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過激な選挙活動は党の評判を貶めかねない=立憲民主党

衆院選が本日、告示されました。今回の選挙は自民党政権に対する有権者の審判であることは間違いないのですが、その一方、もうひとつ気を付けなければならないのは、最大野党・立憲民主党を含めたその他の野党に対する有権者の審判でもある、という点です。こうした観点からすれば、申し訳ないのですが、一部の政党関係者には「自分たちも審判を下される立場だ」という認識が欠落しているようにしか見えないのですが、いかがでしょうか?

立憲民主党の野田代表(元首相)による「金融25%課税」

本日、衆院選が告示されています。

選挙活動は誰でも行うことができるとされているものの、さまざまな制限があるため、当ウェブサイトでは「現在進行中の選挙」に関しては、どうしてもトーンを抑えめにしているのが実情です。

ただ、公益等の観点から、どうしても取り上げておきたい話題があれば、これについては選挙期間中であっても(法に抵触しない範囲で)取り上げていくべきでもありますが、そんな話題があるとしたら、そのひとつはこれかもしれません。

立民・野田代表、金融所得課税「25%に上げもありえる」

―――2024年10月15日 0:20付 日本経済新聞電子版より

紹介しているのは日経の記事ですが(日経以外にもいくつかのメディアが報じています)、最大野党である立憲民主党の野田佳彦代表が14日、出演した番組で金融所得課税の強化に言及し、税率を「25%ぐらい」にまで高めることは「あり得る」、などと発言したのだそうです。

著者自身はウェブ評論に長らく従事しており、たいていのことには驚かないつもりなのですが、さすがにこの発言には、驚き、また、困惑しきりです。

野田氏といえば、故・安倍晋三総理大臣が再登板するまでは民主党政権で首相を務めていた人物でもありますが、その野田政権時代には、いわゆる復興税に加え、当時は5%だった消費税の合計税率(消費税+地方消費税)を8%、10%と段階的に引き上げる法案も成立しています。

「民主党政権になれば増税されない」と思い込んでいた有権者にとっては、どちらも正直、寝耳に水レベルの政策だったのではないでしょうか。

「0%超インフレ目標」という立憲民主党のトンデモ政策

ちなみに立憲民主党の経済・金融政策については先日の『「2%から0%超」…立憲民主のトンデモ物価安定目標』でも指摘したとおり、端的にいえば「トンデモ政策」そのものです。

経済学の基礎知識ですが、物価安定目標の基本形は、物価を安定させつつも失業率を増大させないという2つの矛盾する目標をうまく両立することにあります(『雇用を無視しアベノミクスを失敗と決めつけて良いのか』等参照)。

この点、「2%近辺」と「0%超」は似て非なる目標であり、もし立憲民主党の公約が金融政策に採用されようものなら、それこそインフレ率が0.01%(つまりデフレ)に逆戻りしたとしても、それは物価安定目標を達成していることになります。

当然、雇用は失われるでしょうし、未曽有の不景気が日本を襲うことになるでしょう(ついでにハイパー円高と株安が同時に襲って来ることにもなります)。

正直、「0%超インフレ目標」の時点でも立憲民主党に政権を委ねることが極めて危険だということは明白なのですが、これに加えて「金融所得課税強化」などと唱える人物が「政権交代」を唱え、次の首相を目指しているという点も、ちょっとしたホラーではないでしょうか。

東京24区では有田氏が過激な選挙活動も

ただ、あくまでも個人的な印象で申し上げるなら、立憲民主党の選挙活動には、「もしかして、敢えて政権を取らないようにしているのではないか」、などと疑われるような部分もあります。

そう思える話題のひとつが、これかもしれません。

産経の記事は、東京24区に立候補している立憲民主党の有田芳生(ありた・よしふ)氏(※元参議院議員)に関する話題を取り上げたものです。

記事によると、12日午後、八王子市の中心部で「裏金カルト議員はいらないアクション」と銘打ったデモ活動が行われ、集まった70名程度のデモ隊が萩生田光一・元自民党政調会長の選挙事務所前でボルテージを上げ、「出てこーい」、「出て来いよ」などと挑発的な言葉が飛び交ったのだそうです。

ちなみに有田氏は解散場所であいさつし、「物価は上がり、賃金は下がりっぱなしのアベノミクス」、「全国で差別の扇動も行われた」などとしたうえで、「すべての問題で安倍政権が国民を苦しめた。総決算しないといけない」などと安倍総理にも矛先を向けたのだとか。

このあたり、正直、政治家を目指す人物がいかなる政治思想・信条を持つのも基本的には自由だと思いますが、それと同時に、「何を述べても良い」というものでもないでしょう。

そもそも民主主義とは、言論を戦わせることによって政治をより良くしていくシステムだからです。

正直、記事を読んだ限りでは、有田陣営が行っているのは単なる誹謗中傷であり、まともな言論とはみなされるものではありません。「カルト」だ「裏金」だと決めつけたうえで、相手に対するネガティブキャンペーンを行っているだけです。

立憲民主党はこの選挙活動をどう考えているのか?

