自称市民団体が勝手に授与している「化石賞」を、NHKがあたかもCOP29の公式見解であるかのごとく報じました。こうした報道姿勢自体も大きな問題ですが、ツッコミどころはそれだけではありません。それ以上に強烈なのは、この団体が贈呈する「化石賞」とやらを、世界最大の二酸化炭素排出国である中国がほとんど受賞していないらしい、という点でしょう。
例の「化石賞」を日本などG7が受賞
またしても、この季節がやってまいりました。
例の「化石賞」、日本に贈呈されたようです。
COP29 日本などG7に「化石賞」 “温暖化対策に消極的と判断”
―――2024年11月16日 5時35分付 NHK NEWS WEBより
NHKは16日、「COP29」で「日本などG7に『化石賞』が贈呈された」、などと報じたようですが、これがまたツッコミどころだらけなのです。
記事本文には、こうあります。
「アゼルバイジャンで開かれている気候変動対策の国連の会議『COP29』にあわせ、国際的な環境NGOグループは、日本など、G7=主要7か国を温暖化対策に消極的だと判断した国に贈る『化石賞』に選んだと発表しました」。
COP29の公式見解ではないが…!?
…あれ?
記事のタイトルでは「COP29 日本など…」、となっていますが、これだとまるでCOP29の事務局などが公式に「日本などG7諸国が『化石賞』に値する」と認定したかのような誤解を受けますが、記事を読むとわかる通り、「化石賞」はCOP29とは無関係です。
この「化石賞」とやらを贈呈しているのは、「世界約2000の環境NGOで作るグループ」だそうで、化石賞についてNHKは「温暖化対策に消極的だと判断した国に対し、皮肉を込めて、COP会期中に連日贈っ」ているものだと述べています。
すなわち、「地球温暖化対策に消極的だ」というのは、COP29の公式な判断ではなく、COP29の開催にあわせて自称市民団体の関係者らが勝手に「判断」し、「贈呈」しているに過ぎないのです。それをCOP29の公式見解であるかのごとく報じるNHKの姿勢に、問題はないのでしょうか?
なぜ中国は受賞しないのですか?
さらに理解に苦しむのは、少なくとも二酸化炭素排出量が世界最大で日本の約10倍に達している中国が、この化石賞をほとんど受賞していないことです。
昨年の『中国が化石賞を受賞しない理由は「弾圧される可能性」』などでも引用しましたが、中国が「化石賞」を受賞していない理由について、この団体関係者が時事通信の取材に対し、「中国国内でのNGO弾圧につながる可能性もあり、あまり刺激したくないのでは」、などと述べているらしいのです。
「化石賞」なぜ日本ばかり? 中国、際立つ少なさ―COP28
―――2023年12月09日20時32分付 時事通信より
あれでしょうか?
日本を含めたG7諸国では、政府を批判しても罪に問われないから、だから日本などG7諸国にこの手の「化石賞」とやらを贈呈して留飲を下げているのでしょうか?
これだと一種の「メディア向けのパフォーマンス」と批判されても仕方がない気がしますね。
そして、それを喜々として(しかも誤解を与えかねないタイトルで)報じるNHKというメディアが、果たして公共放送として相応しいのか。
いま一度考えておく価値があるように思えてならない今日この頃です。
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化石賞を自称市民団体が決められるのなら、別の複数の市民団体が、それぞれ真化石賞を認定してもよいのではないでしょうか。ついでに、自称市民団体が、NHK問題報道賞も。(なにしろ、NHKは市民から強制的に金を集めているのですから)
毎度、ばかばかしいお話を。
NHK:「化石賞を認定する自称市民団体に、NHK職員も一市民として参加している」
まさか。
これを未だに化石燃料に頼っている新聞業界が同じように嬉々として取り上げるという形式美。配送トラックも配達バイクも当然すぐにでも全部電動化するんですよね?
