結論からいえば、財務省が引くに引けない理由とは、もし国民民主党などが主張する減税が実現してしまった場合、景気が回復することで「失われた30年」の原因が旧大蔵省・財務省の増税路線にあったという事実が白日の下に晒されてしまうからではないでしょうか。一部報道によると財務官僚は減税を「死んでもやりたくない」と述べたのだそうですが、これも自分たちの誤りを絶対に認めるわけにはいかないという、組織の存在意義を賭けた戦いなのかもしれません。
目次
またもや300万件超インプレのバズ
東京・山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士がX(旧ツイッター)をやっていて良かったと思うときがあるとしたら、ちょっとした「つぶやき」が多くの人の心にグッと刺さる瞬間が訪れたときかもしれません。
過去にXは「ツイッター」と、Xの「ポスト」は「ツイート」と呼ばれていましたが、「ツイート(tweet)」とはその名の通り「つぶやくこと」であり、今は名前が変わったとはいえ、やはりその本質とは、ふとした「つぶやき」が多くの人を納得させることの面白さにあるのかもしれません。
当ウェブサイトで今朝公開した『財務省とマスコミ「値段下げたら売上落ちる」式の詭弁』と同一のテーマで、著者自身がXに保有しているアカウント(@shinjukuacc)にポストしたこんな「つぶやき」などは、その典型例かもしれません。
内容は、こんなものです。
「財務省が絶対引くに引けない理由。/もし国民民主党の言うとおりに減税が実現し、景気が回復したら、『失われた30年』の原因が大蔵省・財務省の増税路線にあったという事実が白日の下に晒されてしまうから。/財務官僚が『死んでも減税はやりたくない』理由も誤りを絶対に認めるわけにはいかないからだろう。」
これも、4万件近い「いいね」がつき、インプレッション(表示回数)も300万件を超える、結構な「バズ」を記録しました。この文章、当ウェブサイトではこれまで何百回となく繰り返してきた論点であり、著者自身にとっては別に新しいものでもなんでもないのですが、個人的にはその反応の良さに驚いています。
また、カウントのフォロワー数も一気に増え、本日朝10時前に「8,888人」という、中華圏の人が見たら喜びそうな瞬間をスクリーンショットしようと思ったのですが、残念ながらそのショットについて撮影することはできませんでした。
いずれにせよ、こんなアカウントをフォローして下さる皆さまには、感謝しかありません。
当ウェブサイトでの情報発信とあわせて精進してまいりたいと思いますので、引き続き当ウェブサイトのご愛読、また、Xアカウントをお持ちの方は@shinjukuaccのフォローをお願い申し上げたいと思う次第です(ちなみに)本日、フォロワー9,000人を達成しました。改めて御礼申し上げます。
財務官僚が「死んでも飲めない」と減税に抵抗か
さて、それはともかくとして、この「財務省が減税を絶対受け入れない理由は、自らの誤りを認めるのが不都合だからだ」、とする仮説については、ウェブ評論サイト『現代ビジネス』に11月1日付で掲載された、こんな記事も参考になるかもしれません。
財務省が「玉木首相の可能性」に顔面蒼白…!「消費税5%」「年収の壁」「給食費タダ」「高校まで完全無償化」ヤバすぎる大盤振る舞いに「死んでも飲めない」と猛反発
―――2024.11.01付 現代ビジネスより
記事は先週時点のものであり、また、記事に出て来る人物の発言が事実なのかどうかはよくわかりませんが、ただ、記事の内容だけを読むと、財務省の関係者の普段からの発言と整合していることもまた間違いありません。
それはともかくとして、この記事で驚くポイントは、次の一文でしょう。
「選挙公約に掲げられた『実質賃金が継続してプラスになるまで消費税を一律5%とする減税案』は『死んでも飲めない』(主税局幹部)のが本音だ」。
この一文に、財務省の傲慢(ごうまん)さが凝縮されています。
がなぜ、選挙で選ばれたわけでもない財務官僚ごときが、選挙で示された民意を「死んでも飲めない」と偉そうに言い放つのでしょうか?
