ロシアとは油断ならない国だ―――。朝日新聞論説委員の駒木明義氏の新刊を再構成した記事によると、駒木氏はかつてロシア側の関係者から、日露平和条約に「第三国との関係で起きたことを理由にして、相手に対して敵対的な政策をとらない」という条項を盛り込んだら「とても意義深いのではないか」と聞かされたそうです。駒木氏は「油断も隙もない」と指摘しますが、平和条約が2島返還で妥結していたとしたら、それは日本にとって割が合わないものだった可能性は高いでしょう。もっとも、本当のリアリスト(現実主義者)なら、また違う道もあるかもしれません。
目次
ビジネスの目的は「おカネ儲け」…プライドより契約を!
読者の皆さまにとって、当ウェブサイトの妙に青臭い理想主義的な論調からは想像できないかもしれませんが、著者は自分自身のことを「現実主義者」だと考えています。
著者自身の勝手な定義で恐縮ですが、この「現実主義」は、さまざまな問題を現実に即して実務的に解決しようとする考え方のことで、「目的が果たせればそれで良し」とする発想に立脚しています。
当ウェブサイトではお示ししていませんが、企業のさまざまな実務においては、「足して2で割る」式の解決を図らなければならないことは非常に多く、また、とくに規制関係では、「なんだかおかしな考え方だなぁ…」などと思っていても、我慢してその規制にお付き合いしなければなりません。
役所相手に勝てっこないからです。
当然、多くのビジネスマンは、自分自身にもプライドがありますから、必然的に「あまり譲りたくない部分」、「どうしても譲れない部分」なども出て来るでしょう。
しかし、ビジネスの大きな目的は「おカネ儲け」です(※著者私見)。
自分自身のちっぽけなプライドが多少傷つくのが我慢できるのであれば、契約獲得を重視するのが鉄則です(といっても、リーガル・リスクなどを背負いこまないように気を付ける必要はありますが…)。それで契約が取れるのならば、多少のプライドよりも契約を取るというのがビジネスマン、というものです。
国益と尊厳をどう判断するのか
政治家は国益を背負っている!
ただ、その「目的のためならばどこまで我慢できるか」、という線引きは、人によってさまざまでしょう。
ましてやこれが国家ともなってくれば、政治家の皆さまには日本の国益と尊厳をともに追求していただきたいと思うのが人情ですし、国益や尊厳をどちらもないがしろにするのはとんでもない話であることは間違いありません。
私たち1億2000万人の生命と財産を守るために、政治家(とくに与党議員)の皆さんには、日々、奮迅してもらわなければ困ります。
こうしたなかで重要な論点があるとしたら、「国益のために尊厳をどこまで重視するか」、というものかもしれません。
国益と尊厳がトレードオフの関係になることが、現実の国際政治の現場では、あり得るからです。
こんな事例を考えてみましょう。
「外国に攻め込まれた。その外国はわが国の領土の一部を要求している。わが国には戦力はないし外国の援助も期待できない」。
ここで、国家の尊厳という観点からは、領土は絶対に譲ってはならないものとします。しかし、国益(≒国の安全)という観点からは、わずかな領土を相手国に渡して平和になるならば、その領土を相手に渡さざるを得ないものとします。
こうした事例であなたがこの国の大統領や首相だった場合、どういう決断を下すべきでしょうか。
非常に難しい問いかけですが、理想主義者の方であれば「領土は渡さない」、「国民の安全を守り抜く」という二兎を追うかもしれませんが、現実主義者の方であれば、「苦渋の決断」などと称し、要求された領土をさっさと相手に渡してしまうかもしれません。
一方、あなたがこの国の国民だった場合、それについてどう思うでしょうか?
