やはりというべきか、若年層ほど高市総理を熱心に支持している、とする調査結果が出て来たようです。読売新聞・NNNの共同世論調査によれば、高市内閣の支持率は71%だったそうですが、60歳以上に限ると63%に過ぎないのに対し、40歳から59歳までの層だと75%、18歳から39歳までの層だとなんと80%に跳ね上がります。高市総理が若年層・現役層から支持されていることが強く示唆される結果ですが、逆にいえば、これらの層の期待を裏切れば、高市総理は国民の支持を失う可能性が高い、ということでもあります。
支持率調査の問題点
当ウェブサイトでは新聞、テレビを中心とするメディアが実施する「支持率調査」を話題に取り上げることがあります。
ただ、読者の皆さまもご存じの通り、メディアはしばしば、政治家によって報じるスタンスを露骨に変えたりすることがあります。最近だとメディア関係者もそのスタンスを隠さなくなりつつあるようです(『「支持率下げてやる」発言に見る「終わっている業界」』等参照)。
これに加え、当ウェブサイトでもこれまで見てきたとおり、メディアによる支持率が低かったはずの政党が選挙で圧勝したり、支持率が高いはずの首相が率いる与党が選挙で惨敗したりするケースも多々あります。前者の典型例は2017年の衆院選、後者の典型例は昨年衆院選と今年の参院選でしょう。
それに、仮に世論調査が適正なプロセスを踏んで実施されているのだとしても、現実問題として回答者属性が(とくに高齢層などに)偏っているという問題は発生していますし、年齢補正を加えると結果が逆転することもあります。
年齢補正を行うと結果が逆転することも!
その事例があるとしたら、石破茂・前首相の続投に関する世論調査です。
たとえば弁護士で日本公共利益研究所主任研究員でもある楊井人文氏が8月に寄稿した『Yahoo!ニュース』オリジナル記事では、楊井氏がNHKの公表データをもとに、現実の有権者の年齢構成で補正を掛ければ、賛否が完全に逆転することが、きちんとした計算式で示されています。
「石破首相続投 賛成多数」 年齢補正で賛否逆転 高齢者に偏った世論調査にNHK「課題と認識」
―――2025/08/18 18:27付 Yahoo!ニュースより
また、同じく8月に横浜商科大学商学部の田中辰雄教授が執筆・公開した『note』記事に示されている分析でも、18歳から79歳を対象に実施したウェブモニター調査で年齢・投票率補正を行ったところ、「辞任すべき」が46%で「辞任すべきと思わない」の42%を上回っていることが示されています。
2025年8月臨界点―石破政権はなぜ支持率が下がらないのか
―――2025年8月24日 12:42付 noteより
さらに、『週刊フジ』が8月末に配信した次の記事では、石破首相(当時)が辞職すべきかどうかという設問に対し、携帯電話と固定電話で明らかに違いがあったことが明らかにされています。もちろん、携帯の調査結果の方が、石破氏に対する支持が明らかに低かった、というのです。
石破首相の辞職「固定電話」と「携帯電話」で調査結果大違い、世代間の意識乖離 有元隆志
―――2025/8/31 15:00付 産経ニュースより【週刊フジ配信】
このあたりは、ネットなどで指摘されている、「固定電話の世論調査に応じるのは高齢者が中心ではないか」、などとする仮説とも整合していますし、また、「インターネット利用時間よりテレビの視聴時間の方が長い」のが60歳以上であるという総務省の委託調査結果とも整合しています。
いずれにせよ、支持率調査を読むときには、その結果を妄信するのではなく、やはりデータの特性を踏まえて慎重に検討することが必要です(あるいは、データをデータとして素直に見られないというのは、なんとも複雑なところというべきでしょうか)。
内閣支持率は高水準でスタート
こうした状況を踏まえると、当ウェブサイトとしても、メディアが実施する支持率調査についても全幅の信頼を置くべきだとは考えておらず、あくまでもひとつの参考くらいの位置づけ、といったスタンスが正解ではないか、などと考えている次第ですが、そのうえで本稿で取り上げておきたいのはこの話題です(図表)。
