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コメ不足に見るメディア影響力が大きすぎることの弊害

令和のコメ不足、さまざまに考察していくと、やはりテレビなどのメディアが煽っている可能性がそれなりに高そうです。そう判断する根拠はいくつかあるのですが、そのひとつが、コロナ禍のトイレットペーパー不足です。総務省の調査によれば、コロナ禍トイレットペーパー不足の原因を作った最大の犯人のひとりがテレビであることが示唆されているのです。

災害に備える

明日・9月1日といえば、1923年に発生した関東大震災から101回目です。日本がいかに災害の多い国であるかについて、改めて考えておく必要があるのではないでしょうか。

今月だけでも8日に宮崎県・日向灘でマグニチュード7.1、最大震度6弱の地震が発生しましたし、また、16日には非常に強い台風7号が首都圏に接近して新幹線も一部で計画運休となったほか、ここ数日は九州に上陸した台風10号が大きな被害や交通の混乱などの影響をもたらしています。

私たち日本国民は、普段、普通に暮らしているようではありますが、それと同時に日本には地震、台風などの自然災害が大変に多く、このことから、私たちは適切に訓練をしたり、ベランダや庭を整理整頓したり、ある程度は水や食料などをストックしたりするなど、普段から災害に備えておくべきであることは明らかでしょう。

改めて、非常時に持ち出せるよう、準備しておきたいものをリスト化すると、こんな具合でしょうか(図表1)。

図表1 災害時に備え、普段から準備しておきたいものの例(転載自由)
品目 めやす 備考
飲料水や調理用水 1人3リットル×3日分 飲料用および調理用
生活用水 ポリタンク数個分 トイレ用など
非常食(主食) アルファ米、パン、乾麺など3日分 加水だけで食べられるものなど
非常食(副食) インスタント味噌汁、レトルトのおかずなど3日分
非常食(その他) ビスケット、板チョコ、乾パンなど 糖分が含まれているものなど
紙食器、紙コップ、ラップ、アルミホイル それぞれ数日分 食器にラップやアルミホイルを巻いて使用すると洗わなくて済む
衛生用品 トイレットペーパー、ティッシュペーパー、衛生用品など 普段の生活に必要な分量に加えある程度ストックしておく
消耗品 マスク、軍手、厚手の靴下 転倒した家具の片付けなどに重宝
ビニール袋、レジ袋等 それぞれ1パック以上 ビニール袋はゴミを密封するのに有益
災害用品 災害用トイレ、凝固剤など トイレが流せない場合に備える
着火具・照明具 マッチ、ろうそく、カセットコンロ、懐中電灯など 夜間の災害に備え取り外すと自動で光る電灯なども便利
非常用電力 ポータブル電源、モバイルバッテリー、太陽光パネル、乾電池 ポータブル電源と太陽光パネルで簡易発電・蓄電が可能
現金 とくに10円玉、100円玉、1000円札を数枚から数十枚 キャッシュレス決済が機能しなくても買い物が可能

©新宿会計士の政治経済評論/引用・転載自由

これらについては玄関先など、すぐに持ち出せる場所に常備し、また、とくに非常食については定期的に棚卸を行い、新しい非常食を買ってきたときは、古い非常食を家族みんなで食べてみると良いかもしれません。

続・令和のコメ不足

コメ不足の犯人はメディアの可能性が濃厚

さて、昨日の『【囚人のジレンマ】令和のコメ不足はメディアも煽った』では、「令和のコメ不足」について話題に取り上げました。

これは、最近、都内など一部地域の店頭で、コメ在庫が払底(ふってい)してしまっている、とするもので、著者自身の記憶だと、明らかにコメ不足が発生し始めたのは宮崎県・日向灘地震以降の8月中旬くらいからだと思います。

あくまでも想像ですが、とりわけ気象庁がいわゆる『南海トラフ地震に関する情報』が出して以降、「大地震」から「食品不足」を連想し、そこで一部の人が「急な地震に備えて、とりあえずいま店頭にあるコメを買い込む」、といった行動に出たのではないでしょうか。

もしそうだとしたら、「物流が大混乱するほどの大地震がやってきたときには、そもそも炊飯器が使えない可能性があるのでは?」、といったツッコミを入れたくなる人も多いと思われますが、この点はとりあえず脇に置くとしましょう。ここではあくまでも「パニック的な群集心理」に言及するのが目的だからです。

そして、今度は店頭でコメが払底しているのを見た人が、「今年はきっとコメ不足だ!」、などと短絡的に考え、次に店頭でコメを見かけたときにはそれを買い込む、といった行動に出ることで、次第にコメ不足が慢性化。

