自民党の総裁選で高市早苗氏が選ばれて以降、とくにほころびが目立つ業界が、オールドメディア(とくに新聞とテレビ)です。高市総裁発言を巡って揚げ足取りをしようとしても国民世論がそれに乗らず、それどころか、むしろ逆にオールドメディア業界が炎上しています。これは、まさに「腐敗トライアングル」の一角が崩れ落ちたことを意味します。
目次
非民主的な権力者たち
民主的に選ばれていない人たち
当ウェブサイトではこれまで何度となく繰り返してきたとおり、マスメディア(とくに新聞やテレビ)の記者、あるいは官僚には、いくつかの共通点があります。
その最たるものは、「民主的な手段で選ばれていない」、という点です。
これはもちろん、単なる事実であり、良い、悪いという話ではありません。
そもそも新聞記者であれ、テレビ記者であれ、官僚であれ、すべて単なる職業であり、職業選択の自由に従いその道を志した結果、そのような仕事に就いているに過ぎません。そのこと自体は当たり前の話であり、非難すべき話でも褒めるべき話でもありません。
また、採用する側についても、たとえば官僚であれば、適法に実施された国家公務員採用試験に合格して採用されている限り、それに対して一国民の立場として文句をつけるところではありません(採用プロセスの透明性確保は必要ですが)。
これに加えて新聞、テレビなどのメディアは(NHKを除けば)純粋な民間企業であり、各企業の採用方針や採用手続などについても、その会社の株主などの利害関係者でもない限りは文句をつけることもできませんし、著者も文句をつけるつもりはありません。
民主的に選ばれていないのに権力を持っているのがおかしい
当ウェブサイトで問題視したいのは、「民主的な手段で選ばれたわけではないにも関わらず、民主的な手段で選ばれた政治家よりも大きな政治権力を持つことがあり得る」という、その一点です。
たとえば新聞、テレビの場合は、(昨今でこそSNSに社会的影響力で駆逐されかけているものの)かつては社会に対し絶大な影響力を持っていましたし、メディアが一致団結すれば、あるものをなかったことに、ないものをあったことにできてしまったほどです。
かつては報道機関が選挙結果に影響を与えようとした(あるいは実際に影響を与えた)こともありました。麻生太郎総理が率いる自民党が衆院選で惨敗した2009年の「偏向報道事件」、あるいは1993年のいわゆる「椿事件」などがその典型例でしょう。
少し古い用語を使えば、オールドメディアはまさに「キングメーカー」だったわけです。
そして、こうした「マスコミ支配」とセットで論じなければならないのが官僚機構です。
官僚もやはり、私たち日本国民が直接選んだ者たちではありません。
それなのに、わが国の官僚は実質的に、大変大きな権限を持ってしまっています。
財務官僚「消費税は我々が作った」
わかりやすいのが財務官僚でしょう。繰り返しで恐縮ですが、財務省の平成17年度版の採用情報に掲載された、『一緒にやらないか』と題した記事を確認しておく必要があります。
一緒にやらないか(平成17年度版財務省採用情報)
―――2012年11月3日付 国立国会図書館アーカイブより
これは国家公務員試験受験生を念頭に、当時の現役財務官僚が執筆したものですが、それらのなかでもとりわけ強烈なくだりを抜粋しておくと、こんな具合です(原文ママ)。
「年金問題に見られるように、将来世代の利益が代議制を通じては代表され難いこともある。そこで、我々が客観的な分析に基づいて政策主張し、合意形成に向けて説得に努めなくてはならない場面が多々出てくる。そして、実は多くの場合、その方向で成就する。勿論、消費税のように10年かかることもあるが。」
意訳すれば、「消費税のように説得が難航し10年かかることもあるが、民主主義に任せるのではなく、我々財務省が政策を立案して政治家を説得しなければならないことが多く、実際、我々が主張した政策が実現する」、といったところでしょう。
どうしてここまで傲慢不遜な文章が書けるのか。
財務省はサイフによりこの国を支配している
そのヒントは、財務官僚の絶大な権限にあります。財務省は国のサイフをガッチリと握っているからです。
たとえばサイフの入口といえば国税庁、出口といえば主計局がわかりやすいですし、また、サイフの中身といえば財投特会(円貨資金)や外為特会(外貨資金)などがあります。
- 入口…国税庁(国税調査権)
