昨日行われた兵庫県知事選挙では、兵庫県議会から全会一致で不信任を突き付けられた前職の斎藤元彦氏が当選しました。一部メディアの調査によると、若年層から圧倒的な指示を受けたとの情報もあります。6月の沖縄県議会選、7月の東京都知事選に続き、オールドメディアの社会的影響力が急低下している証拠といえるのかもしれません。
目次
沖縄県議選や東京都知事選の事例
当ウェブサイトでは、「政治経済評論」などと名乗りながらも、これまで、地方選挙に関する話題についてはあまり積極的に取り上げてきませんでした。
その理由はいくつかあるのですが、やはり最たるものは、著者自身が全国各地の土地柄に深く通じているわけではない、という点でしょう。
良く言えば「専門家であればあるほど自分の専門外のことに言及する際には慎重になる」ということの裏返し、悪く言えば「各地の実情を詳しく調査しようとしない、著者自身の単なる怠慢」、ということかもしれません。
ただ、今年に入ってから、当ウェブサイトでは地方選挙について言及することが増えている気がします。
たとえば6月の『「逆風」のはずの自民党、沖縄県議選で候補が全員当選』がその典型例ですが、それだけではありません。7月の都知事選に関しては、『都知事選挙で気になる3つの視点』を皮切りに、当ウェブサイトでもずいぶんと取り上げています。
裏のテーマは「マスコミvs民意」
そして、これらの選挙を巡り、(あくまでも著者自身の主観に基づき)その「裏のテーマ」を指摘しておくならば、それは「マスコミ報道と民意の対決」、ではないでしょうか。
マスコミが露骨な誘導を行っても、民意がそれに従わなくなり始めているフシがあるのです。
たとえば沖縄県の場合、とりわけ地元メディアは「オール沖縄(?)」と自称する勢力(日本共産党、社民党、沖縄社会大衆党などの左派勢力)をやたらと強く推す傾向があるようなのですが、6月の選挙では定数48人の議会で、自民党から立候補した20人が全員当選。
「反知事派」は公明党(4議席)、日本維新の会(2議席)、無所属(2議席)とあわせて28議席と過半数を制し、玉城デニー知事を支える「与党」側は20議席に留まっています。
地元メディアなどはこの県議会選の争点を巡って、「普天間飛行場の辺野古への移設の是非を問うものだ」、などと勝手に報じていたのですが、その理屈が正しければ、沖縄県の民意は「辺野古移設にYES」だった、ということです。
あるいは、7月の東京都知事選では、やはり左派メディアを中心とする一部メディアは、前参議院議員でもある齊藤蓮舫氏を強く推すかのような報道を行っていたようですが、現実の選挙では、齊藤蓮舫氏は「2位」にすらなれず、3位で落選しました。
しかも、齊藤蓮舫氏自身が出馬した、都知事選よりちょうど2年前の2022年7月の参院選で、齊藤蓮舫氏自身を含め、立憲民主党や日本共産党の候補者が獲得した合計票数と比べ、知事選における齊藤蓮舫氏の得票数は50万票以上減っているのです。
これなど、いずれもマスメディアがやたらと推す左派候補者が選挙で勝てなくなっていることの証左ではないか、と思えてならないのです。
自民が大敗した衆院選でも立憲民主党は票を増やしていない
もちろん、これは個別の選挙でそのような結果が出ている、という話であり、あまり一般化すべきではありません。
現実問題として、今年10月に行われた衆議院議員総選挙では、立憲民主党が50議席躍進して150議席近くを獲得する一方、自民党が約12年ぶりに単独過半数割れをし、自公連立政権が「少数与党」状態に追い込まれたからです。
ただ、この衆院選も、よく見てみると、そこまで単純なものではありません。
議席数で見て立憲民主党が躍進したことは事実ですが、実際の獲得票数で見ると、小選挙区では、立憲民主党はむしろ前回比で147万票も減らしている(『立憲民主党はじつは小選挙区で大幅に票を減らしていた』等参照)からです。
普段から当ウェブサイトにおいて指摘している通り、衆議院議員総選挙は小選挙区が主体で、第1党が(普通に勝利すれば)圧倒的多数の議席を持って行ってしまう、というシステムであり、今回の選挙は自民党がひとりで勝手に「ズッコケた」ために、比較第2党である立憲民主党の議席が増えたに過ぎません。
むしろ比例代表で圧倒的に票を伸ばしているのが「手取りを増やす」を公約に掲げた国民民主党だったという事実を見ると、やはりマスメディア(とりわけ新聞、テレビ)が勝手に争点化している「裏金問題」、「紙の保険証廃止問題」などが、(とくに若いネット層の)有権者には刺さっていないことは明らかです。
兵庫県知事選で失職した前職が当選!
