多様性という単語を見ることが増えている気がしますが、多様性を尊重せよと主張する人たちこそ、じつは多様性を尊重していないという可能性はないのでしょうか。イスラム教徒ではない一般の児童・生徒にハラール食を提供することは、果たして多様性の尊重といえるのでしょうか?本当の多様性を主張するなら、むしろイスラム教徒にトンカツを提供する日も設ける方が、アプローチとしては正しいのではないでしょうか?
異論を唱えると除名する政党が「多様性の統一」
「多様性」という単語を見かけることが増えている気がします。
「民族の多様性」、「人種の多様性」、「性の多様性」―――。
最近だと、さまざまな多様性があります(反対語は「画一性」、でしょうか?)。
ちなみにとある政党は最近、しきりに「多様性の統一」などとする表現を用いているようです。
多様性の統一で新しい政権を
―――2021年10月24日付 しんぶん赤旗より
これもなかなか強烈で、また難解な概念であるようです。「多様性」を「統一」するということは、それは結局、「多様性を認めない」ということになりそうです(ちなみに『直接選挙が「非民主的」?共産党の志位委員長の謎主張』などでも論じたとおり、日本共産党は異論を唱えた党員を除名処分にする政党でもあります)。
茨城の自治体の学校給食でハラール食を提供
この点、あくまでも著者自身の主観で恐縮ですが、この手の「多様性」を主張する人達が、本当の意味で多様性を尊重するつもりがあるものなのかどうかについては、正直疑問です。
こうしたなかで「多様性」について考えておく際、ひとつのモデルケースとなり得る事例があるのを紹介しておきたいと思います。
ムスリムの児童も一緒にごはん 茨城2町でハラール給食
―――2024/09/08 12:15付 毎日新聞デジタル日本語版より
毎日新聞によると、茨城県の2つの自治体の小中学校に給食を提供する堺町学校給食センターが4日、ムスリムの児童・生徒でも食べられる「ハラールフード」(毎日新聞によると「神に許された食品」)の給食を初めて提供したのだそうです。
その際、毎日新聞は同センターのこんな発言を取り上げています。
「宗教に関係なくみんなと同じ給食を楽しんでほしい。日本の子どもにも世界の食生活や多様性を知ってほしい」。
この理屈は、いったいどうなのでしょうか。
宗教は自由だが…押し付ける権利はあるのか?
イスラム教が食品に関して、豚肉の摂取を禁じるなど、厳格な戒律を設けている(らしい)、という点については、わが国でも知らない人は少ないでしょう(著者私見ですが、これはイスラム教が発生した時代背景に照らし、衛生面などを「神の教え」として守らせるという目的もあったのだとは思います)。
ただ、イスラム教のハラールは食品衛生法など日本の法体系と整合するものとは限りませんし、現実に、日本ではイスラム教徒に配慮した食品などを街中で見かけることは、さほど多くないのではないかと思います。
もちろん、イスラム教がそうした戒律を設けているからといって、それを「信奉するな」と強要することはできません。日本国憲法第20条第1項の規定に基づき、日本国内においては、信教はあくまでも自由とされているからです。
ただ、それと同時に日本国憲法第20条には、こんな規定も設けられています。
- 「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない」(同第2項)。
- 「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」(同第3項)。
今回、公教育における給食という場で、ハラール食という宗教的な理由に基づく食事を摂取することを、一般の児童・生徒に押し付けていることは、「宗教上の行為」への参加を強制していることにはならないのでしょうか?あるいは形を変えた宗教教育となり得るという懸念はないのでしょうか?
さらに不思議なのは、この手の「多様性の尊重」という表現が、特定の集団を優遇するのに使用されている可能性がある、ということです。
それに、日本という国においては、食品衛生法などが許す限り、多様な食品が存在しています。豊かな山の幸、海の幸に恵まれた日本では、古来、さまざまな食材が楽しまれてきましたし、そんな日本に暮らす以上、特定の宗教集団に「だけ」配慮するというのは現実的ではありません。
いずれにせよ、「多様性の尊重のためには他宗教の食事を一緒に食べてみましょう」、という教育が許されるのであれば、むしろイスラム教徒に対してトンカツを提供するくらいのことをやらないと、首尾一貫性はありません。
多様性尊重なら参加しない自由も保証すべきでは?