図表 内閣支持率(2025年10月)
| メディア | 支持 | 不支持 |
| 読売・NNN(10/21~22) | 71.0% | 18.0% |
| 共同通信(10/21~22) | 64.4% | 23.2% |
(【出所】各社報道等)
メディアが実施した緊急世論調査では、高市早苗内閣の支持率が、読売・NNNで71%、共同通信で64.4%だったそうです。
一般に新内閣は発足時が最も高い支持率を記録する傾向があると思われますが(著者私見)、これを高いと見るか、低いと見るかは人それぞれ、といったところでしょう。
Xあたりの高市支持層などの意見を見ていると、世間的には支持率が8~9割あっても良いのではないか、などとする印象を持つ人もいるかもしれませんが、著者個人の(根拠なき)主観的印象に基づけば、この程度の支持率・不支持率であればとくにさほどの違和感はありません。
電話世論調査だと、どうしても回答者属性が高齢層・テレビ層(≒非ネット層)などに偏る可能性が高く、メディアの世論調査の母集団にはこうした層が含まれている可能性を考慮に入れるならば、(とくに読売・NNNの)70%台という結果は、むしろ高すぎる気がするくらいです。
読売調査だと若年層が支持率牽引
ただ、本稿の主眼は、そこではありません。
この支持率については、若年層、あるいはネット層が主導した可能性があるのです。
その仮説の根拠のひとつが、これらの記事です。
高市内閣の支持率71%、歴代5位の高さ…読売世論調査
―――2025/10/22 22:00付 Yahoo!ニュースより【読売新聞オンライン配信】
高市内閣で「若年層」の支持急増、18~39歳は石破内閣の15%から80%に…読売世論調査
―――2025/10/23 05:00付 読売新聞オンラインより
これらは読売新聞オンラインが22日から23日にかけて配信した記事ですが、このうち22日付の記事の方には、こんな記述があります。
「前回調査と比べ、若年層や男性からの支持が伸びており、全体を押し上げた」。
ちなみに23日付記事によれば、支持率は男性が71%、女性が72%であり、顕著な男女差はありませんが、その一方で年齢別にみると、支持率は39歳までの層で80%、59歳までの層で75%、60歳以上の層だと63%と、顕著な相違があります。
高市内閣支持率(2025年10月、読売・NNN)
- 18~39歳…80%
- 40~59歳…75%
- 60歳以上…63%
(【出所】読売新聞)
これに関する読売新聞の分析は、こうです。
「石破内閣は高齢層からの支持が比較的高かったが、高市内閣では逆に、若年層が支持を先導している。若年層の支持が多い傾向は、最近では第2次安倍内閣の支持動向に近い」。
なんとも興味深い結果です。
高市氏が若年層を裏切ればどうなるか
これに対し、前任者である石破茂・前首相については、先月の調査で見れば60歳以上の支持率が50%と、高市総理のそれと比べて10ポイント低い水準に過ぎないのに対し、59歳までが29%、39歳までがなんとたったの15%に過ぎませんでした。
石破内閣支持率(2025年9月、読売・NNN)
- 18~39歳…15%
- 40~59歳…29%
- 60歳以上…50%
(【出所】読売新聞)
こうした状況を踏まえると、安倍総理の時代と同様、少なくとも高市総理を熱心に支持しているのは若年層が中心であることについては、おそらくは間違いないでしょう。
なかなかに、面白い結果が出てきたというべきでしょうか。
そして、高市総理が若年層・勤労層などの現役層から支持されているのだとしたら、もし高市総理がこうした現役層などの期待を裏切るような政策を推進すれば、たちまち支持を失い政権を投げ出さなければならなくなる可能性が高いことを知っておくべきでしょう。
