マイナ保険証の真骨頂は、紙の紹介状の廃止と医療情報の共有、そして不正の根絶による医療費の大幅な節減―――。日々便利になるマイナンバーカードですが、読売の報道によれば、政府はマイナ保険証を利用する患者の電子カルテ情報について、医療機関同士で共有する新システムの運用を2025年度に開始する方針を固めたそうです。不正利用をなくすだけでなく、より良い医療をより安く受けられる時代が到来するのでしょうか。そして、その課題は何でしょうか?
マイナ保険証の勧め…とてもカンタン!
マイナンバーカードを持っているという人に、是非ともお勧めしたいのが、健康保険証としての利用です。
厚生労働省ウェブサイトの『マイナンバーカードの健康保険証利用方法』によると、すでにマイナンバーカードを持っている人であれば、カードリーダーから申請するか、それともマイナポータルやセブン銀行ATMなどから手続すればOKです。
- 医療機関や薬局などに備えられている顔認証付きカードリーダーからの申請
- マイナポータルからの申請
- セブン銀行ATMからの申請
著者自身はマイナポータルから申請したクチですが、マイナポータルの特有の使い勝手の悪さはあるにせよ、登録自体はさほど難しくありません。
そして、この歳になるとさまざまな医療機関のお世話になるのですが、これがすこぶる便利です。
サイフやスマホの中のカードが1枚減るだけでもずいぶんと嬉しいものですが、マイナンバーカード1枚あれば、それだけで公的な身分証明として使用できるほか、保険証としても使えるうえに、来年3月からは運転免許証としての機能も搭載可能となる予定です。
将来的にはスマホ搭載も!医療不正の激減に向け期待高まる
また、デジタル庁『スマホ用電子証明書搭載サービス』によれば、近い将来、スマートフォン1台あればカードすら不要になる可能性があります。つまり、近い将来、カードがなくてもスマホひとつでさまざまなサービスが受けられるようになる(かもしれない)のです。
というのも、現時点ではアンドロイドに電子証明書機能を搭載することができるうえ、来春からはiOSにも対応する予定であり、これに加えて同庁はマイナ保険証のスマホ対応も今後対応を予定してしている、などと述べているからです。
マイナンバーは、いわゆる「国民総背番号制」のようなもので、著者自身の記憶だとこの「国民総背番号制」を巡っては、1980年代頃には左派メディアや左派政党が舌鋒鋭く批判していました。国家が市民の情報を管理するようになる、といった批判です。
オーバードーズ問題に現行保険証は無力
しかし、現実問題として見れば、現行の紙やプラスチックの保険証だと、そもそも顔写真もなく、また、(多くの場合は)住所も印刷されていません(著者自身が所持している保険証は、住所は裏面に手書きする、というタイプのものです)。
このため、(一部の人の指摘によれば)不正が横行しており、他人名義の健康保険証で受診して医薬品を過剰に処方させ、過剰に服用するなどの事例(いわゆるオーバードーズ)に加え、一部では医薬品の転売などの事例も見られるそうです。
仮にある患者が医療機関をハシゴして、たとえば向精神薬などをさまざまな医療機関から処方してもらったとしても、それぞれの医療機関にとっては、その患者がどの医療機関を受診しているかという情報を得ることはできません。
そして、過剰に処方された医薬品を服用したり、転売したりするなど、明らかに不適切な方法で使用するという事例も問題でしょう。
実際、著者自身も過去に一部の個人販売サイトで薬品が大量に転売されているのを目撃したことがあります(※ただし、該当するページは現在、削除されているようであり、また、そのサイトに対する名誉棄損に該当する可能性があるため、該当するサイト名については伏せたいと思います)。
ただ、マイナ保険証が普及していけば、かかる不正利用も徐々に難しくなり、ひいては社会全体の医療費抑制にもつながっていく効果は期待できるでしょう。
マイナ保険証で患者情報共有
こうしたなかで、もうひとつ取り上げておきたいのが、こんな話題です。
マイナ保険証利用の患者、電子カルテを病院間で共有へ…病歴や検査結果も把握可能に
―――2024/11/29 05:00付 Yahoo!ニュースより【読売新聞オンライン配信】
読売新聞は29日、政府がマイナ保険証を利用する患者の電子カルテ情報を医療機関同士で共有する新システムの運用を2025年度に始める方針を固めたと報じました。
新システムは「電子カルテ情報共有サービス」で、厚労省所管法人が管理し、各医療機関から集められた病名、アレルギー、感染症、生活習慣病の検査、健診結果、処方薬の情報を集め、データベースに蓄積するとしています。
これ、なかなかに重要なことを述べています。紙の紹介状が不要になる(かもしれない)、ということを意味しているからです。
もちろん、現状でも、マイナンバーカードによる医療情報の共有は、基本的には本人が同意した場合に限られているため、オーバードーズや薬物の転売などを完全に防止することは難しいかもしれません。
しかし、たとえば「家族名義・他人名義の保険証で複数の医療機関を受診する」といった不正に関しては、(完全にではないにせよ)ある程度は防げるでしょうし、なにより効果が大きいのは、医療機関同士で過去の受診情報などを共有できる、という点でしょう。
