新聞、テレビ、雑誌といった大手メディアが信頼を失っているのは、誰もがその気になれば簡単にメディアの報道を検証できるようになったことが大きいでしょう。そういえば、メディア記事は最近、しきりにネットの情報を引用しますが、不思議なことに、「情報源」を示しているメディアが少ない気がします。実際、その気になってネットで実際に調べてみると、思ったほど話題になっていないなどの事実が判明したりすることもあるようです。
ネットで簡単に検証できる時代
人が「長生きして良かった!」、と思う瞬間があるとしたら、それはテクノロジーの進歩を実感するときかもしれません。その「テクノロジーの進歩」は、メディアの報道をも丸裸にしてしまうからです。
これまでに何度となく指摘してきましたが、そもそも当ウェブサイトを開始した目的のひとつには、新聞やテレビを中心とするマスメディアの報道記事に異を唱えるというものが含まれています。
この点、情報を集めるプロ集団であるはずの大手メディアに対し、個人レベルで本当に対抗できるものなのか、ウェブサイトを開始する前、あるいは開始した当初は疑問だったことも事実です。
しかし、蓋を開けてみたら、あっけないほど簡単でした。新聞、テレビ、雑誌といった大手メディアの報道レベルが、私たちが思っていたよりも高くなかったからです。そのからくりは簡単で、社会がネット化したことにより、①情報がフローからストックに変わったこと、そして②誰でも簡単に検索できるようになったことです。
その結果、オールドメディアの権威が崩壊しました。誰もが簡単にオールドメディアの報道を検証できるようになり、かつ、オールドメディアの報道が間違っている(または信頼性が低い)ことが、結構簡単にバレてしまい、証拠付きでSNSなどで拡散されるようになってしまったからです。
高市発言を曲解するメディア
『高市総裁の「馬車馬・WLB」発言を曲解するメディア』でも紹介した、高市早苗・自民党総裁の「馬車馬」発言がその典型例かもしれません。
動画の2:15あたりからに注目すると、高市氏は、こんな趣旨のことを述べていることがわかります。
- いま、(自民党議員は)人数少ないですし、もう全員に働いていただきます
- 馬車馬のように働いていただきます
- 私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます
- 働いて働いて働いて働いて、働いてまいります
- 皆さまにも是非とも、日本のために、また、自民党を立て直すために、
- たくさん、たくさん、皆さんの専門分野でそれぞれのお仕事をしていただけますよう
…。
この発言を見ていただければ、通常の日本語の読解力さえあれば、「ワークライフバランス(WLB)を捨てる」は高市総裁自身に関する発言であり、「馬車馬のように働け」も高市氏が自民党議員らに対して命じたものだとわかるでしょう。
ところが、この発言に対し、少なくないメディアが「国民に馬車馬のごとく働けとは何事だ」、などと批判的に反応したほか、一部政党や団体などが苦言を呈したり、撤回を要求したりしているのです。
共産・志位和夫議長、高市新総裁の「馬車馬」に苦言も…ツッコミ続々 立川志らく「この方には『馬の耳に念仏』」
―――2025/10/06 13:06付 Yahoo!ニュースより【J-CASTニュース配信】
高市氏の「WLB捨てる」発言、過労死弁護団が撤回求めて抗議の声明
―――2025年10月6日 16時50分付 朝日新聞デジタル日本語版より
端的にいえば、これで騙されるほど、日本の一般国民のリテラシーは低くありません。
ただ、メディアの報道も高市氏の本人の発言に関する一次ソース(上記ではYouTubeにアップロードされている動画)を確認すれば誰にでも簡単にウソだと見抜くことができてしまうのです。
新聞によるネットの無断引用の事例も!
