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短文主体のSNSをうまく使えば新ビジネスモデルも?

X(旧ツイッター)では基本的に短い文章など「わかりやすいポスト」がウケる、という傾向にあるようです。ただ、それと同時に、短いからといって不正確であるとも限りません。また、要点だけをXにポストし、詳細はウェブ評論サイトの側で説明する、といったスタイルも、もしかしたら将来的にビジネスモデルとして成り立つかもしれないと思うのですが、いかがでしょうか?

ウェブ評論歴14年で気付く「他人の文章が読めない人」

著者自身がウェブ上の言論活動を始めたのは2010年のことです。

当初は大手ブログサイトを借りて細々とブログ活動をするくらいでしたが、2016年にウェブ評論サイト『新宿会計士の政治経済評論』を開始。サイトを宣伝する目的で、ツイッターにもアカウントを開設し、現在に至ります。

その意味で、ウェブ上の情報発信歴は、早いもので、14年を超えるのです。

こうしたなか、実際に自分自身がウェブ評論を行うなかで気付いたことがあるとしたら、それは、「他人の文章を正しく読めない人」の存在です。

この点、新聞記事やテレビ番組などと比べ、当ウェブサイトのコンテンツの文章が長いという点については、否定しません。

当ウェブサイトでは、政治評論であれ、経済評論であれ、何かを議論するときには可能な限り論拠を付けるべきだと考えており、なにかちょっとしたテーマを論じるにあたっても、その論拠の部分を付記するため、どうしても記述の分量が多くなるのです。

「悪い円安」論に見る残念な読者コメント

ただ、ごく稀に、読者コメント欄では、当ウェブサイトの記述をきちんと読んでいないと思しき反論コメントもときどき寄せられるのですが、これはまことに残念と言わざるを得ません。

当ウェブサイトの場合は基本的に、公序良俗に反しない内容であれば、どんなコメントでも掲載させていただくのですが、その理由は、当ウェブサイトの主張内容に「穴」があるかどうかを、さまざまな視点の方々から指摘していただくことにあるからです。

たとえば、「悪い円安」論の間違いについては、『【総論】円安が「現在の日本にとっては」望ましい理由』を含め、これまでに何十回、何百回と指摘してきたつもりです。

とある読者の方のご指摘によると、当ウェブサイトは「円安教の総本山」なのだそうです。それはべつに構わないのですが、何といわれようが、「現在の日本経済にとって、総合的に見て円安は好ましい」とする結論が揺らぐことはありません。そのヒントはフロー面(輸出など)だけではなく、ストック面(資産効果)にもあります。事実、日本は世界最大の債権国であり、2023年における経常収支のうち、「第一次所得収支」に至っては34兆5574億円の黒字でした。せっかくの円安メリットを生かすために、日本は原発の再稼働を強く推し進め、製...
【総論】円安が「現在の日本にとっては」望ましい理由 - 新宿会計士の政治経済評論

ところが、この「悪い円安」論を否定する当ウェブサイトの議論に対しては、ごく一部の方からは、こんな趣旨の反論が寄せられているのです。

  • 経済活動は人間の活動だから、数字では測れない。円安も単なる為替指標のひとつだから、それが人間の行動に影響を与えるというのはあり得ない
  • 円安は日本経済に悪い影響を与えている。なぜなら私の周りの人たちは、みんな円安で苦しんでいるからだ
  • とにかく「悪い円安」論は正しい。私は一般読者だから、ちゃんとした論拠や数字で示すことはできないが、それでもとにかく「悪い円安」論は正しい

…。

議論になっていないお粗末さ

端的にいえば、主張としては、どれもお粗末です。

「人間の行動は数字では測れない」とおっしゃいますが、これは正しくはありません。同じ品質で値段が高いものと安いものがあったら、安いものの方が間違いなく売れるからです。

もちろん、「高級ブランド品の方が無名ブランド品よりも同じ品質でも高く売れる」、「同業でバランスシートの規模もほぼ同じなのに、収益力が大きく異なる」、といった経済事象も知られていますが、これらはすべて、経済学や会計学などで、きちんと研究されています。このコメント主の方が知らないだけです。

