最近、SNSで拡散した動画のなかに、新宿の大ガード付近で電動アシスト自転車ないしモペッドとみられるモビリティが信号を無視して交差点に進入し、自動車と衝突するというものがありました。この事例でも目立つのは、電動自転車やモペッド、電動キックボードといったモビリティを利用する者たちの道路交通法規の欠如です。違法なドライバーを道路から追放するために、適正な規制・取締の強化が必要です。
目次
マトモな免許所持者なら乗りたくないのでは?
当ウェブサイトで以前からしばしば取り上げている話題のひとつに、電動キックボードやモペッドといった「新たな乗り物」に関するものがあります。
今まであまりハッキリとは申し上げたくなかったのですが、もうこの際だから言い切ってしまいます。電動キックボードやモペッド、そのままだと極めて危険な乗り物であり、適正な規制または取締の強化が必要です。
もう少し正確にいえば、これらのモビリティ、「まともに運転免許を持っているドライバー」であれば、おそらくあまり乗りたがらないのではないでしょうか。
この点、著者自身は普通運転免許を取得するまえに原動機付自転車(排気量50㏄以下のバイク)の免許を取得したクチですし、都市住民でもあり、普段から自転車を利用している人間のひとりでもありますので、二輪の乗り物自体への抵抗感は、あまりありません。
(ちなみに著者自身は自転車を運転する際にもヘルメットを着用していたりしますし、クソ真面目に信号を守っていますし、歩道を通行する際には走行せず、自転車を押して歩いたりしています。)
目に余る危険運転
ただ、「運転免許持ちの自転車ライダー」という立場からすれば、最近の電動キックボードやモペッド、あるいは電動アシスト付自転車などの危険運転は、目に余るものがあります。
一方通行の逆走、左側車線の逆走、歩道の高速走行はもちろんのこと、最近だと「ながらスマホ運転」や信号無視、強引な右折なども頻繁に見かけます。
先日、近所のとある幹線道路で若いお母さんが幼い子供の手を引いて交差点を渡り始めようとしていた矢先、信号無視の自転車が(見た目)時速20㎞前後の高速で交差点を横切ったことがありました(運転していたのは若い女でした)。
幸い歩行者は無事でしたが、時速20㎞近くで間違って子供にぶつかりでもしたら、子供が跳ね飛ばされるかもしれませんし、打ち所が悪ければ大けがをする可能性もありますし、(あまり考えたくありませんが)最悪の場合には命を失ったりするかもしれません。
また、これも電動アシスト自転車だから時速20㎞程度で済んだという言い方もできますが、これがもし「モペッド」であれば、時速30~40㎞、あるいはそれ以上の速度が出るものもあるため、回避できずにぶつかっていた可能性が高そうです。
無謀な運転をしていたバカ者が前科者になる分には自業自得であり、勝手にすれば良い話ですが、未来あるお子さんなど、交通弱者を事故に巻き込むことは、絶対に勘弁していただきたいところです。
キックボードは免許不要だが…
ただ、当ウェブサイトでは最近、ときどき述べている内容ですが、そもそも論として道路交通法が交通の実情に合致していない、という問題点については指摘しておく必要があるでしょう。
改めて整理しておくと、現在、東京都心部などでよく見かける、「電動キックボード」と俗称される奇妙な乗り物、最高速度が時速20㎞しか出ないなどの要件に適合することで、法的には「特定小型原動機付自転車」の条件を満たし、運転免許なしで乗ることができます。
また、最高速度が時速6㎞のものは「特例特定小型原動機付自転車」と呼ばれ、「普通自転車等及び歩行者等専用」という標識のある歩道を走ることができます(最高速度を20㎞モードと6㎞モードに切り替える機能がついている電動キックボードは、6㎞のときに歩道走行が可能です)。
ただし、ここでのポイントは、「普通自転車等及び歩行者等専用」という標識がある歩道、という要件です。
最近、東京の街中で歩道を電動キックボードで走っている者がいますが、その歩道が自転車走行可能であるとは限りません。もし歩行者専用の道路であれば、基本的には電動キックボードで走ることはできません(同じことは自転車にも言えますが…)。
次に、自転車のなかでもとくに速度が出る電動アシスト自転車は、時速24㎞未満でなければアシスト機能が働かないなどの要件を満たすことが必要であり、それ以上の速度でもアシスト機能が働くものは「原動機付自転車」に分類されます。
特に最近多いのがモペッドと呼ばれる高速走行可能な自転車で、車と同じような速度で車道を悠然と走っていくモペッドを見かけることも増えています。
このモペッドは、法的には原動機付自転車であるため、運転免許証を所持したうえでヘルメットも着装しなければならず、さらにモペッド本体に、ナンバープレートを取り付けなければなりません。
それなのに、現実に街で見かけるモペッドの多くはナンバープレートが付いておらず、また、モペッドに乗っている者(たいていは若い男性です)はノーヘルであり、逆走、歩道走行、信号無視、ながらスマホ、明らかな速度超過などが横行しています。
著者自身が調べたわけではありませんが、想像するに、無免許運転もかなり多いのではないでしょうか?