- 出口…主計局(予算編成権)
- 中身…財投特会(円貨資金)
- 中身…外為特会(外貨資金)
つまり、財務官僚は国家のサイフの入口と出口と中身、さらには国税調査といった絶大な実質的権力を握り、都合の悪い政治家を排除しつつ、自分たちの利権を拡大するための活動を繰り広げてきたのです。
「利権拡大活動」とはもちろん、増税です。
とくに「失われた30年」は、(日銀の金融政策と並び)財務官僚がその実質的権力を悪用し、不必要な増税を繰り返したことが大きな要因のひとつであることは間違いないというのが著者自身の見解ですが、財務官僚がそれを行ってきたのは彼らが実質的に巨大な権力を持っているからにほかなりません。
腐敗権力の崩壊
報道の権力が崩壊し始めた
そして、官僚機構とオールドメディアがどうかかわるのかといえば、ここで出てくるのが「報道の権力」という論点です。
先ほど指摘したとおり、オールドメディアは過去にしばしば、報道の力を使い、選挙に介入してきました。
報道機関の本来の役割とは、有権者が正しく判断できるような情報を提供することにあるはずですが、現実のわが国では報道機関はむしろ率先して不適切な情報を垂れ流し、有権者の選挙権行使を歪めてきたのです。
それが大きく出てきたのが、昨日の『「支持率下げてやる」発言に見る「終わっている業界」』などでも取り上げた、「支持率を下げてやる」発言です。
昨日申し上げた通り、オールドメディア業界が印象操作を通じて支持率にも影響を与えようとしていた証拠という意味において、大変に由々しき問題です。
ただ、ここでもうひとつ述べておきたいのが、そのオールドメディアの社会的影響力が急速に落ちていることです。
考えてみれば、今月の自民党総裁選で高市早苗氏が当選して以降、こうしたオールドメディアの力の急落を痛感するような事件が相次いでいるのです。
それを象徴するのが「馬車馬」と「傷物」、そして「支持率下げてやる」、ではないでしょうか。
馬車馬批判に失敗したメディア
「馬車馬」は、『高市総裁の「馬車馬・WLB」発言を曲解するメディア』でも取り上げた、高市早苗氏が総裁に当選した直後に述べた「馬車馬のように働いてもらう」とする発言に対するオールドメディア側の批判です。メディアによっては、「過労死した遺族を刺激するのか」といった論調に持って行こうとしたケースもあります。
ただ、結論からいえば、このオールドメディアの「火つけ」は失敗しました。
SNSの社会的影響力が強まっているためでしょうか、高市氏の発言の全文がノーカットで一般国民に伝わったからです。高市氏の発言は、こういうものです。
「いま、(自民党議員は)人数少ないですし、もう全員に働いていただきます。馬車馬のように働いていただきます。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて、働いてまいります」。
この発言、高市氏の意図は、「自民党が信頼を回復するためには私たちが働かねばならない」というものであり、高市氏自身が総裁という立場にあることを踏まえ、自分自身がワークライフバランスという言葉を率先して捨てて働くという宣言です。
これを「高市(氏)が国民を馬車馬のように働かせようとした」かのように印象報道しようとしたら大失敗した、というのが実情に近いでしょう。
揚げ足取りが通用しなくなった
同じく、高市氏関連でいえば「傷もの」発言もちょっとした話題となっています。
高市総裁、野党各党に挨拶まわり 萩生田氏を「傷もの」と表現
―――2025/10/08 16:08付 Yahoo!ニュースより【日テレNEWS配信】
高市総裁、萩生田氏を「傷もの」と紹介 野党への就任あいさつで
―――2025年10月8日 20時21分付 朝日新聞デジタル日本語版より
自民・高市早苗総裁、萩生田光一氏を「傷物」と紹介 裏金事件念頭か
―――2025年10月8日 21:20付 日本経済新聞電子版より
すでにかなり多くのメディアが報じている通り、高市氏が総裁に就任した際に野党各党へのあいさつ回りをした際に、萩生田光一幹事長代行を「傷物が一人」などと紹介した、というものです。
正直、これを各社がいっせいに報じる意味がわかりません。
萩生田氏は高市氏が総裁を務める自民党の幹部であり、「身内」です。
その「身内」を自ら卑下する表現を行ったとして、いったい何が問題なのでしょうか?
