自民党の青山繁晴参議院議員は先月、自身のブログで有権者が自民党に「憎悪」の気持ちを抱いていると指摘しました。宮沢洋一税調会長を筆頭に、自民党内の「減税を叩き潰す勢力」の存在が、旧態依然とした自民党、あるいはその後ろに控える財務省に対する憎悪を集める「アイコン」あるいは「ネットミーム」としてSNSで広がってしまうと、自民党にとっては取り返しがつかないことになりかねません。
目次
責任を取らない石破首相と石破応援団のオールドメディア
先月の参議院議員通常選挙では、自民党は獲得議席数が39議席にとどまり、8議席だった公明党と合わせても47議席に留まりました。
昨年秋の衆院選に続き、参議院側でも自公は過半数を割り込んだ格好です。
これについては『居座る石破氏を臨時総裁選で降ろさないと自民は終わる』を含め、当ウェブサイトでは何度となく指摘してきたとおり、石破茂首相(=自民党総裁)が責任を取らずに居座っているのですが、ここまで来たら自民党としてはもう強制的に引きずり降ろすより方法はありません。
ただ、昨日の『石破問題はオールドメディア問題』などでも指摘したとおり、現在、新聞、テレビを中心とするオールドメディアが最大の「石破応援団」と化しているフシがあり、最近だと「世論は石破首相の続投を支持している」などとする調査結果をしきりに報じたりしています。
オールドメディアの調査には問題だらけ
もっとも、これも昨日の議論で指摘したとおり、この「石破首相の続投を支持する世論」とやらが本当に正確な世論なのかどうかを巡っては謎です。NHKの調査でいえば、年齢補正を加えたら結論が逆になるなどの明らかな欠陥が判明しているからです。
これについては弁護士で日本公共利益研究所主任研究員でもある楊井人文氏のXのポスト、あるいは『Yahoo!ニュース』への寄稿記事で詳しく説明されていますので、まだ読んでいない方は是非ともご一読いただきたいと思います。
「石破首相続投 賛成多数」 年齢補正で賛否逆転 高齢者に偏った世論調査にNHK「課題と認識」
―――2025/08/18 18:27付 Yahoo!ニュースより
自民党に対し有権者が「憎悪の気持ち」
さて、それはともかくとして、本稿で焦点を当ててみたいのが、「自民党に対する憎悪」という論点です。
自民党の青山繁晴参議院議員は7月5日付の自身のブログ記事で、有権者が首相官邸や自民党に対し、「憎悪の気持ち」を持っていると指摘しています。
こんな悲痛な苦戦でも自然な笑顔が誰に対しても絶えない漢 ( おとこ ) がここに居る
―――2025/07/05 04:11:12付 On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~より
この「憎悪の気持ち」という言葉、なんとも強い表現です。
青山氏は先月の参院選について、大阪選挙区(改選4議席)から出馬した柳本顕(あきら)氏の応援で実際に街頭演説などをこなしたのだそうですが、柳本氏は力及ばず約38万票で落選しています。得票順こそ5位でしたが、当選圏(50万票前後)までは10万票以上足りなかったと考えられます。
こうした苦しい戦いを通じて選挙の応援現場で有権者の反応を直接知る立場からすれば、この「有権者の自民党に対する憎悪」は、青山氏なりの実感に基づく評価ではないでしょうか。
では、その憎悪の原因とは、いったい何でしょうか
著者自身の私見で恐縮ですが、現在の「石破自民」は有権者の憎悪の的となりかねない「やらかし」を、現在進行形で積み上げ続けていますが、その最たるものが、減税を頑なに拒絶し、あくまでも「取って配る」に拘り続ける姿勢です。
現金バラマキ巡る新たな動き
その一例が、例の「2万円給付」かもしれません。
これは、自民党が参院選の公約で掲げた「国民1人あたり一律で2万円ずつばら撒く」とする案で、子供、あるいは住民税非課税世帯などに対しては金額を4万円に増額する、などが盛り込まれています。
このあたり、自民党もさまざまな人から構成されているため、宮沢洋一・自民党税調会長らに象徴される旧宏池会系、あるいは「ゴリゴリ財務省の利権代表」系の議員もいれば、安倍晋三総理大臣に近いリフレ派的な発想をする議員もいるはずです。
