主権者たる国民が支持していないことが明確に示されたにもかかわらず石破首相が首相の座にしがみついているのも、結局のところ、自由・民主主義の精神を石破氏が冒涜しているのが大きな問題です。ただ、この自由・民主主義の考え方をさらに突き詰めていくと、やはり国民世論を国民から選ばれていない者たち―――とりわけ、官僚とオールドメディア―――が支配してきたという構造こそが問題なのです。当ウェブサイトとしては「公租公課負担と給付の関係の適正化」を求める一石を投じ続けたいと思う次第です。
目次
石破問題の現状
石破問題は両院議員総会開催に向け動いているが
参院選の投開票が終わってから1週間が経ちます。
正直、数年前の当ウェブサイトだと、選挙に関する話題は、選挙から数日が経てばフェード・アウトするのが一般的だったと思いますが(※著者私見)、今回は選挙、そして石破茂首相の出処進退などに関する話題を、選挙が終わってからも継続的に取り上げています。
とりわけ昨日の『両院議員総会開催に向け「3分の1」署名集まる=報道』でも取り上げたとおり、自民党内では両委員議員総会(あるいは場合によっては党則第6条第4項に定める臨時総裁選)の実現に向け、一歩ずつ着実に動いているフシがあります。
この点、著者自身は両院議員総会などの場で総裁解任が実現するかに関しては微妙だと考えています。そもそも「両院議員総会で総裁を解任可能」とする規定は自民党党則には見当たりませんし、もしできるとしても出席議員の3分の2の賛成と党大会での事後的な承認が必要ではないかと思われるからです。
時間はかかるが党則第6条第4項が現実的では?
結局、少し時間がかかるかもしれませんが、党則第6条第4項を使った解任手続、つまり国会議員と都道府県連代表の過半数が要求することで、石破茂総裁の任期満了(本来ならば2027年9月)より前に臨時で総裁選を行う、という手続ならば実施可能でしょう。
自由民主党党則第6条第4項
総裁の任期満了前に、党所属の国会議員及び都道府県支部連合会代表各一名の総数の過半数の要求があったときは、総裁が任期中に欠けた場合の総裁を公選する選挙の例により、総裁の選挙を行う。
これについて、たとえばフルスペックの総裁選を実施する場合、手続的には1ヵ月前後の時間が必要であるため、たとえば「8月15日までに首相を辞めさせる」といったことは難しいものの、あくまでも報道ベースだと、議員・都道府県連代表合計の過半数の賛成に関してはクリアしそうな気配です。
こうした観点からは、石破首相兼自民党総裁の解任問題はかなり長引く可能性があると考えるべきでしょう。あるいはもしかして、本人もそれを見越して、リコール手続きが始まっても余裕綽々(しゃくしゃく)で居座る気満々なのかもしれませんが…。
いずれにせよ、「石破解任問題」はまだしばらく国内政治における重要な問題の中核を占め続けるでしょうし、言い換えればこの「石破解任問題」の中核にいる石破茂首相こそが、現在の日本における最大の問題を作り出している張本人である、ということなのです。
首相が日本の最大の問題だ、というのも、なんとも面黒い限りですね。
なぜ石破政権がダメなのか
ただ、当ウェブサイトでは昨年9月の自民党総裁選直後の『自民党は「石破体制」を挙党一致でしっかり支えるべき』で、正直、石破総裁は保守派にとって不本意ではないかもしれないにせよ、いったん総裁に選んでしまった以上、その体制をしっかりと支えるべきだと申し上げました。
しかし、ここ数日の当ウェブサイトでは、まるで石破氏を解任するのが正義であるかのごとき論調を取っています。
このため、当時の当ウェブサイト自体の主張内容とは一見すると矛盾しているようにも見えるかもしれませんし、「おい、矛盾しているではないか!」、といった趣旨のお叱りが来たとしても、ある意味それは当然でしょう。
これについて当ウェブサイトでは、こう指摘しました。
「私たち有権者の側に求められるのは、石破氏が『論功恩賞人事』ではなく、『適材適所人事』ができるかどうか、悲観もせず、さりとて楽観もせず、まずはしっかりと見極めるという態度ではないか」。
今になって思えば、その後、石破政権が旧安倍派の議員を衆院選で公認しなかったりするなどの露骨な「安倍派潰し」を行い、内閣・党役員人事も露骨な旧岸田派優遇かつ論考恩賞人事だったことを踏まえると、そもそも当ウェブサイトの「挙党一致で石破体制を支えよ」の前提が成り立っていなかったわけです。
正直、著者自身も有権者のひとりとして、石破首相には幻滅しかありませんが、ウェブ評論という立場からも、「自民党が挙党一致で石破体制を支えるべき」とする前提条件が崩れ得ているわけですから、あとは自民党内の問題です。
