最近、都内の繁華街を歩いていると、数十年前と比べて大きな違いがあるとしたら、それは「パチンコ屋」かもしれません。規制強化のためでしょうか、それとも電力不足のためでしょうか、都内の繁華街に出店するパチンコ店がめっきり減った気がします。ただ、これについて統計データで確認してみると、確かに店舗数は減っているのですが、稼働台数自体は店舗数ほどに劇的に減っているわけではありません。要は、店舗の大型化が進んでいる、ということでしょう。
目次
東京の繁華街から、パチンコ店が消えつつある…!?
パチンコ産業といえば、かつては「30兆円産業」などと称され、それこそ「国民的娯楽」などともてはやされていた時期があったことは間違いありません。
ただ、昨今のパチンコ規制強化という流れを受けているためか、街中からパチンコ店がめっきり減ったという印象を抱く人も多いことでしょう。実際、著者自身も某所にずいぶんと長く暮らしているのですが、近所にあったパチンコ屋が潰れていくのに気が付きます。
あくまでも個人的な記憶ベースですが、都内某繁華街では20年前、駅の東口だけで軽く7~8店舗はパチンコ店があったような気がしますが、同じ場所を今歩くとパチンコ店は1店舗のみで、あとはカラオケ店やクレーンゲーム、写真プリントシール機などがひしめき合っていたりします。
全日遊連によると加盟店は6000店舗割れ直前
では、実際のところ、パチンコ店(いわゆる回胴式=パチスロも含む)は、いったいどうなっているのでしょうか。
これについては全日本遊技事業協同組合連合会(略称「全日遊連」)が『資料館』というページで、『全国遊技場店舗数及び機械台数(警察庁発表)』、『組合加盟店舗の実態調査結果』という2つのデータを公表しているのが参考になるかもしれません。
現時点でウェブページを閲覧すると、このうち「警察庁発表」の方のデータはまだアップデートされていないのですが、「組合加盟店舗の実態調査」の方は2024年末までのデータが公表されていました。
さっそく、これについて調べてみると、2010年1月までさかのぼってデータを閲覧することができましたのでこれをグラフ化してみたのが図表1です。
図表1 全日遊連加盟店の状況
(【出所】全日遊連『資料館』の『組合加盟店舗の実態調査結果』をもとに作成)
グラフで2020年4月に店舗数、総台数ともに急激に落ち込んでいますが、これはおそらく新型コロナウィルス感染症の影響で休止する店舗が続出したためであると考えられます(※逆に、休止しなかった店舗がそんなにたくさんあったことにも驚きますが)。
ただ、このコロナ禍を除いたとしても、傾向としては一貫していて、店舗数、稼働台数ともに減少し続けています。
実数で示すなら、2024年12月末時点の店舗数は6,022店で6,000の大台割れ寸前、という状況にあります。
店舗当たりの台数は増加傾向に
ただ、2010年1月と24年12月を比べると、店舗はおよそ半減していますが、台数自体は4分の1程度しか減っていません。というのも、直近の台数は3,050,021台で、同サイトで遡れる最も古いデータ(2010年1月)では店舗が11,675店、台数は4,201,688台だからです。
このことは、いったい何を意味するのでしょうか。
ずばり、パチンコ店も大型化で生き残りを図っている、という可能性が示唆されるのです。
実際、台数を店舗数で単純に割った「店舗当たり台数」の推移を取ってみると、2010年ごろは店舗あたり平均して360台程度だったパチンコ・パチスロの台数が、直近の2024年12月だと506台に増えているのが確認できます(図表2)。
図表2 店舗当たり台数の推移
(【出所】全日遊連『資料館』の『組合加盟店舗の実態調査結果』をもとに作成)
そういえば著者自身も昔は繁華街を歩いていると、規模の小さなパチンコ店をよく目にしたという記憶がありますが、こうした規模の小さな店舗は生き残れずに廃れていった、ということなのかもしれません。
警察データだとパチンコ産業の長期衰退は明らか
ところで先ほど、全日遊連のウェブサイトには『全国遊技場店舗数及び機械台数(警察庁発表)』というデータもある、とお伝えしましたが、こちらのデータについては現時点でまだ2024年までのデータの更新がなされていないものの、平成元年、つまり1989年までデータを遡ることができるため、有益です。
こちらで見ると、もっと露骨で、1995年の17,631店舗をピークに店舗が減り続け、2023年末にはなんと7,083店舗となっていることがわかります(図表3)。
