当ウェブサイト予測は盛大に外れました
これまで当ウェブサイトでは「自民が過半数割れに追い込まれるほどに敗北する可能性は高くない」と述べ続けていましたが、どうやらふたを開けたらこうした予測は盛大に外れた可能性が濃厚です。読者の皆さまには予測を外したことにつきお詫び申し上げます。ただ、今回の選挙戦における「本当の勝者」は立憲民主党ではなく、2009年のパターンでまんまと有権者を騙したマスコミではないでしょうか?
目次
最初にお詫びが…当ウェブサイトの予測は大外れでした
本稿は、衆議院議員総選挙についての全容が判明していない時点で執筆している点に就き、ご了承ください。
報道等によれば、自民党は過半数割れ確実で、公明党とあわせても過半数に到達するかどうかが微妙、といった情勢だと伝えられています。
当ウェブサイトでは昨日の『「自民苦戦と立民躍進」は本当か』などを含め、繰り返し、「自民惨敗の可能性は高くないのではないか」と主張してきましたので、当ウェブサイトの主張については完全に誤っていたことになります。
この点については読者の皆さまに深くおわび申し上げたいと思います。
予測を外した点、大変申し訳ございませんでした。
その本質は立憲民主党の独り勝ち?勝者は「マスコミ」
ただ、今回の選挙は、それでも第1党が(おそらくは)自民党であり、また、野党が勝ったというよりは(おそらくは)立憲民主党の「独り勝ち」に近いのではないかと思われます。
上述の通り、本稿執筆時点においてはまだ選挙の退勢は判明していないため、日本維新の会や国民民主党といった「中道系の第三極」(?)や日本共産党、参政党、れいわ新選組、社民党、日本保守党といった諸派系統の政党が「大躍進」しているのかどうかについてはまだわかりません。
しかし、逆算すれば、自民党が減らした議席はそのまま立憲民主党に流れたという可能性が濃厚であり、こうした点からは、さまざまな意味で「本当の勝者」が誰だったのかが見えて来る気がします。
結論的にいえば、今回の選挙の「本当の敗者」とは、本来争点にしてはならなかった「裏金問題」を争点にしてしまった自民党の石破茂執行部であり、また、「本当の勝者」は、自民党の「裏金問題」とやらを争点化し、有権者を騙すのに成功したマスコミではないか―――。
それが、現時点における著者自身の「有力説」です。
その意味では、「政権交代」をまんまと争点化し、民主党(当時)への政権交代の原動力を作ったころと、「マスコミしぐさ」は何も変わっていないのかもしれません。
ここまでが限界だった、という見方も?
ただ、ここで少し視点を変えてみることも重要です。
著者自身、今回は石破茂総裁(首相)を中心とする自民党執行部がマスコミの「裏金」大合唱に負け、その「裏金」を自分自身で争点化し、「裏金議員」(?)の非公認という暴挙に出たわけですから、これは石破執行部の完全な自爆という側面が強いと考えています。
ただ、それと同時に、マスコミ報道と石破執行部の「自滅」という要素はあったにせよ、「自民党がここまで議席を減らした」という見方の反面、「今回はこの程度の議席減で済んだ」という見方もできるのではないでしょうか。
(あくまでも本稿執筆時点の情報だと)自民党は単独過半数を喪失するとみられるため、一般には「大敗」の部類に入りますが(また、議席を50以上積み増すであろう立憲民主党は「大勝」の部類に入りますが)、逆に「ここまでマスコミが応援してくれたのに、立憲民主党は第1党になれなかった」というのは興味深いです。
現時点ではまだ情報が揃っていないものの、いくつかのメディアの調査によれば、今回、立憲民主党候補に票を投じたのは、おもに高齢層だったとの情報があります。
つまり、テレビの主な視聴者層である高齢層の投票行動が、今回の結果をもたらした主要因である、という仮説ですが、これは同時に「テレビを見ない層」には立憲民主党への支持が広まらなかった、という可能性を示唆しています。
これが示唆するのは、「テレビを中心とするマスコミがどんなに頑張っても、せいぜい自民党を過半数割れに追い込むことが限界だった」、ということです。
いや、もちろん、「安定多数に近い議席を持っていた自民党を過半数割れに追い込む」というのは大した影響力ですが、それと同時に2009年のときはマスコミ報道で自民党を119議席にまで追い込んだわけですから(当時の民主党は308議席を獲得)、影響力はグッと落ち込んだわけです。
トンデモ公約掲げた立憲民主党はむしろ困った立場に?