しかも、これに加えて少なくとも2回の大型国政選挙(と6月の東京都議選)で自民党が惨敗していることを踏まえるならば、石破政権を継続するだけの正当性は、憲政の常道からすれば、もはや完全に失われていると見るのが妥当です。
もっといえば、石破首相と旧岸田派を排除することに失敗すれば、自民党は有権者の信頼を本格的に喪失し、今後の選挙で順次、議席を減らしていくでしょうし、場合によってはどこかのタイミングで政権を失う可能性だって現実のものとなりかねません。
だからこそ、今となっては自民党が「石破下ろし」をすることができるかどうかが大きな問題なのでしょう。
官僚とオールドメディアの問題
日本は自由・民主主義国家
ただ、ここまでの議論を踏まえると、やはり考えておかなければならないのは、なぜそこまで「自民党の石破下ろし」に拘るべきなのか、という論点です。
その理由はとても簡単で、当ウェブサイトではこれまでに何度も述べている通り、日本が自由・民主主義国だからです。
自由・民主主義国とは、「言論」と「投票」で国や社会の在り方を決めていく、という国のことであり、今回の石破政権がそうだったように、国政選挙で主権者たる国民から「NO」を突き付けられた政権は、退陣する(か連立を組みかえる)必要があります。
ここ数日、何度も指摘してきている通り、自民党は長年の連立相手である公明党と合わせても衆参両院で過半数割れを起こしており、とくに衆院で過半数を回復するには、過半数に足りない13議席以上を他党との連立で手に入れるか、それとももう1度衆院を解散して有権者の信を問うしかありません。
この点、『石破首相が居座りたければ自公維連立くらいしかない?』でも指摘してきたとおり、現在の石破政権であれば、日本維新の会あたりを引き込んでの延命を図りかねないフシもありますが、おそらくそれをやったら次回衆院選で自民党が公明、維新両党を巻き込んで再び惨敗するのが関の山でしょう。
いずれにせよ、主権者たる国民が支持していないことが明確に示されたにもかかわらず石破首相が首相の座にしがみついているのも、結局のところ、自由・民主主義の精神を石破氏が冒涜しているのが大きな問題なのです。
どうしてもぶち当たる官僚とオールドメディアの問題
もっとも、この「石破解任問題」を考えていくと、もうひとつぶち当たるのが、「果たして日本は本当の意味での自由民主主義国家だったのか」、という疑問です。
結論からいえば、これまでの日本は不完全な自由・民主主義国家でした。国民世論がマスコミ(とくにNHK、大手新聞、在京大手テレビ局、有力ブロック紙や地方紙、在阪大手テレビ局など)、あるいは「オールドメディア」によって、なかば牛耳られていたからです。
もっといえば、そのオールドメディアを支配していたのが、官僚機構です。
官僚機構は記者クラブ制度などを通じた情報提供などにより、あるいは子飼いの御用学者を出演させるなどの手法により、オールドメディアに自分たちにとって好都合な情報を優先的に垂れ流し、オールドメディア側も官僚機構の意を汲んで、政治的に偏った情報を垂れ流してきた―――、といった仮説です。
この仮説、少なくとも著者自身の専門分野である金融面に関しては、正しいです。金融・経済分野での官僚やオールドメディアの言い分は、完全なデタラメだからです。
「日本は国の借金がたくさんあって、その額がGDPの倍を超えており、このままだと財政破綻してしまう」といった与太話がその典型例ですが、これについては債券理論からも通貨論からもマクロ経済理論からも間違いだと断言せざるを得ません。
資金循環構造に照らし「国の借金過大」は大間違い
少しだけ寄り道しますが、これについて簡単に説明しておきます。
一国の資金循環構造上、国債の引受可能額はその国に存在する資金量に依存しますが(※といっても自国通貨建ての債券の場合の話です)、日本の場合は国内の資金供給量が資金需要量(国債などの債券だけでなく企業の借入需要や株式など)を大きく上回っているのです。
経済学の世界では「誰かにとっての金融資産は他の誰かにとっての金融負債」ですので、閉鎖経済の前提を取れば、経済主体(家計、企業、政府)と金融仲介機能の金融資産の総額と金融負債の総額が、理論上はピタリと一致するはずです(現実には統計上の誤差があるため、両者は厳密には一致しませんが…)。
これが一致しない理由は簡単で、日本は「閉鎖経済」ではなく「開放経済」であり、日本国内で使いきれなかった金融資産は日本国外に投資されてしまうからです。
その結果が海外部門に対する巨額の債権(対外証券投資や対外直接投資など)であり、また、200兆円近くに達する外貨準備だったりするわけです(図表)。
図表 2025年3月末時点・我が国の資金循環構造
(【出所】日銀『物価、資金循環、短観、国際収支、BIS関連統計データの一括ダウンロード』サイトのデータをもとに作成)
