当ウェブサイトでは先週から、韓国観察者の鈴置高史氏が執筆した新刊『韓国消滅』に関する話題を取り上げているのですが、この書籍に関連し、鈴置氏がこの著書で最も指摘したかったことは何かについて、ピニオン誌『月刊WiLL』で明らかにしています。いったいどんなことが書かれているのか。本書ではそのごく一部を「疑似インタビュー」形式で紹介したいと思います。
鈴置氏『韓国消滅』を日本人が読むべき∵
先週の『韓国観察者・鈴置高史氏の『韓国消滅』を読むべき理由』では、韓国観察者の鈴置高史氏がこのほど上梓した新潮新書『韓国消滅』という書籍の話題を取り上げました。
すでにお買い求めになった方も多いと思いますが、主張の要旨としては「現在の韓国は消滅に向けて全力疾走しているかに見える」ということを、定性・定量面などによる具体的な論証により詳説するものです。
韓国消滅(新潮新書1057)
2023年の出生率0・72。韓国の出生率は、OECDに加盟する先進国の中で断トツに低い。生産年齢人口のピークも2019年に迎えており、働き手もこれからどんどん減っていく。経済規模縮小のリスクは日本の比ではないのだ。加えて自殺率は先進国で最高である。それはあたかも、韓国社会が「消滅」に向かって、全力で駆けだしたかのごとくである。朝鮮半島情勢「先読みのプロ」が指摘する冷徹な現実。
書籍タイトルだけを見ると、何とも衝撃的であり、内容を読まない人にとっては「トンデモ本」かなにかだと勘違いするかもしれません。
韓国観察論といいながら、実態は日本観察論だったりもする
しかし、書籍を実際に読んでみたらわかりますが、本書はトンデモ本でも何でもありません。きちんとした論拠を伴っているからです。内容の「チラ見せ」については前稿でも取り上げたとおりですので本稿では繰り返しませんが、この書籍が税抜880円で手に入るのはお買い得すぎます。
個人的には鈴置氏に日本政府の外交顧問を務めていただきたいところですが、先週金曜日の総裁選で自民党総裁に選ばれた石破茂氏を巡っても、鈴置氏は今回の著書で「韓国へのさらなる謝罪を訴えている」と指摘していることなどを踏まえると、その可能性はあまり高くない気がします。
なんとももったいない話です。
いずれにせよ、当ウェブサイトではこれまで何度か指摘してきたとおり、鈴置氏は「韓国観察者」であるというよりはむしろ、「韓国という鏡に映った日本を描き出す第一人者」という方が正しいのではないかと思います。
鈴置論考では日本について触れられている箇所はさほど多くないのですが、鈴置論考を読む私たち一般読者は日本の現状をよく知っているからであり、そのうえで、鈴置論考を通じて良いところ/悪いところを含め日本の現状を正確に把握できるからです。
その意味でも、まだお読みでない方は、是非ともこの鈴置氏の最新刊をお買い求めのうえ、通読をお願いしたいところです。
そういえば、日経新聞が29日、韓国で高齢化や少子化が進む影響で、年金が30年後に「枯渇」するとの見立ても出て来ています。
韓国年金、30年後に「枯渇」危機 見誤った超少子化
―――2024年9月29日 5:00付 日本経済新聞電子版より
日経新聞は「韓国の事例は日本にとっても対岸の火事ではない」、などと述べていますが、この手の「韓国の問題は日本にとっても対岸の火事ではない」とする一文を付け加えるのは、日本の新聞の悪い癖でしょう。
この手の「日韓どっちもどっち」論を目にすると、『デイリー新潮』を含め、客観的な事実を淡々と積み上げる四季の鈴置論考の凄さが、あらためてわかるのではないでしょうか。
鈴置氏の狙いとは?「疑似インタビュー」
さて、本稿では少し毛色を変えて、鈴置氏がこの書籍をどういうつもりで執筆したのか、「疑似インタビュー(?)」をしてみたいと思います。といっても、著者自身が鈴置氏に直接メールや電話で取材をするというわけではなく、あくまでも「こんな質問をしたら、鈴置氏はどう答えるか」、というシミュレーションです。
(問)鈴置先生は韓国の出生率低下に早くから着目していたと思うのですが、ずばり、なぜ韓国でここまで急速に出生率が下がっているのだとお思いですか?
(鈴)最大の原因は、1997年のアジア通貨危機です。それまで日本と同様の終身雇用を採用していた韓国企業の多くはIMF危機を受け、従業員を躊躇なく解雇するようになりました。
(問)でも、IMF危機はいまから四半世紀以上も前の話です。それを今でも引きずっているのですか?