そして、皮肉な話ですが、今回の立民大躍進に最も困惑しているのは、立憲民主党かもしれません。
『「2%から0%超」…立憲民主のトンデモ物価安定目標』などでも述べたとおり、立憲民主党が掲げている公約には「ヤバすぎる経済政策」が含まれています。そのほんの一部を抜粋すると、こんな具合です。
【財務金融・税制】
- 格差を是正する税制改革による財源確保や、行政需要の変化に応じた予算配分、適切な執行、成長力の強化による税収増など、歳出・歳入両面の改革を行い、中長期的に財政の健全化を目指します。
- 国会の下に独立財政機関を設置して、主要政策の費用対効果や財政の見通しを客観的・中立的に試算・公表するとともに、その試算に基づき「中期財政フレーム」(3カ年度にわたる予算編成の基本的な方針)を策定することを政府に義務付けることで、放漫財政を改めます。
- 日銀の物価安定目標を「2%」から「0%超」に変更するとともに、政府・日銀の共同目標として「実質賃金の上昇」を掲げます。
- 日銀が保有するETFは、簿価で政府に移管した上で、その分配金収入と売却益を、少子化対策等の財源に充当します。
- 所得税については「分厚い中間層」を復活させるため、勤労意欲の減退や人材の海外流出等の懸念に十分配慮した上で、累進性を強化します。
- 消費税の逆進性対策については、軽減税率制度に代えて、中低所得者が負担する消費税の一部を税額控除し、控除しきれない分は給付する「給付付き税額控除」(消費税還付制度)の導入により行います。
(【出所】立憲民主党『2024政策パンフレット(報道・研究資料用)』P12を抜粋・部分要約)
これらの1行1行がいずれも強烈なのですが、とりわけ金融評論家的に看過できないのが「0%超物価目標」でしょう。現在の日銀の2%目標を、実質的に引き下げてしまうものだからです。これがどれだけヤバいのかといえば、要するに、「日本を再びデフレに叩き込んでやる」という宣言でもあるからです。
そして、こうしたデタラメ公約を掲げ、それにもかかわらず議席を大幅に積み増したのだとすれば、それは明らかに「政策が評価されたから」ではなく、「テレビなどの立憲民主党応援団が報道しない自由の力を駆使して下駄を履かせてくれたからだ」、と見るのが自然でしょう。
ということは、今回の「成功体験」は、立憲民主党にとってはマスコミという「大応援団」によるスクラムが効いた最後の事例となる可能性がある、という点を覆い隠しかねず、むしろ立憲民主党にとっては危険な躍進です。
小林氏や高市氏の動きは
翻って、自民党はどうでしょうか。
本稿執筆時点で自民党政権が確実に続くという点について、確信は得られていませんが、最大の焦点は石破茂首相・総裁を含めた執行部の進退問題です。
とくに小泉進次郎・選対委員長は、今回、責任を取らされる可能性がある筆頭の人物かもしれませんが、それだけではありません。仮に今回、自民党が辛うじて政権を失わずに済んだとしても、自民党の政権運営は困難を極めるからです。
石破氏自身が身を引けば党内外から「無責任」のそしりを逃れることはできませんし、身を引かなければ針の筵(むしろ)状態に置かれます(個人的には、石破氏が続投したとしても、どこかの段階で政権を投げ出す可能性が高いとみています)。
そうなると、高市早苗氏や小林鷹之氏らへの待望論が高まります。
両氏にはその資格が十分にあるのかもしれません。9月の総裁選で、とくに高市氏は勝利目前にまで善戦したわけですし、また、とくに両名ともに、「石破執行部」にはとりあえず参加していないからです。
