石破茂首相のネットでの評判はずいぶんと悪いようですが、それもある意味では当然のことでしょう。こうしたなか、時事通信が2日、自民党内でも石破体制に対する不満が渦巻いているとする趣旨の記事を配信したのですが、やはり、自民党内からの石破おろしという動きは、筋が違います。たとえ泥の船であっても、自民党議員らは全力で石破茂体制を支えるべきだからです。
時事通信のちょっと気になる記事
時事通信が2日、ちょっと気になる記事を配信しています。
石破首相、参院選へ浮揚遠く 予算成立も続く難路 企業献金・別姓で野党攻勢〔深層探訪〕
―――2025/04/02 07:00付 Yahoo!ニュースより【時事通信配信】
2025年度予算が史上初の衆参両院での修正の末に成立したことで、石破茂首相は今国会最大の関門を乗り越えたものの、「少数与党政権の行く手には選択的夫婦別姓制度など難題が山積する」として、次の焦点が都議選や今夏の参院選に移りつつあると指摘。
そのうえで、こう述べているのです。
「与党内にも首相への不満が渦巻き、政局は緊迫の度を増しつつある」
記事自体は無料で読めるようですので、詳細について本稿では引用しません。
ただ、この記事だと、「与党内からも石破おろしの動きが出てくる(かも?)」、といった印象を抱きかねませんが、これについてはどう考えればよいのでしょうか。
石破首相の評判と擁護の意見
著者自身の主観で恐縮ですが、石破茂首相を巡っては、おもにネットの世界でずいぶんと評判が悪いようです。
それもある意味では当然といえます。
石破首相は故・安倍晋三総理大臣の事績を否定することばかり考えているフシがありますし、また、減税に対して後ろ向きな姿勢、「裏金問題」で(旧)安倍派議員らを処罰するわりに自身の「商品券」問題を巡ってはダンマリを決め込むご都合主義には、保守派などもずいぶんと呆れかえっているのでしょう。
実際、各種メディアの世論調査で見ても、現在の自民党は、安倍総理の時代は自民党を支持していたはずの層(とくにSNSを使いこなしているとみられる若年層)から総スカンを食らっている状況であり、必然的に、「石破(氏)はさっさと辞めろ」、といった声が、保守層からも出てきているわけです。
もちろん、「石破擁護」の声がないわけではありません。
先日の『「高学歴官僚は間違いを犯さない」と信じて良いのか?』でも取り上げましたが、最近、Xなどでは一部の熱心な自民党支持者(というか、石破氏に対する支持者)の間では、国民民主党が掲げた減税などを舌鋒鋭く批判するあまり、先鋭化し、人格攻撃やブロックなどに走る事例も散見されます。
著者自身、石破氏であろうが誰であろうが、良いところは良い、悪いところは悪いと是々非々で評価すればよいのに、などと思うのですが、「石破(氏)のことは無条件に肯定する」というスタンスは、「石破(氏)を無条件に否定する」というスタンスと、本質的にはあまり変わりません。
このあたり、熱心な自民党支持層ほど、むしろ石破茂体制の悪い点を熱心に指摘すべきではないかと思うのですが…。
「石破おろし」は筋が違う
いずれにせよ、現在のネットの世界では、保守層は「国民民主党支持層」、「それでも自民党を支持する人たち」、「その他の政党を支持する人たち」などに分断されているフシがあり、これこそが石破首相(あるいは石破氏を自民党総裁に選んだ189人の国会議員)の大きな罪ではないかと思う次第です。
正直、このまま石破茂体制が続けば、自民党は支持をどんどん失っていき、その分、国民民主党が保守層の支持の受け皿として力をつけていく動きが予想されます。
当然、「自民党離れ」は有権者だけではありません。候補者でも生じています。
本来ならば自民党から出馬するであろう候補者が、自民党ではなく国民民主党の公認を受けて次期参院選ないし次期衆院選で出馬するとの動きも見えてきているからです。
ただ、著者自身は、「石破首相はさっさと辞めるべき」、とは考えていません。
結局、今の政権の迷走も自民党議員自身がもたらしたものであり、その自民党に(少数与党状態とはいえ)昨年秋の総選挙で依然として「第1党」の地位を与えたのは私たち日本国民です。その意味で、現在の政治の混乱の原因を作ったのが私たち日本国民自身であるということは間違いありません。
何なら一緒に沈んでも良いのでは?