(鈴)昨年11月の韓銀レポートによれば、韓国社会の生き辛さは「社会の競争圧力」と「経済的困難さに分けて説明されています。このうち「社会の競争圧力」は、子供を「勝ち組」にするための教育投資のために、子供の数を減らすようになった、というものです。
(問)それだけが原因なのですか?
(鈴)韓銀レポートによる「経済的困難さ」もやはりIMF危機に期限があります。韓国政府の調査によると平均教育学は1ヵ月で100万ウォン(11万円)を超えたほか、IMF危機前後に急伸した自殺率がOECD諸国1位に留まっていることなどからも、韓国社会の生き辛さがわかります。
…。
月刊WiLLのインタビュー記事
これは、じつは当ウェブサイトで100%でっち上げたインタビューではありません。
オピニオン誌『月刊WiLL』の最新号(2024年11月号)279~285ページに掲載されている、鈴置氏に対するインタビュー記事の一部を抜粋し、これを当ウェブサイト側にて、勝手に対談風にアレンジした文章です。
鈴置氏が『韓国消滅』を執筆した動機は、この記事を読めば、何となく見えてきます。韓国が世界最速レベルの少子化に突入しつつあるにも関わらず、それほど危機感を覚えているフシが見えない点について、その原因を解明しようとするところに大きな意義があるのです。
では、これに対する鈴置氏の答えは、いったいなにか―――。
鈴置氏はWiLLへの寄稿で、こう述べます。
「その答えは、ひとことでいえば『傲慢』です。21世紀に入った頃から韓国人は『世界に冠たる韓国』との自信を深めました。異様な速度で少子高齢化が進展しているというのに『このままでは国が消滅するぞ』との警告は発せられなかったのです」。
この記述を読めばピンと来る人もいますが、その傲慢の対象のひとつは、日本でしょう。
韓国社会では「日本に対してなら何をやっても良い」とする風潮が蔓延している、とする点については、普段から韓国メディアを眺めていて、強く印象付けられる点ですが、鈴置氏に言わせれば、韓国は中国には忖度するわりに、日本(と潜在的には米国)に対しては同調しないことが多いのです。
すなわち、これまでの『デイリー新潮』などにおける一連の鈴置論考からは、韓国という国が(現在は反米を反日で覆い隠してはいるものの)いずれ米国に対しても「牙を剥くだろう」、というのが鈴置氏の見立てですが、米国がAUKUSやQUADに韓国を入れようとしないというのも、米国が韓国を見切っているからでしょう。
いずれにせよ、優れた研究は優れた著作をもたらします。
『韓国消滅』は、2018年10月の『米韓同盟消滅』、2022年6月の『韓国民主政治の自壊』と並んで、多くの日本人にとってはさまざまな指針を提供するものであり、たんに日韓関係問題に関心がある人に限らず、日本人全員が読むべきレベルの書籍であると改めて思う次第です。
View Comments (12)
読者を小ばかにし社会につばきし続けるジャーナリズム・出版業・放送産業界が傲慢でなくてなんでしょう。彼らには売り上げを渡さない。社会的制裁とはそういうものでなくてはなりません。
消滅寸前の国を相手にする必要なし。いずれ北朝鮮にのみこまれるだけです。
「消滅」の前に残された韓国人がどうするか、は興味がありますね。
「もうこの国はダメだ!」となった数千万人が日本になだれこむ、と言う
最悪のシナリオは勘弁して欲しいのですが……
ありそうですね...。武装難民とか...。
朝鮮戦争の時だって、九州に臨時政府を作るなどと厚かましい事を言ってましたもんね。
Willの記事、ざっと目を通しました。けっこう濃い内容ですが、面白くて一気に読めます。傲慢、この言葉に尽きるのではないでしょうか。そしてその傲慢さは(一部の方々をのぞいて)変わる気配がありませんので、独立国としての韓国の未来は明るくないでしょうね。まあ、1000年以上ずっとそうであったように、中国の属国に戻るだけでしょう。この関係は我々が想像する以上に強く、日本やアメリカなど外野にはどうしようもないものなのかもしれませんね。
前の著書で、韓国は「あっという間にベネズエラ」という章があった。
「~飛んでイスタンブール」みたい。誰か曲つけないかな。
ベネズエラの名誉のために申し上げると
たしかにベネズエラ経済はどん底です。
ただ、その中でも
国民も我慢しての輸入の削減など
自力での改善のために取り組んでいます。