この点、読売の記事によると、マイナ保険証の利用率は10月時点で2割弱と低調であるのに加え、医療機関が新システムに接続するためには電子カルテの改修が必要となるなど、まだいくつかの課題が残っているようです。
しかし、それでもこうしたIT化を進めていくことで、より効果的でより安い医療が実現するのだとしたら、これは歓迎すべき話ではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
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私は職歴の影響もあり「利便便利」という言葉には眉にツバをつけるひねくれ者の性格になっています。
今の世の中、その「利便便利」を実現するために、数多くのシステムをAPIを実装して結合し、関係者が不断の努力を惜しまず提供することで「使えるのが当たり前」の状況即ちMTBFは長くMTBRは短くを維持しています。
当然ですが、普段「利便便利」を享受している利用者は、そのサービスを享受できない期間即ちMTBRの耐性は便利でなかった時代の人々より低下します。
一方で、システムがより高度に融合していけば、MTBFは長くMTBRは短くを維持するのは益々難しくなってきます。
勤労者の現役期間は40年としても同じ職務に長く務めることは稀であり、長期に亘りシステムを理解するのは困難で、特に大きいシステムですと全現役期間を投じてもその一部に携わり残りはアナロジーで理解するのが精一杯でしょう。
自分の身の周りでも電子回路で言えばアナログを得意とする人やソフトウェアでも旧世代の言語を理解する人はどんどん引退しており、人間の持つ寿命という時間の制約から保有知能は明確に上限があり、故に「手に負えない」「手を染めてはいけない」というシステム構築上の禁断領域というのは存在すると考えています。
それを打破できるのは、集合知を活用でき生物的寿命を本質的に打破できるマシン上の頭脳だけだと思っています。
話が拡散しましたが、ロバスト性、耐タンパ性という概念も社会システム構築には重要であり「ほどほどでいい」「不便を愉しむ」という一種の諦観も必要だと考えます。
読解不能です。
要約すると保険証の電子化には専門家ですら全体像を把握する事は難しい。という状況説明ですね。で?何が言いたいのですか?それで我々庶民はどうしたら良いと考えてるので?一番大事なそこが無いから何が言いたいのかわからない文章です。賢い人は難しい事を簡単に説明できる。何故簡単な事をわざわざ難しく語るのですか?そして一番大事な貴方が何を言いたいのかが、まるで含まれておりません。
貴方の書き込みは文書になってません。名詞とそれに掛かる形容詞しか無いのです。
例えると下記の文章、
私はイチゴが食べたい。
この文章の主語は私、名詞がイチゴ、動詞が食べる。それに未来形の助動詞が付いた文章ですね。貴方の書き込みは延々イチゴの形容詞を並べてますが、主語と動詞が無いので文章になってないのです。これでは誰にも何も伝わりません。何かを伝えたくて書き込んだのでしょうから主語と動詞を入れて下さい。
私などは目が滑ってしまい
>「ほどほどでいい」「不便を愉しむ」という一種の諦観も必要だと考えます。
しかわかりませんでしたw
多分それほど大層な主張をしたいわけではないのではないか? と思います。
ありとあらゆる改革に反対するのがリベラル野党の存在意義です。
間違っても日本人の利益になるような事はしません。
保険証の取り扱いが厳密になったら使いまわしや偽造などができなくなるため
リベラル野党としては非常に困ります。
103万の壁についても真っ当に働いている労働者からみたらきっちり議論して欲しいと思うでしょうが、
真っ当に働いていない方が支持層にしているため、非常に103万の壁についての議論を嫌います。
国民が一番望んでいるのは経済施策です。
紙の保険証や夫婦別姓は二の次の議題です。
彼等は国民の利益を代弁する存在ではないのです。
仰る通りと思う。立憲の支持層であるマトモに働かずに国民が収めた税金を搾取する層の事しか考えてない。国民の中の極一部に過ぎない、しかも大半は犯罪者な彼らを優遇する事で国民全体に大きな不利益を押し付ける政党です。何故立憲に票を入れる人が居るのか理解できません。立憲に投票した方、その理由、なぜ立憲に入れようと思ったのか?その根拠を教えて欲しいです。
マイナンバーの推進は、実質的に減税なはず
国が税金を最大限効率よくつかうことが前提になるけど。
なんで反対勢力がいるのかよくわからない。
二重の管理をすることでコストが上がる。
特許庁なんて紙を出すと一枚数百円とるぞ。
マイナンバーを使わない輩からは手数料とってもいいのに。
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/paper/denshika.html
これです。
マイナ保険証で受診しても通常は特に便利だとは思わないが、一度だけすごいなと感じたのは、ある月に検査が集中してしまって、3回目だか4回目の支払いの時無料と言われた。理由は「限度」システム内で月の医療費の限度計算をしているのだ。
セカンドオピニオンを貰うときに 役立ちそう。なんとなく誤診ぽい時 いろんな検査データは間者は持っていないため。
"間者"に検査データを渡すのは勘弁してください^^;
自分の医療データをデータとして自分に戻してもらえるかどうか。欧州のGDPRの場合は、データポータビリティが認められている。確か。日本は?