ただ、冷静に考えると、この有田氏の行動自体が、立憲民主党を利するのかどうか、という問題もあります。

産経の記事によると萩生田氏や有田氏と同じ東京24区に出馬している候補のひとりは、こう述べたそうです。

  • (有田氏陣営の)革新系の選挙手法に疑問を持っている有権者は少なくない」。
  • (萩生田氏への落選運動を念頭に)選挙区荒しは有権者に対し失礼だ」。

まったくの正論でしょう。

そして、東京24区では、2021年の選挙では萩生田氏が149,152票、つまり全体の58.55%を獲得して圧勝しているなど、いわば、萩生田氏にとっては「岩盤」のような選挙区である、という点を忘れてはなりません。

こうした選挙区で立憲民主党の看板を背負った候補者が選挙区荒らしまがいのことをすれば、これらの地域(あるいはその近隣)において、立憲民主党に対する支持を獲得するどころか、同党自体に対するイメージを悪化させるのが関の山ではないでしょうか?

そして、こうした手法が有名になってしまえば、まともな選挙活動を行っている他の立憲民主党候補者に対しても迷惑がかかるのではないでしょうか?最悪の場合、「立憲民主党」というだけで、「暴力的な政党」などといった悪評が広まる可能性がありはしないでしょうか?

こうした点を踏まえると、どうも現在の立憲民主党が本気で政権交代を目指しているといえるのか、疑問でもあります。

いずれにせよ、今回の選挙は岸田文雄・前政権と新たに発足した石破茂体制に対する有権者の審判であると同時に、最大野党・立憲民主党を含めたその他の野党に対する有権者の審判でもあります。

こうした観点からすれば、申し訳ないのですが、一部の政党関係者には「自分たちも審判を下される立場だ」という認識が欠落しているようにしか見えないのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士:

View Comments (16)

  • 有権者が投票先の意思決定をするにあたり、自身の暮らしの不平不満を起点に関心先なり響く言葉なりが決まってくるのは仕方がないとは思っています。
    そして人の感情で恨みや妬み、怒りといった所謂負の感情は強く忘れ難い傾向があるため、自分の暮らしが「こんなはずじゃなかった」という思いがある場合は他者に原因を押し付けたい思いが強いことでしょう。
    憂さ晴らししたい、という有権者の負の感情を野党は利用しています。
    八王子市はいわゆるベットタウン。住民の多くは高度成長を支えた団塊世代です。住民の新陳代謝が進まず今や限界集落的になりつつある地域もあります。
    元会社勤務、現在年金生活、という方々にはデフレこそ正義でインフレは悪です。
    立憲民主党なりに有権者へのマーケティングでターゲット層のニーズを把握して、パワーワードを決め、訴求しているのだと思っています。
    目線を高めれば異なる問題意識や異なるパワーワードが出てくるはずですが、そんなのカンケーねぇ。という人も多い。
    侮れないと思います。

  • リベラルな候補者及び支援者は息を吐くようにネガティブキャンペーンを行う習性があります。
    下関は統一教会の聖地!とか過去に大いにやらかしている人です。

    裏金を厳しく追求しつつ、自分達も正しくない会計処理をできるのはどういう了見でしょうか?
    世襲もまた然り。
    自民党に辟易している人は多いでしょうが、対抗馬がこのザマであれば自民党は安泰でしょう。

    自民党及びそれと対決できるまともな政党が対立し合うような状況になって欲しいと考えております。

  • 許して上げてください。立憲民主党のやることですから。まっとうに扱っても無駄です。有田さんの支持者?のおやりになってることは、スターリンに通じるところがありますね。と、思ってしまいました。当然、有田さんもこのような手法を肯定なさっておられるのでしょう。知らんけど。