こうした文脈で取り上げておきたいのが、17日に行われた兵庫県知事選挙です。
これは斎藤元彦氏が兵庫県議会で、全会一致で不信任を突き付けられ、知事を失職したことに伴い行われた選挙で、すでに報じられている通り、開票結果は斎藤前知事が全体の4割を超える票を得て再選されています(図表)。
図表 2024年11月分・兵庫県知事選挙 結果
候補者(※敬称略) | 得票数 | 得票率 |
さいとう元彦 | 1,113,911 | 44.85% |
いなむら和美 | 976,637 | 39.32% |
清水貴之 | 258,388 | 10.40% |
おおさわ芳清 | 73,862 | 2.97% |
無効票 | 19,979 | 0.80% |
立花孝志 | 19,180 | 0.77% |
福本しげゆき | 12,721 | 0.51% |
きじまひろつぐ | 9,114 | 0.37% |
合計 | 2,483,792 | 100.00% |
(【出所】兵庫県選挙管理委員会『令和6年11月17日執行 兵庫県知事選挙/兵庫県議会議員補欠選挙投・開票速報』データをもとに作成)
報道は公正だったのか
ちなみに斎藤氏が失職に追い込まれた契機は、(あくまでも報道等によれば)当時、県の局長だった男性職員が斎藤氏らを巡り、「パワハラ」、「おねだり体質」など7つの疑惑を文書で告発。
しかし、県がこの男性による告発を「公益通報」として取り扱わず、それどころか知事本人が告発者の特定を行ったうえで、県がこの男性を処分したことで、この男性が7月に亡くなった、というのです(状況から見て自ら命を絶ったとみられているそうです)。
そのうえで一部のメディアは「斎藤知事はパワハラ体質」などと決めつけ、元尼崎市長でもある稲村和美氏を推すかのような報道を繰り返したとのことですが、選挙の結果、兵庫県の民意は「斎藤続投」を選んだのです。
この点、著者自身は例の「パワハラ疑惑」などを巡って、あまり踏み込んだ内容は申し上げないようにしたいと思います。
ただ、著者自身が見る限り、X(旧ツイッター)上では、「斎藤元彦(氏)がパワハラを働くとんでもない政治家だ」、とする、一部メディアが垂れ流している認識の方が、じつはフェイクだったのではないか、といった論調に転じていったように思えてなりません。
要するに、メディアが自身が公平な報道をしていたのか、という論点です。
端的に言えば、今回の兵庫県知事選挙、沖縄県議会選、東京都知事選に続く「オールドメディア敗北」の事例ではないか、といった気がしてならないのです。
若年層中心に有権者の投票行動が変化している
いずれにせよ、以前の『【総論】腐敗トライアングル崩壊はメディアから始まる』でも指摘したとおり、マスメディアによる情報統制が、ここに来て一気に揺らいできたように思えます。
実際、一部メディアの調査だと、若年層ほど斎藤氏に投じた割合が高かったそうですし、また、国民民主党の支持率は若年層になるほど高い、といった調査結果も出ています。
<blockquote class=”twitter-tweet”><p lang=”ja” dir=”ltr”>国民民主党の支持率、過去最高11% 39歳以下でトップ<a href=”https://t.co/91xS6KiS8h”>https://t.co/91xS6KiS8h</a></p>— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) <a href=”https://twitter.com/nikkei/status/1858283818337370564?ref_src=twsrc%5Etfw”>November 17, 2024</a></blockquote> <script async src=”https://platform.twitter.com/widgets.js” charset=”utf-8″></script>
少なくともインターネットの発達がメディア支配に大きな風穴を開けつつあることに関しては、間違いないと言えるでしょう。
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今回の兵庫知事選では、投票率があがったそうです。
>https://mainichi.jp/articles/20241118/k00/00m/010/002000c