現実は冷徹だ
この点、無法国家が相手であれば、領土を一部渡してそれで終わりになるとは限りませんが、「とりあえずの急場を凌ぐ」という観点からは、「相手国に譲歩することも、時として国家の生存のために必要である」というのは、まぎれもない事実でしょう。
また、そんなことにならないよう、普段から防衛力を強化し、国際社会に味方を多く作るなどして外国からの侵略を防ぐための努力が必要ですし、そうした対応を可能にするためには適切な産業・財政・金融政策などを通じ、国家の経済力を維持・強化していかなければならないのは当然のことです。
しかし、非常に残念ながら、戦争というものはこちらが望んでいなくても発生するものですし、自力で自分たちを守る意思のない国など、国際社会からは容易に見放されます。
著者の私見ですが、ウクライナが現在も大国・ロシアを相手になんとか持ちこたえている(ように見える)理由は、ウォロディミル・ゼレンシキー大統領率いるウクライナという国家がロシアの侵略への抵抗を諦めていないからではないかと思います(異論は認めます)。
いずれにせよ、万が一、国防体制が不十分であるにも関わらず、外国から攻め込まれてしまえば、国家の生存のために降参しなければならないという事態も考えられますし、国家の長い目で見た生存戦略としては、そうせざるを得ないこともあるのです。
思い出しておきたい「2島返還と平和条約」
したがって、国家の指導者には、現実主義者的な側面と、理想主義者的な側面の、両方が必要です。
「国の経済と外交・防衛力を強くする」という「理想」をあくまでも追求しつつ、現在の自分たちの国の実力がどういう水準にあるのかという「現実」を常に把握しておかねばならないからです。
そして、著者自身が思うに、さらに重要なのは、「何のための現実主義か」、という視点です。
先ほど、「国家の生存のためには、ときとして国家の尊厳を諦めてでも、譲歩しなければならないことがある」、という点を指摘しましたが、だからといって何でもかんでも「国益」に絡め、国家の尊厳を安売りするようなことはやってはなりません。
行き過ぎた現実主義は、中・長期的には、却って将来に禍根を残すこともあり得るからです。
たとえば「平和条約」だ、「不戦条約」だといった条約は、人類史上、何度となく結ばれてきましたが、こうした条約はときとして容易に反故にされるものでもあります。
日本はロシアとの間で北方領土問題を抱えていますが、これについても「現実的な解決」を図ろうとして、たとえば択捉、国後の両島を諦め、色丹、歯舞両島の身の引き渡しを受けて満足し、日露平和条約を結ぶ―――、といった対応が語られることがありました。
しかし、ロシアの事実上の前身国家は、そもそも第二次世界大戦末期に日ソ不可侵条約を破って日本に攻め込んできたソ連です。
そんなソ連/ロシアを信頼して、再び平和条約を結んでなにか意味があるものなのでしょうか。
ロシアの油断も隙もないアイデア
朝日新聞の駒木氏「ロシア関係者の驚きのアイデア」
これについて考えさせられる記事がありました。
日ロ平和条約が締結されていたら対ロ制裁はできなかった? ロシア関係者が明かす驚きのアイデア
―――2024/09/16 06:32付 Yahoo!ニュースより【AERA dot.配信】
配信したのは朝日新聞系の『アエラドット』で、朝日新聞論説委員の駒木明義氏の新刊『ロシアから見える世界 なぜプーチンを止められないのか』(朝日新書)から一部抜粋・再編集した記事なのだそうです。
この点、著者自身は普段の駒木氏の論調を存じ上げないのですが、リンク先の記事からは、ロシアと平和条約を結ぶことの無意味さ、あるいは危険性が、大変によくわかります。
駒木氏はウクライナ戦争が始まってから約2年後に、「とても日本の事情に詳しいロシアの外交関係者」と話す機会があったのだそうですが、この人物からこんなことをいわれたというのです。
「もしも今、ロシアと日本の間に平和条約があったとしたら、日本は大変でした。米国に言われて、ロシアに制裁しなければならない。だけどそれは条約違反になってしまう。頭が痛いことになっていましたね」。
平和条約そのものを巡る日露の見解の相違については、駒木氏の記事を読めば詳しく書かれているのでア金津愛しますが、このロシアの外交関係者の真意は、記事の後半で明らかにされます。駒木氏は(おそらくは上と同じ)ロシア側関係者から、こう言われたというのです。
