国民民主党が提唱した「手取りを増やす」が実現しないことがほぼ確定した一方で、ニューズ・メディアを眺めていると、低所得者層向けのガソリン券配布や高齢者向けのスマートフォン購入助成など、対象を限定した規模の小さなバラマキという話題には事欠きません。効果の薄いバラマキもチリと積もれば山となりますが、これらはまさに、戦力の逐次投入のようなものでしょう。
『非課税世帯への3万円給付と「取って配る」式の非効率』でも取り上げたとおり、政府は物価上昇による生活苦への対応として、住民税非課税世帯などに対する現金給付を柱とした生活支援を行っています。
すでに指摘したとおり、これについての問題点のひとつは、各自治体ではその支給対象世帯を特定するなどの無駄な作業を強いられているのが現状と考えられます。支給対象となる要件が、「令和6年度住民税非課税世帯」などであるためです。
また、これに加えて支給対象世帯とそうでない世帯との間での分断を生むことにもつながりかねず、実際、インターネット上では「我々も生活が苦しいのに、なぜ我々中間層には生活支援がないのか」、といった怨嗟の声も散見されるのが実情でしょう。
ただ、こうしたバラマキは、各地方でも見られるようです。
SBC信越放送が28日付で配信した次の記事によると、長野県は28日から、生活困窮世帯を対象にした1世帯5,000円分のガソリン券の申請の受付を開始したのだそうです。
5000円分のガソリン券を生活困窮世帯に…支給に向け申請の受け付け開始、世帯年収200万円未満または住民税非課税世帯が対象、郵送かオンラインで7月末まで
―――2025/02/28 14:36付 Yahoo!ニュースより【SBC信越放送配信】
ちなみに対象となる世帯は、①今年1月1日時点で県内に住民登録があり、②2023年の世帯年収が200万円未満、または今年度の住民税が非課税で、③ふだん自動車やバイクなどを使っている世帯、だそうです。
また、東京都に関しては、朝日新聞が27日付で、こんな内容を報じました。
東京都が高齢者のスマホ購入費を助成へ 不慣れな人への支援も拡充
―――2025年2月27日 5時30分付 朝日新聞デジタル日本語版より
記事によると26日の都議会代表質問で、公明党の東村邦浩議員(公明党)に対し、山田忠輝・デジタルサービス局長が高齢者へのスマホの購入助成を検討する考えを表明したのだそうです。
ちなみにこの「東京都の高齢者向けスマホ購入助成」については、東京新聞も28日付記事『公式「東京アプリ」が始動 秋には1人7000円相当のポイント付与キャンペーン 都民サービス向上狙う』で報じていますので、おそらく間違いないのでしょう。
正直、各自治体がやることに文句をつけるのも筋が違うとは思う反面、「生活困窮者」(?)や「高齢者」など、一部の人たちへのバラマキを見ていると、どうしても、「戦力の逐次投入」という表現が頭をもたげてきてしまいます。
こうした経済効果が低いバラマキも、チリと積もれば山となる、という代物です。
これに対し、国民民主党が提唱した「手取りを増やす」は、基本的に基礎控除を(おそらくは所得2400万円の層まで)一律で75万円増やす、というものであり、その減税効果は甚大です。中間層には年間10~20万円レベルの減税効果が得られるからです。
これくらいに手取りが増えれば、消費などの波及効果は極めて大きいと考えられるのですが、それと同時に減税は早くやらなければ意味がありません。
いずれにせよ、バラマキ系の記事を眺めていると、つくづく、宮沢洋一税調会長という人物を中心とする自民党税調インナーの理不尽さ、頭の悪さ、そして石破茂首相の指導力のなさは、印象的と断じざるを得ないと思う次第です。
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バラマキの壁が増える一方ですね
自分は理系なので、簡単な数式で壁など簡単に無くせるのに
自民党は老人へのアピールに私も頂ける3万円で、勝てると思っているのですね!
頑張っている人を応援出来る社会になる様、活動をお願いします
5000円分のガソリン券配布は減税によって行政サービスの「質が落ちる」との主張を裏付ける為の行動でしょう。従いまして、かの行政はこれを「サービス」だと考えているのではないかと推測します。地方行政においては、「ばら撒き」が「サービス」に変質してしまったことの証ではないでしょうか。しかしながら、物価上昇だけが一人歩きし、手取りが全く増えない中で重税を課される国民にとっては「有難いサービス」であることに変わりはありません。
サービスの意味を履き違えていることについては、問題ないようです。
高齢者のスマホ購入については、助成の基準が高齢者というだけのようですが、これでもか、という程の詐欺犯罪対策は必要でしょう。申請者名簿が漏洩するなどは十分に考えられます。
これらの情報を扱う人間が犯罪組織と無関係であるとは断言できない。権限を有する人物が
最も危険であることは周知の事実でありますから、情報を扱う人物に対しては厳重な監視と
情報の扱いに制限を設ける、且つ、情報の扱いをチェックするなどの管理が必要になるものと
思います。当たり前の事ですが、こうした認識すら持っていない者がいることも事実です。
肝心の経済効果面においては、地方行政の単なるサービスですから、ほぼゼロではないかと。
個人の心象的には経済効果はあった、ということになりますか。
1点書き忘れてしまいました。
公明党がやることでありますから、当然、支那人も対象に含まれるものと推測します。
支那人優遇については自民党も文句は言わないでしょう。区別はしない、差別も問題に
しない。
ここで登場するのが支那人の現地ブローカーです。日本の行政は日本国民には厳しくても
金持ちの支那人は優遇するそうでありますから、ブローカーの言う通りに申請すれば数時間で程度で高価なスマートフォンを格安で手にすることが出来ることになる。
これで「観光を楽しんでもらえれば良い」、つまり「楽しい日本」となる訳です。
自民公明の阿呆は「現地説明会」をするのかもしれません。
いや、するでしょう。
レベルの低い政治家ほど、税金を使って新たに何かをやるってことを一生懸命推進している様に感じますね。
子供家庭庁や防災庁を作ろうとか、私学を含めた高校の無償化とか、『不法』移民の保護とか・・・歌舞伎町に集まっているホスト狂いの女性に、コンドームを無料で配布しているなんて、なんで税金でやってるの???って馬鹿でも感じると思うのです。
別に管元総理を非難するつもりはありませんが、ふるさと納税なんて、過大に徴収されていた住民税が、ふるさと納税業者と地元の供給業者の利権になっているだけですよね。おかげで、カニとか和牛とかなどの特産品は、米どころでは無く高額になっています。だって徴収される住民税で自分だけが特することが出来るって喜ぶ奴が多いから。
まあ、間違いなく文句の出にくいところから徴収して、バラまく構図が出来上がっていますよね。
因みに、私立高校まで含めた高校無償化によって財源が楽になった東京とか大阪とかって、また、新たなバラマキをやりますよ。そしてそれを国費に付け替える。無限地獄だな。
この国は滅びますね・・・
ああ因みに、アマゾンがふるさと納税に参入するって報道がありましたが、これって、国富の流出ですよ。
>国民民主党が提唱した「手取りを増やす」が実現しないことがほぼ確定した
すぐ諦めて忘れる日本国民(=まだ搾り取るだけの余地がある)と思われる。
財務省は30年(孫・子の代までの時間)をかけて、この状況を作り出した。これを覆そうとしているのだから、2~3か月騒いで諦めていてはとても挽回できない。
この問題は、超長期スパンで孫・子の代に禍根を残さない覚悟が無ければ、それこそ孫・子の代には8公2民もあり得るだろう。(消費税増税等で、7公3民、インフレによる自然増税で8公2民はもうすぐ)