これに加えてネットの社会的影響力が高まっているからでしょうか。メディアの記事のなかでXなどSNSのポストを引用するケースは増えています。
『産経の記事が「新宿会計士」のXへのポストを引用か?』でも指摘したとおり、大手メディアの産経新聞が山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士のポストを(出所を示さずに)引用していたことがありました。該当するポストと記事は、次の通りです。
小泉氏、Xのコメント欄閉鎖で「国民の声とともになのか?」 他の総裁選候補者はオープン
―――2025/9/22 18:33付 産経ニュースより
ちなみに産経の記事では、こんな記述があります。
「『なぜリプ欄を閉じているんですか?』『国民の意見を聞くつもりすらないのかな』<略>といったように、X上では、小泉氏の振る舞いに不満を抱く声が多数寄せられている」
…。
産経記事が引用している小泉進次郎氏のXポスト画像は別のものですが、記事に含まれている「ところでなぜリプ欄を閉じてるんですか?」、「国民の意見を聞くつもりすらないのかな?」の部分は、まさにこの自称会計士のポストに含まれていたものと、ほぼ同じです。
念のため、改めて申し上げておきますが、著者自身はべつに著作権をいちいち主張したりしませんし(当ウェブサイトも商業出版目的以外であれば、出所を明示して頂ければ引用も転載も可能です)、また、Xのプラットフォーム上では(Xのルールに従っている限りは)自由に引用も転載も可能です。
ただ、せめて記事で引用する際には、元ポストを明示せずに引用するのは無礼ですし、せめて元ポストを引用した方が、読者には親切ではないでしょうか?
「自民党人事がネットで批判」…本当か?
こうした文脈で本稿で取り上げておきたいのが、これです。
【高市自民】ネット大荒れ「はあ?」「ウソやろw」「絶対ダメ」高市人事で浮上したまさか衝撃名前 朝TVで田崎史郎氏が指摘→夕方本当に報道続々「どこが解党的出直し」「ありえん」「国会追及されそう」
―――2025/10/06 18:52付 Yahoo!ニュースより【デイリースポーツ配信】
記事自体については論評しません。ここで言及したいのが、こんな記述です。
「夕方には、党人事の報道で萩生田氏の名前が次々に報じられ、ネットでも『はぁああああ?!』『え!?まさかの』『国会で追及されそうですね』『どこが解党的出直しなんだか。国民舐めんな!』『絶対にダメ』『ウソやろw』『一連の騒動はもう闇に葬られたのか?』と驚きの声が相次いでいる」。
はて?
著者もネットの世界をよく眺めている人間です。
大変申し訳ないのですが、党役員人事で萩生田光一氏らを含めた名前が報じられる中で、ネットでそのような発言を見た記憶がありません。
そこで、念のため、記事に出てきた7つのワードを調べてみることにしました。
- 「はぁああああ?!」
- 「え!?まさかの」
- 「国会で追及されそうですね」
- 「どこが解党的出直しなんだか。国民舐めんな!」
- 「絶対にダメ」
- 「ウソやろw」
- 「一連の騒動はもう闇に葬られたのか」
具体的にはXの検索機能を使い、「since:2025-10-06 until:2025-10-07」という演算子で調べてみたのですが(調査時点は2025年10月7日)、衝撃的な結果が判明しました。
このうち記事の公表時刻前でポストされていたのが明示的に確認できたのは「どこが解党的出直しなんだか。国民舐めんな!」と「絶対にダメ」と「一連の騒動はもう闇に葬られたのか」の3つだけで、しかもどれもネットで大騒ぎになっているという形跡はありません。
どれも「いいね」がほとんどついておらず、リポストすらほとんどないからです。それ以外の4つのキーワードは、いずれもこの記事につながっているか、まったく関係ない話題に言及したものであるかのいずれかでした(Xの検索機能が完璧なものではないという点には注意が必要ですが…)。
そんな影響力のないポストをネットの代表的な声であるかのごとく紹介するのはいかがなものでしょうか?