「平和条約に『日本とロシアは、第三国との関係で起きたことを理由にして、相手に対して敵対的な政策をとらない』という条項を盛り込めれば、とても意義深いのではないか」。
つまり、仮に安倍総理が二島返還で譲歩し、日露間で平和条約を結び、その条約にこんな文言が入っていたとしたら、日本はG7と足並みを揃えた対露制裁に踏み切れなかったかもしれない、というのが駒木氏の指摘です。そのうえで、駒木氏はこう述べます。
「油断も隙もないとはこのことだ」。
まったくその通りでしょう。
駒木氏の述べるロシア当局者の発言、額面通りに受け止めれば、ロシアという国がいかに信頼できない相手国であるかがよくわかります。
そして、日本がたかだか北方2島の返還で満足し、ロシアと変な内容の平和条約を結んでしまっていたならば、ロシアの外国に対する侵略行為を理由とした対露制裁ができない、という可能性があるだけでなく、かつてのようにロシアがだまし討ち的に日本に侵攻してくる可能性だってあるのかもしれません。
その意味で、2島返還と引き換えに平和条約、というのは、明らかに対価と果実の関係が釣り合っていないといえるでしょう。
ちょっとだけ異論…締結してわざと破る、というのは?
ただ、ここで敢えて、ちょっとだけ異論(というか暴論)を差し挟むことを許していただきたいと思います。
そもそも、そんな条約を結んだとして、守る必要はあるのでしょうか?
冷静に考えるとわかりますが、そもそもロシアという国自体、約束を平気で破る国です。日本は国際法、国際条約、国際的な約束をじつによく守る国ですが(だからこそ国際社会からの信頼も勝ち取っているのですが)、無法国家を相手にした条約を守る必要が本当にあるのか、という点については、議論の余地があります。
もっといえば、(批判を覚悟で述べるならば)ロシアと2島返還で妥結し、平和条約を結んでおけば良かったのだ、といった発想も成り立ちます。
「その心は?」
皆さん、そう思ったでしょう。
簡単です。
「日本はこれまで、バカ正直に約束を守り続けてきた」。
こんな事実があれば、ロシアだって思うでしょう。「日本はこの条約を守り続ける」、と。
そこで、色丹、歯舞の2島だけ日本に返還し、日本との間で平和条約(あるいは不可侵条約)を締結するのです。「日露両国は、第三国との関係で起きたことを理由にして、相手に対して敵対的な政策をとらない」という条項付きで。
そして、ロシアは「日本が制裁を加えることは絶対にない」、などと安心して、ウクライナに軍事侵攻します。
すると、日本は直ちにこの平和条約を破ってロシアに制裁を宣言し、あわせて「平和条約は破棄したから、制裁解除と平和条約の再締結をしてほしくば、択捉、国後の残り2島を今すぐ返せ」などと迫ることができる…のかもしれません。
日露平和条約は割に合わない!
ロシアが日本の国際法破りを非難する?
非難させておけば良いじゃないですか。ロシアだって過去に国際法を破って日本に軍事侵攻したのですから(厳密には「ロシア」ではなく「ソ連」でしたが…)。
以上の発想は暴論であり、なかば冗談めかしたものではありますが(よりにもよって日本が国際法を破るなどあり得ない、という意味です)、ただ、ロシアのような無法国家を相手にするならば、こちらも相当にしたたかになる必要があることは間違いありません。
歴史にIFはありませんが、もしも日本がロシアとの関係でもっとしたたかに振る舞うことに成功していれば、もしかしたら今ごろ、北方2島だけは帰って来ていたのかもしれません。
ただし、ついでにもうひとつ指摘しておくならば、少なくともロシアとの間の平和条約は割に合っていない、という点です。
日露平和条約は一種の「日露不可侵条約」のようなものともいえますが、過去に日ソ不可侵条約を堂々と破棄し、火事場泥棒的に日本の領土を次々と掠め取った卑劣なソ連(≒ロシア)という国が、これをバカ正直に守るはずもないからです。
そうなると、北方領土返還も、アプローチを変えて、よりリアリスト(現実主義者)的な解決を図る必要が出て来るのではないでしょうか。端的にいえば、憲法を改正し、法的には「自衛戦争はこれを認める」とする明確な規定を設けるべきなのです。
ロシアは不法に占拠した日本の領土を頑なに返そうとしませんが、これも「日本は絶対に攻めてこない」と舐めているからだ、という側面もあります。
無法国家には改憲で!
