なかなかに、衝撃的な結果といえるのではないでしょうか。本日投開票が行われた自民党総裁選で、石破茂氏が自民党総裁に選ばれました。現在、自公両党が国会で多数を占めているため、石破氏が日本の首相に選出されることが確実です。こうしたなか、次の焦点は衆院の解散総選挙があるかどうか、でしょう。衆院の任期はあと1年少々だからです。選挙があるかどうかはそれこそ石破「首相」の判断ですが、仮に早期解散総選挙に踏み切った場合、自民党がどれだけの議席を獲得するかについては注目点のひとつとなり得ます。
2024/09/27 17:10追記
第1節のタイトルが「高市早苗氏、新総裁に選ばれる」のままでした。予定稿が変わっていませんでした。(修正したくないですが)修正しています。
石破茂氏、新総裁に選ばれる
本日の自民党総裁選では、石破茂氏が決選投票を制し、新総裁に選ばれました。
これによりおそらく近いうちに国会が召集され、岸田文雄首相が辞表を取りまとめて内閣総辞職し、自公両党が衆参両院で多数を占めるなかで、石破茂氏が首班指名され、皇居での認証を経て正式に第102代内閣総理大臣に就任することでしょう。
株式市場は、午後1時頃に39,400円前後だった日経平均株価は、「高市総理誕生」を織り込んでいたためか、39,829円56銭で取引を終え、為替市場も1ドル=146円台前半で推移していました。
ところが、「石破勝利」が流れた瞬間、CFD先物は急落し、現時点でマイナス1,568円となっているほか、為替相場も一時142円台程度にまで円高が進む展開となりました。
自民党総裁選の結果を受けて株安・円高というのも、なかなかに興味深い事象です。
ただ、総裁選は終わってしまったため、今後は「石破茂政権」を前提に、私たちも議論を進めるより方法はありません。
衆院解散はあるのか
さて、ここで考えておくべきは、衆議院の任期が残り1年ほどである、という点です。
石破「首相」がどう判断するかにもよりますが(もしかすると補正予算くらいは汲むかもしれませんが)、常識的にはごく近いうちに衆院解散・総選挙が行われる可能性が高いと考えられます(あるいは2025年夏に衆参同日選、という可能性もないではありませんが…)。
これが高市「総理」の下で行われる衆院選だったなら、「史上初の女性総理」「世襲議員でもないフレッシュ感」などの刷新感のもとで行われるものでもありますし、これに対し、野田佳彦・元首相が代表に就任した最大野党である立憲民主党に「刷新感のなさ」が目立つ、といったかたちで、自民党が圧勝する可能性はありました。
しかし、現実に自民党を率いるのは石破「首相」ですので、はたして自民党の圧勝があり得るのか、考察が必要なところです。
もっとも、衆議院議員総選挙の仕組みを振り返っておくこと自体は有意義です。
衆院選では全465議席が小選挙区289議席、比例代表176議席で争われますが、このうち議席全体の6割以上を占める小選挙区に関しては、第1位となった候補者が1人だけ当選し、一種の救済措置としての「比例復活」を別とすれば、2位以下のすべての候補者は落選します。
このため、得票率の差が大したことなくても、獲得議席数には大差がつくことが一般的です。
過去の衆院選・小選挙区の得票率と獲得議席数
参考までに、衆議院の総議席数のうち、小選挙区に配分された議席数と、自民党、民主党(または立憲民主党)がそれぞれ何%の得票率で何議席を得ていたかというデータを示しておきましょう。
【参考】自民党の獲得票数と獲得議席数(小選挙区)
- 2005年…32,518,390票(47.77%)→300議席中219議席(73.00%)
- 2009年…27,301,982票(38.68%)→300議席中*64議席(21.33%)
- 2012年…25,643,309票(43.01%)→300議席中237議席(79.00%)
- 2014年…25,461,449票(48.10%)→295議席中222議席(75.25%)
- 2017年…26,500,777票(47.82%)→289議席中215議席(74.39%)
- 2021年…27,626,235票(48.08%)→289議席中187議席(64.71%)
(【出所】総務省『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報結果』データをもとに作成)
【参考】民主党(~2014年)、立憲民主党(2017年~)の得票率と獲得議席数
- 2005年…24,804,787票(36.44%)→300議席中*52議席(17.33%)