病院、クリニックによって使ってる電子カルテのソフトが違うのに医療データの共有なんてできるのかな?
みずほ銀行のシステムwが想起されてしまいました。
マイナカードのデータ登録のミスを見てみれば一目瞭然。だめでしょう。
介護保険の請求や医療保険の請求レベルでは問題ないけどカルテの内容となると無理なようですね。
カルテを構成しているデータベースの仕様で問題が出るのはすぐに気づくと思います。
項目を合わせることと文字数がどこまで合わせられるかですね。症状や検査結果、CTやMRIの結果、診断結果のコメントなどすべてネットに流す予定なんですよね?
膨大なデータが流れるんですよ。必要ありますか?ないと違いますか?
根本的に、マイナカードって保険証と一体にしないと一生のうちで利用回数が数回の人が大半てことですね。不正利用の費用より、マイナカードの維持費の方が高いと思いますよ。
ICカードの保険証にして、データを自分で持っていればそれで良いのと違うかな?マイナカードのリーダーでICカード読めば無駄にはならないしね。
マイナンバーカード、病院で使ってます。
最初は
医療機関や薬局などに備えられている顔認証付きカードリーダーからの申請
が、どのようにするのか、機械の操作が苦手になりつつあるおばちゃんは
億劫にしてたんです。
でも、薬局では薬剤師さんが
病院ではボランティアさんが
とても丁寧に、何度も教えてくれて(教えてもらって)一人でも操作できるようになりました。
御蔭で病院受付で毎月の健康保険証確認せず、(自分一人でカードリーダー操作するだけ)
高額医療費上限も勝手に計算されて、上限超えた部分を差し引いた金額で請求されます。
後日自分で請求手続きをしなくて済むので、事務手続き不要で、とても助かります。
多分、病院受付事務の方も、毎回の健康保険証確認せずに済むことで
ほんの少しでも事務作業が減っていると思います。
停電のときや、個人情報漏れなど、気になる点がいくつかありますが、
便利になったなあと嬉しく思います。
カルテの病院間の共用まで来たのなら、後一歩
そう、初めて診療を受ける時に記入しないといけない
病歴やアレルギーの有無とか、面倒くさいので
一緒に共用して欲しい。
(アレルギーが追加された時、受診時に追加できるようにしてね)
というか、マイナンバーが保険証になる事の意味は
病歴の病院間の共用につきると思うのです。
一つの病気で同じ検査を何度もする意味が無いと思うのです。
(セカンドオピニオン時)
後から他人が読めないカルテの記入防止の為、電子カルテの
導入が必要です。
気になることが一つ
あやしいな?
と受付で気づいても「こわ顔」の方が「問題を起こしそうだったら」そのままスルーする。
と言うことが実際紙保険証で起きている。と聞いています
病院側とすればお金は保険システムで払い込まれ、損害無し。結果無理はしない。
これがマイナンバーカードでも発生すると思います
悪意を持つ人対策とはなんと難しいことか
他人のなりすましを完全に防げないとしても、「本人確認したことにする」から「機械が本人と認めなかった」と一度は機械のせいに出来るのは前進だと思います。
マイナ保険証については、医療費のうち7割(本人負担分以外)を実際に払う保険者(特に市町村国保)や、支払基金の意見も聞いてみたいところです。まずマス◯゛ミ屋さんに本音は出さないとは思いますが...