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出馬表明で侮辱的質問に小泉進次郎氏が見事な切り返し

小泉進次郎氏の6日の出馬会見では、フリーランスの記者から、大変無礼な質問が行われたようです。「この先首相になってG7に出席されたら、知的レベルの低さで恥をかくのではないかと見なさん心配しております。それこそ日本の国力の低下になりませんでしょうか?それでもあなた、あえて総理を目指されますか?」。ただ、これに対する切り返しが、なかなかに秀逸です。

小泉進次郎氏をどう見るか

9月12日告示・27日投開票で行われる自民党総裁選に向けて、立候補に名乗りを上げる候補が次々と出て来ています。

こうしたなか、事実上の大本命のひとりと目されているのが、小泉進次郎・元環境相です。

正直、山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士あたりは、この小泉氏に対してあまり良い評価を持っていないようですが、それでも現実問題として、いくつかの調査では小泉氏の人気が根強いらしく、「小泉進次郎首相」が実現する可能性も、それなりに高いといえます。

もちろん投開票が行われていない現時点において、誰が次期自民党総裁に当選するかを決めつけるのは適切ではありませんが、現実問題、「小泉総裁・首相」となった場合には、とりわけ早期に解散総選挙となり、自民党が衆院選で圧勝する、といったシナリオまで現実味を帯びてきます。

泉健太氏は小泉氏をライバル視

これで困るのは、最大野党である立憲民主党でしょう。

昨日の『泉健太氏が代表選出馬し当選でも…すぐ辞任の可能性も』でも触れたとおり、立憲民主党側ではちょうど自民党総裁選と同じ時期に代表選が行われます(9月7日告示・23日投開票)が、すでに話題の多くを自民党にかっさらわれてしまっています。

同党代表で再選を目指して立候補を表明している泉健太氏は6日の記者会見で、小泉進次郎氏に対するライバル心をあらわにし、「首相に就けば早期の衆院解散に踏み切る」と小泉氏が言及したのに対し、「負けませんよ。むしろ勝たせていただく。『小泉進次郎、来い』と言いたい」、と述べたのだそうです。

「小泉進次郎、来い」立民・泉健太代表、ライバル心あらわ 衆院解散言及も「負けません」

―――2024/09/06 16:04付 産経ニュースより

なんだか、微妙です(誰ですか、乾いた笑いしか出ない、などと言ったのは)。。

小選挙区を主体とした衆議院議員総選挙で、万が一、自民党側に「小泉旋風」でも生じれば、立憲民主党はそれこそ壊滅的な打撃を被る可能性だってあるでしょうし、こうしたなかで「小泉進次郎、来い」もなにもないでしょう。

出馬会見の文字起こし→別稿

さて、こうしたなかで、小泉進次郎氏が6日、出馬会見を行いました。

会見の模様は動画サイトなどで視聴することができます。

文字起こしすると8000文字を超える長文で、そのわりに同じことの繰り返しが大変に多く、端的にいえば、大変に冗長です。これに加えて著者自身の偽らざる感想を述べるなら、演説の原文を読む限り、選択制夫婦別姓の導入を含め、やはり懸念点も多々あります。

ただ、これについてどう考えるかについては、基本的には読者の皆さまのご判断だと思います。別稿『【資料】小泉進次郎氏総裁選出馬表明の全文書き起こし』にて文字起こしをしたものの全文を収録しておきますので、もしご興味があれば、そちらを直接ご参照ください。

フリーランス記者から侮辱的質問

それよりも本稿で取り上げておきたいのが、質疑応答です。

動画の53分00秒あたりから視聴していただけるとわかりますが、質問に立った記者が、大変侮辱的な発言をしたのです。原文は、次の通りです(記者の名前は敢えて伏せます。調べればわかると思いますが)。

フリーランスの●●●●と申します。小泉さんがですね、この先首相になってG7に出席されたら、知的レベルの低さで恥をかくのではないかと見なさん心配しております。それこそ日本の国力の低下になりませんでしょうか?それでもあなた、あえて総理を目指されますか?