図表3 パチンコ店舗数
(【出所】全日遊連『資料館』の『全国遊技場店舗数及び機械台数(警察庁発表)』をもとに作成)
図表3は図表1に示したデータと数値が一致していませんが、想像するに、おそらくその理由はデータの集計基準が違うからではないかと思います(たとえば、前者のデータは全日遊連傘下の組合に入っている店舗のデータしか収録されていないのかもしれません)。
しかし、傾向としてパチンコの店舗数が右肩下がりであること、落ち込む速度が加速しているように見えることなどについては共通しています。
警察データで見ても店舗の大型化傾向は続く
「パチンコは日本の文化だから守るべき」、といった声も聞こえてこないわけではありませんが、店舗自体が減っていることはとりあえず間違いありません。ただ、それと同時に1店舗あたりのパチンコ台数が増えている、という点については、警察庁発表データでも同じ傾向が見て取れます(図表4)。
図表4 1店舗あたり台数
(【出所】全日遊連『資料館』の『全国遊技場店舗数及び機械台数(警察庁発表)』をもとに作成)
つまり、店舗数の現象は、パチンコが衰退産業であることを示唆しているといえますが、それと同時に店舗の大型化が進んでいる状況が、統計からもクッキリと見て取れます。したがって、現状では店舗数が減ったというだけで必ずしも楽観できるものではないでしょう。
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1 2 次へ »>パチンコは日本の文化だから守るべき」、といった声
どこから聞こえてくる声でしょうか?
確かに戦後、娯楽の少ない時代にガス抜きの一環として存在価値はあったでしょうが、ギャンブルでありながら三店方式で法律の網をかいくぐるように存在しつづけています。
>数十年前と比べて大きな違いがあるとしたら、それは「パチンコ屋」
ブログ主の知識の正確さに驚きます。
パチンコ店の営業は、風営法に規制根拠を有しその業種として「パチンコ屋」と記載されています。世間に必要な娯楽「産業」して存在し続けたい経営者は、業態が始まったころをイメージする「パチンコ屋」というという正式名称を嫌いパチンコ店と言いますが、法律上は不正確なのです(関西方面で、偽物をパチモンと言うようで関係は知りませんがよくないイメージという点では同じでしょう)。
「パチもん」は「パチる」と「もの」を組み合わせた表現で「盗む」を「パチる」と表現する地方の方言です。
この「パチる」は金品のみならずアイデアや意匠なども対象となる表現であり、「パチもん」も盗品そのものだけでなくアイデアや意匠を盗用した物品にも使われます。
『パチンコ』名称の由来は存じませんが、「パチンコ遊戯を行う」ことを「パチる」と表現することについては、「スタンバる」などに通ずる用言かと思われ前段の「パチる」とは係累の無い別個の表現と言えましょう。
パチンコ業界に限りませんが、業界全体が縮小に向かうなか、店舗を大型化することは、普通の生き残り戦略ではないでしょうか。
蛇足ですが、もしパチンコに本当に需要があれば、名称を変え、形態を変え、もしかしたら代用品(?)がでてきて、生き残るのではないでしょうか。
もしかして、オンラインカジノがでてきて、パチンコから客を奪ったとか。
楽観だなんて ฅ(ↀᴥↀ)ฅ
サイト主どの、いつも当てこすりが上手い
売り上げ蒸発が止まらない負け組経営の代表産業、新聞社とはえらい違いですね。
店舗数と共に集客能力も落ちている気がする。週末になると駐車場は満車状態だったが、今ではガラガラ。派手なネオンを点灯させているけど、虚勢を張っているようでうら寂しい。
凡そ2年前の2023年8月に厚木市でクルマ100台以上が焼失する大規模な火災がパチンコ店駐車場で発生しました。
火元とみられるクルマはフォルクスワーゲンのゴルフ。
ここから推察するに、
パチンコ店は優に100台以上の駐車スペースを持つ大規模店
厚木市は軽自動車が市民の足のクルマ社会。あまり欧州車のシェアは高くなく、その中でゴルフ保有はそこそこの富裕層を想起
厚木は神奈川内陸の平野部で夏は酷暑。避暑代わりに長時間滞在するニーズの可能性
ということで、根強いニーズがあり、郊外市街に於いてはそれなりに可処分所得のある方々にも受け入れられている身近なレジャーなのかもしれません。
総務省消防庁より公式な報告書が公開されていました。