そういえば、国際法をないがしろにする無法国家は、日本の周りはロシアだけでなく、中国、北朝鮮など、合計少なくとも4ヵ国は存在します。
とりわけ拉致問題を抱える北朝鮮に対しては、「自衛のための戦争は可能」と明記された憲法を日本が持つことは大変な脅威です。
理屈の上では、「再軍備」した日本が軍隊を平壌(へいじょう)に派遣し、金正恩(きん・しょうおん/ジン・チョンエン)ら北朝鮮幹部一味を逮捕し、日本に連行したうえで、巣鴨拘置所あたりで取り調べを行い、日本で刑事裁判を受けさせることが現実に生じ得るとしたら、どうなるでしょうか?
改憲内容によっては、あるいは改憲後の日本政府の対応次第では、金正恩一味は慌ててすべての日本人を返そうとするでしょうし、土下座して許しを請うかもしれません(もちろん、土下座をしたところで、許してはなりませんが…)。
じつは、これこそが本当の「現実主義」ではないでしょうか?
幸いにも現在、衆参両院で「改憲勢力」が3分の2を超えている状況にあります(公明党を「改憲勢力」に含めて良いかどうかは議論がありますが…)。
自民党の総裁選(12日告示・27日投開票)直後に選ばれた新総裁・総理がただちに解散総選挙に踏み切るかどうかについてはわかりませんが、もしもすぐには解散をせず、改憲発議を済ませたうえで、来年、衆参同日選と改憲国民投票を仕掛ける、といったシナリオも、ないわけではありません。
これについては総裁選の結果次第ではありますが、案外、今後1~2年の政治動向が、戦後レジュームからの脱却を加速させていく可能性は、それなりに高いと言えるのではないか、などと思う次第です。
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北方領土、返ってくるわけないじゃん。
ロシアの立場になって考えれば簡単にわかる。
ロシアの仮想敵はNATO、アメリカ。日本はアメリカと軍事同盟を結んでいる。そんな国に実効支配している領土を返すわけがない。
返すとしたら、中国の台頭でアメリカとロシアが同盟を結んだ場合かな。
ありえない? ソ連を押さえるために米中国交回復やったよね。
ロシアは中国に攻め込まれて領土を{獲られる|奪還される}未来を心配しているはずです。極東アジアは今日も荒れ模様。
ブダペスト覚書を例に考えると、国際社会における契約(条約・同盟)というものは、どのくらい価値があるものなのか。
安全保障は、契約だけにとどまらず、履行を担保するための他の力(他国の力でなく自国の力)も必要なことは明らかですよね。
憲法改正もそうですが、スパイ禁止法の制定も必要でしょう。
少子化定員割れで経営苦の圧にさらされている文系大学がアジア系留学生に乗っ取られているのが教育界で問題視されています。あの組織、名は書けませんが。
いわゆる北方領土は「戦争の結果としてロシアが手に入れた正当な領土」と開き直っているのだから、それに相応しい対応が求められると思います。
いまのうちから日に陰にウクライナを支援し、ウクライナ勝利で停戦しそうになった段階でロシアに宣戦し、自衛隊の実力で北方4島を奪還、南樺太を保障占領するくらいはやっても良いのでは?その過程で極東海軍は全滅させる。4島からはロシア軍を追放して、日米で共同警備。住民はロシアへ送還するか、希望者には第3国への移住、またはロシア国籍を放棄させて日本人として他の地域での居住を認める。南樺太はウクライナへの賠償が終るまで日本が管理して、油田、ガス田の売上げをウクライナに供与する。
ついでに竹島からも外国勢力を駆逐するくらいは、、、やっちゃえニッポン。
相手が無法を働くから、こちらも無法で返すのだ。その考え方には賛同出来ません。
何故かというと、無法者というのは自らの無法は自覚が薄く、相手の無法には過敏なものだからです。
より無茶苦茶な無法へとエスカレートさせ、事態をより悪化させる可能性が大です。
また、無法の世界で生きてきた相手というのは、言わば無法が得意分野です。相手の土俵でのこのこと勝負しようというのは、下策だと思います。
やるなら、相手をこちらの得意な戦い方へと引っ張り込む方がいいでしょう。
>無法国家には改憲で!