一部保守派から「次期総理」としての呼び声が高い高市早苗氏や小林鷹之氏らがいわゆる「リフレ派」なのかどうかは知りませんが、少なくとも自民党全体が財務省的な「増税」「バラマキ」を支持しているということもないでしょう。
ただ、これについては、こんな観測報道も出てきました。
政府・自民「一律給付」設計変更へ 参院選大敗で「2万円」公約修正
―――2025/08/20 19:45付 日本経済新聞電子版より
日経新聞によると、政府・自民党内でこの一律給付案の見直しの動きがあり、とりわけ「対象を絞って増額するなど制度設計の変更を検討する」方針なのだそうです。
これについては「既存の給付制度がある子どもや住民税非課税世帯に限定して重点的に給付額を増額する案が浮上」しているのだそうですが、なんとも呆れます。
宮沢税調会長「減税するなら増税して帳尻合わせよ」
選挙結果から見えてくるのは「取って配る」に対する「NO」の意見なのに、この期に及んで「取って配る」に拘る自民党は、いったいどうしてしまったのでしょうか。
これに関連し、日本保守党の島田洋一衆議院議員が20日夜、ちょっと気になる内容をポストしました。
島田氏によると、野党側が11月1日からの完全実施を求めている「ガソリン減税」(いわゆる暫定税率の廃止)を巡り、自民党側が交渉代表に据えた「宮沢洋一増税会長」(※原文ママ)が次のような態度をとった、というのです。
「減税する分、どこか他で増税して帳尻を合わせるべき、野党がその増税メニューを示せ」。
なかなかに、呆れる発言です。
もちろん、これは島田氏が野党議員という立場にあること、「増税会長」なる役職は存在しないことなどを踏まえると、宮沢氏に対するやや感情めいた怒りのようなものが込められていて、ポスト内容が客観性を欠いている可能性はあるでしょう(実際、ポストには高市早苗氏らに対する批判なども込められています)。
ただ、宮沢氏自身が自民党・税調会長という立場で、(昨年秋の衆院選で躍進した)国民民主党が提唱した「手取りを増やす」を叩き潰した張本人であることなども踏まえると、宮沢氏であれば、「減税するならほかで増税しろ」などと言いかねない人物であることもまた否定できません。
というよりも、この宮沢氏という人物、税を扱っているくせに乗数効果も理解しておらず、「減税したら経済成長が促進され税収が増える効果も生じる」という当たり前の事実を完全に無視していることでも知られています。
自民党は大丈夫か?
こうした点を踏まえると、宮沢氏と、「消費税を死守する」発言でも知られる森山裕・自民党幹事長が写ったこの写真、とりわけ勤労層に属し、SNSを多用する国民にとっては、「減税を拒絶する男たち」のアイコンのようなものとなり果てているフシがあります。
逆に、宮沢氏を表に出すことで、自民党に憎悪ないしは敵愾心(てきがいしん)のようなものを抱く人が出てきてしまう可能性もあり、正直、自民党にとって決して良い状態ではないでしょう。
しかし、自民党が石破首相および旧宏池会の排除に失敗したら、「石破―宮沢―森山」ラインが敵愾心の象徴として、有権者の憎悪を集めるアイコンとなり、遅くとも3年以内に行われる衆院選、あるいは3年後の参院選で、自民党が有権者から完膚なきまでに叩き潰される未来も見えてきます。
現在の自民党があたかも「国民の敵」であるかのごとく認識され、ニヤけた表情で減税を叩き潰す宮沢氏が旧態依然とした自民党、あるいはその後ろに控える財務省に対する憎悪を集める「ネットミーム」としてSNSで広がっていけば、自民党にとっては取り返しがつかない打撃となりかねません。
いずれにせよ、自民党議員の皆さんには、相当な危機意識を持っていただく必要があります。
その意味では、まずは石破茂氏を引きずり降ろす手続がどう進むか(あるいはまったく進まないか)については、見極める必要があることは間違いないでしょう。
もっとも、報道によると自民党選管の次回会合は来週を待つ必要があるのだそうですが…。
