もしかすると今回の衆院選、新聞、テレビを中心とするオールドメディアの社会的影響力の大きな凋落を象徴付ける出来事となるのかもしれません。世論調査の結果が信頼できるのかどうかという点もさることながら、政治家によってはテレビではなく直接、YouTubeなど動画プラットフォームを利用した情報発信を強化する動きが広まって来る可能性もあるからです。
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選挙情勢に見る「独裁者」としてのメディアの問題点
今回の衆院選をめぐって、いくつものメディアが世論調査や取材などをもとに、「自民党の議席激減」、「立憲民主党の躍進」などを予想しているのですが、これについては著者自身は正直、半信半疑です。
もちろん、選挙結果はふたを開けてみなければわかりませんが(したがってこれらのメディアの予想通り、自民党が議席を激減させるのかもしれませんが)、個人的には、新聞、テレビなどのメディアが「裏金問題」などと勝手に選挙の争点を作っていることに、大きな違和感を覚えています。
当たり前ですが、国政における最重要課題は国民経済と外交安保であり、本来、私たち有権者もこの両輪がしっかりしている政党ないし候補者を当選させ、そうでない政党ないし候補者を落選させるべきです。
「裏金問題」―――正確には政治資金収支報告書への記載漏れなどの問題―――、あるいは「(旧)統一教会問題」などが、あたかも国政の最重要課題であるかのごとく勝手にアジェンダを設定するマスメディア産業の皆さんに対し、著者自身は、こう考えています。
専門知識もない。
取材能力もない。
誤報訂正もない。
事後検証もない。
引責辞任もないし選挙で落とされることもない。
間違っても訂正も謝罪も反省もしない、自分たちへの批判も絶対に許さない、そして自分たちの仕事に無責任な人たち。
こうした存在のことを、通常は「腐敗した独裁権力」というのではないでしょうか。
ネット出現以前に思いを全国に広めることは難しかった
ただ、読者の皆さまもご存じの通り、最近、私たちの社会には、10年単位で進行している、大きな大きな変革の波が押し寄せています。インターネット革命です。
ひと昔前、長文を書いて日本全国の人に送り届けるためには、大変な苦労とコストを伴いました。
あなたが「僕は日本の政治について、こうだと思う」と考えたとして、それを400字詰め原稿用紙10枚にしたためたとしましょう。それをどうやって世の中に発表するのでしょうか?
パッと思いつくのは新聞、雑誌の「読者投書欄」、あるいはテレビ番組の「視聴者のお便り」コーナーあたりですが、これらについては採用してくれるかどうかはその編集部の判断次第であり、当然、ボツになることだってあります(というよりもボツになる可能性の方が高いです)。
また、新聞などの広告欄を買い取り、その欄にあなた自身の思いをしたためた原稿を掲載する、という手段も考えられなくはないのですが、この方法だととても多額のおカネが必要です。あなたがおカネ持ちでもない限り、現実的な手段ではないのです。
さらには、あなたがもし自分自身について、「歌が得意だ」、「ダンスが得意だ」、「トークが得意だ」、「容姿に自信がある」、と思っていたとしても、テレビに出演できるというものでもありません。
あなたがもし若ければ、テレビ局や芸能事務所などが実施するオーディションに出演して合格するなどすれば、もしかしたら芸能界に入れるかもしれませんが、それも多くの場合はいくつもの幸運が重なる必要がありそうです。
いっそのこと、あなたに無限のおカネがあれば新聞社やテレビ局を買い取る、といったこともできるかもしれませんが、残念ながら世の中の圧倒的多数の人々は大金持ちではありません。
したがって、私たちのごとき一般人が全国各地に自分の思いをしたためた文章、自分自身の容姿や歌、踊りなどの姿を送り届けることは、よっぽどの幸運に恵まれでもしない限り、敵わぬ夢だったのです。
ネットの出現で情報発信コストは限界まで下がった
しかし、こうした状況は、ネットの出現で大きく変わりました。
ブログやSNSなどをやれば良いのです。幸いながら無料で使えるツールはいくらでもあります。大手ブログサイトだと気軽にブログも開設できますし、(著者自身ちゃんと調べたわけではありませんが)サイトによってはアフィリエイト収入が得られるケースもあるとか。
この場合のコストは(通信費を別としたら)ゼロ円です。
また、ちょっとしたウェブの知識があれば、当ウェブサイトのような「独立系ウェブ評論サイト」を運営する、という方式もあります。自身でサーバを契約し、ドメインを取得したうえでウェブサイトを構築すれば、ちょっとしたニューズサイトと遜色ない見た目のサイトを作ることもできるかもしれません。