つまり、前回棄権した人が今回は投票したということです。(もちろん、前回も今回も棄権した人もいます)
マスゴミは、前回棄権した人のうち誰が今回は投票して、(前回のデータがないので)彼らの投票行動は分かりません。ということは、正しい選挙結果の予測ができません。マスゴミにとって、投票率が大幅に上げるということは、これまでの選挙結果予測手法が使えなくなるということではないでしょうか。
この若年層による強烈な成功体験は、プラスに働けば投票率の向上・対オールドメディア牽制
となり、マイナスに働けばSNS悪用による衆愚政治へ堕するリスクを伴うもの
リーガル・ハイで古美門研介が発言したように、民意とはかように大きな力を秘めている
ひとまずは、よかったけどね
投票率が示す通り、前職が、兵庫県民に積極的に選ばれたと言える事実は受け入れないといけません。
裏には既得権益を守ろうとする勢力がいて、激しい対立が起こっているとのことですが、兵庫県民にしか分からない肌感覚があるのかもしれません。
本当により大きな巨悪なるものがあるのか分かりませんが、もはや民意をマスメディアでは動かせない時代になったということだけは間違いありません。
あと、立花党主の見える陰謀論も新しいやり方ですね。陰謀というのは見えないから陰謀というんですが。
本件、居住地が異なるので、単に静観するだけで深掘りもしていなかったのですが、「マスコミ・メディアがヒステリックに騒いでいる=胡散臭い」という方向で認識していました。
なので、なるほど、という結末ですが、維新@兵庫県はマスコミ・メディア的には都合の悪い存在だったのかしらん?という疑問もわきました。
なお、いつもNHKテレビ(8時〜10時)を観ているかみさんは、この斎藤知事の悪口を随分と言っていて、こっちに同意を求めていたので鬱陶しかったです。。。
テレビって恐ろしい。
某局の某ニュースショーでは某有名コメンテーターがテンプレみたいなSNS批判を繰り広げていました。
確かに法規制がないSNS選挙活動には問題がありますが、じゃあ斎藤氏の対抗馬に相当きな臭い活動家連中が与していた事実もきっちり報道してから言ってくださいよ、としか。
SNSを批判するのは無理スジかな。
インターネットのおかげで情報がとりやすくなった、他人の意見がきけるようになったということ。
テレビ、新聞は電話のおかげで簡単に世論調査できるようになったでしょ。
選挙に楽しさを求めてはいけないですが以下面白いと思ったポイント
・土俵際まで追い詰められた力士が最後に大逆転するような選挙展開
・アラブの春のようなインターネットの活用
・市長22名のオールスターのヒーロー集団の出現
・謎の援軍の出現。JR立花駅に立花さんが登場。
と日本人大好き判官贔屓心をくすぐられる要件がいくつかそろっておりました。一方でデマも飛び交っていたと聞きましたので、今後、言論弾圧対製造物責任法的な観点から規制の強化には憂慮といった感じです。
今後の選挙にはSNSの活用が重要ということで蓮舫ダンスたくさん見れるとしたらあのダンスか好きなワタシとしては胸が熱いです。
市長による支持表明は裏目にでましたね。
稲村支持を表明した市長会有志22名(神戸新聞にちゃんと出ていました)は
蓬莱務 小野市長
酒井隆明 丹波篠山市長
清元秀泰 姫路市長
松本真 尼崎市長
石井登志郎 西宮市長
上崎勝規 洲本市長
藤原保幸 伊丹市長
谷口芳紀 相生市長
岡田康裕 加古川市長
山本実 たつの市長
牟礼正稔 赤穂市長
山崎晴恵 宝塚市長
仲田一彦 三木市長
都倉達殊 高砂市長
越田謙治郎 川西市長
高橋晴彦 加西市長
林時彦 丹波市長
守本憲弘 南あわじ市長
藤岡勇 朝来市長
門康彦 淡路市長
福元晶三 宍粟市長
岩根正 加東市長
石丸伸二氏の私見が記事に出ていました
https://news.yahoo.co.jp/articles/42496ebe6883c77a58c109ba4825308c4e027dc1
ちなみに加わらなかった(※斎藤支持と言う訳ではない)のは
久元喜造 神戸市長
丸谷聡子 明石市長
髙島崚輔 芦屋市長
関貫久仁郎 豊岡市長
田村克也 三田市長
大林賢一 養父市長
片山象三 西脇市長
の7市長。芦屋市長は史上最年少の26才で市長になった人ですね。まともな判断ができたのはエライ!