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1 2 次へ »石破、岸田、宮沢、森山、宏池会。国民の敵に⭕️を!!うーん、並べてみると売国奴がなんと多い事か。
中共から日本を貧しくし、我が中国人の富裕層に日本を支配させろ!って周から指令受けているじゃないでしょうか。
>「減税する分、どこか他で増税して帳尻を合わせるべき、野党がその増税メニューを示せ」
正直、「余って配るのなら、減税をして帳尻を合わせなくっちゃ!!」・・と思うんですけどね。
⤴【¥.Miyazawa氏】へのメッセージ
既に手遅れな気がします。岸破派がリコールに賛同した議員は名乗れとか恫喝してる段階で自民党は完全に党内分裂したでしょう。
いっそ増税派だけの党を作って下さればいいかと。
舟を編む制作局「暫定の意味に永続という意味を追加しろ」
自民党であるかどうかに関係なく個人単位なら当選して欲しい政治家はいるから、政党なんか気にせず個人に投票する。
比例代表? しらんがな。今の顔ぶれなら自民に入れない。
どうにも立民が政権取れなくていいという態度だと感じるレベルで今の自民は選挙に勝つことより大事なことがあるなんて態度に見える。控えめに言っても馬鹿にした態度だと思う。
「減税を叩き潰す勢力」立憲民主党も他人事ではないのですが、彼らに危機意識は皆無でしょう。
こういうデマをばら撒くサイトって取り締まれないのかな?
財務官僚って東大とか出た優秀な人たちがさらに難しい試験を受かってる訳。
公認会計士って東大出てなくても試験受かったら誰でもなれる訳。
こんなデマサイト運営する暇があったら確定申告の練習でもしてなさいよ。
触っちゃうぞー
このサイトを取り締まる方法は残念ながら思い浮かびませんが、貴方のコメントは誹謗中傷で取り締まれるかもしれませんね。
何をもってデマだと断じたのかを示さずレッテル貼りに終始する。
いつもの界隈ですね。
つまり、「東大を出ていれば主張は正しい」という意味なのでしょう。
とすると、普段であれば個人的なことなので質問はしないことなのですが・・・
匿名さんは東大を出ておられるのでしょうか?
あなたの主張の正しさの程度を、あなたの物差しで測定することは議論のステップとして必要かと思ったが故の質問です。
国家公務員試験が東大生じゃなきゃ受からないという根拠は?
受けたことがない人のいう事ですね。
受けた私からすれば、あんなの大学入学共通テストより簡単ですよ。しかも会社勤めで仕事後勉強して半年程度の学習時間でパス出来ましたから。正直その程度のレベルなんですよ。アレが公認会計士や司法試験と同列に置かれるのは明らかな間違いです。
国家公務員試験よりも弁理士試験の方が遥かに難しいかな。
更に言えば、今時の東大生は官僚なんてなりたがらない学生が多いらしいですし、実際東大以外の大学からも合格者出していますよ。東大生は確かに一番多いですが、半分もいませんよ。
https://www.jinji.go.jp/content/000006802.pdf
デマをバラまいているのは明らかにあなたの方なのは明瞭ですが、どう反論されますか?
ここのブログ主の新宿会計士さんって国家一種上位合格してなかったっけ?確か著書に書いてあった気がする。
高市氏などは「安倍さんが絶対党を割ってはダメだ」と生前明言していたことを取り上げ、あくまで自民党内での再建を目指す信念を持っておられるようです。
ところで安倍氏は「石破氏だけは総裁にしてはダメだ」とも公言されていましたが、私に言わせれば、もう前提条件が崩れているように思えます。
あくまで恩ある自民党の再生を目指すのは高市氏の徳目と言っても良いと思います。ただ、それを判定するのは個々の国民です。
時々刻々と自民党への信頼が瓦解している現状を見るにつけ、茨の道だと言わざる得ません。
匿名様へ
学歴のみを基準に主張の確からしさは評価できません。知的レベルの告白をされている状況ですので、御自分での削除をお奨めします。
その通りですわ!
宮沢の顔見ると反吐が出る!