法律を作るのは私たち国民の代表者である国会議員であり、財務官僚ではありません。
特に税法に関しては、実質的に財務官僚らが法案を作成してしまっているという事実については、私たち国民も良く知っているところですが、あくまでもそれは官僚が法律「案」を作っているだけであって、それを承認するかどうかは国会議員の判断です。
この「主税局幹部」とやらは、ここを勘違いしているのではないでしょうか。
「死んでも飲めない」などと言い張るのであれば、べつに死ぬ必要はありませんので、ここは潔く官僚職を辞して、在野の評論家を目指すか、それとも立憲民主党あたりから国会議員選挙に出るかすればよい話ではないでしょうか?
なぜ私たち国民の意思に、官僚ごときが歯向かおうとするのでしょうか?
こうした傲慢は、絶対に許してはなりません(※もちろん、現代ビジネスが報じた内容が事実ならば、ですが)。
官僚風情がなにを勘違いしているのか
ちなみにこの現代ビジネスの記事、ほかにもツッコミどころはいくつかあるのですが、そのひとつを抽出しておくと、こんな具合ではないでしょうか。
「石破政権の党内基盤の弱さを熟知する主計局は、『財政規律の回復など、とても打ち出せる状況ではない』と見切り、一回限りの補正での大盤振る舞いは容認する覚悟を固めていた」。
本当に、いったい何なんでしょうか、この「一回限りの大盤振る舞いを容認する」、という言い草は。
「減税するかしないか」や「減税するならその規模、回数、具体的内容」などについては、官僚ごときが「決定」するものであっては、断じてなりません。本来ならば私たち国民が選挙で選んだ国会が決めるべき話であり、官僚らはその決定に「従う」必要があるのです。
この現代ビジネスの記事、他にも読んでいて財務官僚の傲慢さを痛感する部分は多々あるのですが、(あくまでも現代ビジネスの記事が事実ならば、)誰がこの国を悪くしている原因なのか、それが凝縮されている記事だと思わざるを得ないのです。
官僚風情が、なにを勘違いしているのでしょうか?
「財政規律重視」「財政再建」論の誤り
ちなみに財務官僚らが躍起になっている「財政規律」、「財政再建」論については、数値的に見ても、専門知識的に見ても、大きな誤りです。
今朝の『財務省とマスコミ「値段下げたら売上落ちる」式の詭弁』でも述べましたが、減税すれば、たしかに税収は一時的に落ちるかもしれないにせよ、経済波及効果が生じますし、消費が廻り経済成長し国民所得が増えれば、法人税、所得税、消費税、住民税などが増える効果が得られます。
もちろん、日本は開放経済かつ変動相場制を採用する国ですので、経済理論上、乗数効果は小さくなることが知られていますが、それでも日銀が金融緩和を継続しながら減税という財政政策が行われれば、少なくない経済拡大効果が得られます。
もしも国民民主党が主張する「手取りを増やす」が「基礎控除の拡大」のみによってもたらされる場合は、たとえば年収300万円の人で年間約11万円の減税効果が得られますが、この「11万円」というのは、300万円に対して約4%弱に相当する額です(図表、ただし試算の前提は注記を参照)。
図表 基礎控除を48万円から128万円に拡大した場合の減税効果
年収 | 減税額 | 減税率 |
100万円 | 0円 | 0% |
200万円 | 70,115円 | 3.51% |
300万円 | 113,288円 | 3.78% |
400万円 | 113,288円 | 2.83% |
500万円 | 126,197円 | 2.52% |
750万円 | 205,108円 | 2.73% |
1000万円 | 228,150円 | 2.28% |
1250万円 | 251,123円 | 2.01% |
1500万円 | 327,698円 | 2.18% |
2000万円 | 327,698円 | 1.64% |