(※余談ですが、両名が自民党執行部にも石破内閣にも参加しなかったことは正直、なかなかの政治センスです。高市氏や小林氏に対しては、もしかするとどなたかが「石破執行部には入るな」とアドバイスでもしたのかもしれません。)
問題は火中の栗を拾うかどうか
それに、とくに小林氏に関してはこれまで知名度が今ひとつでしたが、今回の選挙では各地に応援演説に出掛けるなどしたこともあり、全国各地でかなり知名度が上昇したはずです。
個人的には、石破氏が引責辞任に追い込まれる可能性がゼロではないことと、その「後釜」として小林氏が緊急登板する可能性があるという点については注目したいと思います。
小林氏に関していえば、もちろん、財政に対するスタンスが今ひとつ明確ではなく、また、(おそらくは聡明な人物であろうと思われる反面)国務大臣や党役員などの経験が十分ではない可能性があります。しかし、今年50歳という若さに加え、経済安保法制に代表される実務能力は印象的です。
その一方で高市氏については、総裁選の土壇場で石破氏と逆転されたという経緯を踏まえると、やはり党内基盤の弱さは気になるところです。加えて危機の自民党を率いるうえで、清濁併せ呑む力量を、彼女が備えているのかについては未知数です。
しかし、総裁選で石破氏と接戦を演じたのに加え、『【長文注意】高市早苗氏演説全文を文字に起こしてみた』でも確認したとおり、高市氏自身は(おそらくは小林氏以上の)実務家でもあるため、おそらくその待望論はくすぶり続けるのではないでしょうか?
いずれにせよ、自公が政権を失わなかった場合でも、「少数与党」の政権運営は困難を極めることが多く、必然的に、国民民主党や日本維新の会などとの連携が必要となってきます。
自公が政権維持に成功するかどうか。
石破氏が政権を投げ出すかどうか。
高市氏や小林氏らが敢えて火中の栗を拾うかどうか。
その意味では、この数日で日本の政治が(良い意味でも悪い意味でも)大きく動く可能性があることは間違いなさそうです。
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09年と比べるとマスゴミの影響力落ちましたね。時代の流れを感じます。
今朝、石破・森山・岸田に問い合わせフォームに、「責任取れ」とメッセージを送りつけました。
選挙公報読んだ感想です。字面で判断しています。自民党はだめでした。
ほかはもっとダメですが。れいわ、参政党それぞれが各選挙区で1万5千から2万+集めているのは不気味です。全部寄せると相当な数です。国民民主が現実的かつクレバーな政策単位協調をすることを期待しています。
死票ばかり作ってきた当方の選挙民人生ですが、今回は納得のいく結果に貢献したのが、個人的には救いです。
立民もデフレを目指すどうしょうもない政党ですが、れいわのようなキワモノ政党に投票するやつがこんなにいることには本当にびっくりというか、失望しました。
石破氏は党内大物までもバサバサと非公認 すなわち党除名する恐ろしい独裁者ぶりを発揮しました
理由もマスコミのインネンにも近いウラガネです
今後 石破氏に逆らえる自民議員は少ないでしょう
石破氏は離党して維新に行けばちょうどよくなるのではないのでしょうか。
権力握ったら独裁パワハラ始めるところとか。共産党でもいいかも。
維新「勝手に投棄先に指定されても…」
国民民主「ウチもいらないですけど…」
立憲民主「今イイカンジな気がするから来ないで!」
社会民主「welcome‼」
なんてナ
国民民主党が21議席超(法案提出)となり立ち位置を強くしました。
彼らの連立入り(もしくは閣外協力)無くしては政権運営が厳しい自公。
*玉木さん。石破氏に「政局混乱のけじめ」を要求してくれないかな・・?
