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小泉陣営に「ステマ報道」も…肝心の効果のほどは不明

文春による「ステマ疑惑」を、小泉陣営が認めたようです。現在行われている自民党総裁選を巡って週刊文春が報じた「小泉陣営におけるネット書き込み依頼メール」に関連し、小泉陣営で事務局長代理を務める小林史明衆議院議員が事実関係を大筋で認めたと報じられています。小泉氏自身が「なまごえ」などと言いながらXでリプ欄を閉鎖していたことを思い出しておくと、これはなかなかに驚く話です。

文春報道で浮上…小泉陣営「ステマ疑惑」

この話題、取り上げるべきかどうか少し悩んだのですが、やはり「取り上げることの公益性」が極めて高いため、言及することにしたいと思います。

現在行われている自民党総裁選を巡り、週刊文春が24日、こんな記事を配信しました。

【証拠メール入手】小泉進次郎「卑劣ステマ」を暴く!|自民総裁選 茶番劇の舞台裏

「石破さんを説得できたのスゴい」「泥臭い仕事もこなして一皮むけたのね」―― 選対幹部から進次郎動画にヤラセ書き込みの指示が出た。“例文集”には歯の浮くような文言や、他候補への誹謗中傷が24パターンも…。<<続きを読む>>
―――2025/09/24付 週刊文春より

文春の報道を要約すると、小泉進次郎氏の陣営で「総務・広報」などを担当している牧島かれん氏の事務所がネット配信動画に小泉氏を称賛するコメントを投稿するように要請するメールを陣営関係者に送っていたことが明らかになった、というものです。

ちなみにそのメールの文例が24個ほどあるのだそうですが、なかにはこんなものが含まれていたそうです。

  • 総裁まちがいなし
  • 泥臭い仕事もこなして一皮むけたのね
  • あの石破さんを説得できたのスゴい
  • ビジネスエセ保守に負けるな

…。

最後の「ビジネスエセ保守」とは、もしかして、他の有力候補者を侮辱するものでしょうか?

小林史明氏が事実関係を認める=複数報道

いずれにせよ、普段、当ウェブサイトではこの手の憶測めいた記事(しかも現在進行中の選挙に関する実名入りのもの)を取り上げることは滅多にありません。

ただ、本件について、当ウェブサイトとしては異例にも敢えて取り上げる理由は、この文春記事を陣営側が昨日までに事実関係を大筋で認めたと報じられているからです。

小泉氏陣営、称賛投稿を要請 文春報道、事実関係認める

―――2025年09月25日 20時38分付 共同通信より

小泉進次郎氏陣営が「ステマ要請」 文春報道の事実関係認める「ルール守る方針共有」

―――2025/09/25 20:52付 産経ニュースより

小泉陣営、配信動画に「やらせコメント」要請 週刊誌報道に事実認める

―――2025/09/25 18:11付 毎日新聞デジタルより

複数メディアによると陣営で事務局長代理を務める小林史明衆院議員が25日、この文春報道を巡って国会内で記者団に対し、「事実関係をおおむね認めた」のだそうです。よって、おそらくは牧島氏の事務所が陣営関係者に対し、上記のような趣旨のメールを送ったことは、ほぼ間違いない話でしょう。

俄かには信じがたい話です。ネット上のステルス・マーケティング、あるいは小泉氏に支持が集まっているかのごとく偽装するコメントは、ちょっとネットを舐めているとしか思えません。

狙ってバスを起こすのは非常に大変

この点、『産経の記事が「新宿会計士」のXへのポストを引用か?』でも取り上げたとおり、自民党選管としては、総裁選候補者を誹謗中傷するSNS上の情報発信等について法的措置を講じるとうかがわせるなど、最近、自民党からはSNS規制をにおわせるような動きも出ています。

オールドメディアの偏向報道・誤報・捏造報道にろくに法的措置を講じてこなかった自民党がSNS「だけ」を目の敵にするのも呆れますが、それだけではありません。まさか、自民党内で世論を操作するかのような動きがなされていたことには、新鮮な衝撃すら覚えます。

自民党選管はむしろ、速やかに事実関係を調べたうえで、『総裁公選規程』第12条第3項などの規定に従い、党紀委員会の審議を検討するのがスジではないでしょうか。

自由民主党 総裁公選規程 第12条(選挙運動等)