もしも日本国内で国債が500兆円ほど増発されれば、機関投資家は対外証券投資を売り払い、喜んで日本国債を買い入れるはずです(もっとも、その過程で巨額の円買い・ドル売りが発生するため、円高圧力が発生してしまいますが…)。
いずれにせよ、資金循環的な構造に照らし、日本政府はとうてい「財政危機状態」にあるとはいえませんし、「GDPの2倍の債務残高」についてもまったくもってコントロール可能であり、国債の発行残高についても、むしろ不足しているといえるほどでしょう。
官僚って賢くもなければ高潔でもない
ただ、こんなことを述べると、ごくまれに、たとえばXなどで、こんな趣旨の反論をいただきます。
「東大などの一流大学から難関の国家公務員試験に合格した、俺たちよりも遥かに賢い官僚が私心なしに国のために尽くしてくれているんだから、官庁の主張が間違っているというデマを振りまくんじゃない」
…。
そもそも論として官僚は難しいペーパーテストに合格した者たちであることは間違いありませんが、べつに優秀であるとは限りませんし、私心がない高潔な人格の持ち主であるという保証もありません。というか、私たち国民から直接選挙で選ばれた存在ですらありませんし、私たちが選挙で辞めさせることができる相手でもありません。
それに、官僚が優秀で高潔な人格の持ち主なのだとしたら、あるいは賢くて優秀で人格が優れた指導者が社会を勝手に良くしてくれるのだとしたら、民主主義なんてまどろっこしい手続は必要ありません。
とりわけ財務官僚は国民から選ばれたわけでないくせに、国家のサイフの入口(国税庁)や出口(主計局)、サイフの中身(外為特会や財投特会)などを一手に支配し、カネという面から巨大な実質的権力を握ってしまっているわけです。これに本当に問題がないとでもいうのでしょうか?
負担と給付のバランスの問題
いずれにせよ、著者自身は現在の日本経済について、とくに税金などの公租公課については、「払った額と受け取る給付のバランスが全く取れていない」と考えています。
ある程度の所得がある会社員の場合、年金や健康保険などの社会保険料が給与の15%前後も取られているだけでなく、雇用主も同額以上を負担させられているため、たとえば年収500万円の人は(年齢や給与形態などにもよりますが)だいたい150~160万円の保険料を支払っています。
しかし、大病を患って入院したときに返してもらえる「高額療養費」の上限は、年収が上がるほどに高くなってしまいますし、厚生年金保険料も支払った保険料と将来受け取れる年金の額はまったく比例しません。いわば、高い保険料を負担させられている人ほど受け取れる保証が薄くなるという詐欺的な仕組みです。
こうした仕組みを考え出した者たちが官僚であり、また、その実態を国民が知ることを妨害してきたのがオールドメディアなのです。
このように考えたら、この国をより良くしていくためには、まずはこの国をダメにしてきた勢力を排除していかねばなりません。それは自民党というよりは官僚機構とオールドメディア、そして最大野党などの特定野党であると考えた方が自然です(※もちろん、自民党にも問題がないとはいいませんが)。
著者自身が当ウェブサイトを続けているのも、あるいはXを通じた情報発信を続けているのも、結局のところは払った税金と受け取れるサービスのバランスを適正化することが最大の目的であり、そのための一石を投じ続けたいと思う次第です。
View Comments (11)
>払った額と受け取る給付のバランスが全く取れていない
「働いたら負け」という俗説を正論としかねないですね。
勤労意欲を削ぎ、社会の健全な発展を阻害しかねないルールは変えていかなければならないし、そのような公約・政策を掲げる政治家・政党に一票を投じていくようにしたいものです。
「石破やめるな」の人たち(https://www.sankei.com/article/20250726-BR742SAEQBGRZMOA257H3GJJ4M/)
以外にも、的外れな理由で石破おろしの動きを批判・牽制している人たちがいる。
・「果たしてそこが問題の核心なんですか?」
https://news.yahoo.co.jp/articles/5b650981f72d38780faad3857915860e8f2163b6
・「裏金議員が率先して石破おろし」
https://news.yahoo.co.jp/articles/73f96fab05a370cef7a0f041f90d9baea6d18464
多様な意見は認めるが、国民の代表ヅラしたり、民意を捏造するのはやめなはれ。
>負担と給付の適正化が必要
「保険」で富の再配分をするなという主張は、これからも続けていただきたいです。
民間と役人では「保険」の定義が違うのかな?
