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庶民の味方じゃないのか?国民減税案に反対の特定野党

立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組―――。一見、どれも庶民の味方の政党、という雰囲気がありますが、これらの3つの政党の関係者による発言を調べていくと、奇妙なことに、いずれも国民民主党が掲げる「年収の壁」撤廃に、ああだ、こうだと理屈をつけて反対しているようなのです。減税は彼ら自身の方向性とも合致しているようにも思えるのですが、そうではないのでしょうか?いずれにせよ、つくづく残念なが気がするのですが…。

国民民主党を支持していなくてもその公約には注目したい

なんだか、つくづく残念な気がします。減税は彼らの方向性とも合致しているはずなのに―――。

著者自身はなんだかんだ言って、自分自身が支持していない政党の関係者の発言であっても良いものは良いと思いますし、たとえその政党を支持していなくても、その政党にマトモな政治家が所属していたら、その政治家のことは高く評価するのは当然だと考えています。

たとえば、著者は立憲民主党のことは基本的に支持もしていませんし、信頼もしていませんが、その立憲民主党にも少数ながら、高く評価できる政治家はいると思います。能登半島の復興支援に尽力している近藤和也衆議院議員(石川県3区選出)などは、その典型例でしょう。

また、著者自身は基本的に国民民主党という政党については心から信頼しているわけではなく、党代表が不倫をしていたとの報道を見て、「あぁ、さもありなん」と思ったクチでもあります。

ただ、その国民民主党が掲げる公約については、とくに経済分野に関しては、野党の中では最もマトモな部類に入ると考えています(その公約を100%支持するつもりはありませんが…)。

そして、今回の選挙で自公両党が合わせても過半数割れしてしまい、これによってどの政党も過半数を獲得していないという、事実上の「ハング・パーラメント」状態が出現してしまいました。日本でこのような不安定な状況が出現したのは、おそらくは1990年代以来のことではないでしょうか。

キャスティング・ボートを握ったのは国民民主党だけではない!

だからこそ、野党は政策協議を通じ、是々非々で政策を呑ませるという「キャスティング・ボート」を握ったわけです。そして、それを握ったのは国民民主党だと思われていますが、じつはそうでもないのです。

この点、国民民主党(衆院の会派名は「国民民主党・無所属クラブ」)は28議席を持っており、これは「自由民主党・無所属の会」197議席、「立憲民主党・無所属」149議席、日本維新の会38議席に続く4番目に多い議席で、公明党の24議席を上回っています。

自公両党は221議席と過半数(233議席)に12議席足りませんが、国民民主党の28議席の協力があれば辛うじて過半数を制することができるため、自公両党にとっては国民民主党との政策協議にに応じる余地がある、というわけです。

もちろん、理屈の上では「足りない12議席」をどこかから持ってくることができれば良いわけですから、自公両党にとってはべつに国民民主党でなくても、日本維新の会と協同しても良いわけですし、何なら最大野党である立憲民主党と協力する局面があっても良いはずです。

もっと言えば、れいわ新選組(9議席)、日本共産党(8議席)、有志の会(4議席)、参政党・日本保守党(それぞれ3議席ずつ)、さらには無所属の2名にしたって、合従連衡で勢力を作れば、自公政権に自分たちの言い分のを飲ませられる可能性があります。

たとえばれいわ新選組と日本共産党が手を組み、自公政権に対し予算や法案への賛成を条件に「憲法議論の封印」や「原発再稼働議論の封印」を持ちかけることだってできるわけですし、参政・保守の2党であわせて6議席あるのですから、れいわ新選組と手を組んで消費減税を実現する、といった可能性だってあるでしょう。

どうして「政策協議」という話が、国民民主党からしか出てこないのでしょうか?

これが不思議であり、また、残念でもあります。

余り戦略的な動きをしている様子が見られない特定野党

いちおう、著者自身の政治的スタンスを説明しておくと、もちろん、日本共産党やれいわ新選組が掲げる政策には、ほとんど同意しません。仮に「脱原発」や「反米軍基地」などを提唱したとしても、そのような政策が実現しない方が日本の国益のためになるというのはそのとおりでしょう。

しかし、あくまでも政党の目的が「自党の唱える政策を実現すること」にあるのだとすれば、そして合従連衡を通じて自党の政策を実現させられるのだとしたら、共産党だって、れ新だって、参政党だって、保守党だって、そのような動きをすれば良いはずです。

ただ、国民民主党以外の政党をいくつか眺めてみたのですが、正直、あまり戦略的な動きをしているようには見受けられないのです。

たとえば、(あくまでも著者自身の理解に基づけば)少なくとも立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組の3つの政党は「庶民の味方」を標榜しているはずであり、本来ならば国民民主党が掲げる減税策は、彼らにとっても共通の目的ではないか、という気がしてなりません。

事例を3つほど紹介しておくと…!?

