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公務員志願者減少…その背景は?

もしかして:優秀な若者にとって公務員は憧れではなく軽蔑の対象?

著者自身が知り合いの若手起業家などと話をしていると、薄々気づくのが、最近の若者の公務員離れです。「公務員(一部の省庁の官僚など)はむしろ軽蔑の対象となっている」、は、著者の主観に過ぎませんが、その一方で少なくとも志願者が減少し、10年未満での退職者が増えていることは事実でしょう。

「最近の若者は…」、は、正しいのか?

日本は少子化が続いているとされますが、たしかにそういわれてみると、身の回りで小さな子供を見かける機会が減っている気がしてなりません。

自分自身、家族や兄弟、あるいは親戚などに赤ちゃんが生まれたら本当にうれしいものですが、自分自身の身の回りに赤ちゃんがいるという人自体、徐々に少数派になりつつあるのだとしたら、それはそれで寂しい限りです。

菅義偉総理大臣の時代に不妊治療が保険適用の対象となったことは有名な話ではありますが、それでもやはり、子育てをするにしても「年少扶養控除」などが存在しないうえに児童手当は昨年9月まで所得制限がついていたなど、どうもこの国の政府に子育て世帯を支援する意思も能力も見受けられないのは困りものです。

ただ、こうした点はさておくとして、ひとつ心強いことがあるとしたら、この国の若者は依然として優秀で野心に溢れており、こうした優秀な若者が次々と起業している、ということでしょう。

よく世の中には「最近の若者は…」、などと愚痴を述べる人もいるようですが(※ちなみにこの「最近の若者は」、は、古代ギリシャ時代から聞かれる定番のセリフだそうです)、山手線の駅名を関した怪しい自称会計士あたりは自身の持論をポストしているようです。

若くパワフルな経営者との交流はワクワクする!

それはともかくとして、ここ半年ほど、個人的に知り合いになった若手経営者の方と、相次いで会食をしました。

ひとりは30代、もうひとりは20代です。

この2人、営んでいる事業自体は異なっていますが、共通している点があるとすれば、①名前を聞けば誰でも知っているような超一流大学を卒業していることと、②その目的意識の高さです。一流大学を出ているから目的意識が高いのか、それとも目的意識が高いから一流大学を目指したのかはよくわかりません。

それでも一般人からすれば、せっかく一流大学を出ているのにわざわざ起業するなんて、なんだか非常に不思議な人たちにも見えるかもしれません。良い大学を出ていれば安定した職業に就くのも簡単でしょうし、そこそこ高収入で楽に暮らしていけるはずだからです。

ただ、少なくともこの若者たちは、自分で厳しい環境に身を置きながら自らのビジネスを最大化しようと努力しているわけであり、少なくとも著者自身がかつて知り合いになった人たちの事例(『人生に挫折はつきものだが…どこまで公的支援すべきか』等参照)とはずいぶんと異なります。

いずれにせよ、こうした若くパワフルな経営者たちとの交流は、それ自体が大変に楽しいものであり、話を聞いているだけでもワクワクするのです。

「公務員志望者?あまり見たことがないですね」

さて、こうしたなか、知り合いの若い人たちにそれとなくいつも聞く話があるとすれば、「最近の学生はどこに就職したいと思っているのか」、です。

くだんの若い経営者の方と会った際にもそれとなく聞いてみたのですが、どうやら最近では公務員やマスコミを目指す人がずいぶんと減っているようであり、その代わりに増えているのが外資系金融機関や外資系コンサルなど、若いころから比較的高い給与がもらえる業種を希望する人たちなのだそうです。