総裁選挙における選挙運動は、党本部管理委員会の定めるところによりこれを行うものとし、それ以外の選挙運動は、何人もこれを行ってはならない。

2 何人も、選挙の清潔、明朗及び公正を害する行為を行ってはならない。

3 選挙期間内において党の名誉を著しく損ねる行為が認められる場合は、党本部管理委員会は党紀委員会の審議の対象として要請することができる。

もっとも、今回の小泉陣営の「ステマメール」事件、少し冷静になって考えてみるとわかりますが、正直、あまり意味がありません。

実際のところ、SNSなどでバズを起こすのはたいていの場合、そのポストを見た人たちが共感してリポストするなど、「共感が共感を呼ぶとき」です。狙ってバズを起こすのは非常に大変です。

山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士でいえば、ポストに千件を超える「いいね」をいただくような「バズ」は1日に数件くらいしかありませんが、これらのポスト、自分で読み返しても、「何でこれがバズを起こしたんだろう?」と疑問です。

ステマが事実だったとして、効果を上げているようにも見えない

SNSを通じた情報発信は、並みに乗ればそこそこウケるものの、いつもうまく行くわけではありません。

したがって、ステルスマーケティング的に自陣営の候補者を褒めたり、対立陣営の候補者を貶めたりするコメントを実際に書き込んだとして、それになにか意味があるというものでもないでしょう。

実際のところ、あくまでもSNS上「だけ」で判断する限り、今回の疑惑が報じられた小泉氏が「いいね」の数で他の候補を圧倒しているようには見えません。

自民党の選択を国民は注視している

というよりも、『産経の記事が「新宿会計士」のXへのポストを引用か?』でも取り上げたとおり、産経が報じた山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士の「国民の声を聴くと言いながらリプ欄を閉鎖している」という指摘でもわかるとおり、むしろSNSの使い方が、あまり上手ではないようにも見受けられるのです。

もちろん、今回の選挙は自民党の党内のものであり、自民党の党員でない人が参加できるものではありませんが、それでも少なくともXのタイムラインに流れてくる情報だけで判断する限りは、陣営によるステルス・マーケティングの効果が上がっているようには見えません。

それでも自民党がSNSなどで形成される民意と無関係に総裁を選ぶことを選ぶならば、それは自民党の自由です。しかし、自民党が国民の望まない総裁を選ぶようであれば、それが自民党の終焉となります(『自民が再び「禁忌肢」選べば「自民党最後の首相」に?』等参照)。

いずれにせよ、『国民が忘れてくれない時代に自民は誰を総裁選ぶのか』でも指摘したとおり、少なくない国民は今回の自民党総裁選をしっかりと見ていることだけは間違いないといえるでしょう。

新宿会計士:

View Comments (31)

  • SNS活用に長けた共産党や立憲民主党陣営にとっては、この辺の運用はお手のものでしょう。
    マスコミメディアも目をつぶったままでしょうし。
    いくらそれが羨ましいからって、真似はいただけませんねぇ。
    ダメダメ、絶対。って聞いたこと無いのでしょうか。

  • 小泉陣営がステマを認めた以上、オールドメディアは一斉に、このステマを報道するのでしょうか。もっとも、女子アナのステマがあるテレビ局としては「ステマの何が問題なのだ」と言い出すかもしれませんが。
    蛇足ですが、
    >https://www.sankei.com/article/20250926-VO4M765N6VCWHJ3RXPP2QHODYY/?utm_source=coins&utm_medium=push&utm_campaign=COINs
    「シャインマスカットのNZ生産検討で、山梨県は小泉農相に抗議」も大きいかもしれません。

    • 小林陣営、茂木陣営、林陣営、もちろん高市陣営が、小泉陣営を叩きにかかることもあるのでは。

  • 経済界に緊急宣言ブーム。SNS 投稿でトレンド広がる。

    「わたしはビジネスエセ保守でーす」
    「わたしもビジネスエセ保守でーす」
    「わしもエセやで」

    などという幻覚を見ました。

    • テレビ局が若者の視聴率をとるために、ビジネスエセ保守を宣言することもあるのでは。

  • (本当に)効果が無かったのであれば幸いですが、だからと言って、この件は到底許されないと私なんかは思います。ちょうど自民党が、SNSの中傷や偽情報に対し、法的措置をチラつかせている最中、本当に信じられないです。

    何が許せないって、正々堂々と勝負しないこともさることながら、一国の首相になろうという人がこういう姑息な真似をして世論を誘導しようとすることが許せないです。彼は世論の支持を得たいのならば、政策で訴えるべきでした。

    こういう人間は、一事が万事、総理になっても世論を操作しようとしますよ。気に入らない情報を握りつぶして、自分たちの有利な情報だけ拡散していく。そしてあたかも支持があるように装っていく。これこそ独裁政権の第一歩と言っていいと思います。