なかなかに、強烈な侮辱的質問です。質問というよりも難癖というべきでしょうか。

ただ、これに対する小泉氏の回答が、なかなかに秀逸です。

私に足らないところが多くあるのは、それは事実だと思います。そして完璧ではないことも事実です。しかし、その足りないところを補ってくれる最高のチームを作ります。そのえで、今までつちかってきたものを、ひとりひとりと、各国のリーダーと向き合う覚悟。そういったものは、私はあると思っています」。

各国のリーダーも多様な方がおり、自民党の中もなかなか多様な方々が多く、そういったなか15年間の野党の経験、与党の経験を積み重ねてまいりました。そういったことをしっかりと国際社会の舞台でも発揮をし、国民の皆さんに大丈夫だなと安心感を持っていただける ように最大限努力していきたいと思います」。

要するに、相手の「お前は知的レベルが低いんだ」といわんばかりの高圧的な姿勢に対し、まずは真摯にそれを受け止める、というわけです。

相手の名前を確認したうえでうまくまとめる

ただ、面白いのは、ここから先です。記者と小泉氏のやり取りを文字起こししましょう。

小)「いまご質問をしていただいた方、お名前は…」。

記)「フリーランスの●●●…

小)「はい、●●さんからこのようなご指摘を受けたことを肝に銘じ、これから『あいつマシになったな』と思っていただけるようにしたいと思います」。

小)「ちなみにいま●●さんのおかげで思い出したことはですね、同じようなご意見を私は環境大臣の最初の記者会見でご指摘いただきました。2年間大臣を務めさせていただいたあとにそのベテランの記者さんとは退任時に花束を頂く関係になりました」。

小)「●●さんともそうなればうれしいです」。

記)「わかりました、勉強してくださいよ」。

ここでわざわざ記者の名前をカメラの前で繰り返してみせることで、この質問をした人物をしっかりと聴衆に印象付け、そのうえで自身の環境省時代のエピソードを引用し、笑い話にしてしまう話術は、見事としか言いようがありません。

最終的には、この記者が小泉氏に「わかりました、勉強してください」などと言い放つのですが、この一連のやり取りを見る限り、「知的レベルの低さ」で恥をかいたのがどちらの側だったのかについては、明らかではないかと思う次第です。

あるいはこのやり取りが印象的すぎて、最終的に小泉氏がもしも総裁選を制することになれば、このやり取りこそが小泉氏を首相に押し上げることになったものとして記憶されることになるのかもしれません。皮肉なことですが。

新宿会計士:

View Comments (42)

  • この記者は一部界隈では有名人だからね
    まあ調べれば調べるほど面白い人だよ
    とある人なんかは発言者がこの記者だと気づいた瞬間に発言を撤回するほどに名前が売れてる人だったり

    • このフリーランス記者は出自や経歴が不明らしいのだが、こういう人物が要人の記者会見に潜入できることが不思議だ。

    • 9/7 ライブ!兵庫県知事&米不足の裏話
      https://www.youtube.com/watch?v=Je-VCingjHg

      小泉ジュニアへの愚か者発言がヤラセならば、狙いは的中,
      切り替えしの巧みさで、評価上昇。

      全世帯の厚生年金への加入論議など、討論で切り込んでいただきたい。

  • 新宿会計士さんは、この小泉氏の切り返しを評価しているのは理解できる。企業のトップであればこの答えは立派なものである。実務的な不足はいくらでも組織的に補える。しかしながら一国のリーダーがこういう答えでよいのか疑問に残る。信頼されるリーダーとは、その人が持つ国家観および世界観がいかに他国のリーダーに共感を与えるかである。他のG7リーダーを引っ張れる価値観を持っているか否かが重要であり、実務能力は持っていて当たり前である。小泉氏の国家観はいかなるものなのか?ポリ袋有料化だけが今までの実績で、信頼に足ると言えるのか?