個人的には「YouTuberとか居ないんですか?」、などと聞いてみたいところですが、何となく鼻で笑われそうな気がして、そこまでは聞けていません。

ただ、「最近の若い人たちは、公務員は目指さないのですか?」と聞いてみると、たいていの場合、こんな回答が来ます。

公務員志望者?いやぁ、僕らの周りではあまり見たことがありませんね」。

これは、著者自身がお付き合いのある若い人たちがそうなのか、それとも「最近の(とくに一流大学に通う)若者」全般に成り立つ現象なのかは見極めが必要でしょう。

しかし、ここから先はあくまでも想像なのですが、現代で最も優秀な部類に入るような人たちであれば、大学の先輩といった人脈のみならず、SNSを含めたネットなどのツールもフル活用し、それぞれの職場の研究を深めているはずです。

こうした人たちが、やたら忙しいわりには給料も低く、しかも昭和時代と見まがうかのような前時代的な世界の雰囲気を敏感にかぎ取って、とりあえず役所を避ける風潮があったとしても不思議ではありません。

もしかして:公務員って軽蔑されてません?

もっと言えば、最近の若者から、もしかすると役所は軽蔑されている可能性すらあります。

やたらと多忙でありながらもやっていることは欺瞞ばかり―――。

実質破綻状態にある国民年金制度を何とか延命させるために、厚生年金の積立金の流用とあわせて将来の巨額の税負担を伴う年金改革法案をねじ込んだ厚生労働省。

政治家をも上回る実質的権力を持ち経済学的にはまったく論拠がない「プライマリ・バランス黒字化」のために、やらなくてもよい増税を強行し、日本経済を破壊してきた財務省。

ほかにも、大学許認可利権を握る文科省やさまざまな補助金制度を運用する経産省、地方自治と電波行政を利権化する総務省など、たいていの省庁は腐り切っていて(※著者私見)、そうした省庁は優秀な学生からは忌避されるだけでなく、もしかしたら軽蔑されているのではないでしょうか?

日経「キャリア官僚の志願者が10年で3割減」

以上の議論は著者自身が最近の若い人たちと話した感覚も交えた主観的感想なのですが、こうした感覚が部分的には正しい可能性もありそうです。日経電子版にこんな記事が掲載されていたからです。

キャリア官僚の志願者、およそ10年で3割減 待遇と労働見合わず

―――2025年6月18日 18:00付 日本経済新聞電子版より

日経によると総合職(いわゆるキャリア官僚)の志願者は、2013年度に現行制度になってからの約10年間で27%減少。その一方、採用されてから10年未満での退職者も2023年度で203人と2013年度以降で最多を記録したのだそうです。

このうち志願者の減少は単純に若者の数が減っているからだ、といった要因も考えられ、その意味では単純に公務員の魅力が低下しているからだとも言い切れないのですが、その一方、キャリア10年未満での退職者数の増加は、たしかに公務員の魅力の低下を象徴しているようにも思えます。

また、記事には公務員を進路の選択肢のひとつに考えていたものの、最終的に外資系コンサルを選んだ東京大学の男子学生の事例などが取り上げられているのですが、そのなかでも特に興味深いのは、最近の財務省解体デモの影響でしょう。

記事によると度重なる公務員の不祥事に加え、「SNSなどを通じて官僚叩きに触れる機会が多くなったこと」が公務員ブランドの低下を招いている、などとしているのですが、これなども先ほど指摘した「公務員は憧れの対象ではなく、むしろ軽蔑の対象」とする著者自身の仮説を部分的に裏付けている気がします。

継続的なウォッチングの価値がありそう

むろん、「公務員は優秀な若者にとって憧れの対象ではなく軽蔑の対象である」とするのは、あくまでも著者自身の一方的な印象に過ぎず、客観的な事実ではありませんのでご注意ください。

しかし、こうした著者自身の「印象」も、単なる当てずっぽうではなく、ある程度は実態に即した見方かもしれません。実際に財務省解体デモは発生しているわけですから、官庁が憧れの存在ではなく一部の若者から見たらむしろ軽蔑すべき存在に成り下がっている可能性は十分にあります。

ただし、現段階ではまだ「公務員ブランドの棄損」を裏付ける証拠は不十分でもあるため、本件については今後も折に触れ、継続的にチェックしていく価値がありそうに思えてならないのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士:

