並走、二人乗り、歩道運転、一時不停止、ながら運転、イヤホンつけながらの運転、点検不良、傘差し運転、信号無視、逆走―――。すべて危険な行為であり、そもそもそんな人には自転車を運転しないでいただきたいところです。ただ、道路交通の安全という観点からは、厳罰化だけでなく、やはり高速度走行できるモビリティをろくな道路交通法規の知識なしに運転できるという状況を改善することが望まれます。
目次
こんなにある!公道上の危険運転
著者自身、ウェブ評論サイトなるものを偉そうに運営し、舌鋒鋭く世相をえぐり取っている(つもりな)のですが、現実の世界ではただの小市民であり、危険な現場に遭遇しても勇気をもって誰かを助けたりできるほどに立派な人間ではありません。
こうしたなか、当ウェブサイトにてときどき取り上げる話題のひとつが、公道上の危険な行動です。
(具体的な地点を明かすのは控えますが)著者自身はとある交差点で、連日のように、非常に危険な行為を見かけるのです。
車道側の信号がすでに赤になっているにも関わらず猛スピードで交差点に突っ込んでくる自動車・自転車。
ノーヘルメットで生活道路を疾走する電動キックボードや自転車、モペッド。
それだけではありません。とくに怖かったのは、小さな子供を連れたお父さんが子供の手を離したすきに、子供が幹線道路に飛び出そうとしたときです(幸いながら子供は無事でした)。
本当に冷や冷やします。
罰則の強化は随時なされているようだが…
その交差点は大きな幹線道路と狭い生活道路が交わっている地点なのですが(具体的な地点について明示することは伏せます)、交通量も多く、また、スーパーマーケットや医療機関、保育園、小学校、大学といった教育施設に続いているためか、日中は常に多くの人が行きかっています。
そして何より気になるのが、自動車や自転車、電動キックボードといった「乗り物」側の交通ツール無視でしょう。もし著者自身にもう少し勇気と暇があれば、この地点に1日中張り込んでおき、交通違反の現場をことごとく写真に収めてやりたいと思うほどです。
もちろん、行政当局も、手をこまねいているわけではありません。
たとえば政府広報が昨年10月に配信した記事によれば、自転車の酒気帯び運転や「ながらスマホ」(スマホ等を操作しながらの運転)に対する罰則も強化されています。
罰則強化!自転車のながらスマホと酒気帯び運転
―――2024年10月3日付 政府広報オンラインより
これについては警察庁のポスターもわかりやすいかもしれません(図表)。
図表 警察庁のパンフレット(クリックで拡大)
(【出所】警察庁)
電動アシスト自転車、電動キックボード、モペッド
こうした罰則の強化は当然すぎる話です。
自転車や電動キックボード、運転免許なしに乗れるものが多いですが、歩行者よりもスピードが出る分、衝突したら相手に怪我を負わせることもあり得ます。現実問題として、とりわけ都市部を中心に、「ながらスマホ」運転で危険な思いをしている歩行者は多いでしょう。
ただ、ちょっと待っていただきたいと思います。
私たちが最近、街中を歩いていると、なにかと冷や冷やする機会が増えています。
電動アシスト付き自転車を筆頭に、ひと昔前と比べて速度性能が飛躍的に向上した自転車。
運転免許なしで乗れる電動キックボード。
自転車のような外観でありながら電動モーターを搭載した「モペッド」。
多くの人が頻繁に目撃するであろう事例を列挙しておくと、これらのモビリティは「ながらスマホ」だけでなく、最近、歩行者を縫うように歩道を明らかに高速走行しているケース(※自転車が多いです)、信号や一方通行を無視するケースは枚挙にいとまがありません。
ちなみに著者自身も以前、自転車でルールを守って車道の左側を通行していたところ、車道の右側を通行している電動キックボードに正面衝突されそうになり、そのキックボードの運転者は悪態をついて去っていったという経験をしています。