この参加者たち、きっついな~
https://www.sankei.com/article/20250726-BR742SAEQBGRZMOA257H3GJJ4M/
-最悪の場合徴兵制になる-
やめてお腹痛いwwwwwwww
次が高市氏で高市氏が極右で極右だと徴兵とかいう20世紀中期風な認識なのでしょうかね。認識の古いミリオタである石破総理の方が、まだ幾分か可能性がありそうですが。
-果たしてそこが問題の核心なんですか?-
はい、全然違いますね(呆れ
「在日韓国人の皆さんは、戦争で強制的に連れてこられた方々です」と番組冒頭で断言された元NHK大越さん、ご健在ですね。「総裁を変えれば禊が済む」など、有権者はおろかもはや自民党内でもそんな認識の者は居らず、総理自身を国家の危機と捉えての石破降ろしに見受けられます。大越氏の考える核心とやらは誰も見向きもしていない。
上述のデモ参加者といい、玉川氏やラサール石井氏といい。存在しない勝手な妄想の前提から勝手な妄想の結論を導き勝手な妄想で日本を代弁する(しかもどれも驚異的精度で現実と逆)のは、そろそろやめていただきたいですね。通じなくなっちゃってるのに。
国葬反対デモやってた人達とほとんど同じですよね。
デモやってる人達(立憲共産)もそれを推すマスゴミもそれに擁護される石破氏も、選挙で民意を得られなかった言わば"負け組"。有権者の審判に文句ばっかり言ってないで、自分たちの主張が受け入れられていないことをちょっとは顧みたらいいのにと思います。
現実にある多くの解決されない問題に目を向けず、紙の保険証とか選択的夫婦別姓とかLGBTQとか、そもそも問題があるのかどうかもわからない高尚なことばかり言ってる左巻き。ちょっと何言ってるかわからない。
日本がそっちに回帰することは当分ないのでは? 少なくともデモ参加者の方々が生きてる間は。
189人よ気付け!(188人?)
敵の敵は味方とは限らなくとも、
敵の味方の概ねは敵だってこと。
*石破氏は、敵の味方
「「敵の敵は・・・」のような慣用句も分解すればネタになる」。いつも勉強になります。
189人の多くは「気づかないフリをしていた」と思うんですけどねー。
まあほんとに気づいていなかった人々は今回わかったんじゃないですかね。
それでも気づかない人もいるんだろうなー。(それって内部の敵じゃないの)
イシバの独り言「国でイチバン偉いはずのボクが何でこんなにイジメられるんだ。官僚になっていればよかった」
国民から定期的どころか一度も選任される工程を必要としない官僚、特にヒト・モノ・カネのカネを司る財務省官僚はやはり一番の勝者なのでしょう。
>官僚って賢くもなければ高潔でもない
確かにそうですよね。
よくメディアに登場する官僚や元官僚の言動を見ていれば、譬え大きな問題が発生しても、これまでの慣例などを踏襲すれば問題ないという考えですし、相手にごねられたら自分達が妥協すればいいという結論に到りますからね。
キツいことを言うかもしれませんが、結局のところ官僚は、頭を使おうともしていませんしね。
これではAIに官僚の職務をさせても何ら問題はないと暗に認めているような事ですし、行政の効率化とコストの削減を図るうえで、AI官僚の導入を進めていくべきではないかと思います。
石破氏の志の鷲鳥不群「しちょうふぐん」がG7でぼっちや選挙に三選三敗しても辞任しないことを表すものだと当時は気づきもしませんでした。
このまま分断が進むと立憲自民党と国民自民党に分かれてしまうかもしれませんね。
80兆円アメリカに贈与する自民党政権。給付と負担は、もっと悪化するでしょう。自民党は、何をやっているの??