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SNSで発信しても不適切な意見が批判されるのは同じ

ダメな政治家がSNSで情報発信したところで、支持が増えるわけがありません。毎日新聞の報道によると、自民党の宮沢洋一税調会長は20日の会見で、「税は理屈の世界」、「しっかりとした理屈を伴ったものでなければいけない」などと述べたそうですが、そのわりに自民党税調や財務省が主張する税の理屈はメチャクチャです。

高まるSNSの影響力

昨今は、XなどのSNSの社会的影響力が高まっていると指摘されます。

実際、先月の兵庫県知事選などでも明らかになった通り、最近は新聞、テレビなどを中心とするマスメディア(あるいは「オールドメディア」)の報道よりも、SNSで流れている情報を重視(または信頼)する人が増えて来ていることは、おそらく間違いありません。

こうした状況に危機感を覚えているためでしょうか、最近だと一部のメディアを中心に、「SNSに対する規制が必要だ」、などとする主張も出て来ているほどです。

たしかにSNSでは誰もが簡単に「情報発信者」の立場になれるため、いい加減な情報、科学的に間違った情報、デマ、流言飛語、誹謗中傷のたぐいがSNSでは溢れ返っているのが現状でしょう(実際、著者自身もSNSで誹謗中傷されることは日常茶飯事です)。

ただ、著者に言わせれば、この「SNSの社会的影響力が高まっている」という表現は、ミスリーディングでもありますし、単純な「SNS悪玉論」に与するつもりもありません。

SNSはただのコミュニケーションツールに過ぎないからです。

つまり、SNSはそれ自体が意思を持っているわけではありませんし、SNSで流れている情報、SNSを眺めていて受ける印象などは、あくまでもSNSユーザーの意思の集合体に過ぎないのです。

当然、SNS空間には誰もが自由に参加できるため、個々のポストには非科学的なものもあれば、低レベルなものもあります。

SNS空間では専門家が情報を検証している

しかし、それと同時に(あくまでも著者自身の主観ですが)おかしなポストに対しては第三者からの批判が寄せられますし、オリジナルのポストとそれに対する批判のそれぞれに評価がつくなどし、どちらの主張が多くの支持を得ているかが可視化される傾向があります。

これこそが、オールドメディアにはないメカニズムです。

そして、「誰もが自由に参加できる」ということは、言い換えれば、新聞やテレビには出てこないような専門家も、SNS空間で情報発信していて、ときにいい加減な情報を厳しくチェックしているのです。

日本だと、新聞やテレビが妙な思想を持っていたり(たとえば反ワクチンや反原発)、特定の勢力(たとえば財務省)の意見をそのまま垂れ流していたりする傾向がありますが(著者私見)、こうしたオールドメディアの情報に対し、SNS空間でも忌憚なき意見を見ることができたりするわけです。

いずれにせよ、「SNSだから正しい」、「オールドメディアだから間違っている」、という単純な話ではありません。SNSだろうがオールドメディアだろうが、正しい情報は正しく、誤った情報は誤っているのです。

そして、その情報が正しいか誤っているかについて判別しやすい、という意味では、優位性があるのはオールドメディアではなく、SNSの側であることは間違いありません。

宮沢税調会長のおかしな発言

こうしたを踏まえて、毎日新聞が20日付で配信したこんな記事を紹介したいと思います。

SNS人気の国民民主に反論 「税は理屈の世界」と自民・宮沢税調会長

―――2024/12/20 19:04付 Yahoo!ニュースより【毎日新聞配信】

自民党の宮沢洋一税制調査会長が20日の記者会見で述べた内容を記事にしたものですが、毎日が報じた宮沢氏の発言、いろいろツッコミどころだらけです。国民民主党の玉木雄一郎氏や榛葉賀津也氏の会見などがSNSで「大変人気がある」ことについて、次のような趣旨のことを述べたとされるからです。

  • 私どもも(玉木氏や榛葉氏らに)対抗できるようなSNS上の働きかけをしていかなければならない
  • 税は理屈の世界。しっかりとした理屈を伴ったものでなければいけない

…。

どこからどうツッコめばよいのか悩みます。

そもそも毎日新聞が宮沢氏の発言を(ニュアンスを含め)正確に伝えている、という前提が付きますが、この宮沢氏の認識自体、かなりズレたものだからです。

そもそも、ダメな政治家がSNSで情報発信したとして、支持が増えるとは限りません。上述の通り、SNSはそれ自体が意思を持った主体なのではなく、あくまでもそれを使う個々のユーザーの意思の総和に過ぎないからです。

したがって、「SNS上で働きかけるべき」のくだり自体、大きな間違いです。役所の論理を振りかざし、有権者の気持ちを掴めていない政治家が、なまじっかSNSを使ったとしても、人気者になれるはずなどあり得ないからです。

SNSを利用しているのは個々の国民・有権者(つまり主権者)であり、その主権者から受け入れられない理屈(あるいは主権者を舐めた態度)を発信したら、その発信手段がSNSであれ、オールドメディアであれ、「炎上」するのは当たり前の話でしょう。

税の理屈がメチャクチャなのは宮沢氏と財務省の側

また、宮沢氏は「税は理屈の世界」、などとおっしゃったそうですが、そのわりに自民党税調や財務省が主張する税の理屈はメチャクチャです。

基礎控除を長年放置してきたこと、減税による税収減の試算が雑で誤っていること、減税による経済に対する乗数効果を無視していることなどを踏まえると、「理屈がない」のは宮沢氏(あるいはその裏側にいる財務省)の側ではないでしょうか?