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-143/04/shiryou4-2-1.pdf
駐車場は2階建て屋上ありの3層構造で収容台数は凡そ450台。1階と2階フロアはほぼ満車。2階が火元で被害を受けたクルマはほぼ2階全域のクルマで凡そ150台。焼失面積は凡そ4000m2。
パチンコ店単独で450台の収容台数。。で、300台ほど駐車していた様子。
規模が大きく驚きました。
コロナ前から顕著になっていましたが、大手チェーン店ですと設置台数は1000台超えでしょうね。
駐車場がいっぱいで台が空いているパタンではないでしょうか。
お店としては、乗り合わせで来てもらいたいと言っていると思います。
平日の集客数から見ると駐車場を減らしている郊外店は多いと思いますよ。
一台の金額が2倍から3倍になっていて中小企業では、運営できないと思います。
遊技機の基準(遊戯でなく遊技)が射幸性を落とす方向になっているのでそれなりにお金を用意しないと遊べないようになっていると思いますよ。
それなりに収入のある方の遊びになっていますね。
生き残るために能動的に経営統合・集約して大型店「化」したというよりは、小型店はもう耐えきれず大型店くらいしか生き残れないゆえに受動的な反小型化、というところでしょうか。
学生時代には東京下町あたりのパチンコ屋に行っていました。当時のあの喧騒、猥雑さというのも懐かしく嫌いではありませんし、間違いなく日本に存在した一面ではありますが。次代に継承しようというような文化ではないですね。かといって他国で見られるような「消し去って隠す」というのも間違いに思えるので、「あんな変な時代と風習があったんや」くらいに遠ざかっていくのかなぁと眺めています。
いつも楽しみに拝読しております。
パチンコ店の大型化による生き残り戦略は、パチスロ機導入によるカジノ化度のアップとも関連しているように思います。パチンコより射幸度が大きくなって機器の投資額も大きくなったので、小さなホールでは対応できなくなったという面もあったではないでしょうか。上場しているパチンコ機器メーカーのSANKYOは、2023年3月期にパチスロ機導入で売上高を約倍増させています。
今は寄り付いていませんが、私は新宿西口育ちで半世紀ほど前の青春時代今は無きニューミ〇コセンターやジャ〇ボで時々遊んでいました。両店とも景品交換所がスーパーマーケット並みの充実度で、当時は大勝ちして換金しなくても残り玉を生活物資と交換して帰るというショボい遊び方もアリでした。まさに国民的娯楽といった時代だったと思います。
射幸度が上がってカジノ化した今のパチンコホールは、どう見ても消えて行くしかないんでしょうね。
>> 残り玉を生活物資と交換して帰る
母親がたまに「袋いっぱいの菓子」を持って帰り、子供(わたし)は大喜びしていました。
大抵はシガレットチョコ1個とかカルミン1本でしたが...
>> まさに国民的娯楽といった時代
さすがに健全健康とは言わないしお小遣いをスッてしまうひとも多かったでしょうが、
おっしゃるとおりで、当時は「娯楽の殿堂」の宣伝文句にも違和感なかったです。
三店方式云々とか店の利益の行先とかは置いておくとして、
業界が大きくなるなかで遊びとしての位置付けもつぎこむ金額も客層も変わり、
いわゆる一般大衆から遠いところに行ってしまったなぁ、と思います。
調べてみると店舗数だけじゃなく、売上高、法人数、参加人数軒並み半減しとるな。メーカーは踏みとどまってるようだが。
レジャー関連って不景気に真っ先に切られるもんだし、ありがとう自民党。
“遊び”としては『スマホゲーム』に、
“ギャンブル”としては『オンラインカジノ』に、
ソレゾレ取って代わられつつ有るンでしょーから、トキノナガレニ移ろい行く最中でっしゃろ
まーオンカジは違法でっけど
パチンコ業界を客観的にチェックする記事化と思いきや
>したがって、現状では店舗数が減ったというだけで必ずしも楽観できるものではないでしょう
と最後にブログ主のスタンスがさり気なく出て来て腹抱えてワロタ
パチンコ店が生き残る手段として、「店舗大型化」だけではなく、「他の業種に進出」と言う手段もあります。
私の地元にあるパチンコ店は、飲食業や宿泊業、フラワーアレンジ事業、フィットネス事業、不動産事業、衛生管理、土木建設・管理、ビル管理事業、更には医療事業や保育事業にも進出しています。
https://www.hakuwa.co.jp/aboutus/
もう、何でもありみたいですね。