発電するのも化石燃料がいります。印刷自体をやめてもらわねば。
ゆえに新聞社は原発を強力に推進するか、
もしくはすべてを自然力発電に置き換えてから発言すべきですよね。
マスコミの方々は自身を顧みずに偉そうに他者をこき下ろす所が最高に嫌われるのが解らんのですかね?
COPやら国連やらの外郭団体の欺瞞ぶりは、今さら言うまでもないでしょう。
こういう団体に売り込んで、外圧によって自分たちの主張を通そうとする日本国内の勢力を、もっと厳しく監視し抗議すべきではないですかね。
「化石賞」というのは、ある種の進化史観として、進化前進に取り残されたモノという様な含意を感じます。そしてこの場合決めつけられるのはCO2の排出量であり、それが環境問題の根源という発想。
誰の名づけか知らないけれど、この進化史観って科学的な新説が確立したら簡単に180度裏返る気がします。
ちなみに日共で同志だった人で市会議員を何期か務めた人が居たが、二台目プリウスからプリウスが代替わりする度に買い替えて新型に乗ってた人が居ましたよ。今の代は没交渉になって知らんけど。そしてその件を指摘したら「私は新古で買った」と謙遜とも貧乏自慢とも言えないよくわからない【自分は新型プリウスを次々乗り換えている件の言い訳】をしてました。
何故、堂々と「新型こそがエコロジーであり、新型を買う私はエコロジーを誰より考える立場だ」と言わないのか不思議でしたが。まぁ市議を何年も務めたら(それ以前の仕事含め)結構年金は出ているので、所得水準とクルマのグレードの関係で(つまりエコロジーとは無関係に)浪費とか身にそぐわない贅沢とかは違うと思うけれど。フワっとしたエコな皆さまのエコロジーとか「化石賞」とかはその程度のものでしょう
何故中国は化石賞を受賞しないのか、
その理由は極めてシンプルで、「支那漬け」にされているからなのです。
つまり何だかの見返りを支那から貰っている可能性があるからだと思います。
特定アジア諸国から袖の下もとい賄賂を受け取っている事を中国(支那)からは「支那漬け」、韓国からは「韓漬け」、北朝鮮からは「朝漬け」と表現してみるのも面白いと思います。
nanashi 様。
朝漬けに座布団です。
まあCO2排出が多い国は中国だけでなく他にインドもありますから、そっちのスポンサーがいるかも知れませんね。
日本が実質ゼロにしようが米中印のその年の排出量だけで相殺されるんだし、絞れない雑巾がけいい加減止めた方が良いと思いますが日本は。
何か基準があるのかと思いさらっと調べた分には、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)において「環境問題に対して後退的な発言を行うと」CANから一方的に授与される、そうですね。
つまり会議に参加せずにバンバン排出している国は対象外だし、参加してもロクに発言をしない姿勢であっても受賞しません。
中国はどういった立ち位置なのでしょう。前回あたりでは「太陽光めっちゃ推進する!」として高評価だったそうです。あーね。色々繋がるね。
化石賞を何かの参考にするとしたら、"環境に一定に配慮をしつつ自国の国益も尊重し真摯に落とし所を探った"という証ですらありますかね。化石賞は名誉。
下手くそな風刺ってのは本当に哀れですね。
NHKに偏向賞をあたえましょうか。
受信料詐欺賞もあたえたらダブル受賞ですね。
パリ五輪の顛末やEVの破綻やドイツ製造業の破綻みてるから冷ややかな感想しかないな。
この団体の賞貰うとまた日本が発展してしまう。
幸い、日本政府はこの「化石賞」とやらを冷たく無視するだけで済ませている様ですね。
積極的に事実と正論のオンパレードで反撃広報するとスカッとするでしょうが、それをやると
「おいおい日本、分かってるだろ!?ウチは”やってるフリ”で食べているんだ!
内心見下していても良いからサンドバッグ役を務めてくれよ、害はないんだからさ!
そういう反撃をされたらこっちも色んな嫌がらせをせざるを得ないんだぞ!?」
なんて反応が返ってくるんでしょうかね?いえ、根拠などない妄想ですが。