ちなみに毎日新聞の記事によると、4日の献立は▼イカ天ぷら、▼たまご丼の具、▼ごはん、▼みそしる、▼リンゴジュース、▼冷凍ミカン―――だったのだそうで、同センターは「今後も定期的にハラール給食を提供する予定」としているのですが、それだけではありません。
「ビーガン(完全菜食主義者)など多様な食文化に対応する献立についても検討する」。
「多様性」と言いながら、実質的に特定の主義・主張の考え方を押し付けているようにしか見えません。
いずれにせよ、「多様性」を訴えたいのであれば、学校給食など児童・生徒が事実上拒絶できない手段ではなく、課外活動など、任意性のある活動にするのが筋です。もしかすると「ハラール食など食べたくない」という児童・生徒もいるかもしれないからです。
「多様性を尊重する」ということは、仮に、「他宗教の儀式などを体験したいとは思わない」という人がいたときに、「参加しない自由」をも保証する、ということでもあるように思えてならないのですが、いかがでしょうか?
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茨城県境町の給食メニューを探してみました。
https://www.town.ibaraki-sakai.lg.jp/page/page003478.html
月に一度は「世界の料理の日」「郷土料理の日」があり、色々なメニューが含まれているようです。
ハラール給食のみを注目して報道する理由は分かりませんが、ハラール給食を否定するほどのことではないと思います。
個人的には宗教系の食事といえば、仏教の精進料理も出してみて欲しいですね。
ヴィーガン向け料理と兼ねることができるかもしれません。
精進料理なんか出したら、クラス全員5時間目まで泣きながら食べる羽目になりそう。
嫌韓ネトウヨサイトがレイシストサイトにクラスチェンジした模様。
「郷に入っては郷が従え」という主張のほうがレイシストでは?
レッテルを貼るにしても、もうちょっと面白くやろうと思いません?
それじゃ他のサイトでも通用しませんよ。
はっは
>>嫌韓ネトウヨサイトがレイシストサイトに
>>クラスチェンジした模様。
?? 大笑い(^^)/
無理筋で「レイシストサイト」?(笑)
とのレッテル貼りは、いかにも
その方面の人たちらしいです。
そしてそんな滑稽な書き込みしてしまうのは
ドサクサに紛れて
「嫌韓ネトウヨサイト」?(笑)との
レッテル貼りしたいのだろうなあ
と見透かされています。
なんせ、
嘘捏造で謝罪と賠償せびるあの国については、
そんなものの肩を持ってしまう人が
「良識的日本人」だそうで(笑)、
そして単に公正に判断する
日本と世界の人びとは
「嫌韓」?であり「レイシスト」?なのだそうです(笑)
そんなレッテル貼りゴリ押しに
日々血道をあげているというのを裏打ちする
生のサンプリングのご意見として貴重です。
このサイトを覗いていると、ときどきこういう普通なら見過ごしてしまうような事柄で、それでいて重要な視点を提供してくれる記事に出会います。いいですね、この記事も。
人それぞれが個別の考えをもち、自分に合った生き方を選んでいて、十人十色。それが社会に迷惑を及ぼすものでない限り、周りもできるだけ放っておいてやる。このような大雑把な寛容性というのが、少なくとも大多数の日本人が、この国の社会をそこそこ居心地が良いものと捉えることに、繋がっているのだろうと思っています。
ところが、この日本流の常識に「多様性」なる用語を与えた途端、とくにリベラル界隈からこの言葉が出てくると、そこは要注意。絶対におかしな下心があると思った方が良い。
「ハラール」、「ベジタリアン」、最近はもっと過激になって「ビーガン」。いいですよ、「食」に対して、個人的にどのような信条を持とうが。「そうしたいなら、お好きにどうぞ」ってだけのはなしです。何ら非難されるいわれはない。
だけどこれが、
・こうした人達の権利を認めなければならない(今でも十分認められてるじゃん)
・こういう人達がより暮らしやすい社会にしなければならない(どの料理店でも、そういうメニューを提供しろってこと?)
・こういう人達と共生する社会を目指さなければならない(あんたはあんたと考えるのは、意識が低いとでも言うおつもり?)
