自維連立がほぼ確定的となったようです。おそらく早ければ本日中に自維両党が連立合意を取り交わし、明日の首班指名選挙で高市総理が誕生することでしょう。ただ、著者個人としては、現在の日本が抱えるすべての課題を高市内閣が一挙に片付けられるとはまったく考えていません。むしろ有権者を失望させるようなことがあれば、高市内閣は短命に終わるという展開もあるでしょう。そこで、高市「総理」には、まずは減税などを含めた経済対策を年内に実現させることを期待したいところです。
目次
自維連立の可能性、一段と高まる
自民党と日本維新の会の連立政権に関しては『自維連立政権の可能性高まるも…議員定数削減への懸念』などでもすでに取り上げていますが、週末の動きを受け、その自維連立政権が発足する可能性が、一段と高まりました。
維新の藤田文武共同代表と中司宏幹事長が会見で、日曜日の常任役員会の場で自民党との連立については吉村洋文代表と藤田氏に事実上一任されることが決まったことを発表しています(維新公式動画の24:39~等参照)。
なお、「自維連立」の可能性が非常に高まっていることは間違いありませんが(何事もなければ、自維両党はおそらく本日、つまり10月20日にも連立の合意を取り交わすのだと思います)、ただ、自維連立についてはまだ確定したわけではない、という点については注意が必要です。
しかし、維新側はすでに金曜日の時点で、立憲民主・国民民主両党との連立協議をいったん打ち切ることを通告しています。仮に「自維連立」がご破算となったとしても、少なくとも維新が野党側につかなければ、非自民連立政権が発足する可能性は極めて低いのが実情です。
公明が外れたが…維新が入れば却って政権は安定へ
いずれにせよ、明日・21日には石破茂・現首相が内閣総辞職し、これに続く臨時国会で高市早苗・自民党総裁が内閣総理大臣に指名され、同日中に高市早苗内閣の骨格が明らかになると考えられます。
この点、「自維連立」には個人的にいくつかの不安要素もあるのですが(※その一例は土曜日の記事でも指摘した議員定数削減です)、ただ、公明党が連立与党から外れたことで政権運営が不安定化するとの観測は外れ、結果的には自維連立で政権運営がより安定することは間違いありません。
そもそも論ですが、現在の国会では、自民党は統一会派ベースで見て、衆院で196議席、参院で101議席(※「NHKから国民を守る党」の齊藤健一郎氏を含む)しか持っていませんので、単独過半数(衆233議席、参125議席)には足りません。
だから、自民党が政権を安定運営するためには、少なくとも公明党か国民民主党、日本維新の会のいずれかの政党とは連立を組むことが必要だったのです。
- 自民単独…衆196+参101
- 自公連立…衆220+参122
- 自国連立…衆223+参126
- 自維連立…衆231+参120
国民民主は連立入りを逃したのか?
もちろん、自公連立でも衆参双方で過半数には足りませんでしたが、それでも公明党が連立から外れたら、自民党としては国民民主か維新のいずれかとの連携を模索するであろうことは、政界の力学としてはごく当たり前の話でもあります。
個人的に「高市自民」は維新より国民民主との連携を重視するのではないか、などと考えていたのですが、国民は玉木雄一郎代表が高市氏に昨年の三党合意などの履行を求めたうえで、履行状況を見て協力の在り方を検討するとのスタンスであったため、結果的に「自国連立」より先に「自維連立」が成立したのでしょう。
これについては玉木氏に対し、おもに国民民主の支持者などを中心に、「せっかくの連立入りのチャンスをふいにした」などとする批判も出ているようですが、(玉木氏の内心を敢えて予想すると)かつて国民は自民に何度となく約束を反故にされてきたという経緯もあり、それなりに警戒心もあるのかもしれません。
いずれにせよ、現時点の観測としては、高市内閣が自維連立で発足するであろうことはほぼ間違いないでしょう。
維新が閣外協力との報道も…なぜ?