ただ、この「傷物」報道を巡っても、『Yahoo!ニュース』の読者コメント欄、あるいはXなどのSNS上では、極めて冷ややかな反応が生じているのが現状でしょう。
つまり、マスメディアが「馬車馬」、「傷物」といった高市氏の発言で揚げ足取りをしようと必死になるほど、却ってネット上では冷笑を浴びるようになったのです。
しかも「支持率下げてやる」発言はネットで火が付き、そこからマスメディア業界全体が大炎上している状況です。
本当に、時代は変わったものだと思います。
腐敗権力の一角が崩れた
こうしたなかで、以前の『【総論】腐敗トライアングル崩壊はメディアから始まる』や『【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』などでも預言したとおり、腐敗トライアングル(官僚、メディア、野党議員)の権力構造が制度疲労を起こし、一角が崩れたことは間違いありません。
腐敗権力の一角であるところのオールドメディアの社会的権力が崩壊し始めたからです。
まず崩壊し始めたのはオールドメディアですが、続いて機能不全に陥るのは官僚機構だと予測されます。自分たち守ってくれていたオールドメディアの権威が完全に崩壊し、官僚機構がおかしな政策をゴリ押ししようとしたら、SNSが正論に基づく批判を加えてくるようになったからです。
その意味で、官僚機構はこれからSNSをおそらくは敵視してくるでしょうし、官僚と結託した政治家(自民党左派、特定野党など)もSNS規制論を強めてくるであろうことは、容易に想像がつくところです。もしかしたらSNSの力を弱めるために、外国(中国共産党など)の力を借りようとするかもしれません。
ですが、いったん普及し始めたネットが今後、社会的影響力を強めることはあっても、弱めることはあり得ません。
官僚機構もオールドメディアも、国民の民主的な選挙で選ばれたという正当性を持っていないなかで、SNS規制などおこがましい話です。
そして、自民党の保守派がこのタイミングで左派から主導権を取り戻したのも、奇跡のようなものかもしれません。
しかし、その自民党だって、厚生年金改悪に代表される民意を踏みにじるような政策をゴリ押ししていけば、すぐにでも国民に呆れられ、票の力で叩き潰されることだってあるでしょう。
民意を尊重せよ
いずれにせよ、日本が再生するためには、まずは国民から選ばれてもいない者たちの暴走を止めなければなりません。SNSはすでにマスコミの支配をほぼ終わらせましたが、次は官僚機構の暴走に立ち向かっていくことになるでしょうし、そうしなければなりません。
民意を無視するものは民意により叩き潰されます。
これからの時代、民意に背いた政策をゴリ押ししようとする官僚、報道の力を悪用して民意を捻じ曲げようとするオールドメディアなどは滅び去るしかなく、生き残れるのは民意を尊重する政治家である、と断じておきたいと思う次第です。
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『新聞読者を減らしてやる』
声なき民意は確固たる活動目標へと進化しました。
月に3軒新規解約、景品がしょぼ過ぎるので、箱根駅テレビ中継程度のネタでは理性ある社会人は情報開発大阪社へ個人データをくべる軽率な行動はやらないと思います。
「支持率下げてやる」のオールドメディアについては、制度の見直しが必要です。国民の共有財産である電波の資源配分。電波オークションで最適化をすべきです。また、新聞の再販維持価格も公正取引委員会が取り扱いを見直すべきです。「支持率下げてやる」のオールドメディア群は、公共の利益に反しています。制度の見直しで、日本の社会コストを下げて、経済構造をアップデートしましょう。
オールドメディアより官僚機構は強敵だと思うわ。
そんな事言っても誰もビビらんよ。悪の財務省は民意で叩き潰す。飼い主を忘れた駄犬は始末するしかない。国民を敵に回した財務省は終わりだよ。滑稽なのが愚かな財務省はその事に気づいてもいない事。でも若者は馬鹿じゃない。官僚目指す学生は減った。社会に必要ない物が淘汰されるのは当然。新聞TVと同じだ。
『架空小説 新聞危機 2026』