その点で、
個人も企業も見栄を張った借金で
それを減らすどころかさらに増やして
徳政令願望までメディアに載ったり
あげくの果ては日本騙して
韓日スワップ増額で日本になすりつけよう
としている韓国さんと一緒にしては
ベネズエラさんに失礼です。
個人でも借金返せなくなったら
サラ金でのベンツやロレックス売って
返済するのです。
通貨経済崩壊瀬戸際の韓国さんは
むしろベネズエラを見習って
現代、サムスンなどの見栄を張った
海外投資や工場を直ちに売払い
自国通貨防衛に務めることで
日本や世界に過去のような迷惑をかけないことが
求められているのです。
ベネズエラは世界有数の石油埋蔵国だが、その原油の質はガソリン等の部分の少ない重油で採取にも精製してガソリンや軽油などを分離するにも大変な技術が必要な難儀な特徴があります。そしてその採取技術や精製技術は欧米(や辛うじて日本も)が握っていて何ともかんとも技術のある国に採掘して貰わなければカネにならないという宿命。
なので国土面積や資源の豊富さの割に、なかなか発言力や自主性を発揮できない典型的なアメリカの裏庭になっていました。
一方、「アメリカからの圧」以外には米中対決のような大国の角逐の渦中で巻き込まれる(日本や韓国のような)地政学的地位は本来ありません。シモンボリバルという19世紀の革命家が中南米の共同体的大国を夢見て革命戦争を唱えるなど若干ナポレオンを擁したフランスの欧州での立ち位置のようなところもありました。高らかにその自国の革命家を称えて自国通貨の名称にしたのに、近年は天文学的なインフレに見舞われ、「ボリバル通貨」の値打ちは地に堕ちてしまいました。後継者たちの失政でご先祖の英雄の顔に泥を塗った格好です。
シモンボリバルほどではないにせよ、ベネズエラの政治史を語る上ではウゴチャペスは抜く事ができません。20世紀ベネズエラを代表する政治家です。幾度も言論弾圧され、投獄されたり被選挙権を剥奪されるなど苦難を乗り越え、選挙を通じて国民の支持を集めて大統領になりました。急進的な政策を実施しましたが、大衆は熱烈に支持しました。当時日共はこのチャペス政権と【中共の仲介によって】仲良くなります。全く知らなかった野党外交を中共に手引きされて踏み出した輝かしい党史として日共は記念しています。ところがこのチャペスが大統領任期の制限を撤廃して事実上終身大統領を可能としてから国運は暗雲が漂いはじめました。チャペスは幸か不幸か終身大統領になって数年後に死去してしまいますが、チャペスの後継者がどうにもこうにも無能で、そこから坂を転がり落ちるように経済が失速。援助でキューバからやって来た医師たちが逃げ出したという話があります。
この【中共の手引きによる日共の野党外交】としては、①ウゴチャペスのベネズエラ②ベンアリ政権のチェニジア③アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール=サウード時代のサウジアラビア④廬武鉉政権発足直前の韓国(何故か与野党両方に日共は紹介された)があります。サウジアラビア首脳とは「口をきいた」程度の交流で何とかサウジに被害は無かったが、①も②も④も中共がテコ入れしていた可能性が高く、そして間もなく散々に政権が崩壊しています。日共(それを手引きした中共)はこれら諸国の当時の政権にとって疫病神だったのかも知れません。
>後継者たちの失政でご先祖の英雄の顔に泥を塗った格好です。
なるほど、韓国はご先祖の英雄?笑の顔は既に泥まみれだから、後継者がやらかしても変わらないってな違いがあるんですね。
日共(それを手引きした中共)はこれら諸国の当時の政権にとって疫病神だったのかも知れません。・・・ということは親中議員(与野党問わず)や親中マスコミは疫病神。
元日本共産党員名無しさま
この件はこれまで記事などでは目にしていました
共産党が高く評価していた「ベネズエラ社会主義政権」
https://www.zakzak.co.jp/article/20190330-NHMMSF5DCBNVTLR3H26KQ5KP7E/
今回、とても詳しい経緯と内情背景の
ご解説をいただいてとても勉強になり
ありがとうございました。
ウゴチャペスの後継者マドゥーロの前職は「バスの運転手」
しかも彼の本当の国籍はコロンビアではないかと言われている。
ベネズエラでは自国籍を持つ人以外大統領になれないはずなのに。