ただし、今回の自維連立では、維新が「閣内協力」―――すなわち大臣などを出す連立―――となるかどうかについては、まだ見えていません。一部報道だと維新は「閣外協力」にとどめるとの観測もあるようですが、これについて藤田氏は日曜日の会見で報道陣からの質問にノーコメントを貫いています。
このあたりは維新のスタンスがいまひとつ明確に見えてこない点ではありますが、もし閣外協力にとどめるのだとしたら、連立入りすることのメリットとデメリットを慎重に見極める観点からは、やむを得ない話かもしれません。
というのも、過去に自民党と連立を組んだ政党は、公明党を別とすれば、すべて消滅するか、弱小政党となってしまっているからです。
たとえば1976年に自民党離党者らによって結党された新自由クラブは1983年に自民党と連立を組み、86年には解散し、メンバーの多くは自民党に復党しています(ちなみに復党したひとりである河野洋平元代表は、後に自民党総裁に就任しながらも首相になれなかった人物でもあります)。
また、自民党は1993年に下野したのですが、翌・94年に「自社さきがけ連立政権」と称し、社会党の村山富市委員長を首相に立てることで政権復帰したのですが、その社会党は党勢が振るわず、1996年にはいくつかに分裂したうえで党名を社民党に変更するなど迷走しました。
社民党は当時有力野党として育ちつつあった民主党に合流しようとしたものの、いわゆる「排除の理論」で民主党側から丸ごとの合流を拒絶され、どんどんと党勢を減らしながら最終的には所属国会議員が3人にまで減り、現在に至っています。
さらに、新党さきがけは自民党が下野した1993年に結党され、いったんは非自民連立政権に参加したものの、94年の「自社さきがけ」連立政権に参画し、1996年ごろから空中分解をはじめ、2000年代初めには消滅しています。
そして、自民党は1999年ごろから、いわゆる「自自公連立政権」を発足させます。
「自自公」の2つめの「自」は1998年に結党された「自由党」のことですが、この自由党はのちに民主党代表などを務めることになる小沢一郎氏が中心の政党で(俗に「小沢自由党」と呼ばれることもあるようです)、2000年に連立から離脱して保守党と分裂。
その保守党は自民党に合流して消滅しましたし、自由党も最大野党だった民主党に吸収されて消滅しています。
維新の側の警戒感は気になるが…解散総選挙は必ずしも必要ならず
こうした経緯を踏まえると、自民党と連立を組んで消滅していないのは公明党や社民党くらいなもので、過去に自民党と連立したそれ以外のすべての政党は、現在は存在しません。
もちろん、消滅した理由はさまざまであり、また、消滅していない公明党や社民党にしても、やはり党勢の退潮に歯止めがかかっていないようです。こうした状況を踏まえると、長らく政界に身を置いていれば、当然、下手に連立入りしたら自分たちの政党が消滅するのではないかという危険性を感じているはずでしょう。
維新が閣外協力に留めるのか、それとも閣僚を出すつもりなのかはわかりませんが、少なくとも自民党の「引力」には、それなりの警戒心を抱いているのではないでしょうか。
ただ、維新の協力がどういう形態となるかは読めないところではあるにせよ、とりあえず、高市政権は発足してすぐに崩壊する「短命政権」に終わる、というリスクは回避できそうです。自維連立は衆参でそれぞれ231議席、120議席と、どちらも過半数には足りないにせよ、「なんとかなる」というレベルでもあるからです。
この点、単なる選挙戦略「だけ」を考えるうえでは、高市「総理」就任直後の自民党にとって印象が良いうちにさっさと解散総選挙に踏み切るのが正解でしょう(とくに今般は公明党が連立相手ではなくなったため、同党に配慮する必要はなくなりました)。
ただ、政局だけを踏まえた早期解散総選挙よりも、まずは経済対策を急ぐべき、という考えは、正論でもあります。とくに高市氏が総裁選時点で約束していた国民民主党との約束(年収の壁やガソリン減税)などは、早期に実現しなければ、いったん自民から離れた保守層が戻って来なくなるリスクをはらんでいるからです。
まずは年内の減税などを急いでほしい
幸いなことに、自維政権は自公政権と比べてより議席が多く、また、「年収の壁」問題や「ガソリン減税」問題などに関しては国民民主の協力も期待できることから、一部の経済対策については、石破政権時代よりもさらにすんなりと解決が進むのではないでしょうか。
このあたり、著者個人的には高市「総理」が目指している政策が自維政権ですべて実現するとも考えていませんし、いずれ衆院解散総選挙は避けられないにせよ、自民党が有権者の失望を買うならば、解散のタイミング次第では自民が失速し、高市内閣が短命に終わる可能性もあります。
こうした観点から、やや希望的観測も込めて申し上げるなら、高市「総理」は石破首相が残していった負の遺産のうち、とくにほとんど手つかずの経済対策、というか「年収の新たな4枚の壁」などの取っ散らかった弥縫策など撤回し、まずは必要な減税措置に手を付け、年内にそれを片付けることを期待したいところです。
もちろん、高市氏なりにやりたいこともあろうかとは思うものの、より中・長期的な課題として、著者自身は事実上の「老人福祉税」と化している社会保険料などの問題にも取り組んでいただきたいと考えていますし、NHKスクランブル化や憲法改正、原発新増設や核融合発電などの対策も必要です。
なにより、ロシアとの国境線問題(樺太・千島帰属問題等を含む)や北朝鮮による日本人拉致問題、中国による領海侵犯の頻発など、日本の周囲にある4つの不法国家との関係をどう処理していくかも重要ですし、基本的価値を共有する台湾との関係強化も大きな課題でしょう。
私たち国民の役割とは?