いずれにせよ、宮沢氏らがSNSを使って手前勝手な財務省のロジックで税制を騙るなら、自由にすれば良い話です。

ただ、それに対する反応が、宮沢氏、あるいは財務官僚らが望むものではないものだったとしても、文句を言うべきではないでしょうし、財務省の主張を繰り返すすべての政治家が次回以降の選挙で、順次落選していく可能性が高まっていることについても指摘しておく価値がありそうです。

ちなみに宮沢洋一氏自身は参議院議員でもあるため、衆院解散により議員の身分を失うことはなく、任期が2028年に到来するまで国会議員を務めることができます。

しかし、その2028年といえば(著者自身の予測では)SNSなどネットの影響力はいまより数段強くなっているでしょうし、いくつかの新聞社が経営破綻している可能性があり、宮沢氏自身の落選も視野に入ります(もっとも、年齢的には引退、という可能性もありますが…)。

与党、野党を問わず、経済合理性のない増税を主張するすべての政治家は、現在よりも票を減らす可能性が濃厚であり、状況次第ではSNSの影響力がその政治家の当落に影響を与えるほどに大きくなることは、十分に予想できるところでもあります。

だからこそ、当ウェブサイトでは「すべての政治家は有権者の声に真摯に耳を傾けよ」、と主張しています。

所得税、法人税、消費税、社会保険料など公租公課の「取り過ぎ」の問題に対しても、早急な改革が必要であり、また、現在の日本は資金循環構造に照らし、国債を増発して公租公課負担を減らすだけの十分な余力があります。

そんな当たり前のことを、政治家の皆さんはしっかりと勉強し、有権者と向きあっていただきたいと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (19)

  • 「これからは。IT の時代らしいな。」
    「お前、ちょっとIT てのを買ってこい」
    (····社長ぉ~)

    みたいな?

    根本的にわかってないですねえ。
    オールドメディアが非難されてるのは、
    「SNSが敵だから」
    ではなくて、
    「SNSは言論への検証や淘汰が作用してるから」
    ですよね。

    フェアな紙面で、検証と淘汰が作用してれば、今でも新聞やテレビは耳目を集められると思います。
    (その方針でこれまでみたいなジャブジャブのスポンサー料を集められるかどうかは知りませんが)

    そういえば立花孝志の動画で、
    「神戸新聞の記者がリハックを知らなかった」
    とありました。

    本当ならビックリですね。
    新聞記者ってソースを問わずに最新の情報を集めて裏付けをとって分析して記事に書くのが仕事だろうに、こともあろうに兵庫県知事選で渦中にある神戸新聞が立花孝志関連動画を知らない、と。

    「これからは。SNS の時代らしいな。」
    「お前、ちょっとSNS てのを買ってこい」
    (····社長ぉ~)

    • 毎度、ばかばかしいお話を。
      秘書:「社長、これからはSNSの時代らしいです」
      社長:「SNSで、俺が望む結果を出す社畜を買ってこい」
      どこかのお笑い芸人が、コントでやりそうな。

  • 宮沢洋一御大のTwitterアカウントを発見しました。

    https://x.com/miyazawa_yoichi

    最後の投稿は2022年7月。参議院選挙の時ですね。わかりやすいです。
    リプライ欄は推して知るべし。(笑)

    次の発信は4年後ですかねー。
    早速フォローしたんですがあんまり期待できなさそうです。

  • 人気者にはなれなくても、イジられキャラにはなれるかもしれない。
    宮沢氏のご高説をSNSの場でもっと聞きたいです。

  • (どこの動画からだったかは忘れましたが)これからはSNSではなく、スマホで動画を流すことではないでしょうか。なにしろ、高齢者は小さな文字は読めませんが、小さな画面でも聞くことはできますから。

  • 財務省と自由民主党の財務族が言う「理屈」とは、頭に「屁」が付く理屈ではないでしょうかね。
    そんな事を言って押し通してしまおうと考えているのでしょうが、今の時代、そのような筋の通らない事をしても逆に強い反感を喰らうだけですし、今までの慣習や前例踏襲は通用しないものなのだと観念すべきでしょう。

  • 宮澤さんの財務省キャリアーは理財畑の課長補佐のあとは、おじさんのコネで大臣官房とか総理大臣首席秘書官とか歴任されたような。
    実質、小西さんと同じ、課長補佐どまりの方みたいですね。
    脳筋の方が、たまに頭使おうとすると次のようなことがよくありますよね。
    「税は理屈の世界。」とかいって、まじめな顔して、財務省の中でしか通じない理屈を真剣に真面目な顔して持ち出して、一般人は「はあ~?」。
    狭い世界に生きてきた人は、これだから。

  • 正直この政策が成功するためにはみんながもっと働くようになるかどうかだとなるかどうかだと思う。

  •  理屈を示さない側が「税は理屈の世界」は中々。
     理を持たぬものが指摘から逃げる時によく使う言い草ですね。「し、素人は黙ってろ!」ってやつ。

  • 理屈の世界なんて税に限った話じゃないのにね、この現代において。
    SNSで発言している人らが全員感情でものを言っているとでも思っているのかね?
    たやすく他人の納得も得られず、反論されて終わるような理屈を理屈と称していることが愚かしいからSNSでこき下ろされているのもわからないのか。
    宮沢氏の仰る理屈の世界とやらは枕に「俺の」もしくは「財務省の」がついてるんでしょう。
    しかし本来協働者もしくは行使する相手の官僚に、しかも民衆に敵視されてる財務省なんぞに諂う宮沢氏はじめ立憲民主党の諸君はどういう気分なんだろう?

    • 減税とちゃう、つーの。

      という野暮はおいといて、肌感覚としては年末にパートやアルバイトを控えてる人たちは多いですよ。

      なにを隠そう我が家も奥さまの勘違い(というか何にも考えてなかった)で世帯所得の申告が間違っていて追徴をくらいました。
      今年はかなり累計を気にしてますから。

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