この場合であっても、(やはり通信費などを別としたら、という条件はつきますが)年間のコストはせいぜい3万円未満でしょう(ウェブサイトで使用するイラストなどを購入する、外部者に記事執筆を依頼するなどすれば、コストは跳ね上がるかもしれませんが…)。
また、文章だけではありません。
現在だと、テレビに出られなくても、自分自身を題材にした映像を全国、全世界に配信することができます。ニコニコ動画、YouTubeなどのように、動画を無料で配信することができる配信プラットフォームが出現しているからです。条件を満たせば無料どころか収益化すら可能です。
また、動画作成やネット配信を行うための機材(PCやカメラなど)、動画編集ソフトウェアなどについては投資が必要ですが、それもせいぜい数十万円というレベルであり、間違ってもテレビ局を買収できるだけの巨額のコストは必要ありません。
要するに、文章にせよ映像にせよ、情報を発信するコストは限界まで下がったのです。
メディア支配の崩壊と政治の変革
そして、その結果なにが起こるかといえば、答えは明らかです。
メディアの情報支配の崩壊です。
あなたがしたためた文章、新聞に掲載してもらうためには新聞社の許可が必要ですが、ネットに流すのに、誰の許可もいりません。もし多くの人を納得させる文章を書ける自信があるのならば、そのような文章を書いて、SNSなり、ブログなり、ウェブ評論サイトなりで公表すれば良いからです。
あるいはあなたが歌い、踊る画像、テレビで流してもらうためにはテレビ局の許可が必要ですが、ネットに流すのに、誰の許可もいりません。「これ、絶対ウケるだろ」、などと自信がある素晴らしい映像が撮れたら、それをSNSなり、動画サイトなりで配信すれば良いのです。
(※ただし、反社会的なコンテンツなどについては事後的に問題となったりすることもありますし、SNSや動画サイトなどで、いわゆる「垢BAN」を喰らうこともありますので要注意ですが…。)
そして、これは政治の世界でも同じことが生じることが考えられます。
たとえば政治家にとってもテレビに出演せず、YouTubeをはじめとする動画プラットフォームで、有権者に対し直接語り掛ければ良いのではないか、といった発想です。
こうした点に関連し、東洋経済オンラインが23日、メディアコンサルタントの境治氏が執筆したこんな記事を配信しました。
総選挙を左右するか?「テレビよりYouTube」戦略 Googleも積極的に後押しする「選挙系YouTube」
―――2024/10/23 08:02付 Yahoo!ニュースより【東洋経済オンライン配信】
境氏によると、いまや「政治とYouTube」は「切り離せなくなった」のだそうです。
各政党のチャンネル登録者数は、主要政党でいえば自民党が13.8万人、日本維新の会が10.2万人、国民民主党が7.5万人、立憲民主党が3.2万人などと続くそうで、また、れいわ新選組が31.6万人、公明党19.2万人、共産党14.1万人と選挙に向け活発に配信している政党の登録者が多いのだそうです。
結局、「いつものお願い」につながる
このあたり、境氏は「公明・共産・れいわの頑張りに比べると、総選挙の中心であるはずの自民・立民はお寒い限り」と指摘しますが、これはむしろ逆に、「弱小政党ほどYouTube配信などを積極利用している」という意味だとも解釈できるかもしれません。
ただ、境氏は国政政党の事例のみならず、今年7月の都知事選や、現在米国で行われている大統領選を含めた諸外国の事例などをもとに、とりわけ「大手メディアを通じては選挙動静が見えない」と指摘しているのですが、これはまったくそのとおりでしょう。
そういえば、『最近の有権者はメディア調査に対しウソをつくという説』でも指摘したとおり、じつは新聞、テレビなどのオールドメディアを巡っては、有権者の動向を正確につかみ切れていないのではないか、といった疑惑も、一部では浮上しています。
もしかして―――あくまでも「仮に」、という話ですが―――、今回の衆院選か次回の参院選あたりから、政治の世界ではオールドメディアの影響力が劇的に低下する可能性があります。
その意味でも、まずは今週末・日曜日の衆院選でいかなる民意が示されるかには注目したいと思いますが、本稿でも「いつものお願い」をしておきたいと思う次第です。
- 納得できない報道をする新聞は、解約しましょう。
- 納得できない報道をするテレビは、消しましょう。
- 選挙では必ず投票しましょう。
共感して下さる皆さま、是非とも協力してくださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
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納得できない受信料を徴収するNHKは、解約しましょう。