新たなモビリティの横行による危険な事故
以上、モビリティごとの免許の要否などをまとめると、図表のような具合です。
図表 モビリティの免許の要否など
| 区分 | 免許 | 歩道走行 |
| 自転車 | 不要 | 条件付き可能 |
| 電動アシスト自転車 | 不要 | 条件付き可能 |
| 電動キックボード(6㎞) | 不要 | 条件付き可能 |
| 電動キックボード(20㎞) | 不要 | 禁止 |
| モペッド(原動機付自転車) | 必要 | 禁止 |
(【出所】当ウェブサイト調べ)
さて、なぜこんなことを述べたのかといえば、最近、新たなモビリティの危険運転がとくに目立っているからです。
Xなどインターネットを普段からよく利用する人ならば、最近のこんな事例をどこかで見かけたことがあるかもしれません。
これはXに投稿されていた動画で、もともとは今年8月8日午前8時45分ごろのライブカメラ映像だそうですが、すでに信号が赤に変わっているのに交差点に進入したモビリティ(動画だと小さいので電動アシスト自転車なのか電動キックボードなのかがは判然としません)が自動車とぶつかるシーンです。
ちなみに動画の続きをした人の情報によると、モビリティを跳ね飛ばした自動車は、その後、交差点から自動車を移動させ、負傷者の救助に当たったとのことですが、いずれにせよ自動車にとっては大変な迷惑です。
モペッドか電動自転車かで過失割合が変わる
これに関し、ちょっと気になる記事が出ていました。
「これでも“車のせい”になるの?」“モペット”が赤信号無視、車と衝突…ドライバーに「過失」問われる可能性は【弁護士解説】
―――2025/08/25 10:44付 Yahoo!ニュースより【弁護士JPニュース配信】
『弁護士JPニュース』というサイトが配信した記事ですが、まさにこの動画を題材にしたもので、両者の過失割合を弁護士に聞く、というものです(記事タイトルにもある通り、モペッドを「モペット」と表記していますが、以下、引用するに当たってはこれを「モペッド」に修正しています)。
動画だと信号無視した側がモペッドなのか、「電動自転車」(※電動アシスト自転車のことでしょうか?)なのかについては「判別がつかなかった」としており、どちらにどれだけの過失割合があるかを、モペッドの場合と自転車の場合に分けて考察しています。
自然に考えたら、信号無視したのはモビリティの側であり、自動車に過失はゼロ%ではないかと思えてなりません。
ただ、結論からいえば、相手がモペッドの場合は「バイク事故」の基準に準じ、モペッドが100%、自動車側が0%となる一方、相手が「電動自転車」だった場合は、過失割合は80%対20%程度となり、自動車の側も責任を負わされるのだとか。
これはあくまでも「現在の法令や判例に照らすとそうなる」、という議論でしょうが、やはりおかしな話です。
信号を無視して交差点に進入してきたという点は同じである以上、これで信号を守って運転していた側である自動車に責任を負わせるというのは、理屈に合いません。