改憲することそのものには割と賛成の側ですが。
改憲したから相手がビビって頭を下げるくるんじゃかなどと期待するのは、現実主義から遠い妄想だと思います。
金融制裁されたところで、ロシアは屈しない。北朝鮮も屈しない。
侵攻されたところで、ウクライナも屈しない。
何百万という自国民の命を散らしても、戦前の日本は国が焼け野原になるまで屈しなかった。
善悪はともあれ、国家が張る意地というものはそういうものではないでしょうか。
たかが、近隣国の改憲如きがそんな影響力を及ぼすとは思えません。自己評価が高すぎると思います。
いろいろ賛否があるかと思いますが、私は会計士様の意見に賛成です。
「どんな状況でも暴力を振るってはいけない」などと言う人たちがいます。
子供の喧嘩でも大人の喧嘩でもとにかく手を出したら負けだと。
私はこう言う人たちを信用しません。私は殴られたら絶対に殴り返します。「手を出すな」と言う人たちは、殴り返されないために、自分たちを絶対の安全圏に置くための詭弁を弄しているだけです。
手を出せば自分も痛い目を見る、倍返しされる、と知ることは大事な事だと思います。抑止力でもあると思います。「国際社会の信用が無くなる」とか言う人もいますが、実際にアメリカや中国が困ってますか?と聞きたいです。
「信用を無くさないため」に国益や名誉を無くせば元も子もありません。政治家の人は国際社会のいい子になるのではなく、国際社会の大人になって欲しいと思います。その前に外務省は解体した方がいいのかもしれませんがね。
中国が日本の土地を購入し続けているのは知っていますか?
https://x.com/Parsonalsecret/status/1819941260326842394
これは熊本の湧水地です。
その他にも北海道の広大な土地、東京の一等地、離島など購入しています。
茨城のニュータウンが町ごと買われた、という報道もありました。
「この土地は永遠に俺たちのものだ!」
「日本が取り返したければ武力で来い!」
SNSで中国人はこう怪気炎を上げています。
中国は武力を用いるまでもなく現在進行形で日本の領土を獲得している。
この事態を「現実主義者」はどうお考えなのでしょうか?
国益や尊厳などどこにあるのでしょうか?
北方領土より現在の中国による領土獲得を心配してはいかがでしょうか?