    • その通り。
      ポリ袋有料化は愚策で、誤りに気付いたときはすぐに撤回できないのはやはり自分の尻を拭くことができない政治家である。
      ほかにもいろいろ失敗があるのにほったらかしだ。

      • 同感です。小泉氏に関しては今までの失点が大きすぎます(TK氏ほどではないにせよ)。
        この件だけで総裁選優勢になろうものならそれこそ悪夢としか言いようがないです…

      • ポリ袋有料化ではなく、レジ袋有料化です。
        で、レジ袋を有料化したのは、原田義昭と世耕弘成です。
        相変わらずデマですか。

    • ブログ主はこのようにかいています。

      >正直、山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士あたりは、この小泉氏に対してあまり良い評価を持っていないようですが、それでも現実問題として、いくつかの調査では小泉氏の人気が根強いらしく、「小泉進次郎首相」が実現する可能性も(以下省略)

      そして、このように締めています。

      >あるいはこのやり取りが印象的すぎて、最終的に小泉氏がもしも総裁選を制することになれば、このやり取りこそが小泉氏を首相に押し上げることになったものとして記憶されることになるのかもしれません。皮肉なことですが。

      人は読みたいところだけを読んでしまう生き物ですね。

      • まー蛇足ですが『レジ袋有料化』はシン ジロウ氏の前任者のレガシィだった気もしマスねん…

        • 確かにレジ袋はシンジロウ氏本人の決定ではないかもですが、前任者の決定含めて相続していると考えて政権に就いてもらいたいとは思っとります。シンジロウ氏は負債を作った人でなくとも負債を返済しなかった人ではなかったかと思いますですハイ。

          • 日本では、行政でも企業でも前任者の時に決定していたことを簡単に撤回などできません。
            あと、レジ袋の有料化って安倍政権の政策なのですが。
            あなたのような人は基本的なことを理解していませんよ。

  • (自民党総裁選だけではありませんが)政治家の記者会見で、記者からの侮辱的質問への切り返し方が、政治家のポイントになる時代になったということでしょうか。これもネット時代だからでしょうか。

    • 野党も記者会見でサクラの記者を用意して、切り返すことを前提にフリーのジャーナリストに侮辱的質問をさせたりして。(そのうち、「あのフリーランスの記者は、小泉側の仕込みだ」という人が出てきたりして)

    • もし、今回の小泉進次郎側の切り替えしが小泉側のポイントになるようなら、このフリーランスの記者は、毎回、小泉側の記者会見に呼ばれて、侮辱的質問をさせてもらえる(?)のでしょうか。

    • 既に総裁戦の重要課題が政策ではなく裏金と統一協会ですので驚くほどのことないかと。

    • もし、小泉進次郎議員と、このフリーランスの記者とのやり取りが視聴率になるなら、テレビは毎回、記者会見を放送するようになるのではないでしょうか。
      蛇足ですが、このフリーランスの記者を、立憲党首選にも派遣(?)して、どういう質問をするかを見てみたいものです。

  •  それにしても、この田中〇作氏の質問は、いただけませんね。
     「ジャーナリスト」と名乗るだけで、「権力の監視」という役割を天から与えられていると、勘違いしているのでは、ないでしょうか。マスコミ批判が強いのは、この手の輩が多いからでしょうか。小泉氏の総理としての資質(能力・経験)に疑問はあるにしても、礼を失しすぎている。
     小泉氏の上手な切り返しは、総理としての資質(感情をコントロールできる)の一端を見せたとしても、過剰に評価するほどの話ではない、と考えます。

  • >私に足らないところが多くあるのは、それは事実だと思います。そして完璧ではないことも事実です。しかし、その足りないところを補ってくれる最高のチームを作ります。そのえで、今までつちかってきたものを、ひとりひとりと、各国のリーダーと向き合う覚悟。そういったものは、私はあると思っています