    今回は幸いな事に発覚しましたが、彼は総理にしてはいけない人間だという事を確信しました。

    • 党として、関係者処分に踏み切らないといけない展開だと思います。

      • 指示した本人を雲隠れさせるような小泉陣営が総理になったら、本当に自民党は終わりでしょうね。
        まあ当事者の選択ならそれでもいいかくらい達観して来ました。

    • レスありがとうございます。

      >党として、関係者処分に踏み切らないといけない展開
      一番いいのは、進次郎が関係者を処分した上、総裁選を辞退すること。
      それができないのであれば、党として処分と言う形かなぁ。

      > 指示した本人を雲隠れさせるような小泉陣営が総理になったら
      「事務所が勝手にやった」事にして、責任逃れに走ってますね。
      そんな事、責任者として通用するはずもないですが、100歩譲って本当に知らなかったとしても、責任は免れないと思います。
      こういう他責の人って、仮に総理になって問題があったとしても、自身で責任を取らないという事でしょう。第二の石破になりそう。

      オールドメディアは、これをどう報道するんでしょう。うやむやにするのかな。
      あとは、自民党員と他の自民党議員がこの件をどのように受け止めて投票するか、注意深く見守るだけです。

    • 党員投票はかなりの数が郵送済みなので、今を凌いで逃げ切ったら総裁の目もあると判断した、ということらしいです。

      次の攻防は、総裁選立候補辞退、活動封鎖、蟄居。
      推薦人20名は浪人に(林陣営に合流か)

      陣営選対本部に命中した隕石はマイクロバスサイズだったかも知れないけれど、牛乳カップに落ちた一滴のしずくが見事な王冠模様と波紋を作るように、今目の当たりにしているものは、現在進行形の「恐竜大絶滅」ドラマのようなものかも知れない。
      同じ顔が何度も街頭インタビューに出て来る TV 放送局とか、ネット工作には余念のない野党とか、自民党中央もろとも目の眩むハレーションと大転覆を起こす可能性は高いです。

  • 小泉氏にコンビニバイトを1週間やらせてみたい
    無事に勤まるだろうか

  • ビジネスエセ保守ってなんだろう?
    「頭痛が痛い」とか「一番最初」みたいなもんかな?

    • 「謎の匿名投稿指示24例に含まれていたビジネスエセ保守の意味に注目が集まっているところです。
      「そこで本日は街頭インタビューのためここシブヤに立っております。
      「ビジネスエセ保守とはどうゆう意味か、どんなイメージがあるか、コメントなどありましたら、どうぞ(マイクを向ける)
      回答A「指示しているものはよく分かんないですが、イメージで言うと、響きがかっこいいですよね。党員資格はないですが投票したいです」
      回答B「経済人を侮辱する発言で看過ならないです」
      回答C「意味不明。誰のおかげで当選できているんだ、有権者を馬鹿にしていると思います」

      こんな幻覚を得ました。

  • 参院選総括で「ネットの発信を強化する」としていた自民党の強化策がこれなのか?
    と揶揄されても仕方がないっすね。牧島氏って元デジタル相、党サイバーセキュリティーPT座長です。絵に描いたような・・・ なんか、デジタル相って変な人多いですね。
    選管は去年もパンフ配っただけで注意とかしていたくらいですから、不問に付しちゃだめなんじゃないの?

    そもそも陣営はビジネスエセ保守が高市氏を指すものではないと言ってますし、おそらく高市陣営も不問に付すと思いますんでこれで終わりとも思いますが・・・
    「高市早苗はビジネスエセ保守」が「真か偽か」なんてくだらない議論で戦うところを見て見たい気もします。

  • まあ、ステマだらけのSNSですからね、ご指摘の通り普通に効果薄い様な気もするしバズるにしても元々が小泉さん支持の人達だろうし。
    こちらのサイトを観る人達は政治感覚もしっかりしてますから冷ややかに感じてるとは思います。
    なんか、選挙で負けた総括も適当だし自民党は終わっちゃいますね、

    • 石破首相自体が、不記載が敗因だと未だに思っている節がありますんで。

  • ステマなら謝罪で済まされるかもしれないが
    誹謗中傷だとレベルが上がります。
    日頃不記載を裏金と呼ぶようにネガティブなイメージの言葉に置き換えるマスコミがステマに矮小化するのは信じろーだから?

  • 解雇規制緩和の発言もそうだったのですが、自分の行為の効果がどうなるのか、ステマの場合も簡単に想像できると思うのですが。この人は、総理大臣就任禁止にしたいですね。これは話にならない、ダメだね。

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