・・・・・
結果的に、過半数割れで「ブレブレの石破氏・執行部」にお灸をすえつつも、自公態勢が首の皮一枚残ってなくもない ”絶妙な” 状況ではないかと考えます。
陣営的に改憲勢力(自民・公明?・維新・国民)の後退感は否めなくとも、壊滅的ダメージ(オール左派政権誕生!)は回避できそうでホッとしています。
同感です
キャスティングボード握るも可能なトコ、
是々非々協力でまずは「トリガー条項」と「年収の壁」をネジ込むチャンス!!
云うて来夏参院選の結果を見るまでは、正気づいた玉木ンもとい玉木氏、このまま正気を保ってくれると良いのですが…
>結果的に、過半数割れで「ブレブレの石破氏・執行部」にお灸をすえつつも、自公態勢が首の皮一枚残ってなくもない ”絶妙な” 状況ではないかと考えます。
私も同じ感想を持っています。
過半数割れした場合に、以前なら法案成立のための調整相手が立憲しかいなかったところが維新と国民民主という選択肢が育っているのが大きいです。
維新and/or国民民主が是々非々で合意してくれれば、別に立憲と合意しなくても済むので。
これって暴力無き革命ですね。
マスコミが大衆を煽動し政権転覆を謀ることが事が出来きるという悪しき事例です。
マスコミは自信を持ったんじゃないですか。
もっとも岸破が安倍派議員駆逐のためにマスコミの謀略に乗ったのが大きな一因。
裏金と称する問題を初期の段階で不記載問題だと正しく訂正し、なんなら他党の不記載例を調査しマスコミにリークすればよかったはずです。
マスコミという権力に対峙するには党内CIAとれって暴力無き革命ですね。
マスコミが大衆を煽動し政権転覆を謀ることが事が出来きるという悪しき事例です。
マスコミは自信を持ったんじゃないですか。
もっとも岸破が安倍派議員駆逐のためにマスコミの謀略に乗ったのが大きな一因。
裏金と称する問題を初期の段階で不記載問題だと正しく訂正し、なんなら他党の不記載例を調査しマスコミにリークすればよかったはずです。
マスコミという権力に対峙するには初期消火できるように党内CIAが必要だと思います。
コピペしてたら文章がダブってしまいました。
希望はあると考えています。
社会改良は一足飛びに実現できるわけでない。新しい朝が来ただけのことです。
どうできたはずか、なにができるか。どちらも重要。知恵を巡らせ続ける材料があって幸運です。
マスコミさんは、選挙の投票が終わったら「不記載問題」と言葉をこっそり変えた印象があります。
(あくまで私見ですが)
自民総裁選前に石破総裁自ら、薪をくべたので、その火消しをしてからでないと。
訳のわからない政策を掲げる方々が、第一党でなくて良かったと見るべきなのでしょうか。
自民は自爆ですね。
国民民主党躍進は吉報でしたが、悪夢のような立憲躍進で意気消沈しております。またモリカケ国会空転の再来が目に見えていますので…だから高市にしておけとあれほど…
自民党員票も1位は高市さんでしたねぇ
2位じゃだめだった、みたいですねぇ
今年の初め頃、岸田派にも三千万円の裏金が見つかったと報道がありました。
ところがその後マスコミによる続報はなく岸田総理自身も派内の議員名、関与した議員数を明らかにすることはありませんでした。
官房機密費でも使っているのか、岸田派だけならマスコミは忖度して見逃してくれるんです。
私はこれが許せません。
安倍派は悪質だと選挙で公認、重複記載を許さず落選に追いやり、一方で自派議員は隠蔽擁護、やっていることが腐敗撲滅をスローガンに対立派閥の人間ばかり粛清し自派閥を温存している中国の習近平と同じです。
岸田文雄のような卑劣漢に自民党を牛耳らせていたら将来に禍根を残します。
そういうわけで私は今回の石破政権成立に関与した三派閥の候補には今後も投票しないと決めています。
とわいえ今回の選挙では麻生派等を応援する意図で小選挙区比例で一応自民に入れました。