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大企業内部留保4%課税=社民党

衆院選の公約に関連し、「内部留保に4%課税」というトンデモ論が出て来たようです。社民党の公約は、ひとことでいえば「絶望的なまでの専門知識のなさ」に尽きると思います。当ウェブサイトでは特定政党の当落を積極的に呼び掛けることは可能な限り控えているつもりですが、それにしても酷いな、という気がしてなりません。

NHKが違法行為を勧奨!?

衆議院が昨日解散されたせいでしょうか、街中では選挙演説をしている候補者を多く見かけるようになりました。

これについてはNHKが「事実上の選挙戦に突入した」、などと報じています。

衆議院解散 事実上の選挙戦に 15日公示 27日投開票

―――2024年10月9日 20時22分付 NHK NEWS WEBより

著者自身、この手の報道を見るといつも疑問に思うのですが、このNHKの報道も、明らかにおかしいです。なぜなら、公職選挙法上は、選挙運動は公示・告示日(15日)から投開票の前日(26日)までしか行ってはならないこととされているからです。

公職選挙法第129条

選挙運動は、各選挙につき、それぞれ<略>候補者の届出、<略>衆議院名簿の届出、<略>参議院名簿の届出<略>又は<略>公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。

NHKを含めたメディアが「解散総選挙によって事実上の選挙戦に突入した」などと報じることは、公示・告示日前の選挙運動という違法行為を、メディア自身が事実上肯定するようなものでしょう。

そして、NHKといえば自身を「公共放送」だと名乗っているメディアですが、そのメディアが違法行為をあたかも正常なことであるかのように報じること自体、公共の利益を著しく阻害していると断じざるを得ません。

社民党の6つの公約

さて、それはともかくとして、当ウェブサイトとしては選挙期間入り以降は基本的に選挙の話題を可能な限り避けることとしていますが(これは今に始まったことではありません)、その一方で個別政党についての政権公約については、話題として取り上げることは多いです。

こうしたなか、目に付いた話題がひとつあるとしたら、社民党の公約かもしれません。

【10月9日の福島党首会見】衆院選公約の6つのプランを発表~政治資金パーティーと企業団体献金を禁止し金権政治の一掃~日本記者クラブの党首討論から社民党排除は公平性を欠くと厳しく批判

―――2024/10/09付 社民党HPより

社民党ウェブサイトによると、これは「日本を立て直す社民党6つのプラン」だそうで、リンク先記事をもとに箇条書きにすると、こんな具合です。

①金権政治の一層

政治資金パーティーと企業団体献金を禁止する

②税金は暮らしに軍事費増税NO』

民主党政権時代には4兆円だった軍事予算が来年には8兆5000億円になる。このお金を暮しに使うべきだ。社民党は3年間、消費税率をゼロにする。600兆円を突破している大企業の内部留保に4%課税することで消費税ゼロを実現できる

③人口半減時代に地域に魅力と力を

最低賃金の全国一律1500円、非正規雇用の正規化、食料自給率50%、地域公共交通の充実など

④地震大国に原発はいらない!防災省を創設し防災対策を全力

防災省を設置し自衛隊の一部を災害救助隊に改編する。脱原発を進め、2050年までに温室効果ガス排出ゼロと自然エネルギー100%を目指す

⑤ジェンダー平等多様性社会の実現

選択的夫婦別姓、同性婚の実現 包括的な差別禁止法と人権救済機関の実現

⑥沖縄・日本を再び戦場にさせない憲法活かす政治

南西諸島における自衛隊配備とミサイル計画、辺野古新基地に反対する。日米地位協定は全面的に改定する。核兵器禁止条約を批准し核なき世界を実現する

(【出所】社民党HP)

絶望的なまでの専門知識のなさ

なんだか、科学技術立国論や安全保障論などをすべて否定するかのような政権公約ばかりです。

最大野党・立憲民主党の「0%インフレ目標」(『「2%から0%超」…立憲民主のトンデモ物価安定目標』等参照)にも驚きましたが、今回の社民党の政策集については、とりわけ②~⑥について、「絶望的なまでの専門性の欠如」を指摘せざるを得ないでしょう。

もし著者自身に時間が無限に存在するならば、どこがどうおかしいのかをいちいち指摘しても良いのですが、残念ながら時間は有限です。

これに加え、著者自身、正直、社民党にマトモな政策を出してもらいたいという気持ちはまったくありません。社民党に政策の誤りを正してもらうよりも有権者に直接働きかけて社民党候補者のみなさまに、全員、落選なさっていただく方が早いからです。