このように考えると、高市「総理」に日本のすべての課題を一気に解決することを期待するのは難しいとは思う反面、高市氏が最大のパフォーマンスを上げるべく応援するのも、じつは私たち国民の大事な役割ではないか、と考えます。
すなわち、高市氏が総理として取り組む正しい課題解決については全面的に応援しつつ、高市氏が不適当な政策を行おうとするならばそれを牽制しつつ、さらには高市氏やその次の政治家に対しては現状の日本の課題を適切に伝えるのが、私たち国民の権利であり、義務でもあるのです。
私たち一般国民は、せっかくSNSなどの便利なツールを手に入れたのですから、これをうまく使いこなしていくようにしたいものだと思うのですが、いかがでしょうか?
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1 2 次へ »支持率あげてやる。
NHK、民放、新聞社の『大掃除』は公約に入ってはいないですが、手を付けて欲しい。報道業界に蔓延するイエロージャーナリズム根性を撲滅するのは時間がかかるものです。
維新の目的は唯一と言っていい程副首都で数兆〜十兆円の歳出を大阪に取り込むことです。その法案が決まるまでは高市政権の邪魔は一切しませんし、解散は阻止するでしょう。大臣の器が居ないも成程そのとおりで副首都の法案作成や官僚や他党への根回しなど出来る術もないので自民に要望を出し急がせるだけで実務は丸投げにするしかありません。
閣外協力にのは留めるもしかしたら選挙協力をしない形で高市護国政権と棲み分けをするのかもしれません。本丸大阪が盤石として、野党の他左派自民(進次郎と記念撮影したセクシー60)にも候補擁立すれば保守色を増した今は当選確立は高いでしょう。
この「副首都成立」と「維新躍進」した後が要注意で第二公明党化する恐れすらあります。高市政権が出来た後はガソリン税減税等実績を作ったらなるべく早く解散をして単独で過半数を確保出来るくらい盤石な政権運営に持ち込んでもらいたいものです。
維新の目的は唯一と言っていい程副首都で数兆〜十兆円の歳出を大阪に取り込むことです。その法案が決まるまでは高市政権の邪魔は一切しませんし、解散は阻止するでしょう。大臣の器が居ないも成程そのとおりで副首都の法案作成や官僚や他党への根回しなど出来る術もないので自民に要望を出し急がせるだけで実務は丸投げにするしかありません。
閣外協力にのは留めるもしかしたら選挙協力をしない形で高市護国政権と棲み分けをするのかもしれません。本丸大阪が盤石として、野党の他左派自民(進次郎と記念撮影したセクシー60)にも候補擁立すれば保守色を増した今は当選確立は高いでしょう。
この「副首都成立」と「維新躍進」した後が要注意で第二公明党化する恐れすらあります。高市政権が出来た後はガソリン税減税等実績を作ったらなるべく早く解散をして単独で過半数を確保出来るくらい盤石な政権運営に持ち込んでもらいたいものですね。
維新の目的は唯一と言っていい程副首都で数兆〜十兆円の歳出を大阪に取り込むことです。その法案が決まるまでは高市政権の邪魔は一切しませんし、解散は阻止するでしょう。大臣の器が居ないも成程そのとおりで副首都の法案作成や官僚や他党への根回しなど出来る術もないので自民に要望を出し急がせるだけで実務は丸投げにするしかありません。
閣外協力にのは留めるもしかしたら選挙協力をしない形で高市護国政権と棲み分けをするのかもしれません。本丸大阪が盤石として、野党の他左派自民にも候補擁立すれば保守色を増した今は当選確立は高いでしょう。
この「副首都成立」と「維新躍進」した後が要注意で第二公明党化する恐れすらあります。高市政権が出来た後はガソリン税減税等実績を作ったらなるべく早く解散をして単独で過半数を確保出来るくらい盤石な政権運営に持ち込んでもらいたいものです。
>高市政権の発足はほぼ確定も…問題は最初に何をするか
①政策・課題のトリアージによる緊急度マトリクスの作成。
②有言実行による信頼の醸成・・ではないのでしょうか?