ところが、現実にそれぞれの政党の関係者がこの減税についてどう発言しているのかを調べてみると、出てくるのはネガティブなものばかりです。

もちろん、著者自身も万能な検索エンジンではありませんから、これら野党関係者のなかで、国民民主党の減税に賛同意見を示す人がいるという可能性は否定できません。

ただ、それでも少なくとも大々的に発見できたこれら3つの事例から見ると、どの関係者も国民民主党の減税策には否定的です。

バラマキが好きなのかな?それとも「国民民主案だから」反対?

これについて、一部の口の悪い人は、こんな趣旨のことも主張しているようです。

これら3党は『働いていない人』におカネをばらまくことばかり考えているから、『働いている人』の手取りを増やす、という議論には鈍感なんだ。彼らは減税よりもバラマキが好きなんじゃないか?」。

これが本当かどうかはわかりませんが、ただ、彼らの言動を見ていると、「さもありなん」と思ってしまうのも事実でしょう。あまりにも減税に後ろ向きだからです。

ちょっとくどいようですが、著者自身にも支持できる政党、支持できない政党がありますが、支持できる政党であっても無条件に支持するつもりはありませんし、支持できない政党であっても良い提言や素晴らしい仕事をする所属議員については高く評価しているつもりです。

とりわけれいわ新選組の場合、『基本政策』では新規国債の発行を財源とした支出拡大や減税により総需要を刺激することなどが謳われており、こうした基本政策に照らすならば、国民民主党が掲げる消費税率の引き下げは、賛同できる分野ではないかと思えてなりません。

こうした発想からすれば、「各政党の皆さんも、是々非々で、政策に賛同すれば良いのではないか?」と思ってしまうわけですが、残念ながら現実の各党の動きは、そうではないのです。

いや、少し酷い言い方をすると、まるで「国民民主党が提唱しているから反対している」、とでも言わんかの雰囲気でしょうか。

政治家の評価は是々非々&政策本位でどうでしょう?

いずれにせよ、これだけたくさんの政党があって、自公連立与党に対しまともに政策を呑ませようとしている政党が国民民主党くらいしか見当たらないというのはつくづく残念ですし、それだけ「解決より対決」を選ぶ政党が多い、という証左なのかもしれません。

そして、もしも国民民主党が与党といたずらに対決することを選ばず、政策と引き換えに、たとえば「令和7年度の予算は賛成する」、「サイバーセキュリティ法案には賛成する」、「実質増税につながる法案には反対する」といった具合に是々非々で動けば、ハングパーラメントで結果的に良い仕事ができます。

じっさい、比例代表では国民民主党は前回と比べ358万票増やして617万票も獲得しており、これは全政党中で3番目に多く、立憲民主党の1156万票の半分を優に超えますし、自民党の1458万票に対しても半分近くに迫っています。

一部メディアの調査によると国民民主党を支持したのは若年層だったようですが、これもネット層である若年層が真面目に投票先を検討した結果、玉木氏が率いる国民民主党が掲げる政策に期待を寄せた結果だ、という仮説も成り立つのです。

その意味でも、今後の動き方次第では、国民民主党が日本の政治を良い方向に変えていくという事例を作る可能性があり、注目されるのだと思う次第です(※ただしくどいようですが著者自身は国民民主党を100%信頼しているわけではなく、あくまでも「可能性」として期待しているに過ぎませんが…)。

新宿会計士:

View Comments (14)

  • 「特定野党はバラマキが大好き」
    これはしみじみ納得ですね。

    減税は、納税している人にはメリットです。
    納税していない人には無関係。
    バラマキは、納税していない人にもメリットあり。

    野盗は、おっと誤変換失礼、特定野党は
    「働かずに補助金くれくれ言う人たち」
    の代弁する傾向がありますから。

    政治はインセンティブですから、
    「働かなくてもいいんだよ」
    ではなくて、
    「働いて納税する人には人参を❗」
    ですよね。

    「さあ今日も、もりもり食べてビシバシ働こう❗」
    ~紅の豚ピッコロ社長~

    • これだけ高齢化社会、人手不足が言われているのに、働いてお金を稼ぐことを否定している謎。
      日本全体を総合的によくしようとする政策には全て反対なので、協議が成立しません。
      どういう層から支持を拡大しようとしているのか透けて見えるようですね。

