政両党などに一斉に逃げたことが記憶に新しいですが、高市内閣はこれらの国民・参政両党の支持層からも高く評価されていることがうかがえます。

(もっとも、だからといって、参院選で国民・参政などに投票した層が次回選挙で自民党に戻ってくるという保証はありませんが。)

石破内閣は党内野党だった

しかも、滝田氏がポストした図表を見ると、石破内閣を強く支持していたのは自民党支持層よりも立憲民主党支持層や公明党支持層であり、これらの層の高市内閣に対する支持率が急落していることもまた印象的です。

ちなみに石破内閣は野党(とくに立民や公明といった政党)の支持層から支持されていた一方、国民民主党や参政党の支持層からはほとんど支持されておらず、このことから石破内閣が仮に続いていれば、自民党からの保守層の流出がさらに続いていた可能性が極めて高いといえます。

また、こうした点を踏まえると、石破茂・前首相や石破氏が重用した森山裕・前自民幹事長、村上誠一郎・前総務相といった人たちは、仮に安倍総理が健在ならば絶対に党執行部に入ることがなかった「党内野党」だったとも考えられます。

余談ですが、石破内閣誕生の原因を作ったのは岸田文雄・元首相、石破内閣の支持率急落の原因を作ったのが宮沢洋一・前自民党税調会長だったと考えると、旧宏池会という人たちがなにかと問題だらけであるように見えるのは、決して気のせいではないと思います。

(※ただし、宏池会について議論し始めると、岸田元首相と林芳正・現総務大臣の関係などについても議論しなければならなくなるなど、少しややこしいので、この論点については機会があればまたどこかで触れたいと思う次第です。)

現時点では期待先行

いずれにせよ、『高市総理高支持率は若年層が牽引』などでも触れたとおり、高市総理が(おそらくは)若年層や現役層から熱心に支持されていることは間違いありません。

ということは、高市総理がこれらの支持母体をガッカリさせるような政策(たとえば、大幅増税)を打ち出せば、これらの支持層はまたすぐに国民民主党などに逃げる可能性が高い、ということでもあります。

その意味では、現在の高市内閣への高い支持率は、それだけ高い期待の裏返し(つまり期待先行)であることは間違いなく、高市総理ら政権関係者、自民党幹部らにとっても、決して油断できない状況であることは間違いないといえるでしょう。

すくなくとも著者個人としては高市総理に過度に期待するでもなく、悲観するでもなく、称賛すべき点は称賛しつつ、間違った道を選ぼうとしているときには遠慮なく批判させていただこうと考えていますが、似たような考えの人は多いのではないでしょうか?

新宿会計士:

View Comments (18)

  • 毎度、ばかばかしいお話を。
    時事通信:「どうして  オールドメディアは、変な写真を使ったり、フェイク動画を作ったり、いよいよなら数字を捏造してでも、高市総理の支持率を下げなかったのか。え! どうして自分でやらないのかって。バレた時、我々が困るじゃないか」
    蛇足ですが、どんな総理でも就任直後の支持率は、期待先行にならざるを得ないのではないでしょうか。

    • そもそも論ですが、「石破続投支持の世論調査の信頼性が薄い」と騒いでいた人間が、高市総理の支持率を喜ぶ(?)のでしょうか。

      • それそれ。

        悪い偏向は信じないのに、
        良い偏向は信じちゃうのは、
        なんだかなぁ。

        「その方が、今は売れる」
        「同上、PV稼げる」
        くらいの事情かと。

        世論操作なんか、チョロいもんだと思われてるんだろうなあ。

  • 時事通信は、どのような内閣支持率調査結果を出してくるのか興味大ではあります。

  • 高い支持率の理由を浮かぶまま列挙してみると。

    1. 石破(岸田)氏、宮沢氏を悪役に見立てた勧善懲悪的カタルシス
    2. 日本を強くするという力強いメッセージと政策への期待感
    3. オールドメディアによる高市氏下げに負けてないSNS発信
    4. 石破外交で失われた日本のリーダーへの尊厳の回復
    5. 高市総理就任以降のスピード感
    (トランプ大統領就任時に大統領令を矢継ぎ早に出したスピード感を彷彿とさせる)