また、先ほどは「幹線道路で自動車が赤信号を無視して交差点に突っ込んでくる」という事例を紹介しましたが、同じく最近だと自転車が信号無視して交差点に突っ込んでくるケースもあります。どちらも危ないといったらありません。
警察当局、いったいなにをしているのでしょうか。
そして、なぜこうした無謀運動が横行しているのでしょうか。
無免許での原付運転は明らかに違法
ここから先は憶測も交えますが、たとえば最近流行のフード・デリバリー系の自転車の場合、時間内に配達しないとペナルティがあるのか、自転車で高速で突っ込んでくる傾向があります(無謀運転で通行人にぶつかりそうになり、悪態をついて去っていくのはだいたいフードデリバリー系の若い男です)。
また、車道を走行していて堂々と赤信号を無視していく自転車やモペッドなどの場合は、単純に、「赤信号では自転車だろうがなんだろうが、停まらないといけない」という事実を知らないのかもしれません(興味深いことに、赤信号を無視しているのは中高年の男が多いようです)。
さらに、自転車や電動キックボードで道路を逆走している者たちのなかには、その場に居合わせた警察官から「逆走ですよ!」と指摘されても、「何が問題なの?」といった雰囲気で開き直っているケースもあるようです(こちらは若い女が多い気がします)。
ただ、総じていえるのは、道路交通法に対する知識の根本的な欠如です。
とりわけ3つのモビリティ(電動アシスト自転車、電動キックボード、モペッド)のうち、最初の2つについては、基本的に運転免許なしで乗ることができます。また、ヘルメットの着用は努力義務とされ、ノーヘルで運転していても道交法違反として摘発されることはありません。
さらにいえば、これらのモビリティの中には運転者が最低限の道交法知識すら持ち合わせていないケースも多いと考えられます。初歩的な違反(例:赤信号無視、逆走)や危険・無謀な運転(歩道の高速走行など)が横行しているのはその証左でしょう。
もっといえば、モペッドに関しては、一定以上の出力を持つものに関しては、法的には「自転車」ではなく「原付」です。よって、これを無免許・ノーヘルで運転するのは、れっきとした違法行為です(当然、ナンバープレートの取り付けも必要です)。
なのに、残念ながらこのモペッドを使い、ノーヘル・ナンバープレートなしに、公道を堂々と運転している者は後を絶ちません(想像するに、これらの者のなかには、そもそも無免許でこうしたモペッドを所有している者もいるのではないでしょうか)。
正直、発見次第片っ端から摘発する以外に方法はないと個人的には思ってしまうのですが、残念ながら、警察当局が普段から積極的にこれらの違法(の可能性が高い)モビリティを取り締まっている様子は見られません。
いずれにせよ、電動アシスト付自転車、電動キックボード、モペッドといった乗り物を見ると、やはり歩行者の立場としては警戒せざるを得ないのです。
そんな人には自転車運転してほしくない
こうしたなかで、もっと驚いたのが、Xに先日投稿された、こんな趣旨のポストです。
「来年から実質的に自転車乗れなくなる」。
そのうえで、並走や2人乗り、歩道運転、一時不停止、ながら運転、整備不良車両、傘差し運転、信号無視や逆走などに対する罰金が列挙されている、というものです。
(※ポスト主を晒し者にして批判する意図はないので、該当するポストのリンクは示しません。また、これらの罰金の額や「来年から施行される」などの点に関するファクトチェックも行いません。)
…。
あれでしょうか?
このポスト主はこれらの行為ができなくなると「実質的に自転車に乗れなくなる」とでも思っているのでしょうか?
それならば是非、そのような人には「実質的に自転車に乗れなくな」ってほしいと思います。
受講修了証制度はいかが?