というよりも、以前の『自民党は「石破体制」を挙党一致でしっかり支えるべき』などを含め、当ウェブサイトではずっと報告し続けてきた通り、日本では内閣不信任決議案でも可決されない限り、首相は任期いっぱいまで在任することができます。
自民党を主体とする政権の場合、実務的には自民党総裁選挙と衆議院議員総選挙という2つのハードルを乗り越える必要がありますが、それでも石破首相は2027年9月までの期間ならば、不信任決議案を突き付けられるか、自ら衆院を解散するでもしない限りは、首相の地位にしがみつくことが可能です。
いや、もっと言わせていただくならば、自民党内で石破おろしの動きが出ることは、やはり筋が違います。
石破首相は道義的責任として、昨年秋の衆院選で惨敗した責任を取って辞めるべきだ、といった見方もありますが、それと同時に法的・自民党党則的には、べつに辞める必要などありませんし、また、石破氏を総裁に選んだ以上、自民党議員(とくに石破氏に投票した189人)が「石破おろし」をするのも筋が通りません。
もし現在の自民党が「泥の船」だったとしても、自民党議員の皆さんは全力で石破体制を支えるべきですし、何なら石破首相と一緒に泥の中に沈んでいくべきではないか―――、それが政治家としての筋の通し方ではないか、などと思う次第です。
View Comments (23)
あまり心配しなくても、今の自民党は現状認識するアンテナが無いから、落選するまで現職をかつぎ上げ続けるような気がします。
(除く高市に投票した人たち)
昔に永田メール事件てのがありましたが、今の自民党はあのレベルのアンテナやリテラシーの議員ばかりなんじゃないのかな。
有権者に向き合わず、出入りのご注進ジャーナリストとだけやり取りしてるから、ダメなのにね。
あの人たちはハリガネムシですよ。
先の衆院選。地元自民党候補は総裁選で石破氏に投票した人物。。で、他は立憲民主党と参政党。。止むなく石破推し議員に投票したわけですが、このような石破推し議員は、折角安倍元総理が進めた時計の針を逆回転させた責任をとるため、離反しなくてもしてもこの先地獄であってほしいと密かに思っていたりします。
このように総裁選で石破氏に投票した連中は石破降ろしをする資格はないことは同意しますが、一方で、さっさとこんな「自民党に巣食う異物ども」は除去してほしいとも願っています。
どうせ総裁選で石破氏に投票した連中の何割かは確固たる信念はない単なる頭数。風見鶏みたいなタイプでしょう。それら単体では無害であり石破降ろしに頭数として役立つなら寝返りを許容しマトモな総裁への交代を実現するのもアリかもしれない、とはおもうのですが。。
昔はマスゴミが〇〇内閣とか名付けてたのをふと思い出しました。
現在のを名付けるなら、外患誘致内閣でしょうか。
石破首相の良い点って何があるのでしょうか?