過去に不法不当に簒奪された領域は取り戻す機会を代を継いで紡いでいき、いまそこにある侵食の危機にはそれはそれで対処すればよいのですよ。
「領土は1ミリたりとも譲らない」との言葉にある通り、領土・主権とは、決して譲ってはいけない国家の尊厳にかかわる問題です。従って、どんなに中国が攻勢かけようと、尖閣問題で譲ってはいけませんし、日本が北方領土や竹島の領土回復要求を取り下げてもいけません。
しかしながら、この夏フィンランドに旅行した際、初めて同国の歴史を知りました。同国は1932年にソ連との間で不可侵条約を結んだのですが、39年にソ連がこれを一方的に破棄、その直後から「冬戦争」を起こされ、国土の10%、工業生産の20%が集中するカレリア地峡を、割譲せざるを得ませんでした。国際社会はこれを非難し、国際連盟はソ連を追放しましたが、そのことはソ連の行動に何の影響も与えませんでした。
今ウクライナ国民及び政府は、似たような苦渋の決断を、迫られていると考えられます。もはや国際社会の非難と経済制裁により、プーチン政権が崩壊し、戦争が終結するというシナリオはないでしょう。時間が経てば、西側の結束は揺らぎ、ハンガリーにように日和る国も出るでしょうし、大将格の米国だってトランプみたいなのが大統領になるかもしれません。「現時点での占領地域での国境画定+ウクライナのNATO非加盟」でまとまれば、御の字というのが現実か、と思います。「無法者に果実を与えるのか」、理屈はその通りですが、それで解決はどうするのか、です。国民の戦意がまだ壮んなうちに、国内で裏切者・卑怯者と誹られるのを覚悟でまとめあげる、そういう難しい対応が、ウクライナ政府に求められていると考えられます。
「改憲で北方領土問題を解決する」。そうであれば良いのですが。
戦争以外の手段で北方領土を取り戻すには、ロシアがクリミア戦争後の財政事情によりアラスカをアメリカに売却したように、購入という方法しか無いように思います。
ただ、ロシア帝国の復活を目指すプーチン大統領が、経済的に行き詰まったからと言って、ロシアの安全保障に関わる北方領土を日本に売却するとは思えません。
日本としては、プーチン後のロシアに日本に友好的な政権が出来るのを待つしかないのではないでしょうか?
現在日本に出来る対策としては、ロシア国内や国外の反プーチン勢力が、プーチン政権が崩壊後に政権を獲得できるよう支援をすることではないでしょうか?
高市さんには、是非次期首相になって頂いて、北方領土奪還に向けた対ロシア工作を進めて頂きたいと思います。
「なぜ中国はロシア占領の土地を取り戻さない」 台湾総統の発言に露ハッカーが「報復」
西見 由章2024/9/17 11:35
https://www.sankei.com/article/20240917-FQSVNAMLMFKZZESPWT7GYBIW4A/
>中国の愛国主義者はロシアへの領土割譲に不満を抱く。ネットには「ウクライナ戦争で弱ったロシアから領土を取り戻せ」といった声もあり、国内の反露感情に火がつくことを警戒しているとみられる。
日中は、ロシアに奪われた領土を取り戻す為なら協力し合えるんじゃないかと。
ま、その場合は習帝国ではない民主制中国とでしょうけど。
ロシアはモスクワ市国?として存続するのが適当なんでしょうね。
Wiki より抜き書きしてみました。
国恥地図(こくちちず、繁体字中国語: 國恥地圖、簡体字中国語: 国耻地图)は、中国(当時は国民政府の統治する中華民国)で1930年前後に作られた、中国が欧米と日本の列強により喪失したとされる領土を示した地図である
西欧列強に侵食され続けた恥辱を晴らす中華とやらの仮面を被った漢民族の版図拡大について。
深謀遠慮に長けたチャイニーズというイメージとは裏腹に、1980年代以降の中共指導部の戦略はどうも長期的な視点からは逆効果になっている気がします。
戦略的にコストパフォーマンスに乏しい小島の尖閣にこだわり、味方につけるべき日本を主敵アメリカと強固に結びつけ、愛渾条約以来いまも尚手放したままの極東沿海州を回収する姿勢を見せる素振りもできない中共指導部。日本は古地図を含め正確なエビデンスを基に、いかに中国の尖閣領有主張に理がないか、無理筋の尖閣領有でいかに中国の利益を毀損しているか粘り強く発信し、中共の姿勢を南進(尖閣)から北進(沿海州)に向かわせることも意外と大事なのではないかと感じています。