この点、著者個人の見解を述べておくならば、たしかに高市氏はリフレ派的な視点で期待できる発言もしていますが(たとえば「責任ある積極財政」など)、その一方で減税に向けた動きには鈍さも見られるなど、不安要素もあります。
さらには自民党が金融所得課税の強化を提言し始めている、などの事情も踏まえると、やはり高市氏には期待半分、不安半分、といったところでしょうか。いずれにせよ、高市氏には全幅の信頼を置けない、といったところが実情かもしれません。
その意味でも、まずは高市総理や閣僚らのお手並みを拝見したい、などと思う次第です。
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1 2 次へ »高支持率を維持した故安倍晋三総理でも民主党時代に決まった消費税増税を引き延ばすことしかできなかったから、財務省相手はかなり厄介なのでしょう。現状、高市総理がそこまでできるとは思えないです。石破がとっ散らかした課題の解消も必要ですし。
また、トランプ大統領との会談も大変でしょう。勉強家であった故安倍晋三総理のようにアメリカの経済を知った上でギブアンドテイクの取引をしないといけないでしょうね。
無能な二世、三世議員と違って、今太閤的な高市さんの人気はしばらく続くと思います。選挙の構造変化が顕在化するのでしょうね。
>若年層ほど高市総理を熱心に支持している
>高市氏が若年層を裏切ればどうなるか
圧倒的なまでの旧態依然からの脱却感。
実現可能かつ、端的で解りやすい答弁。
控めに見ても期待感が半端ないですね。
懸念点は、山高ければ谷深しってこと。
・・・・・
*政権支持率
高市氏のは「若い心が『惹』かれた結果」なんですよね。
石破氏のは「若い心に『引』かれた結果」でしたけどね。
・・。
この政権でなくてもいいですが、労働組合のインチキ会計を暴くと大炎上しそうです。政党がくたばる可能性があります。次のターゲットはこれや。
浜田聡氏の 「自治労と自治労連から国民を守る党」 に頑張ってほしい。
公務員の労組は、特に闇が深いと思うから。
政権が別の党に代わるより、高齢者が支持する政権から若者が支持する政権(あるいはオールドメディアが支持する政権からネットが支持する政権)に代わることが、政権交代というにふさわしいのではないでしょうか。(歴史的政権交代? 革命?)
蛇足ですが、今回の世論調査は、年齢補正をしたのでしょうか。
ソレ“世代交代”やないとね?
知らんけど
毎度、ばかばかしいお話を。
オールドメディア:「世代交代による政権交代は、悪い政権交代である」
だから、正しい道に戻さなくてはならないのですね。
石破内閣に比べて若年層の支持率も上がっていますが、高齢者の支持率も上がってるんですよね。伸び率が違うというだけで。
読売と共同の調査は今のところ情報が断片的ですが、総裁就任直後のJX通信の調査では「支持率の質」の変化にも言及がありました。石破内閣の支持率の主体が「どちらかというと支持」の消極的支持だったのに対し積極的支持の割合が顕著に増えていてるのと、「人柄」ではなく「政策への期待」が最多回答だったそうで。
安倍政権時の支持構造と同じで、オールドメディアの報道の影響を受けず高支持率を維持する構造なのだそうです。youtubeで「jx通信 世論調査」で検索すれば該当解説は出てきます。
オールドメディアのネガティブキャンペーンが露骨ですが、そこに左右されることなく信じる政策を直接発信して実行していくことが安定への道なのかと思います。
小野田担当相、閣僚任命時の官邸映像で他の閣僚が記者の囲み取材を受ける中、彼女だけが記者の囲みに立ち止まることなく車に乗って去って行きました。ひょっとしてブッチしたのかと思っていたら、どうもそのようでした。オールドメディア全捨て、ネット全振りか。
さっそくオールドメディアの批判に晒されているようですが、批判の影響はどの程度か、彼女は姿勢を維持できるのか、一つ注目ポイントと思っています。
ここで岸破氏のように親分がマスコミに日和ってしまうとアレですが、高市氏はそれはやらない気がします。