- 2009年…33,475,335票(47.43%)→300議席中221議席(73.67%)
- 2012年…13,598,774票(22.81%)→300議席中*27議席(*9.00%)
- 2014年…11,916,849票(22.51%)→295議席中*38議席(12.88%)
- 2017年…*4,726,326票(*8.53%)→289議席中*17議席(*5.88%)
- 2021年…17,215,621票(29.96%)→289議席中*57議席(19.72%)
(【出所】総務省『衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果調』データを加工)
過去の衆院選
もちろん、上記はあくまでも小選挙区に限った話であり、現実には比例代表もあるため、ある程度は少数政党にも議席が配分される、という仕組みではありますが、しかし、政権与党となるためには、小選挙区を制することが必要であることは指摘するまでもありません。
この点、全体的な話でいえば、第1党と第2党の票数が肉薄している場合には、結果的に小選挙区での両党の獲得議席数が拮抗することもあり得ます(本稿で引用していない2003年の選挙などがその典型例でしょう)。
しかし、第1党と第2党の得票率に10%ポイント程度の差が付くだけで、獲得議席数には大きな差が生じるのです。
2005年だと得票率は自民党47.77%に対し民主党は36.44%で10ポイント程度の差しか付いていませんでしたが、議席数では自民党219議席に対し民主党52議席と、じつに4倍の差が付きました。
2009年は逆に自民党が38.68%に対し、民主党が47.43%と、得票率を9ポイントほど上回っただけですが、議席数では自民党64議席、民主党221議席と、やはり4倍近い差が付いたのです。
さらに2012年の選挙では、自民党の得票数は全体の43%に過ぎなかったにも関わらず、(当時の小選挙区定数である)300議席中、じつに237議席を獲得し、27議席と惨敗した民主党と比べて10倍近い議席を獲得しています。
その後、2014年、17年と連続して、自民党の小選挙区での得票率は過半数に届かなかったにもかかわらず、議席数では7~8割を占め続けており、2021年の選挙では野党の選挙協力があったためか、議席率は7割を割り込んだものの、やはり立憲民主党に20ポイント近い差をつけて第1党となっています。
石破首相なら「2003年型」「2021年型総選挙」か?
一部世論調査では、「次回衆議院議員総選挙では自民党に投票する」と答えた割合が立憲民主党の3倍以上になっているとの情報もありましたが、自民党総裁選が終わり、これがどう変化するかはわかりません。
もしかすると、「2003年型」、「2021年型」の、最大野党がそこそこ議席を獲得する、といった結果におわるかもしれません。
この点、石破茂氏が首相になるにせよ、自民党が事実上の「集団指導体制」であるという点については、注目しておく必要があります。
仮に高市早苗氏や小林鷹之氏といった「保守派」が総理・総裁に就任したとしても、おそらくは彼らの主張は半分の実現しなかった可能性があります。
これと同じで、自民党政権が続く限り、「石破茂体制」下においても、安倍、菅、岸田各政権時代の方針を全否定するということはできません。その意味で、過度な悲観をすべきでもないのです。
なにより、日本を取り巻く環境は、経済にせよ、安保にせよ、待ったなしの状況が続いています。
著者自身、石破「首相」が本心だったといえばウソになりますが、それでも石破体制下で自民党が挙党一致し、日本を良い国にしていくことを期待したいところですし、また、自民党がダメな政党になってしまったならば、自民党を打倒し得るマトモな野党が出現することを願いたいと思う次第です。
View Comments (72)
次の選挙には、自民党には入れません。
同意
次は、立憲民主には入れたくないので維新の会かなぁ。
維新の会は兵庫県知事問題で躓いているが、そもそも斎藤元知事が総務省出身で訳のわからない人物で、自民に対抗する形で手を挙げた人を推薦してしまった。
人を選ぶのは大変難しいと思いますが、維新の会は頑張ってほしいと思います。
維新の会や国民民主はこの機会を活かしてもらいたいですね。
間違っても立件などと野合することなく。
これでいよいよ冗談抜きに国民民主党しか選択肢がなくなってしまいました…ここで立憲民主党と合流する方向で調整とかいう寝言だけは絶対にやめてくださいよ玉木さん…
財務省は喜びそう…
進次郎氏は選挙対策で党三役かしら?