自民党で高市さんに入れた人たちが新党作った方が良いかも。石破自民は立憲民主党と大して変わらないレベルですし。
保守層の分断は石破氏の「罪」というより「狙い」ではないでしょうか
安倍さんへの妬み、その功績を高く評価する人への嫌がらせが原動力
それにより政治不信政治離れが起きようと、既得権益層を守ることになろうと、日本の成長が遅れ国力低下しようと、「知ったことじゃない」という空気が私には感じられます
私も、政治家も責任を取らされるべきだと思います
動機は理解も出来ませんが総裁選で石破氏に与した全ての議員の名前を、定期的に思い出すことが重要だと思います
妬み心、復讐心は、前任者の岸田文雄議員にも強く表れていました。
俺を馬鹿にしてきた連中(先輩同輩議員、官僚たち、そして選挙民)に思い知らせてやる。そんなメンタルが顔に現れて、優秀なるカメラマンたちによって写し取られているのです。猫組長氏、ねじれた心を見抜く力を持っている。ちゃんと探知していました。
「泥舟と化す~」には違和感があります。最初から泥舟にしか見えず、沈むかどうかではなく「いつ沈むか」でしたから。結局、泥舟を自ら選んだ自民党は、挙って泥舟を必死に浮かせる責任が尚更にありますが。ただ当の石破船長には、飛龍の山口少将と加来大佐のような振る舞いは期待できません。どっちかっつーとセウォル号っぽい。
「泥舟溶かす~」ですね。
今回はブログ主様の見解にやや賛同しかねる点がありました。
まず、石破首相は一刻も早くその地位から放逐されるべきであると考えています。理由はシンプルで、この人間が総理の地位にある限り、わが国及びわが国民の利益の毀損が続くものと考えざるを得ないためです。
二点目は、恐らく自民党という政治政党に対する見解の相違から来るものと思いますが、「もし現在の自民党が「泥の船」だったとしても、自民党議員の皆さんは全力で石破体制を支えるべき」とする見方は、やや現実を把握しそこねているのではないかとの思いを否めません。
共産党などと異なり、そもそも自民党とは特定の明確な政治思想にその根幹を置く政治結社では全く無いものと理解しています。党名から察するに、そのよって立つところは「民主主義」と「自由主義」ということになっているのでしょうが、「民主主義」も「自由主義」もその解釈の幅は何万光年といったところであると云えましょう。ということで、突き詰めていえば「やっぱりアカはダメだよね」位のところが共通の根っこで、あとは右から左まで何でも取りそろえた「百貨店政党」というのがその本質であると考えています。こうした政治信条・統治思想に加え、現実的利害関係(特に選挙絡みの)がない混ざって「派閥」というものが形成され、それが政権交代を繰り返してきたというのが、実は55年体制という政治システムの本質ではなかったかと思います(そう考えれば、かつての「社会党」などというものは、単なる「ガス抜き」乃至は議会制民主主義とやらをそれらしく見せるための舞台装置若しくはエキストラみたいなものだったと云えるかもしれませんね)。
自民党の本質を上記のものと考えれば、現在の石破自民党を「泥の船」であると考える自民党議員は、全力でこれを支える謂れなど毛頭ない訳であって、ただちに石破下ろしに邁進すべきであると云えますし、さらに云えば、国家の選良として、国益を損ない続ける石破体制を一刻も早く終わらせるべく、その持てる政治的リソースの全てを投入すべき立場にあると考えます。
ただし、先の総裁選で石破に票を投じた189名の議員は、この枠から外して考えるべきでしょう。恐らくそのうちの相当数が、主として現実的利害関係(特に選挙絡みの)の思惑によって石破下ろしに参画してくる可能性が否めないと思いますが、まずはこの連中の「人を見る目の無さ(=洞察力の欠如、つまり無能)」を以って、とても「選良」の立場に置いて良い手合いではないと、(これは)強く確信している次第です。
一国の総理に当てはまるかどうかは謎ですが、会社でも「やらせてみたけどダメだった」って事は往々にしてあり得る話ではないかと思う。
そしてダメだった時に、仲間がフォローしてやって行くこともありなんでしょうけど、これも往々としてダメな奴に続けさせると、傷口が広がるだけだけになるように思う。
やはり、ダメだった時は速やかに交代させることが理に適っているような気がする。総理の椅子であれば尚更じゃないかな。
ただ、今の問題点は、「やらせてみた人」が「ダメだと思っていない」ことじゃないかと思う。だから腹立たしいし、始末が悪い。
政権を担えるのが現状自民党しかないと思っているので、国益を考えれば、速やかに総理を交代していただきたいところです。が、個人的には、この石破を選んだ勘違い野郎共にこの怒りをわからせてやりたい気持ちが強いです。
できれば、衆参ダブル選挙が実現して、勘違い野郎共に辛酸をなめてもらって(できれば落選)から、自民党は改めて仕切り直してほしいと思います。
>今の問題点は、「やらせてみた人」が「ダメだと思っていない」 ことじゃないかと思う。
*彼って政権末期まで「積弊清算が足りない!(前任者のせい)」ってなどっかの大統領みたい。
>自民党は改めて仕切り直してほしいと思います。
*後悔と反省の違いを、肝に銘じて欲しいですね。
野党は出す気さらさらないだろうし
内閣不信任案が自民党から出たら最高に面白いな
法的に可能なのかはしらんけど
野党が一致団結して不信任案否決までがセットでw