時は令和8年、日本の新聞産業は消滅の危機に瀕していた。
前年ホットマイク(うっかり発言録音)事件が発生、新聞産業従事者たちの悪意溢れる本音を日本社会が広く認知するにいたり、新聞産業への信頼は霧消し回復不能になっていた。
年間5万円のサブスク商品を、月払い支払いする意味と意義は失われた。殺到する購読解約連絡の対応に追われた販売店は、同業各社と協議して解約事務を一括で対応するコールセンターに外注した。電話応対は業務効率を著しく低下させるためである。
日本新聞協会は時事通信社を除名した。時事通信社から記事を仕入れて自社紙面に掲載していた地方紙は、時事通信社との契約を解除した。紙面が埋まらなくなった地方紙は実力不足を読者に晒し、解約の動きを逆転させることはできなくなった。
一方自社の将来を見限った有能ライター・有能編集者たちは、新聞社を依頼辞職し、ネット産業に活路を見出した。ネットメディアが成長するにつれ、ブログライターやネットチャネル所有者の個人技量だけでは、読者視聴者を退屈させないだけの定期公開インターバルを維持できないことは明白だからである。記事代筆業のデマンドは大きい。稿料を出してくれるお客にいかに効率よくリーチするか。その可能性に注目したネット産業は、仕事を集めてフリーランスライター・フリーランス編集者へ紹介する業種特化型オンラインビジネスサイトを作り上げた。転身を図る元記者や元編集者たちは、先を競ってレジメ(業績公開書)をサイトに入力して、得意分野のライター案件・編集案件が舞い込んで来るのを心待ちにするようになったのである。
(帯紙広告)彼らはどこで間違ったのか。新聞産業滅亡まであと83日。
仮称『ライターズ・ギルド』
仮称『業種特化型フリーランス紹介サイト ... アップワーク (upwork) ライターズ』
- ポートフォリオ(過去記事)公開によるライター筆力の開示
- 明朗会計、ただし単価はスキル見合い
- 編集業務経験者・記者取材経験者大量流出に悩む新聞産業 HR 部門と戦略協定
- 新メディア創立を目指すスタートアップのために戦略的コンサルティングを有償提供
- フリーランス案件仲介とは別に、正社員ポジションを高額紹介「ライターズギルド・エクゼック」ブランドを開始
- youtube チャネル所有者向けに特別価格枠を設定
(あとはテキトーにほら話を膨らませてください)
NHKでかつてやってた「アニメ夜話」ガンダムの回で、『ギレン総帥(主人公の敵方のボス)演説の聴衆の規模が小さくなることで、劣勢になっている表現が上手い(当初はテレビをとおして全人類に対しての演説だったが、最後の演説の聴衆は同じ要塞にいる兵だけ。)というのがありましたが、劣勢ということではオールドメディアや石破もそうですね。というか、公明党離脱騒ぎで、戦後80年石破見解をまともに扱うところはあるのでしょうか。
ある報道関係者たちの会話
「スポンサーを減らしてやる」
「購読者を減らす写真しか撮らねえぞ」
「読者視聴者を操る印象工作など簡単だ」
「いまさら偏向などと言いがかりを付けられる筋合いはない。俺たちは平壌運転だ」
まぁ新聞テレビ見なきゃ
バカなオールドメディアにかかわらなくていい
今まで自分たちが色を付けて売ってた水(記事やニュース)を「きれいな水だからみんな飲め」とされてきたのを「きれいかもしれないけど透明じゃないじゃん!」と反論されるようになったネット時代。
反論されるのが嫌だから新聞もテレビも「ネットの情報は当てにならない」とのたまうが、情報の取捨選択権は末端に移ってることを認めたくないらしい。
色水を売るにしても水と色を分けて送り出すことができたならまた違ったのにね
情報の透明性が確保できて、政治と民意が同じ方向を向けば官僚を統制可能ですな。これからできる高市政権では、民意にそっぽむくと支持を失うという単純なことを浸透させる機会になるとよいと思う。
結果的に高市総裁が誕生して風向きが一気に変わった感があるが、手の届かない自民党総裁選挙という場で小泉氏優勢と言われていた恐怖体験がまだ記憶から消えない。自民党が自滅して終わるだけならまだしも、トランプ大統領とタッグが組める期間は限られ、国際情勢を考えてもこれから数年をどう舵取りするかが大事だった。