「22市長」中の2人、伊丹と宝塚の市長は当選直後に釈明?命乞い?に行った模様
いや~、作り物のドラマよりも何かオモロイわ
https://news.yahoo.co.jp/articles/e346c664416178dbdc70b4aabe2846f8ab1daf11
公平、不偏と言いながら、先の衆議院選挙で裏金議員と印象操作して、選挙が終わるとしれっと報告書不記載議員と言ってみたり、今回の兵庫の知事選挙では、ネットの情報をデマといい、自分達は疑惑と言う、オールドメディアの胡散臭さが見透かされましたね。
NHK は、Youtube 動画などはこの世に存在していないかの如くのだらだらと長いフォローアップ記事を掲出しています。公用パソコン、不倫日記、動画、流出、記者。今回の復活当選劇を特徴づける重要キーワードのどのひとつも触れていません。
隠蔽は通用しない。ますます炎上するだけです。
キーワードてんこもりのyoutubeがありました。
大炎上中の兵庫県知事選挙。内部告発騒動から秘密会の音声公開、兵庫県の政界に渦巻く力関係…斎藤元彦氏を取り巻く深い闇を解説します。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241117/k10014636221000.html?fbclid=IwY2xjawGoFaNleHRuA2FlbQIxMAABHVehcacm-zN3H0tGkNPd9p8WtuUQ-q8X1O-7dGjRyIlXf2mAmu1tw8DxsQ_aem_BEmlHBLY6-vMhfQg1O-9sA
>パワハラの疑いなどを告発する文書が出て県政が混乱し、議会から不信任を議決された斎藤。知事選に再び立候補したが、当初は「ことの経緯を踏まえれば再選は厳しいのではないか」という声もあった。
>ところが斎藤は急速に支持を広げ、有力視されていた候補を破って勝利したのだ。
>選挙戦で何が起きていたのか、その舞台裏を報告する。
>(神戸局取材班)
NHKは記事本文中で、「斉藤」と呼び捨てですよ。
こういうスタイル、人生であまり記憶に無いですね。
逮捕された芸能人でも○○メンバーと呼称してもらえるのに。
よほど頭に血が上ったのかなあ。
でも言論機関としては自爆テロですね。
客観視点や冷静さを失っている証左ですからねコレ。
だっさ。
“オールドメディア”の『世論誘導力』は低下していると見て間違いなさそうではアリマスが、
比較的高い年齢層まで“オールドメディアの報道”や“オールドメディアの報道姿勢”に疑問等持っている人々がわりと増えつつあるかの模様
「朝日が批判してるなら~」系の反面教師視が根底に在るやのメも棄てきれナイので、ソー云う意味での『影響力』は保持し続けていると観ておいた方がヨイかも知れませナ…
知らんけど
選挙後のマスコミの反応も「ネットの怪しい情報で・・・」系のもので自らを戒めるものはあまりなさそうですね。(一部には反省の弁もあるようですが)
米大統領選の後をなぞるようで草であります。
大きな流れは変わらないかな。気づいた時には時すでに遅し。
> 米大統領選の後をなぞるようで
同感です。稲村は、ハリスか蓮舫か。
隠れトランプならぬ、隠れ斎藤が多くて、オールドメディアが出す数字が狂いまくり。
文在寅に月娼団が居た様に、斎藤を支持する中高年女性集団が居た。
彼女らはオールドメディアの主張を承知しているので、表向きは反斎藤だ。
オールドメディアでは、当初再選の見込みゼロで立候補し、ネット等の援護で大逆転したみたいに言われているが、違うだろ。
不信任案が通った時点で既に、彼女らだけでなく、斎藤本人も、再選の可能性を見込んでいた。
ネットとの関連性が希薄な層に迄、「オールドメディアが、カルテル組んだかの様に大合唱している事は、胡散臭い。」という知識が広まってしまった。
彼女らには、玉石混淆のネットより、井戸端会議・フェイスツーフェイス・口コミですよ。
ネットの力は、最後のダメ押し程度で、ここらに書かれている程のものではなさそう。