    時間経過で薄まるのは1ぐらいで、5は個々に持っているスケジュール感による。本格的に政策を予算に反映できるのはまだ先のようだし、SNS上で正常な意見が出続ける限り無茶な理由で下げないだろう。
    危うく見えるのは振り子の原理で高く振れたら逆向きに振れる可能性も高くなるだけで、オールドメディアを生〇し状態にできているうちは言いがかりでそうなる可能性は低そう。
    結局、本当に進める政策が歓迎されるか否かで決まるだろう。

  • 森山を重用していたのは実は岸田政権からなので、実質的な岸田継続政権だったんですよね石破政権。岸破より酷くならなければ支持率は付いて来ますよ。あれは民主党政権レベル。

  • 第二次安倍政権にがっかりしなかった人は素直に高市政権を支持できると思います。グローバリズム寄りの人々ですね
    私はがっかりした口なので冷めた目で見ています。反グローバリズム寄りです
    高市さん個人が云々ではなく、自民党自体がグローバリズム政党なので積極財政や移民制限には限界があると予想しています

  • 高市さんには、宏池会を抑えるために、是非維新を活用して頂きたいですね。
    高市さんと維新の政策を一致させたうえで、宏池会を抑え込むことが出来ればよいと思います。
    国民民主も味方に付ける事が出来ればよいのですが、最近の国民民主を見ていると、そうも連合に逆らえそうもありませんので、信頼は出来ない相手ですね。
    高市政権には行き詰ったときは解散という手もあります。
    その場合維新は、小泉進次郎氏に登場した自民党議員の選挙区に積極的に候補者を立てれば良いと思います。

  • 私は今の首相や閣僚は記者会見などで何を言っているか、日本語レベルでよくわかるようになったので、「じゃあまずは進めてください」という気になります。
    これも「期待先行」といえばそうなのかもですね。
    前の内閣は、何言ってるかわからないことが多かった。

    ただまあ、第一次安倍政権の時のように、全方位を敵に回すようなことはしなさそうなので、つまりは期待外れとなるところは割と出てくるような気がしてきています。(対財務省はそれほど角を立てなさそうな感じ)
    うまくいかないときには、真摯な説明を期待します。

  • 解散して民意を問え!

    今の議員の状況が、国民の高市政権への指示を反映していないことは明らかです。
    選挙時の石破内閣、そして自公連立はもはやなく、政権の枠組みが根本から変わってしまったのですから。
    「速やかに衆議院を解散し、民意を問うべきだ」という声を上げていこうじゃないですか!

    • 議員→議院、
      指示→指示

      酔っ払って投稿するもんじゃないですね。
      失礼しました。

      「民意を問え!」ってのは、”あっち側”の常套文句なんですよ。
      それを逆手にとって、いま、草の根レベルから「民意を問うために解散を」という声を上げれば、右も左も表立って反対できないはずなんだけど。

  • 高市さんは、モノが違うと言うか、政治家としてのレベルが。稀代の政治家という感じがします。総裁選を争った方やこれまでの総理と比べても、鍛えられ方が段違い。こんな方は相当稀では。
    高市さんがやりたいことの旗を降ろさなければ、支持はかなり続くのでは。競争力がハンパない。
    私も早く解散して民意を反映して欲しいです。

  • いつも楽しみに拝読しております。
    高市首相はやや抑制的ですがスピード感を持って政策を進めており、オールドメディアを通じない広報の全文アップなどで自らの発信情報が的確に有権者に伝わる努力をしています。
    一方反対する外部勢力の皆さんは、田原総一朗やヤジ議員みたいに勝手にバカさ加減を露呈して自滅していってます。もう少しこのまま進んだら、自民党の中のおバカさん達も勝手にズッコケてくれそうなので、解散総選挙はそんな時期にするのが良いのかもしれませんね。

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