*岸田・石破政権が遺した「裏切りの根」は深い・・。
黒札案件、ってやつですね。失った得票の総数、議席数で評価されるんですよね、きっと。
>おもに国民民主の支持者などを中心に、「せっかくの連立入りのチャンスをふいにした」などとする批判
批判者は主に国民民主支持者ではなく自民党支持者ではないかと想像していましたが、grokのクラスター分析(主張)によるとどうもそのようです。
https://x.com/i/grok/share/fVLSX9g5NWFG8EkaJJTpVXz6W
>ネガティブ反応の発信者傾向(156件中、約85%が自民党支持クラスター)
>ポジティブ反応の発信者傾向(44件中、約80%が国民民主党支持クラスター):
APIやpythonを使って分析はハードルが高くて手が出ないのでこれでご勘弁を。
個人的には玉木氏への期待値はそれほど高くないし、国民が連立入りするなんて思ってもいませんでしたが、自党の行動の理由を他党のせいにする玉木氏に語りようがダメだなーと思いました。
高市自民は経済対策打って解散総選挙がいい気がしますけどね。
自維国の増減やいかに。選挙区撤退で比例重視の公明は比例50議席減で壊滅か?
もし高市政権が発足したら、最初にすべきは、全政府関係者、全議員の健康診断ではないでしょうか。なにしろ、全員が馬車馬のごとく働かされるのですから。
高市内閣発足後可及的速やかに対応すべき喫緊の課題の本筋と云えばガソリン・軽油に対する暫定税率適用の見直し・廃止や給与所得控除の見直し・引上げ等になるものと思われますが、ここでお付き合いをするならば、全政府関係者及び全議員の健康診断に加え、知能検査と認知症検査も是非実施して欲しいところと云えましょうか。
ガソリン・軽油軽減税率廃止と所得税基礎控除引き上げは年内マストでせうや
国民民主党と公明党が企業団体献金規制強化案を出した場合の日本維新の会と立憲民主党のリアクションが興味深いトコでんな
軽減税率ちゃうわ!
暫定税率や!!
副都心は日本にとって、絶対にいいと思う。
ふるさと納税も、地方自治体にとって少しは恩恵があるかもしれないが、その額は僅かでほとんどよくなっていない。公民館を建てたとかその程度の現状です。
それが副都心を作ることによって近畿全体に雇用が上がり経済が良くなっていく。
もともと大阪に本社があった企業が東京へ移転したために大阪が衰退したので、これを元に戻して、近畿全体を活性化したい。
関東地区は、東京を中心にして発展し、今は飽和状態であるので大阪以外でも
広島や、熊本・宮城・北海道にも副都心になるよう地域政党を立ち上げてほしい。
日本も、衰退していくのは一極集中に原因があると思う。
副都心がひとつとは限りませんし、当方は第一号は大阪でない可能性を想起しています。
すわ松代⁈
まー立川は近過ぎるし、大規模な省庁移転視野にすっと大阪市内は既に詰み過ぎ感もアリマスしナ
“東京エスタブリッシュ”連の京阪羨蔑視はワリと髄刻みに近うなっとおし、
①大規模に計画都市的官庁街造るならリニアと咬ませて京田辺市あたり?
②IT駆使スマート首都機能代替準備都市創築なら関西圏と東北、ついで東海九州あたりに連続整備?
③ヤルヤル詐欺またたび??
知らんけど
副首都は設計された都市でないといけません。更地を拵えて立て直すのは時間と資金の浪費です。もちろん、するする詐欺で引っ張り続けるのもまたたびです。
首都機能移転のときは那須が候補に挙がっていたような。
小松左京の小説では名古屋でした。
東南海を避けるなら日本海側とか。
大阪でなきゃならない理由がないんすよね。
副都心にするためには、「地域の力」が必要で市民が政党を作り育てていかないとだめです。サッカーと同じでただ副都心にしてほしいでは何も起こりません。サッカーでもリーグ優勝すると人気が上がり、サッカー人口が増えるということです。
維新の副首都構想はどうも「災害時のバックアップ」が主目的らしいんで、大阪はあまり適してないかなと思いましたが。
『副首都』『副都心』『首都機能移転』『首都機能代替』ナドナド、“同義でない”用語がおハナシの軸芯をブレいにるワケですが、今般の日本維新の会が自民党との連立協議で持ち込んできた『副ほにゃらら』が“具体的にどの様な概念のモノゴト”なのか、ザックリした報道wベースでは「ナントナクこんなカンジのモノ・コト?」程度の理解で侃侃諤手前手前の議論にしか辿り着かないのがナントモハヤ…
前提整理出来るだけの“まとまった情報”を“正確簡潔”に提供いただける“メディア”があるならソレコソ“報道”名乗りに値すンやろなァ、と
まー知らんけど
>日本の周囲にある4つの不法国家 ???
ええーっと、ロシアに北朝鮮、中国にあと 何処かなぁ(棒読み)
親に言えないような多額の借金を大学生がして、巻き返そうとおびき出されてカンボジアに渡って、現地で誘拐され本国に身代金要求が行き、ばれて暴行殺害されたりする気の毒な国のことですかね。