ただ、知的理論としてひとつだけ指摘しておくと、上記②にある「600兆円を突破している大企業の内部留保に4%課税することで消費税ゼロを実現できる」のくだりに関していえば、少し会計学の知識が欠如し過ぎているように思えてなりません。

そもそも「内部留保」自体、会計学の正式な用語ではありません。

この用語を使う人によっても定義は微妙に違うようなのですが、一般的には貸借対照表(「たいしゃくたいしょうひょう」と読みます)の貸方側にある「純資産の部」の「利益剰余金」、「評価差額の部」(または「その他の包括利益累計額」)の合計額を指すことが多いようです。

IFRSだと「貸借対照表」ではなく「連結財政状態計算書」、「純資産の部」ではなく「資本」などと表現されますが、言いたいことはほぼ同じだと考えて良いでしょう。

そもそも内部留保は会計上の概念ではない

そして、そもそも利益剰余金や評価差額金などについては、あくまでも貸方の概念であり、その利益剰余金や評価差額金などに相当する現預金や有価証券が企業内に蓄えられているわけではありません。現預金や有価証券などは借方の概念だからです。

たとえば利益剰余金30兆円、現金預金1兆円、固定資産55兆円、当期利益5兆円(※いずれも連結ベース)の企業があったとします。この企業に「4%の内部留保課税」がなされたとしたら、1.2兆円(!)という巨額な税負担が新たに生じることになりますが、この企業は資金繰りに窮して倒産するかもしれません。。

現金預金がグループ内で1兆円しかないのに、1.2兆円の新たな税金など、支払えるはずがないからです。

いずれにせよ、多くの企業の場合、「内部留保」とは、少なくとも「企業が遊ばせているおカネ」のことではありません。株主に対する配当原資であるとともに、資本コストがかかっている資金調達源のひとつです。

企業の内部留保課税について提言するならば、まずは借方と貸方、利益剰余金と資金繰りの違いくらい、しっかりと勉強してからにすべきではないでしょうか?

当ウェブサイトとしては基本的に、特定の政党を強く推したり、あるいは「落選運動」を行ったりすることはできだけ控えたいと思考えている反面、やはりその政党が「政権担当能力・実務能力のない限界政党」であるならば、そのことについては言及せざるを得ないのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士:

View Comments (19)

  • 日本の法人税法には「同族会社の留保金課税」というのがある。
    累進する個人所得税を増やさないために法人の利益を配当しないという同族会社に対するものだとおもうが、社民党の「大企業」「内部留保」は「人気取り」と「無知」だろう。
    それよりも、これを「大企業の内部留保がぁ~」と叫んでいた経済評論家にどう思うか質問してみるのも面白いかも。森永卓郎あたりに聞いてみたいもんだ。

  • 日本に企業がいなくなるのが願いなのかな?

    どういう基準かわかりませんが中国共産党序列四位の方が日本の政党や議員にいていいのでしょうか?
    今年だけで二回北京詣でしてますし。

    春先には秋田のお米に悪態ついていましたから、なんとなく今年の米騒動って二月頃に序列四位と五位が北京から帰ってきたあたりから鳴動し始めていたような気もします。
    五位の方は代表降りましたけど。

  • 社民党としては、自分たちの公約が、自分達の支持者以外に、ネットを使って批判的に拡散されるなんて、考えていなかったのでしょう。

    • 社民党は、日本人拉致問題の北朝鮮との関係をどう考えているかの方が先ではないでしょうか。

      • たからかに日本人となったお方が、源流である党が「地上の楽園」言説をひろめ、これに応じて北朝鮮に渡った人々に対するお気持ちも知りたいものですな。

  • 内部留保課税って、利益から法人税を取って、残った分から更に税金を徴収するってことですよね♪
    なんか酷なことを考えるものだと思うのです♪

  • 正直言ってリベラル4党の言っている事は意味不明です。
    論拠があって物事を主張することは問題ないのですが
    自分の頭の中でしか成立しないロジックで物事を主張しているからです。

    我が日本国の隣国では現在進行系で侵略戦争を行っている国があります。
    それについて見向きもせずに軍事費0とノーテンキに言ってのけます。
    >沖縄・日本を再び戦場にさせない
    沖縄を戦場にする、しないの選択肢は中国にあります。
    なぜ領海侵犯を繰り返す中国ではなく、日本を責め立てるのでしょうか?
    あまりにも意味不明です。

    >温室効果ガス排出ゼロと自然エネルギー100%を目指す
    日本の産業をぶつころがされるお積もりでしょうか?
    ソーラーや風力は発電装置として非常に不安定です。
    今日は雲が多いから発電できませーん。
    だから電力は使えないけどいいかな?