そもそも論として、自転車や電動キックボードのように、それなりの速度が出るにもかかわらず、運転免許なしに乗れるモビリティそのものも問題ですが、歩行者よりもスピードが出る分、衝突したら相手に大きな怪我を負わせることもあり得ます。
上述の通り、私たちが最近、街中を歩いていると、なにかと冷や冷やする機会が増えています。
電動アシスト付き自転車を筆頭に、ひと昔前と比べて速度性能が飛躍的に向上した自転車。
運転免許なしで乗れる電動キックボード。
自転車のような外観でありながら電動モーターを搭載した「モペッド」。
危険極まりない乗り物です。
規制の強化・厳格化
ここから先は憶測も交えますが、たとえば最近流行のフード・デリバリー系の自転車の場合、時間内に配達しないとペナルティがあるのか、自転車で高速で突っ込んでくる傾向があります(無謀運転で通行人にぶつかりそうになり、悪態をついて去っていくのはだいたいフードデリバリー系の若い男です)。
また、車道を走行していて堂々と赤信号を無視していく自転車やモペッドなどの場合は、単純に、「赤信号では自転車だろうがなんだろうが、停まらないといけない」という事実を知らないのかもしれません(興味深いことに、赤信号を無視しているのは中高年の男が多いようです)。
さらに、自転車や電動キックボードで道路を逆走している者たちのなかには、その場に居合わせた警察官から「逆走ですよ!」と指摘されても、「何が問題なの?」といった雰囲気で開き直っているケースもあるようです(こちらは若い女が多い気がします)。
ただ、総じていえるのは、道路交通法に対する知識の根本的な欠如です。
とりわけ3つのモビリティ(電動アシスト自転車、電動キックボード、モペッド)のうち、最初の2つについては、基本的に運転免許なしで乗ることができます。また、ヘルメットの着用は努力義務とされ、ノーヘルで運転していても道交法違反として摘発されることはありません。
さらにいえば、これらのモビリティの中には運転者が最低限の道交法知識すら持ち合わせていないケースも多いと考えられます。初歩的な違反(例:赤信号無視、逆走)や危険・無謀な運転(歩道の高速走行など)が横行しているのはその証左でしょう。
もっといえば、モペッドに関しては、一定以上の出力を持つものに関しては、法的には「自転車」ではなく「原付」です。よって、これを無免許・ノーヘルで運転するのは、れっきとした違法行為です(当然、ナンバープレートの取り付けも必要です)。
なのに、残念ながらこのモペッドを使い、ノーヘル・ナンバープレートなしに、公道を堂々と運転している者は後を絶ちません(想像するに、これらの者のなかには、そもそも無免許でこうしたモペッドを所有している者もいるのではないでしょうか)。
正直、発見次第片っ端から摘発する以外に方法はないと個人的には思ってしまうのですが、残念ながら、警察当局が普段から積極的にこれらの違法(の可能性が高い)モビリティを取り締まっている様子は見られません。
いずれにせよ、電動アシスト付自転車、電動キックボード、モペッドといった乗り物を見ると、やはり歩行者の立場としては警戒せざるを得ないのです。
安全講習受講修了証制度は?