(【注記】当ウェブサイト試算。ただし試算の前提は扶養親族なし、配偶者控除等なし、月給88,000円以上で社保加入、介護保険被保険者、東京都在住政管健保。また、雇用保険料は考慮せず。手取りは年収から社保本人負担分、所得税・復興税、住民税所得割を控除。減税率は減税額÷年収)
ちなみに高所得者層だと、たとえば年収1500万円の人と年収2000万円の人では、減税額は327,698円で変わりません。また、年収が約1950万円~4380万円程度の人の減税額は381,300円でほぼ一定となります(年収4500万円の場合に減税額が419,588円に上がります)。
高所得者ほど減税「額」が大きいことは事実ですが、減税「率」に関しては、逆に高所得者ほど小さくなります。
ただし、社会保険制度改革をセットで行わなければ、結局はいわゆる「106万円の壁」「130万円の壁」が残った状態となってしまいますので、ここは注意する必要がありそうです。
財務省やマスメディアが本当に恐れていること
いずれにせよ、今回の国民民主党などの減税策を巡っては、やれ「高所得者優遇」だ、やれ「恒久財源はどうする」だ、といった反論が来ていることは事実ですが、これらの反論はいずれも反論になっていません。
といよりも、国民民主党などが主張する所得税の減税などをやってみると、いったい何が起こるのでしょうか?
やはり考えられるのは、国民の多くが実感できるほどの減税が行われれば、その結果として、経済波及効果が生じ、GDPがさらに成長し、結果的に減税する前よりも税収が伸びてしまう可能性があります。
そうなると、(旧)大蔵省・財務省のこれまでの増税路線こそが、じつは日本の「失われた30年」の主要因だったことが露呈し、それにより財務官僚という「国民に選ばれていない者たち」が権力を握る構造が炙り出されるかもしれません。
じつは、財務省が本当に恐れているのは、ここではないでしょうか?
いわば、これは組織の存在意義を賭けた戦いのようなものなのかもしれません。財務官僚にとってはもしかすると、国民生活よりも、日本経済よりも、自分たちの無謬性(むびゅうせい)というメンツを守ることが自己目的化しているのかもしれません。
そして、問題は、財務省だけではありません。
『【総論】腐敗トライアングル崩壊はメディアから始まる』などでも述べてきたとおり、日本のメディアには財務省や総務省など、官僚組織の言い分を垂れ流すわりには、自民党など政権与党をやたらと舌鋒鋭く攻撃し、官僚組織については決して批判しないという特徴があります。
すなわち、財務省などの官僚組織と結託し、増税や官僚の利権拡大に協力して来るなど、「腐敗トライアングル」を構成して来た主勢力のうちのマスメディアもまた、これまでの報道姿勢のツケを払う必要があるのかもしれません。
だからこそ、それこそ「組織の存在」を賭けて、彼らは減税に一生懸命に抵抗しているのだと考えれば、とても辻褄が合って来るのですが、いかがでしょうか?
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財務官僚にとって、国益より省益。省益より財務省○○局益ということでしょうか。もっとも、省益が国益と同じだと思っているかもしれませんが。まあ、財務官僚でも日本国民の一人には違いないですし。
ある東大合格が出来るレベルの方が、親から「東大の法学部は性格の悪い奴が行くところなのでやめとけ」と言われて別の優秀な大学に行かれました。財務省は東大法学部が占めているのでなるほどね。と思いました。
>「死んでも飲めない」などと言い張るのであれば、べつに死ぬ必要はありませんので、ここは潔く官僚職を辞して、在野の評論家を目指すか、それとも立憲民主党あたりから国会議員選挙に出るかすればよい話ではないでしょうか?
官僚は面従腹背がモットーな出会い系コンサルなビーチさんを見習え?