    あなたは電気を使いたいときに使えない生活耐えられますか?
    もしくは物凄く電気料金が高くなっても耐えられますか?
    私は耐えられません、真夏に冷房なし。
    工場は電力不足で動かず、仕事の首を切られます。
    お先真っ暗です。

    内部留保の件も然りですが。
    必死に汚染水と外国に向かってネガティブな喧伝を行い
    あきたこまちRへの風評加害を必死に行うなど。
    この人達は日本の利益を代弁してくれている方なのでしょうか?と疑念を抱かざる得ません。

    次回の選挙では消去法でマシな国民民主党や維新が勢力を伸ばすことを期待しております。
    せめて野党第一党をリベラル勢力から陥落させればなと願っております。

  • きっと社民党内では【内部留保=キャッシュ】だったのでしょう。
    社会党時代の潤沢な遺産を保持してた覚えが言わせたのでしょう。

    おそらくは、「自らがそうなのだから彼奴らも・・」の自己投影。

    • 内部留保金は、RPGで言う、装備とアイテムと現金を含めた総資産、ということなんですよね。内部留保資産、と言い換える方がよさそうに思います。
      装備がいいなら儲けられるはずだから(そこまで成長した後の大企業なら)無駄な投資にお金を払うのではなく税金を多く払え、というのもわからなくはないのですが。装備を売り払わせるほど税金をとるのはまずいですね。

      まあ、お金持ちの収入ではなく資産に税金を掛けようという話も出てはいるのでそこまで突飛ではないかもしれません。
      金持ちは税金を払いませんから。
      https://gigazine.net/news/20241009-buy-borrow-die/
      買って借りて死ぬ。

  • >大企業内部留保4%課税
    こんな事をしたら節税目的で本社を海外に移転する可能性が大ですよ。
    社会民主党はそこまでして日本経済を冷まし、空洞化させたいのでしょうかね。

  • まあ、寛容な日本の制度では
    かろうじて政党と認めてあげてる
    社民党なので、そもそも たいして
    聞いてあげる価値があるか?
    との位置づけです。
    ただそれなのに、
    そんなお情けを感謝しないで
    経済学を大学一般教養で少し知っていたら
    鼻で笑われるこんな主張をしてしまうとは
    すdねいそんなこんなと知られている
    支持者層の実態とで、まじめで忙しい国民は
    あたりまえにスルーしてあげるのが
    妥当なものと感じます。

  • 社民党や立憲民主党の公約を見て思うのですが、この方たちは公約が日本社会に及ぼす影響を深く考えないで「国民」が喜びそうな公約を適当に掲げているのではないでしょうか?
    また、公約として掲げる前に専門家に聞くなり自分で調べるなりそれなりの準備をするのが当たり前だと思うのですが、多くの人がずっこけるような公約をドヤ顔で出してくる無知厚顔ぶりには呆れるばかりです。
    毎日何を考えて暮らしておられるのでしょうね?
    不思議な方達です。

  • そもそも、利益剰余金とはなんでしょうか?

    法人税やら固定資産税などを始めとする、さまざまな税金及び人件費や経費等を払った上で残された、純粋な企業の利益を意味します。ここに更なる課税を課するのは、はっきり言って『二重課税』以外の何ものでもありません。左巻きの方たちの発想は、Z(財務省)となんと似かよっていることでしょう。

    利益剰余金がなくなる、或いはそこを削られるということは、新たな「投資」を減らすことに他なりません。家計に例えるならば、爪に火を灯すように貯めた預金にさらに課税を課すことと同様の所業です。

    社民党を始めとする左巻きの連中の頭の中には、おそらく「民間企業」という概念が致命的なまでに欠落していると思われてなりません。

    • 「予算を余すことなく使い切る」のが彼らの流儀。
      「剰余金は不正な蓄財」との認識なのでしょうね。

      *「配当金に対する課税」も変な話なんですよね。

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