  • ここ数日間、Youtubeの広告は立憲民主党ばかり。
    どういうことでしょう。

    「政権交代こそ、最大の政治改革。」

    ちょっと何言っているのかわからないです。
    政治改革がゴールではなく我が国の発展と国民の幸せがゴール、普通は思います。
    政治改革は手段に過ぎない。
    この政党が本気で言っているなら、頭悪すぎ。

    だから、有田氏のようなモノがのさばるんでしょうね。

  • 民主党;「普天間基地。できれば国外」
    立憲民主党:「インフレ目標0%」
    ということでしょうか。(そう言えば、立憲の野田党首は、民主党の党首でもありましたね)

    • もしネットがなかったら、東京24区の件は、(一部関係者を除く)区外の人は知らなかったのでしょうか。

  • 自民が手を借りた旧統一教会も立憲が手を借りた日共も、所詮はカルトでしょうに。

  • 萩生田氏は、裏金問題と統一教会協会両方に深くかかわっており、岸田政権崩壊に関与したMVP議員であることには間違いないでしょう。

  • 有田芳生さんのデモ活動は確かにえげつないと思いますが、こういう軽はずみな行動に駆り立てるのを踏みとどまらせるハードルが、低くなっているという側面もある気がいたします。

    より直接的に言えば、非公認の裏金(※)自民党議員は大手を振ってぶっ叩いてもいいんだという、世論誘導的な意識づけが推し進められていることが、思慮を欠いたデモ活動の背景にあるのではないかと思います。
    ※ 正確には「記載漏れ」なんでしょうが、巷に流布されている誤った認識に対する皮肉を込めて、あえて「裏金」と表記しています。以下同じ。

    さらに言えば、非公認の裏金自民党議員をぶっ叩く行為に免罪符を与えている当事者の一つは、石破さんが率いる現自民党執行部だと、自分は思っています。

    いわゆる裏金議員に対しては、岸田政権時代に処分を下しているはずで、今回の衆院選にかこつけて新たに処分を科す行為は、一事不再理の考え方に真っ向から抵触します。さらに、自民党の公認を与えないという処分に至っては、「自民党の国会議員として一緒にやっていく仲間と認めない」という意味であり、仲間の斬り捨てに等しいものであります。血が通った組織という感じがしません。

    このような自民党の二重処分には、世間に阿っているという側面も多分にあるように思われますが、当の自民党執行部がここまで徹底的かつ冷徹に自党の裏金議員をぶっ叩いているなら、野党やマスコミとしても、自民党からお墨付きを得たようなもので、裏金議員を遠慮なくぶっ叩かせていただきますわ、という流れになるのも当然だと思います。

    非公認の12人のうち、平沢さんを除く11人が安倍派であることなどから、この度の非公認の処分は、石破さん率いる自民党執行部による実質的な安倍派潰しと見る向きもあるようです。これを面と向かって肯定する当事者がいないので、本当のところは確認できていませんが、少なくともありえない話ではないと、自分は思います。加えて、野党もマスコミも、安倍さんには煮え湯を飲まされ続けたという遺恨と怨念が積もりに積もっていると思いますので、旧安倍派の人たちをぶっ叩く材料があるなら、見過ごすことはないと思います。

    安倍嫌いの現自民党執行部、野党、マスコミの利害が、現在の局面では見事に一致しているのではないか、という印象を、自分は持っています。有田さんの調子づいたデモ活動を表層的に捉えるだけでなく、このような軽率な行動に駆り立てられている背景には何があるのか、考察してみるのも有益なのではないかと思った次第です。

    • 結局のところ高市さん潰しの為に安部派が動けないようにしたと思います。自民党の二重処分はとてもみっともないと思います。
      情けないですね。

      また、安部派の多くの議員が「自民党県連推薦」となり、重複立候補がなしになりました。
      このことは、自民党県連としては、比例票を入れる責任はなくなり、公明党や他党に入れても良いかもとなりそうです。

      この為、怒りに任せて他党や白票で良いと言って回る可能性もありますね。
      自分は比例票を他の保守系の政党に入れようと思います。
      自民党の比例票が小選挙区の票と同じくらいの獲得ができるかどうか、興味深く開票を見たいと思います。

  • > こうした観点からすれば、申し訳ないのですが、一部の政党関係者には「自分たちも審判を下される立場だ」という認識が欠落しているようにしか見えないのですが、いかがでしょうか?

    ご自分たちは、『我々の考えが100%正しく(異論は認めない)、バカな大衆を導いてやらねばならない』と思っているので、永遠に認識しないと考えます…

    あれっ、お隣の国、マズ○ミ、官○も、同じ「にほひ」ガー

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