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韓国で戒厳令→すぐ撤回の騒動…日本のテレビはスルー

韓国で尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領が3日深夜に戒厳令を出したものの、約6時間後に戒厳令を撤回する、という椿事が発生しました。もともと尹錫悦氏の支持母体は国会で少数派とされていますが、造反が生じれば、もしかすると2017年の朴槿恵(ぼく・きんけい)氏に続き、尹錫悦氏も罷免、という流れがあり得るかもしれません。ただ、それ以上に強烈なのは、韓国の混乱を中継しなかった、NHKをはじめとする日本のテレビ局のポンコツぶりでしょう。

尹錫悦大統領、戒厳令を出して6時間後に撤回

韓国の尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領は3日、戒厳令を発し、その後、6時間後に戒厳令を撤回するという椿事が発生しました。

韓国メディア『中央日報』(日本語)の報道によると戒厳令は1980年5月18日の民主化運動当時のものからじつに44年ぶりのことで、戒厳令(非常戒厳宣言)が出されたのは3日午後11時47分頃であり、尹錫悦氏は戒厳令を出した理由について、次のように述べたそうです。

北朝鮮共産勢力の脅威から自由大韓民国を守り、我が国民の自由と幸福を略奪している破廉恥な従北反国家勢力を一挙に清算して自由憲政秩序を守るために非常戒厳を宣言する」(中央日報日本語版『尹大統領、非常戒厳を宣言…国会で解除可決』より)

ただ、国会側は禹元植(う・げんしょく)議長が戒厳令解除を要求するための国会本会議を直ちに招集し、国会側は野党・「ともに民主党」のみならず、与党側の「国民の力」の韓東勲(かん・とうくん)代表も戒厳令に反対する立場を表明。

戒厳令から約6時間後の4日午前4時27分頃、尹錫悦氏は非常戒厳宣言を解除すると発表したのだそうです。

議会で少数与党状態の韓国…弾劾はあるのか?

もともと、韓国では議会(定数300)の6割近くを左派政党である「ともに民主党」が占めており、これに対し尹錫悦氏の支持母体である「国民の力」は、弾劾を辛うじて否決するだけの弱い立場に置かれています。

JETROウェブサイトの4月11日付・ビジネス短信『国会議員選挙は野党が勝利、尹政権は苦しい政権運営続く』によると、「ともに民主党・ともに民主連合」は175議席を獲得した一方、「国民の力・国民の未来」は108議席と少数与党に留まっているのです。

韓国の憲法上、大統領の弾劾は国会在籍議員の過半数の発議と3分の2以上の決議がなければならないとされていますが(第65条第2項)、さすがに今回の戒厳令で「国民の力」側からも造反が出るなどすれば、尹錫悦氏の罷免が実現するかもしれません。

大韓民国憲法第65条

①大統領・国務総理・国務委員・行政各部の長・憲法裁判所裁判官・法官・中央選挙管理委員会委員・監査院長・監査委員その他法律が定める公務員がその職務執行において憲法や法律の違反がある時は、国会は弾劾の訴追を議決することができる。

②第1項の弾劾訴追は、国会在籍議員の3分の1以上の発議がなければならず、その議決は、国会在籍議員過半数の賛成がなければならない。ただし、大統領に対する弾劾訴追は、国会在籍議員の過半数の発議と国会在籍議員の3分の2以上の賛成がなければならない。

③弾劾訴追の議決を受けた者は、弾劾審判があるまでその権限行使が停止される。

④弾劾決定は公職から罷免することにとどまる。しかし、これにより民事上または刑事上の責任が免除されない。

実現すれば、2016年12月に弾劾訴追され、翌・17年3月に罷免された、朴槿恵(ぼく・きんけい)元大統領以来のことです。

ウクライナ戦争で北朝鮮がロシアに軍を送り込んでいる疑いが生じるなど、この地域に大きな地政学的動乱が予想されるなかでの政情混乱は、本当に象徴的であり、そして「日韓・日米韓安保協力」という構想が絵空事であることを示唆している格好です。

隣国・日本のメディアはほぼスルー?

そして、本件を巡ってもうひとつ、印象的な話題があるとすれば、(複数の方々の報告によると)日本のテレビ局はほぼ、韓国の戒厳令の状況などについて特番を組まず、スルーしたらしい、という点でしょう。

BBCを含めたおもに英米系のメディアが特番を組んだとの話も聞こえてくるなかで、隣国である日本のメディアが無様なポンコツぶりの醜態をさらした格好です。

「公共放送」を自称し、職員1人あたり1500万円という巨額の人件費を負担しているNHKを筆頭に、日本のテレビ局は、なかなかに強烈です。韓国の混乱は、日本のテレビ業界がどうしようもなくポンコツであることを示しただけでなく、SNSの威力を再確認する良い契機となったのかもしれません。

つい先日の『「情報支配力を喪失したテレビ」が流行語大賞で可視化』でも取り上げたとおり、今年の「流行語大賞」には、「ふてほど」が選ばれました。

この「ふてほど」とは「不適切報道(ふてきせつほうどう)」のことなのだと思いますが(しらんけど)、その「ふてほど」の具体例がさっそくに出て来たという意味では、じつに適切なチョイスだったのではないか、などと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (25)

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    SNS:「兵庫知事選でテレビに勝った。韓国戒厳令でもテレビに勝った」
    蛇足ですが、テレビとしては、(兵庫知事選の直後なので)ネットの後追いをしたと言われたくなかったのでしょうか。