いずれにせよ、著者自身がかなり以前からときどき提唱してきた、「安全講習受講修了証」のような考え方を、そろそろ本気で検討してほしいところです。
この「安全講習受講修了証」とは、警察官が警察署で、あるいは小・中・高等学校などに赴き、道路交通法規の基本的な内容を講習し、その講習会を終了した人に「受講修了証」を手渡す(またはその情報をマイナンバーカードに書き込む)ことで、運転免許に代えるというシステムです。
ただし、運転免許証と異なり、この「受講修了証」は、例えば16歳以上であれば、簡単な講習さえ受講すれば誰でも無料で交付される、という制度にすべきでしょう。その目的は「運転免許証を持っていない人にも道路交通法規を周知する」ことにあるからです。
そして、電動キックボードや電動アシスト付自転車は、最低でも運転免許証かこの「受講修了証」がなければ運転できない仕組みにしたうえで、交通違反の回数や程度に応じて修了証を無効化するなどの行政罰を導入することで、危険運転を排除する、という仕組みはいかがでしょうか。
なお、モペッドに関していえば、現状でもすでに運転免許証という制度があるわけですから、いちど警察当局が道路上で徹底的な取り締まりを行い、無免許運転のモペッドについては片っ端から摘発し、現行犯逮捕していくべきです。
道路交通の安全という観点からは、警察当局の本気度が試されていることは間違いないといえるでしょう。
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1 2 次へ »モペッドが無免許でも構わないのであれば、原付二種(軽二輪車)だって普通自動車免許に付随する原付免許で乗れるようにしなければおかしい。
危険な人は歩いているだけで迷惑なので…
外出免許制度とか必要かも知れませんね。
交通法規を知らないとしても、安全を確保することと、他人を不快にさせないことを念頭に置いて運転すればこんなことにはならんだろうというのは多い。
自分の世界に没入してしまうスマホなどが普及するとともに現実世界を見ない行動に慣れて危険なことに鈍感になってきてないか?
自動車の運転はほんと気を付けないと怖い。
近頃「えぇ?」と思ったのはエスカレータを降りてすぐ立ち止まってスマホを見る人がいること。少しだけ歩いてから止まる人も含めると割と遭遇する。どう考えても危ないのに、そういう意識はないんだろう。
どんだけ周りが見えてないのかと思うが、危険運転と同じ雰囲気を感じる。
結局、危険を実感できない人が危険を伴う乗り物に乗ってはいけない、ということになるんだよなぁ。
そもそも無免許で保険加入が義務ではないのが、問題だと思う。
自転車でさえ損害賠償保険が(ほぼ)義務なのに。
それに、利用者が無免許であるならば、道交法の知識は「常識」程度。
だから、LUUPが目の敵にされるのは、おかしくはないと思う。
【追伸】
LUUPで、自転車並みに、一方通行を逆走する輩を何度も見かけています。
これって、許されるのか?
一部の政党、政治家、某国の利権のために、徹底的に犠牲にされる日本人の安全!
モペッドとかいう言葉で浸透させた時点で詰んでる
原動機付き自転車で普及すれば免許が必要ってアホでも察したのでは?
こういう輩が事故起こし、損害賠償裁判になったら、「未保険だから」、「電動自転車だから」、「幼児がやったことだから」と、甘い判決を出すことは 危険運転を助長することになる。人生が破滅するほどの賠償金を課すべきです。
もう割れ窓理論を 無視していることで、外国人犯罪大発生してます。捕まっても、不起訴連発、お咎めなしです。
やったもん勝ちにしているのは 検察、裁判官です。
自転車で被害者死亡事故または再起不能事故を起こした場合、加害者が高校生であっても損害賠償額は「1億円」が通り相場らしい。
こういう輩が民事訴訟で訴えられたら、家族もろとも追い込れてしまいます。「たられば」では、人生戻らない。
バスやトラックの脇を 国際免許でちょろちょろ走り回る マリカー。死角に入りっぱなしで迷惑極まりない。
道交法改正して 公道を走れなくしてほしい。
いつも楽しみに拝読しております。
今日も地元の狭い駅前商店街の道で、背後から凄いスピードですり抜けた電動キックボードに肝を冷やしました。
電動キックボードの拠点は、なぜか駅前の一番便利な場所にあります。電動キックボードの運営会社が、鉄道会社や金融機関から出資を受けており、新規上場してキャピタルゲインを与える関係になっているようです。いくらキャピタルゲインが見込めるのか分かりませんが、こんな危ないものの拡大に加担するのは反社会的とさえ思ってしまいます。東証が上場を承認したら確実に炎上しそうですね。
ケーサツ手ェ抜き過ぎ
無登録のモペッドなんてほぼ確実に自賠責保険も掛けてないンやから走ってたらほぼ確実に『無保険車運行』で6点、前歴無しでも一発免停やし、運転免許無い運転者やったら『無免許運転』で検挙でけるのに、警察スルーし過ぎヨ
書類仕事厭い過ぎやワ