ナンにせよ、経済成長の芽を摘む政権と成らないコトを祈念するのみか…
与野党のトップが増税で一致しているという事には失望を禁じ得ません。
なんで誰も見出しに突っ込まないんですか・・・そういう芸なんですか・・・
誰も通報をしていないのである!
皆さん、もうそんな気力も残ってないのでしょう。。。
石破政権下で今後予想されること一覧
移民受け入れ
電気代高騰
金融所得増税
今のところボクがパッと思いつくのはこれくらい
他何かあるやろか?
気になっている,いや気にしとこうと思っているのがいわゆる第7鉱区の扱いですねえ。
岸田文雄のように1期で終ってしまう。
下手をすると有事で失敗して、解散かな。
ボクは第七鉱区も石破さんの中韓に対する考えも分からないので、良かったらkwsk
楽韓さんより
https://rakukan.net/article/502777531.html
Wikiより
>日韓慰安婦合意(2015年12月28日)から約1年5ヶ月後、文在寅政権発足(2017年5月10日)直後の2017年5月19日に石破は韓国の東亜日報のインタビューに応じた。5月23日の記事によると慰安婦問題に関して「それでも(日本は韓国の)納得を得るまで(慰安婦に)謝罪し続けるしかないだろう」と語った
二つ合わせると「黙っていれば日本のものになる(あるかもしれない)資源を共有することで,徴用工問題(あるいはその他懸念点)をチャラにしましょうね」という交渉,あるいは裏交渉を行うんじゃないかな,と注目してます。
最初の段落の見出し、間違ってませんか?
修正漏れかな?
「高市早苗氏、新総裁に選ばれる」
正直、自民党議員たちの考えていることがかなり理解に苦しみますが、それはそれとして、景気が悪くなって、日本全体が暗くなってしまわなければいいがという心配が先立ちます。
他方、ダブル選挙にでもなるのでない限り、次の衆議院選挙は、かなり盛り上がりに欠けたものになりそうです。安倍首相の作った貯金で当選してきた、自民党議員は、かなり落選者が出るかもしれません。野党で伸びるのは、維新か、立憲かはわかりませんが。
また、支持者の高齢化で組織の力が急速に落ちていると考えられる、某連立与党は、衆議院選挙で投票率が上がらないのではないかという情勢に、胸をなでおろしているかもしれません。
これは相当な金額の「実弾」が飛び交ったのではないのか?
決選投票の結果を見て最初に胸に湧いたのが、この疑惑でした。
そういえば石破氏、幹事長もやってたよな・・・ってなことを考え出すと止まらなくなりそうで、そんな自分がコワイんです。
キングメーカーが麻生太郎のハズが菅義偉に代わってしまった。
小泉進次郎が3位になったら、高市早苗(麻生支持)より石破茂に入れるように操作していたように思われる。
安部さんが暗殺されたとき以来のショック
同感です。とても脱力感を感じています。
何と言うか、オセロで角を取られた時の気分、これから次々と色がひっくり返されて行きそうな、そんな嫌な感じです。
証拠は無いですが、チャイナマネーがかなり動いたらしいです。知人から聞きました。