「玉木雄一郎首相」という印象的な表現をネットで見かけることが増えてきた気がします。個人的には政策で合意できない限り、国民民主党がどこかの政党と連立を組むとも思えないのですが、それと同時に政界は一寸先が闇と呼ばれる通り、意外な人がいきなり首相になってしまうことだって、ないわけではありません。
「玉木首相」?その可能性はあるのか
少し前から、国民民主党の玉木雄一郎氏に対する首相待望論のようなものを見かけるようになりました。
当初はXなどでそのようなポストを見かける、というレベルだったのですが、こうしたなかで大手ウェブ評論サイトの『東洋経済オンライン』が24日、ジャーナリストの方が執筆した「玉木首相爆誕の可能性」などとする記事を配信しています。
高まる「玉木首相爆誕」の可能性、石破首相“末期症状”で思惑うごめく永田町の混沌
―――2025/03/24 12:02付 Yahoo!ニュースより【東洋経済オンライン配信】
記事の内容自体は、当ウェブサイトで取り上げることはしません。
正直、記事の内容が断片的で、各地の選挙区事情などが並べられ、あまり網羅的な議論ではないように見受けられます。ただ、記事末尾では、こんな記述があります。
「故・田中角栄元首相がかつて述べた『総理大臣になる天命』は、石破首相から玉木氏に移ろうとしているのか」。
現在の衆院の勢力図確認
「天命」といわれてもなかなかに評価が難しいところですが、ただ、政界は一寸先が闇と呼ばれる通り、意外な人がいきなり首相になってしまうことだって、ないわけではありません。
もちろん、玉木氏、あるいは榛葉賀津也幹事長ら国民民主党関係者の言動から判断する限り、現状では非自民連立政権が発足するとは考え辛いところですが、それはあくまでも「外から」そう見える、というだけの話に過ぎません。
ここで改めて衆院ウェブサイトをもとに、会派ベースで現在の勢力を改めて確認しておくと、こんな具合です。
衆院会派別所属議員数
- 自民…196
- 立民…148
- 維新…38
- 国民…28
- 公明…24
- れ新…9
- 共産…8
- 有志…4
- 参政…3
- 保守…3
- 無所属4
(【出所】衆院『会派名及び会派別所属議員数』)
自公両党だけでは合わせても220議席であり、過半数(233議席)には13議席足りません。
この「足りない13議席」を賄うために、自公側は他党と政策協力しなければならず、その有力な相手先候補がたとえば38議席の日本維新の会であったり、28議席の国民民主党であったりする、というのはよく知られている事実でしょう。
立憲民主党の動き次第では…
ただ、違う見方をすれば、自公連立政権は極めて不安定でもある、ということでもあります。
たとえば立憲民主党が148議席を持っていますので、これに維新38議席、国民28議席を合わせると214議席となり、この時点で議席数で自民党を上回りますし、あと9議席獲得すれば233議席の過半数を制してしまうため、理屈の上では衆院解散がなくても政権交代が発生し得る状況です。
ということは、「立維国3党」がれいわ新選組(9議席)と組めば、内閣不信任決議案を可決させたうえで(石破茂首相が衆院解散に踏み切らずに退陣すれば)「立維国れ」4党連立政権が誕生しますし、れいわ新選組以外にも日本共産党(8議席)や諸派の動向次第では同様でしょう。
(※余談ですが、自民党が維新、国民両党などを両天秤にかけるかのような態度を取ることは、決して自民党や日本国民のためになるとはいえません。自民党の姿勢は、野党同士の結合を強めることにつながりかねないからです。)
極端な話、内閣不信任案が成立し、石破首相が衆院解散を選ばず内閣総辞職を選んだとしましょう。
そうなると後任の首班指名が必要となるわけですが、このときに自民党は石破氏に再度投票するものの、野党側が(勝手に)玉木氏に一致団結して投票する、というシナリオだってあり得ます(国民民主党としては困惑する限りかもしれませんが…)。
財務省政権?あるいは公明党の政権離脱?