View Comments (17)

  • 日本の富豪トップ20という動画をみたことがある。
    ひとりを除いてIPOがらみ。 起業の理由はこれでしよう。

  • 目の上のたんこぶ。
    自身を振り返って考えてみても、自分が血気盛んな頃は、自分たちの活動範囲を抑え込もうとする年長者は鬱陶しい存在でした。
    自分が20歳として芽が出るまで10年我慢するというのは自分の生きてきた時間の半分にあたる時間を我慢するということ。
    時間が惜しい。
    そういう意識は無視できないと感じます。

  • 公務員不人気の根っ子は単純に求人環境の反映でショ
    高度経済成長期の『デモシカ警官』みたいナ状況が国家一種にまで拡がりを見せているのは高度情報化社会の伸展と人口減少にツラナル絶対的な売り手市場が相乗しよるでショーけど
    あーモシカシテ官僚ズが景気よく経済成長シタクナイのは後継者にハイパフォーマンスな人材を集めたいという欲求(集まるとは云ってない)からで、既存政治家政治屋タチが景気よく経済成長シタクナイのはハイパフォーマンスな人材を市井に残さず官僚として抱えるコトでパンピー愚民化をオシススメたいという欲求(カナってキタとは云ってない)からなのかしらン??
    知らんけど

  • 個人的には、景気の良し悪しと公務員人気は表裏一体なんだと思っています。
    ・・・・・

    (なぞなぞ)

    「年金改革法案をねじ込んだ」厚生労働省
    「増税で日本経済を破壊してきた」財務省
    「大学許認可等での利権!」を握る文科省
    さまざまな補助金制度を運用する経産省
    地方自治と電波行政を利権化する総務省


    Q.国民が望んでる”省”ってなぁ~んだ!
    A.えっと、・・『猛省!』(大正解!!)

  • 元々高度成長期には「昇給率が民間より低い公務員などバカがなるもの」と揶揄されていたそうですし…

  • 今日たまたまリコメンドに入った動画です。
    どこの誰からどんな風に集めた情報かわかったもんじゃないですが、「さもありなん」的な。

    ●令和の黒船・・・TSMCバブルが起きている熊本の現在地の口コミを20件紹介します
    https://youtu.be/Zq3_hklBY8k?t=157
    口コミ⑤(一部抜粋)
    ・日本人は思ったより働かない、台湾人はしっかり残業するのに
    ・昼夜を問わず研究開発に没頭できる人材はいないか
    ・地元の工業高校の生徒を大量採用して台湾に連れて行って半年研修、ここでみんなことごとく辞めた
    ===

    サラリーマンを目指す若者の例とは逆に、バリバリ働いて十分な報いも得たい、と思う若者は当然いると思いますが、今はそういう人達は「1日8時間以上働くな。働いても給料は払わない」なんて見える、サラリーマンという選択をしないかもしれないですね。

    公務員離れの要素はいろいろあるんでしょうが・・・私の若い頃に比べると社会全体が個人主義が進んだ気がするんで、全体への奉仕者的な仕事は軽く見られる傾向はあるかもしれないな、とは思いました。
    まあ、よくわかりません。

  • 公務員になっていたような有能な人材が外資系に流れたのはあるのでしょうね。

  • 公務員というのは、いわゆるキャリア官僚の
    「自分が優秀だから入省して国家を動かす」ために希望する というよりも、
    「上場企業などの人気企業は無理でも、(住宅ローンがすぐに組めるくらいには)安定していて、そこそこ給料がもらえて、そこそこ社会的地位もあるから
    そこそこ仕事をこなしていって、定年まで頑張ればいい」
    理由により、多くの若者が希望する とのイメージでしたが。

    今は「(実は昔から)いろんなものが決して『そこそこ』でない」
    のがばれてしまったので志望者が減るのは必然かと。

  • いよいよなり手が居なくなる前に、国籍条項を外して広く外国人に門戸を開くのでしょうね....

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