また、「私の周りの人の経験や証言」は、あくまでもこのコメント主の方が直接・間接に体験した内容に過ぎず、それを一般化するには無理があります。

さらに、「根拠は示せないけど、俺の主張は正しいったら正しいの!」、とでもいわんばかりの態度は、残念ながら、議論する姿勢ではありません。言論空間では誰が何を述べるのも基本的には自由ですが、議論を否定する態度だと、あなたの主張を聞いてくれる人はいなくなるでしょう。

もともと短文しかポスト出来ないXだとどうなるか

ちなみに上記と同じことは、べつに当ウェブサイトだけに成り立つものではありません。

SNSでもまったく同じです。

とりわけ旧ツイッター、現在の「X(エックス)」と呼ばれる言論空間は、なかなかに興味深いところです。

当ウェブサイトの場合は文章がダラダラ長いため(笑)、読者コメントを残して行けるような人は、少なくとも当ウェブサイトの駄文にお付き合いした人に限られるわけです(だからこそ某作家の方は当ウェブサイトが読めなかったのでしょう)。

しかし、Xは違います。

ひとつのポストは基本的に140文字までという制限がかかっているため(※プレミアムプランに加入すればもう少し長いポストも可能です)、基本的に長文のポストというものが、あまり多くありません。

しかし、動画、画像などについては比較的自由にポスト出来るため、何か主張があったときに、それらを「絵で見せる」「映像で見せる」ということが可能です。

その結果、「絵で見る」、「動画で見る」、「短文で見る」というポストが大いに流行ることが多く、ちょっとした文章が数万回、数十万回と閲覧されることもあります。たとえば、山手線の駅名を冠した、会計士を名乗る怪しいユーザーによる、こんなポストがわかりやすいでしょう。

なんとも雑なポストです。

ですが、こんなポストがXで30万回以上も表示されている、というのは興味深い限りです。

もちろん、このポストの直後に、当ウェブサイトの『「新聞に8%軽減税率」の怪…食品クーポンより減税を』に誘導する内容のポストも付しているのですが、どう見ても、Xから『新宿会計士の政治経済評論』側に読者が誘導されている気配はありません(笑)。

Xとウェブ評論サイトの連携は有意義

ただ、Xでは短い文章がウケることは間違いないのですが、それと同時に、短文には「言いたいことを短くまとめる」、という趣旨があることは間違いありません。

そのうえで、Xにせよ、ウェブ評論サイトにせよ、条件を満たせば広告収入などが得られるようになる、という点も見逃せませんし、場合によっては「Xでさわりだけ読ませ、本文については有料にする」、といったウェブ評論の在り方もあり得ます(なお、当ウェブサイトの場合は「有料記事」を設ける予定はありません)。

このように考えていくと、Xなどのように、短文が主体のSNSには、文意が正確に伝わらないなどの欠点はあるにせよ、要点のみを他人に伝えるという意味ではなかなかに有効な情報伝達手段であり、これにウェブ評論サイト(やブログ、noteなど)を連携させるのは有意義かもしれない、などと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (4)

  • TL;DR -- Too Long; (I) Didn't Read という言い方もあるそうですね。
    Axios 社創業者ジム・バンデヘイ氏の TEDx 講演を観ました。面白いことを言っている。Youtube ってなんてすばらしい。字幕は正確だし、タダだし。作文術に対する指針のひとつとして丹念に検討しないといけないみたいです。

    • smart brevity と入力してググる画像検索すると掛かります。
      講演でバンデヘイ氏は、クリックして2ページ目以降に目を通してくれる読者はゼロだ。ログデータを解析して判明した事実であり、職業ライターたる私には衝撃だったと語っています。記事を読了もしていないのに、SNS で回送ばかりしているとも。

  • 長い文章、短い文章、どちらも必要。
    そして書く事も読む事も誰もが出来る訳ではない。

    長い文章を「ダラダラとした分かりにくい」代物にしないのは結構難しいし、
    そんな長文を飽きずに読んで理解するのも簡単ではない。
    逆に短い文章だと「要点を正確にまとめる」のも中々難しい。
    それが出来ている場合、読む側の負担は軽いかも知れないけど。

    何はともあれ、文章が上手くて損をする事はないですね(小並感)。