そして、あくまでも理屈の上の話が許されるということであれば、組み合わせはほかにもいくらでも考えられます。
たとえば、政界で以前から噂されている「最強の政権」は、「自民+立民+公明」(と財務省?)による「3党(あるいは4党?)連立政権」でしょう。
この3党、議席数を単純合算したら368議席(!)で、衆院の約8割を占め、圧倒的多数を獲得し、たちまち安定政権が誕生します(自民と立憲民主の政策の方向性があまりにも違い、政権がすぐに瓦解するのではないか、といった疑問はとりあえず脇に置きます)。
その一方で、「理屈の上では」という議論が許されるなら、逆に自公連立政権が瓦解し、公明党が連立から離脱する、というケースも考えておく価値はあるかもしれません。
この場合、自民党は196議席で過半数ライン(233議席)から37議席後退します。そのうえで維新、国民、公明の3党がまとまれば90議席ですので、立憲民主党(148議席)と組めば238議席ですし、あるいは改めて自民と組めば286議席です。
たとえばこんなシナリオは考えられるかもしれません。
- 公明党が連立離脱を表明した
- 維新、国民、公明3党が政策協定を結んだ
- 3党は政策実現を条件に自民、立民両党を両てんびんにかけることにした
- 自民または立民は首相を3党から出すことと引き換えに連立で合意した
…。
かつて自社さきがけ連立政権が成立したこともある
これ、「なんともバカげたシナリオだ」、といった批判が出ることは重々承知の上の話です。
ただ、「ばかげた話だ」だの、「そんなの絶対にありえない」だのと述べる人は、日本の政界で今から約31年前に何が発生したか、思い出してみてはいかがでしょうか。
1994年6月30日に発足したのが、「まさかの自社さきがけ連立政権」である村山富市政権です。
村山元首相は当時の社会党の委員長でもありましたが、まさか少数政党に過ぎなかった社会党から首相が出るとは思ってもみなかった、という人も多かったのではないかと思います。
もちろん、「政策なき連立」は連立に参加した政党自体を瓦解させかねないものですし(実際、社会党はその後、事実上崩壊しています)、現状の立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の各党の政策にこれといった共通点は見出せません。
しかし、自公両党が少数与党状態で石破茂政権に対する支持率が低下しているという状況のなかで(しかも年度内予算成立も危ぶまれるなかで)、意外な政界再編(連立の組み換え)が発生し得る点には注意が必要ではないかと思う次第です。
(※なお、個人的に国民民主党さんに僭越ながら意見申し上げることができるなら、当たり前ですが政策協定なしに政権を作るべきではないと思いますし、少数政党から首相を出すのはリスクが極めて高いと思う次第ですが…。)
View Comments (9)
村山総理もそうですが、細川内閣パターンもあり得るのでは。
立憲民主党が148人。。。
いくら「石破内閣へのお仕置き」の行く先がコレしか無かったという選挙区が多かったとは言え、こんなにも多くいるとは。
日本政治界、ひいては国民の暮らしに、今後数年に亘りボディーブローのように効きそうで鬱々となります。
選挙結果から決まる各党の勢力図は数年以上に及ぶ影響力があるものですから、その時の雰囲気やら勢いでオーバーシュートした結果とならぬような、良くも悪くも冷静さも必要に感じます。
玉木雄一郎が総理大臣になって何を言えるかの問題ですね。
103万円の壁だけでは政権を獲れないでしょう。ましてや総理大臣になったとたん増税路線をひた走るのではないかな。
率直に申し上げれば、玉木総理大臣となるには、まだまだ、遠い状況にあると思います。
数ではありません。個人的に国民民主党に望むことは、「鍛える」ことであります。
「鍛える」とは、玉を磨くことであり、深く洞察することであり、挫けぬことであり、
思いやることであり、認めることであり、何事にも臆することなく切り開くことであり、
他、兎にも角にも、鍛えることであります。
新人議員、当選回数を重ねた議員の区別無くであります。
勿論地方議会においても同様であります。
国語、算数、理科、社会、歴史。兎に角鍛えましょう。
「国民民主党」 この政党名が大好きなんです。
認めるというのは、日々の生活に、決してあきらめることなく、真摯に、臨んでいる方々を意味しております。
xxxxが付いた男を女性と認めるといったものではございません。
また、別氏制度を意味するものでもありません。
どっちかというと、今の自民党は自立大連立を選びそうなんですよねえ・・・
『自立大連立』って、語感とは逆に"自立"とはほど遠いような....
玉木氏、本人も望んでないと思いますよ。
これで調子に乗るようなら国民民主も終わるかなぁ。
自公立の大連立ですよ。
そして日本は、終わると言うシナリオかな
政権交代にはネガティブなイメージしかありませんし、たぶん既存の野党が勝てばそうなります。
でも過去の実績でも、ポジティブな面を探すとするならば、
「どぶさらい」
の効果はあったかと思いますね。
自民党と国民民主党が組むなら、
「国交省は公明からぶんどる」
これだけでも大きな意味があるでしょう。
立憲民主党&維新と組むなら、
「警察と公安はぶんどる」
これだけでも今ホットな話題のDEEPな一次情報にアクセス&公開するなら、既存の利権に対して大きなカウンターになるでしょう。
まあ、政権には参加せず政策ごとに是々非々で賛否を決めるスタンスでよいかと思いますけどね。
玉木もおっちょこちょいだから。