まあ、そんな具合で、サラミスライス戦術で、ドンドン社会の変質を目論んできます。
いいですね、「ハラール」にしろ、「ベジタリアン」にしろ、「ビーガン」にしろ、社会の「多様性」を標榜しながら、食の「多様性」を否定するモノばっかりを推奨するこの矛盾を、凡庸な目にはとまりそうにないほどの、些細な新聞記事から的確に抜き出してみせる。
食の多様性こそが、日本人の長寿命を支え、また海外からの観光客を魅了する、大きなファクターと言って良いほどなのに。まあ、リベラルの皆さんは、その辺から切り崩していくことで、日本社会の腐朽を狙ってるというのは、いくら何でも言い過ぎか(笑)。
>まあ、リベラルの皆さんは、その辺から切り崩していくことで、日本社会の腐朽を狙ってるというのは、いくら何でも"過ぎ言い"か
(注:当方"過ぎ言い"括り)言い過ぎかもしれませんが、リベラルさんの狙いは概ねその方向かと想像します。
ビーガンを自称する輩にロクな奴に会ったことが有りません。
自分勝手で怒りっぽいという印象でしかなかったですね。
パリオリンピック選手村の食堂は「まずい」という評判だったようだが、もう一つ「牛肉禁止」だった。理由は環境への配慮だそうだ。牛肉が環境に悪く、豚肉、鶏肉ならOKとう理屈がよくわからないが、EUに多い環境左翼の考えそうなことだ。
sqsq様
>牛肉が環境に悪く、豚肉、鶏肉ならOKとう理屈がよくわからない
これは、根拠がないわけではないんですね。
反芻動物のウシのゲップに含まれるメタンの量は半端なものじゃないんだそうで、メタンは二酸化炭素より温室効果への影響は遥かに大きいんだから、ウシなんか飼うな、が環境論者が牛肉を排斥しようとする主な理由なんだと思います。
>>牛肉が環境に悪く、豚肉、鶏肉ならOKとう理屈がよくわからない
これは成長(商品化)の効率の問題で、投入される餌と生産される食肉との
比率(効率?)の問題かと聞いた記憶が有ります。
要は、鶏肉の餌を人間が食すれば一番エコ(効率が良い)という事だと思います。
>投入される餌と生産される食肉との比率
これを突き詰めていったら、昆虫食にたどりつくような気がする。
https://future.kouiki-kansai.jp/future/gryllus/
https://www.okaebi.co.jp/whatInsectFood.html
給食センターでハラールフード? 一体全体どうやって作ったのでしょうか? ハラールフード用の設備から用意したのでしょうかねぇ…?
確かに、、、
別の問題がありそう。
>日本の子どもにも世界の食生活や多様性を知ってほしい
趣旨自体には文句はないけど、ハラール食とかビーガン食のように「○○を使わない」みたいなので食生活の多様性を知るってのは、なかなかに難度が高いように思うのです♪
イスラム教の食文化に触れるにしても、イカ天にたまご丼じゃなくて、中東とか東南アジアのイスラム教国で良く食べられるものを出すって工夫はできなかったのかな?と思うのです
あと、ムスリムの児童・生徒は、たまにしか出ないハラール食の給食のために給食費を払うのかな?
非イスラム教徒もハラルフードを食べなきゃ駄目な日を設けるのは、非イスラム教徒に対する嫌がらせになりえますが、多様性を盾に「嫌がらせと感じてはならない:と抑圧するのを正当化してるだけですね。
自由主義社会で多様性の尊重を他者に押し付ける反自由主義者。
>むしろイスラム教徒に対してトンカツを提供するくらいのことをやらないと、首尾一貫性はありません。
おっしゃる通り。出してあげればよいのです。
おいしくてやめられなくなるかもしれませんね。(⌒∇⌒)
下記のような記事もありました。嘘か誠かわかりませんが
https://iinee-news.com/post-16528
堅苦しく考えなくてもよいように思います。
昨年12月バンコクで忘年会をしました。ムスリムがタイ人が2名参加していました。もちろん仏教徒のタイ人も参加していました。ムスリムのタイ人はビ−ルを飲みながら豚肉を食べていました。日本人の社長に聞きました。豚肉エエんかいなぁ。バンコクのムスリムはユルイねん、と言っていました。
ハラール食を強要するイスラム教こそ多様性を踏みにじってるのでは?
多様性ガーの人はそこは批判せずハラール食を生徒たちに強要するのはなんか変。
毎度、ばかばかしいお話しを。
共産党:「社会の多様性は、共産党の指導のもとで実現する」
さて、どこの国のことでしょう。
毎度、ばかばかしいお話しを。
ある大統領候補:「多様性を言うなら、犬、猫、クジラを食べる多様性も認めるべきだ」