    自分はこのコメントを、「俺は馬鹿だから、難しいことは他人に任せるんだよ。俺にあるのは気合だけ。なんか文句あっか?」と意訳しました。

    もう完全な開き直りで、目も当てられないというのが率直な感想です。

    「侮辱的な質問に対する秀逸な切り返し」という見立てについても、自分はむしろ、このような低レベルな言いがかりであったからこそ、喧嘩上等で同レベルの反応をしたのではないかと見ています。

    見知らぬ奴からあらぬ言いがかりをつけられたときに、「お前は誰だ?」と切り返すのは、防御の初手として有効であると聞いたことがあります。クレーマーが自らの素性がバレるのを恐れる心理を突くからだと思いますが、今回のケースは、質問者が最初に名乗っていますので、改めて名前を聞き返すのはいかがなもんなのかと、むしろ失礼じゃないのかと思った次第です。

    いずれにしろ、進次郎さんの思った以上に俗物な一面を垣間見ることができましたので、記者さんとしては、今後は、徒に低レベルな煽りをかますのではなく、正攻法で、政策論を正面からぶつける質問をしていった方がいいと思います。進次郎さんは、そのコメントが後にいくつも構文化されるほどの、別の意味で秀逸な切り返しの達人です。記者の方々におかれましては、大衆の大喜利祭りにも十分に堪えうるような、秀逸なコメントを進次郎さんから引き出せるよう、今後とも切磋琢磨していただきたいなぁと、心の底から願う次第であります。

  • ポリ袋有料化の結果どれくらいの原油が節約できたのかを言わなければ愚策かどうかはわからないと思う。ポリ袋に使う原油は年間で大型タンカー1.5艘分、輸入量の0.8日分くらいのようだ。これを「すごい」というか「たったそれだけ」というかは判断できないのでマスコミからイチャモンがでてこないのではないか。

    • ポリ袋の原料は他の石油製品の余りものであるナフサです。
      原油すべてを使うわけではなく
      >大型タンカー1.5艘分、輸入量の0.8日分
      の原油から連産品として精製される分のナフサですから影響は微々たるものです。
      たったそれだけです。

  • 小泉氏には全く期待しておりません(私見)
    記者の質問は確かに失礼ですが
    そこが関心の中核であることは間違いないでしょう(私見w)
    所信表明聞いていても党内の規律に関する話が中心で
    外交戦略や経済への言及はほとんどない
    「○○を民営化すれば全てがよくなる」と
    短いフレーズでぐっと民心を掴んだとーちゃんを思い出します
    なんかよくなりましたっけ?
    配達員をしていた友人は定年前にやめました
    ノルマ未達者が駅前で年賀ハガキ売ってましたっけ
    そのくらいしか記憶にない
    弁舌さやかにスラスラと応答しますが
    ハテ中身はいかほどのものかと
    まー、とーちゃんとは別人ではあります
    国民選挙ではありませんが総理となる人
    国民・国家の最大利益を引き出せるような人物を選んでいただきたいものです

  • 蓮舫氏には出来ない返しですね。
    小池さん(カイロ)なら鼻であしらい
    石丸さんなら記者に説教をし
    蓮舫さんなら激おこで名誉毀損で訴える話になると思います。

  • 政治家に限らず、重要なのは知的レベル以上にセンスだと思う
    その点安倍総理はセンス抜群だった
    コロナの際、学校を休校にした時にはエビデンスは?エビデンスは?と問われ、海外メディアからも批判されたが、そのあと世界中が追随した
    布マスクも同じ。揶揄されたが、世界の都市がその後布マスクを配った
    次の総裁にもセンスある人になってもらいたい

  • 知的レベルが高いと良い政治家なのか?
    レーガンは知的レベルが高かったか?
    進次郎が言うように取り巻きの質が重要なんじゃないか。

    • 類は類を呼ぶと言いますね。
      知的レベル悪くともひとを見る目があればよいのですが。
      レジ袋の件のブレーン(いれば)をみると首をかしげます。

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