    • 今回の韓国戒厳令で、韓国政府が変われば、日韓関係に影響が出る可能性もあるのではないでしょうか。となると、テレビが特別番組を組んでもおかしくなかったのでは。

  • 普段韓国大好きな癖してこれは報道しない忖度?の謎。これは普通に即座に報じるべき事案でしょう。

  • 外務省公式ツイッター(現:X)がこのことについて一切の動きを見せていなく
    公式サイト見に行っても渡航注意のページ見に行っても何も書かれていないのがかなり気になる感じですね
    隣国で戒厳令が起きたとなれば最低限、現地邦人向けのアナウンスぐらいは即出して欲しいものですが……

    • 安全保障の専門家を自称する石破総理に、質問したいものです。

      • 韓国の戒厳令で政府、官房長官、国家安全保障会議からなんらかの声明出てましたか?どこが安全保障の専門家なのか

  • 時間から考えて六本木か赤坂で飲んでた。
    または家で寝てた。
    寝ぼけまなこで行ってみたら戒厳令解除になってた。
    「な~んだ、うち帰って寝なおそう」

    ソウル特派員は韓国語も理解できないし辞書引きながら英米のニュースをネットで閲覧。
    [martial] は軍のと言う意味だし、[law]は法律と言う名詞 何の事だろうと思って頭をポリポリかいていたら夜が明けた。

  • 尹錫悦大統領の指導力は、ほぼ無くなりましたね。弾劾→マフィアの親玉のような次期大統領の流れが見えます。日本としては尹錫悦大統領は満期まで務める予定で事を進めていたと思いますが、まさかの強権発動で自滅でしたね。何より痛いのは韓国右派が消滅の危機となった事でしょうか。経済より国防に重大な影響が出るでしょうけど、あの首相では.....
     今回の遠因は左派を多数輩出した韓国国民の選択であり、戒厳令発令への抗議行動も後押しとなり左傾化と民主「韓国」の崩壊が現実的ですね。かの国は地政学的にも、国民の器質的にも揺り戻しが効かず、左傾化一直線でしょう。気がついたときは「ニカラグア」で、民主「韓国」に戻りたくても不可能でしょう。もともとカノ国は民主主義を崇拝はしていないでしょうから。まだ自由に帰国できるうちに、在韓邦人の方の帰国を望みます。自衛隊は助けに行けませんから。

  • 昨夜以来、韓国ウォンが対ドルで急落下。

    戒厳令解除後、やや落ち着きを取り戻しつつありますが、今後の展開次第ではどうなることやら・・・。
    しばらくは株価以外でも目が離せない状況ですが、相変わらずメディア(特にTV)の感度の鈍さには呆れるばかりです。

  • ン~朝鮮半島有事で視聴読者煽ってしまうとガチ有事の前に「難民流入危機」が広く周知されてしまって流入対応議論が盛り上がる機運となってしまい、なし崩しに日本移入社会背乗りがヤりづらくなるからかしらん?
    まー半島有事ともなれば「周辺ホニャララ」となって日本社会にも影響は出るだらうに、“報道”が聞いて呆れるナ
    日本外務省も大概なけどトップ誰やったか…特捜最前線のウラやったかの…こらあかんわ
     
    知らんけど

  • お粗末な戒厳令でした。政治家じゃなくて検察官だった、なんて今のところの感想。

    日本のマスコミ各社は昨晩は報じませんでしたね。NHKは旅番組の再放送をやってたと聞きました。
    あるジャーナリスト氏のツイートで、マスコミ各社の現地記者がxで逐一情報をツイートしていたので「日本のマスコミの取材力がクソというのは間違い」、という指摘を見かけました。BBCなどの現地中継も第三国有事のテンプレ報道であって中身は薄かった、日本のメディアは中身が薄いことが分かっていたからこその判断ではないか、と。
    これを後押しするインフルエンサーもいたり。

    ただまあ、国内で立て籠もり事件が起こればムダにヘリを飛ばして特番をやるようなマスゴミがですよ、あの大事件で何もしないってことに疑問があるわけで、ちょっとピンボケかなと思います。
    現場からの特番は、たまたまテレビを見た人に「コトが起こっている」ことを知らせる意味があるのだろうと思います。伝える情報が薄かったって、「情報がないんだな」ということを確認できる意味もあります。在留邦人も多数いる韓国、安否を気遣う人も多いはず。不測の事態に備える認識を持てます。
    特番をやる意味はあったのにやらなかった。視聴率が落ちてその効果は薄くなったとはいえ、その機能を自負するマスコミ自身がそれをやらなかったことが問われているんではないでしょうかね。
    韓国が極左国になって緩衝地帯としての機能を果たせなくなることすら今後は想定しなきゃならないですよね。外交安保方針に関わる重大事。国内の立て籠もり事件なんかとは桁違い。

  • 北韓国と南韓国とに分かれないことを祈ります。
    マスコミはコロナ禍では防疫先進国素晴らしい一色でしたが今回は戒厳令、憲法先進国、韓国素晴らしいとはなりませんでしたか。

    • 北韓国と南韓国に分かれれば→北朝鮮+北韓国(5)vs南韓国(1)で、南韓国は自然消滅でしょうね。今回は米国も守ってはくれないでしょう。

      • だから連中が大挙“難民として”押し寄せて来る事態を想定した事前準備が要る云いよろーが

  • 普段から、いらない場面で南国趣味をふんだんに
    取り入れ、日本の紅白歌合戦が何故か南国歌合戦しているのに
    一番大事な時に報道しないのでしょうか?
    報道・ジャーナリストの文字が背中で泣いているぞ~。

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