  • 「ネット層から支持されている(?)国民民主党は、我々には理解できない存在だから反対する」ではないでしょうか。(「本来ならネット層は、我々を支持するはずだ」かもしれません)
    蛇足ですが、(縁起でもない話かもしれませんが)国民のなかのは、現状の全面破壊を望んでいて、そのために(消極的ではありますが)投票に行かなかった人もいるのではないでしょうか。

  • たぶん;賛成しても反対しても法案は通る状況。だったら反対の方が目立つので反対。
    または;党是の「何でも反対」を踏襲している。
    あるいは;今国民民主が脚光をあびている。おれたちもあびたい。

  •  米山氏の語った理屈から認識を推定すると、103万円の壁撤廃の"効果"など考えておらず「人気取りのバラマキだそれで支持されるなんてズルイ!」という程度に過ぎないということでしょうかね。当政策の支持派、例えばこちらの諸兄なども「ヤッター恩恵に預かれるぜ都合良いから支持!」という方、ほぼ居ないのではないかと思いますが(該当者以外から支持されている)。その立憲民主の前身が最大限にアピールした子ども手当なんて、効果や既存政策との差異など無視したまさに一定層への支持取り付けを目的とした目玉バラマキ政策だったのに。
     共産山添氏にしても同様。学生がバイトに励めるぞは確かにおかしいですが、対象者は学生だけではないし学費問題は完全に別の話。どちらも必要ならどちらもやれば良い。それっぽいこと言っているようで、全く反対の理由として成立していない。むしろこれに賛成し、その見返りとして学費問題の解決策をひっさげて与党に飲ませればよい。あるなら。
     れいわ山川氏は……えーと額が足りないから反対ってこと?方向性同じなのに??少しでもタシになるならやれば良いし、そっちのが更に反対派の論拠たる財源要るよね?

     戦略性が無いだけならバカだなぁで済むけども、せめてもう少し屁理屈くらい考えてもろて。

  • 立憲氏が言ってるやつ。取って配るんではなく最初から取らないことをバラマキと呼ぶのか?というツッコミは置いといて、バラマキは配分先の偏りが問題になるのであって、基礎控除拡充みたいな幅広く公平に恩恵があるものをバラマキと呼んでしまえば、あらゆる所得再配分策が否定されてしまうような。
    共産・れいわ氏が言ってるやつって、減税をやらない理由になってないですよね。ここにはないけど「他の壁」を強調する言説も同じで、減税をやらない理由にならない。「ロシアに制裁は効いてない」を思い出すんですよね。「だから制裁はやめろ」につながるような。

    政権にも反対、国民民主にも反対、の共通項はなんだろ。

    その時もっとも目立ってる人に「逆張り」。理屈は後付けの屁理屈。

  •  確かに働かない人にはバラマキは美味しいですね。
    私の勤め先って、そんな社会の縮図を見ているような気がしてきました。

     減税になりますように。

  • とかく、与党の失策に乗じた浮揚しか出来ぬ「や党」たち。

    *とりあえず反対しとこうか。

    立民令和:反射利益のためです!
    共産社民:反社利益のためです!!
    ・・。

    もとい、
    立令共社:反社利益のためです!!!

    • カズ さま

      日本共産党なんて党そのものが反社会組織ですし、立憲民主党は革マル派、れいわ新選組は中核派、そして社会民主党は朝鮮総連と繋がりがありますからね。
      如何に公安が仕事をしていないかがよく分かると思います。
      本来なら上記の反社会組織なんて、一網打尽にしないといけないのに、何をやっているのでしょうかね。

      • (余談です)
        >一網打尽にしないといけないのに

        ①泳がせる(注視する)って体(てい)での現状放任説!
        ②「捕り尽くすと食い扶持が無くなる」・・って説!
        ・・。

  • 毎度、ばかばかしいお話を。
    自民党:「減税したかったが、〇〇党(好きな政党名をいれてください)の反対で、できなかった」
    財務省が喜ぶでしょう。