新聞や TV は有権者を代表しているわけでない。だから相手にする必要はない。
ネットで直接語りかけ、返答を直接受け取ればいい。簡単な論理です。
新聞 TV に広告を出してもしょうがない。広告代理店は相手にしない。
腕のいいクリエーターには簡単にリーチできる。よって企業はネット広告に全振りする。
単純な帰結です。
よいよ“国内資本”の“国産情報プラットフォーム”が望まれてくるやうな…
知らんけど
追いつけ追い越せ日の丸万歳
日本経済新聞社構文がウケると思います
国内のプラットフォームが不十分なのは気になるところなんですよね。"SNSの真の解放"もイーロンマスクがいなければ実現しなかったわけで、氏の功績は大きいのですが、個人への依存度が高いのもよろしくないのですよね。
かといって使い慣れたPFを移動するのはなかなかハードルも高く。
LINEも使いたくないメディアですが、回りが使ってるんで仕方なく入れてます。
今自民党を支持をしている人は、ネガティブキャンペーンの影響が全くない人達だと思うんですよね
仮に小野田さんとマスコミがガチでやりあって、しないと思いますけど小野田さんが口汚く罵って煽ったとしても、いいぞもっとやれ、と受け取られそうなもんです。
しかるにネガティブキャンペーンは非支持層が支持層に移らない効果ぐらいしか期待できませんし、その層はすでに手の施しようがない層でしょうから、結局効果はないように思います。
どこの職場にも居ます、意味のないことばかりやってる人
私もオールドメディアの工作対象と政権の強固な支持層は被らないと思います。
安倍政権の頃の選挙の傾向から、いよいよオールドメディアの影響力消滅が実現するかと思っていたのですけどね。
岸田首相就任後、氏のマスコミへの迎合ぶりには失望したものです。オールドメディア消滅のサイクルが逆行するし、また力を与えてしまうと。政権後期の"裏金"の過剰処分、統一教会"だけ"への恣意的な介入など、マスコミ批判に迎合したスジの通らない氏の施策には反吐が出そうでした。法の統治の破壊者だと思います。
>どこの職場にも居ます、意味のないことばかりやってる人
私のいた職場にもいました。加えて文句ばっかり言ってる人とかも。界隈の人々の行動の一致度が高いと感じています。
一昔前は、騒いでいる人がいれば、非難される側に何かやましいことがあるのでは?と受け取られる向きが社会にあったと思いますが、最近では、何かと騒ぎ立てる輩は反社会的勢力かモンスターカスタマーかアタマのアレか人か、関わり合いにならん方いい連中と見なされるように思います。
それは新聞購読数も視聴率も下がるわなと。
そんな煽動的な手法で若い世代がシンパシーを持つはずがない。
>自民党が金融所得課税の強化を提言し始めている
その点に注目している。
「財源論」が続く場合はやはり自民党では無理かもしれないと思ってしまう。
まだ日本版DOGEへの期待と半々ぐらいかなぁ。
このニュースはオールドメディアの取り上げ方だと、発足時に高い支持の場合、後は落ちるだけになるので、一年前後の短命に終わる例が多いそうです。
そうなって欲しいという願望が透けて見えるようで、是非裏切って歴代最長政権になって欲しいと思いました。
>発足時に高い支持の場合、後は落ちるだけになるので、一年前後の短命に終わる例が多いそうです。
そのいい例が、民主党鳩山政権ではないでしょうか。
読み応えのありそうなこんなページを引き当てました。
歴代内閣の内閣支持率推移
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5236a.html
吉田内閣以降すべてです。毎日新聞がソースデータらしいので、うぬぬ、ですが、ページ一面に展開する「文字の海」は読書好きを喜ばせることでしょう。
質問文の書き方次第の恣意的な回答誘導が恒常的に行われてきたとの前提で読むべきかと。新聞記者は日本でもっとも信用されていない職業のひとつですから。
とりあえず直近の政権の負の遺産をどうにかしてくれる事が第一ですね。本当に悪夢の岸破政権でした。