いずれにせよ、新たなモビリティが出現するなかで、道路交通上の危険な行為の問題がさらに深刻化していくことは間違いありませんし、「ながらスマホ」「飲酒運転」などに対する罰則の根本強化も大事ですが、もっと根本的なところで対策が必要です。
違法モペッドを野放しにしていることは論外として、いわゆる「特定小型原動機付自転車」、「特例特定小型原動機付自転車」(電動キックボード)については、「16歳以上」という前提条件が付くにせよ、免許なしにで運転できること自体が適切なのでしょうか。
また、電動アシスト付き自転車についても、自転車とみなされるための規制自体は厳格に設けられているにせよ、やはり危険運転で自転車が歩行者などに怪我を負わせるリスクは従来より高まっているのですから、免許を持たない人に対する根本的な安全講習は十分といえるのでしょうか。
これに関しては、著者自身がかなり以前からときどき提唱してきた、「安全講習受講修了証」のような考え方を、そろそろ本気で検討してほしいところです。
この「安全講習受講修了証」とは、警察官が警察署で、あるいは小・中・高等学校などに赴き、道路交通法規の基本的な内容を講習し、その講習会を終了した人に「受講修了証」を手渡す(またはその情報をマイナンバーカードに書き込む)ことで、運転免許に代えるというシステムです。
ただし、運転免許証と異なり、この「受講修了証」は簡単な講習を受講すればだれでも無料で交付されるというものであり、その目的は「運転免許証を持っていない人にも道路交通法規を周知する」ことにあります。
そして、電動キックボードと電動アシスト付自転車は、運転免許証かこの「受講修了証」がなければ運転できない仕組みにしたうえで、交通違反の回数や程度に応じて修了証を無効化するなどの行政罰を導入することで、危険運転を排除する、という仕組みはいかがでしょうか。
なお、モペッドに関していえば、現状でもすでに運転免許証という制度があるわけですから、いちど警察当局が道路上で徹底的な取り締まりを行い、法的な原付に相当するモペッドを無免許で運転している者については片っ端から現行犯逮捕していけば良いのではないでしょうか。
いずれにせよ、道路交通上の安全の確保は外交・安全保障や経済・財政・金融政策、憲法改正やNHK廃止などと比べ、政策的な優先順序が落ちると思う方もいるかもしれませんが、それでも私たち小市民の生活と命を守るという意味ではとても大切な論点です。
道路交通の安全を巡る動向については注視する価値があると思う次第です。
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日常的に大型バイクを足に通勤しています。で、原付や、中型でもスクーターの運転は酷いものです。原付に至っては原動機付き自転車扱いで、試験内容は簡素で酷いもの。あれで交通規則を理解しないものをふるい分けれる訳が無い。ましてそれ以下の試験内容しかないモノに関しては言わずもがな。車道を走る全ての運転士には自動車免許並みの試験、教育を行うべきでしょう。それと、マトモに自転車専用道路が無いのに裁判で有利にする為に自転車を厳格に車両扱いさせた某地方裁判官の様な輩を首に出来るよう地方裁判官も弾劾裁判に含めて欲しいし、落としたい裁判官の名前を国民に指名させろ。今年勤務に就く裁判官の信任投票に何の意味がある?やらせた結果駄目だった奴の名前を書かせろ。批判に晒されない日本の司法は腐敗の一途です。
講習に認定証etc.…安協の新たな収益源化できそうなのに察庁静かに見えまするナ
しっかし『未登録のモペッド』なんて公道走行してる時点でサイテーでも『無保険車運行』で6点挙がる可能性極大ナンに事務処理メンドーナンカシテ警察大概スルーしよるし
まーナイトスクープもド初期の上岡で府警サワルの懲りたンかして突撃しよらんしなァ
知らんけど
全国一律で法を適用をするというよりは公共交通の発展した首都圏1都3県と関西2府1県とその他で分けた方がいいのではないかと思ったりします。
田舎に至っては人より鹿や猪、熊等の動物にぶつかる確率の方が高い所や駅から自転車で30分以上きり。この間を英単語学習の時間に充てたい学生さんもいるはずです。
一方で大阪のある⚪︎世界という有名な観光地では狭い路地にも関わらず自転車でベルを鳴らして歩行者を威嚇してするのみならず、乗りながら演歌を大声で歌う年配の方も希少種ながら存在します。
都市部での撮り鉄という迷惑な集団同様、彼等は自由を謳歌した代償に規制が加えることもやむなしと思います。
利権の臭いがプンプンしてますね。
例えば大型2輪免許は、今では教習所で取得できますが昔は試験場のみ。
当局は、事故が増えるから!と頑なにこれを拒みましたね。
外圧で開放してみたら、事故が増えたとは聞きません。
2輪の高速二人乗り禁止なんかも同様。
「事なかれ主義」
「万が一に死人が増えたらどうする」
「ユーザーの利便性なんか知らんがな」
そういう業界なんです。
なのに、電動系の乗り物については上げ膳据え膳で要請すら無いのにホイホイ認可。
で、事故も死人も続出なう。
で、誰の責任なのか?議員もメディアも追及する気配なし。
個人的にはテクニカルな話をしても無駄ですね。
「責任者を決める事」
それに尽きると思います。
あるいは、そんな事したら全員が逃げて誰も残らないならば、
「バカに運転させるメリット」
「バカに運転させたデメリット」
を、見える化して数値で検証してみるとか。
それすら、これまで誰もやってないでしょう。
これこそAIを活用したIT取り締まりなんか良いのではないでしょうか
映像記録は得意ですし冷酷無比に事実の乗っ取り判断されます
英語で攻撃されても言語でのごまかしは出来ません
違反を無くす良い方法は違反者の摘発です
良いアイデアだと思うなあ