冗談抜きに官僚は頭の血管切れて○ねばいいのにね。ここ30年貧困で自殺した人何人いると思ってるのか。
イメージ的には、
「大奥」
「後宮」
「宦官」
みたいな淫靡猥雑の臭いがしますね。
本来なら後方支援に徹するべき部署が、コマンダーの金玉を握ったら操れる事を学習したから、図に乗って影の番長として横暴に権力を振り回してるように見えますよ。
安倍晋三とか麻生太郎とか、官僚たちに操られない政治家は、たいてい金持ちで二世でイケメンです。
なので、賄賂やハニトラに引っ掛からない。
石破を筆頭に、若いときに貧乏で不細工な政治家はハングリーなのはよいとして、人生のどこかで何かやらかしてる気がしますよ。
特定野党がやけに世襲反対!と騒いでるし。
(と帰納的に自分勝手に納得しております)
103万円の壁で「外堀を埋めて」、景気回復のエビデンスをもって一気に本丸を攻め落としてもらえたら、拍手喝采ですね。
>基礎控除を48万円から128万円に拡大した場合
この場合年収の壁(所得ゼロで扶養でいられる収入)は2,085,000円になる。
2,085,000x 0.3 + 180,000 =805,500 給与所得控除
805,500+1,280,000=2,085,500 控除総額
いままで1030000円で働くのをやめていた人は倍働ける。増収額1055000円
500万人いたとして5兆円の収入増。これみんなGDP
8割が消費に回れば5兆円x0.8x0.1=4000億円の消費税増収
この人たち、もともと税金が発生しないところまでしか働かないんだから税収減はなし。
しかも人手不足解消。いいことだらけだね。
何か忘れてるかな?
こちらのブログを定点観測(笑)していて思いますが、総選挙後のご新規さんの多さが目立ちます。ブログ主さんのツイッター活動の成果もあるのでしょうが、話題のタイムリーさもあるかもしれませんね。
「財務省の利権」「財務省の手口」の概念なんて持っていなかった政治とは距離のある普通の方々が、今の騒ぎの中でその存在を知った、なんてケースは多いんじゃないでしょうか。
「財務省が全て悪い」となると行きすぎですが、社会の構成要素、ステークホルダーの一つとして「財務省」が認知されるのはいいことだと思いますね。
影に隠れていたほうが実利を得やすい官僚組織としては望まないところかもしれませんが。
いやー、玉木ンさん、スジを曲げずに粘ってねー。というか、彼の選択肢はそれしかないのですけどね。
国民民主党の主張が注目されている間に、財務省系のお粗末すぎる主張が少しでも周知されるといいですね。
>組織の存在意義を賭けた戦い
>自分たちの無謬性(むびゅうせい)というメンツを守ることが自己目的化している
ケンポーキュージョ―信者の皆さんも似たようなものかもしれません。
>「死んでも飲めない」?財務官僚が減税に抵抗
じゃあ予算通らないよ。
予算を決めるのは国会。自分たちは「案」を作る事務屋だということを思い知るだろう。
役所は国民のためにある。
国民の生命財産を守り、国民生活を向上させるのが政府の最大の使命である。
国民生活が向上していないなら、政府として失敗したということ。
この30年を見れば結果は一目瞭然。
既に結果は出ています。
財務省は失敗しました。
潔く負けを認めて路線を変更するべき。
しかし、何故そんなに税金を集めたがるのか理解不能です。
景気が良くなってその結果として税収増えるなら別に良いけど、税収増でも景気が良くならないならタコが自分の足食ってるようなものなのに。
税金を多く集めてばらまくための「社団法人を作り」天下り先を増やす
なんてのは増税の裏理由にありそうですね
公官庁の入札に参加する資格で、これはおかしくないかと思われる条件が時々あります。天下り先にしか応札させない条件というか、裏の思惑が表になってるというか。
ほーほー高級官僚が「死んでものめない」デスか…
別に“死ぬ”必要はアリマセンから、とっとと辞めてクダサイ
経理屋が分弁えず経営戦略サハイせんでヨロシイ!!
てなお話に成りますけど…