いずれにせよ、ネットの影響力が高まっていることは事実ですが、それはネットに特別な情報があるからではなく、これまでメディアに独占されていた情報がネットのおかげで一般人にも簡単にアクセスできるようになり、情報の検証が容易になったからではないかと思う次第です。
追記:「支持率下げてやる」
さて、本稿は以上で締めようと思っていたのですが、ここでもうひとつだけ、読者の皆さま方に報告しておきたい話題があります。今朝がたからXなどで大騒ぎになっているのが、おそらくマスコミ記者によると思われる、「(高市氏の)支持率(を)下げてやる」、などとする発言です。
これは10月7日に(おそらくは自民党本部で)行われた高市早苗自民党総裁の記者会見で、高市氏が部屋から出てくるのを待っている間に、記者らが雑談している音声が拾われてしまった、というもので、そのなかに次のようなものがあった、というのです。
「支持率下げてやる」
「支持率下げるような写真しか出さねえぞ」
「裏金と靖国なんでしょ」
「麻生さんからイヤフォンで指示聞いたりして」
…。
現時点ではこれがどこの記者の発言なのかはよくわかりませんし、ネットで拡散しているショート動画の切り抜きのもととなったであろうライブ中継動画については現時点では該当するシーンが削除されているようであり、残念ながら公式動画などでオリジナル音声を確認することは難しいのが実情です。
ただ、これが事実だとしたら、やはり由々しき問題です。
報道に携わる人たちが、「支持率を下げるように報道してやる」と宣言しているようなものだからです。
なにより、その場にいたであろう他社の記者がこの「支持率下げてやる」の発言者に注意をしたり、戒めるかのごとく他社がその事実を報じたりしていない時点で、記者クラブという「仲間内」でお互いを絶対に批判しないという業界の腐敗ぶりが見える気がします。
いずれにせよ、高市早苗総裁は(間接的には)民意を反映して選ばれた総裁であり、これに対してメディア記者らは民意で選ばれた存在ではありません。
SNSという民意が直接的に反映される時代に、民意という後ろ盾のない者たち(メディア関係者や官僚など)が跳梁跋扈することは許されないでしょうし、これからは「高市早苗対メディア」ではなく、「国民対メディア」の時代に突入していくことは間違いないといえるでしょう。
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1.社会の分断
新聞 TV の報じることに同意しない読者視聴者が増加するのを快く思わない勢力が使う業界用語
2.ポピュリズムとの闘い
戦う相手を見間違ったドン・キホーテ行動全般を指す業界用語
メディアはバカ
間違ったことしか言わない
言うまでもなくネット言論界は玉石混淆。
色んな意見があります。
ってことは、マスコミメディアが広めたい声を見つける事もできましょうし、それどころか、引用元を明示しないのであれば、小泉陣営のように自身がネットに発した意見を載せた上でそれを引用する手段だけでなく、引用元の調査や疑似要項すらしない全くの捏造すら可能でしょう。
従って、引用元を明示する。
これは最低限必要な引用モラルです。
それが励行できないマスコミメディアは全く信頼に値しません。
ま、SNSは信頼できないとか言っているので禁じ手ぐらいやってても不思議は無いと思っています。
誤字修正
誤:疑似要項
正::疑似投稿
>【高市自民】ネット大荒れ「はあ?」「ウソやろw」「絶対ダメ」高市人事で浮上したまさか衝撃名前
これをオールドメディア上で報じて、真に受ける人がいたとしたらネットを使わない人でしょうし、ネットで裏取りする人はすぐにウソだとわかるし、(左巻きの)信じたい人はもちろん信じるだろうから放置でよくて。
捏造報道で信頼が失われるかと言えば、既に失われているし。
こんな報道しても、大勢に影響がないですよね。
> 「支持率下げてやる」
これ、椿事件の再来じゃないですかね。悪意をもって特定の方向に世論を誘導しようとするあたり。そのくらい事態は深刻だと思う。
プロパガンダ機関やねえ。
あ、オールドメディアが、ですよ。
支持率下げてやる動画
確認しました。
さすがに独り言とは思えないので、
同僚記者、或いは顔馴染みの同業他社記者に対して発した受け狙いの「冗談」なのでしょう。
自分がみたのは第三者の動画、すなわち魚拓です。
大元が閉じても最早手遅れ。
切り取り報道、曲解報道が大好きなマスコミメディアさんなのですから、同じ目にあって益々衰退してくださること期待しております。
>「支持率下げてやる」
>「支持率下げるような写真しか出さねえぞ」
これは報道に携わるものとして冗談でも口にしてはいけない言葉でしょう。
高市氏が総務大臣時の答弁で、民主党政権時における平岡秀夫総務副大臣の「放送事業者が番組準則に違反した場合、総務相は業務停止命令、運用停止命令を行うことができる」との答弁を踏襲した格好で放送法違反を理由に電波停止(停波)を命じる可能性があるとの答弁に対して総務大臣の発言として問題だ~と気が狂ったように抗議したのは一体何なんでしょうね?
オールドメディアは過去に無断引用どころか、ネット画像の捏造までやってましたからね。バレた時の言い訳が「あれはイメージです」いかにも「マスゴミ」らしい、白々しい言い訳でした。
産経が報じています。
・「支持率下げてやる」報道陣の一部の声が生配信で拡散か、自民・高市早苗総裁の取材待機中
・「高市さんに対し理不尽な攻撃続く」保守党・北村氏、「支持率下げてやる」動画の声を批判
部長更迭、担当取締役懲戒まで発展するか。