そのうちテレビなどのマスメディアが、「店頭でコメ不足です!」などと騒ぎ立て始めたことで、一部の人々がパニックになって必要以上に米を買い占め、結果的にどのスーパーでも、コメが入荷したらすぐに売り切れる、といった状況に陥っているのではないか、とするのが、現時点における当ウェブサイトの予想です。

日本共産党の言動は「言語道断」

これについては昨日のマスクの議論の繰り返しになりますが、特定の商品が店頭から払底するときは、たいていの場合、供給側の問題ではなく需要側の問題であり、また、政府には責任がないにも関わらず、一部の人は「政府は何をやっているのだ!」と声を荒げたりするものです。

とりわけ許されないのは、この話題を敢えて自民党政権への批判に政治利用しようとする勢力の存在でしょう。

この政治家のポストでは、自民党政権が減反政策を進め、それにより食糧危機が引き起こされた、などとする主張が繰り広げられていますが、これは悪質なデマですのでご注意ください。

昨日も指摘したとおり、店頭におけるコメ不足は直接的にはあくまでも一部の消費者のパニック的な買い占めにより引き起こされたものであって、コメの不作や減反政策などによるものではないと考えられるからです。事実、飲食店でのコメの提供には、ほぼ支障を来していません。

原因がコメの生産量不足によるものではない以上、「備蓄米を現実に大量に放出する」、「コメを大幅に増産する(どうやるのかは知りませんが…)」、といった「コメの供給を増やす政策」を講じたとしても、別の問題を引き起こすのが関の山です。

問題は、こうした消費者のパニック的な買い占めが何によって引き起こされているか、であり、原因を正しく把握しないままで対症療法的な政策を打ったところで、効果を発揮しないどころか、副作用が大きすぎるのです。

その意味で、国会議員などの要職にある者たちが、適切な対策を提唱しないばかりか、コメ不足を自民党批判のために政治利用するのは、言語道断です。

買い占めているのは「高齢層」?

さて、こうしたなかで、「買い占めているのは誰だ」、といった話題となると、SNSなどでやたらと出てくるのが、「コメを買い占めているのは高齢層ではないか」、といった指摘です。たとえば、「コメ不足」で検索すると、X(旧ツイッター)などでは、こんな趣旨のポストも散見されます。

私の年老いた母親はスーパーの店頭でコメがないのを見て、『コメを買いたい』と言い始めた。私が『あと1ヵ月も待てば新米も出て来るし、家には1ヵ月分のコメはあるでしょ?』と諭したが、それでも『買いたい』と言って聞かない」。

高齢者は情報源が新聞やテレビに偏っているから、マスコミのあおりにすぐに乗せられてしまうのではないか」。

友達の話だが、夫の実家は老夫婦2人暮らしのはずなのに、コメが40㎏くらいあったので、『お義母さん、こちらだとコメは買えるんですね』と言ったところ、義母からは『違うの、お父さんと手分けしてあちこちのスーパーで開店と同時にコメを探して買い溜めたの』と言われ、『てめえが犯人か』と言いそうになった」。

…。

SNSでは、ずいぶんと高齢層を悪者にするものだと思いますし、著者自身、買い占めを行うのは、必ずしも高齢者には限られないと思っています。

コメの買い溜めを行っているのが高齢者なのかどうかは存じ上げませんが、ただ、一部メディアが「コメ不足だ」と煽り、現実にスーパーの店頭でコメの商品棚が空っぽになっているのを見て、「コメがなくなる!」と不安に感じている人がいることは間違いありません。

そして、これも想像ベースですが、自分が消費し切れないくらいに沢山のコメを買いこんでいる人も、なかにはいるのではないでしょうか?

コメは生鮮食品…早めの消費を!

議論を続ける前に、ちょっとした余談です。あまり知られていませんが、じつは、コメも生鮮食品です。とくに精米後のコメというものは、あまり長い期間、保存できるものではありません。

また、スーパーなどで一般的に売られている5㎏、10㎏のコメ袋は、それぞれ約33合、約67合に相当します。コメ1合(約180cc)でだいたいお茶碗2杯分(成人男性の1食分、成人女性の1.5食分程度)だといわれています。

5㎏のコメ袋を消費するのに必要な期間は、夫婦と小学生の子ども2人という4人家族だと、毎日4~5合ほどコメを炊くという想定ならば、だいたい1週間前後です。

しかし、夫婦2人でコメは夕食で食べるという事例だと、1日のコメの消費量は1~2合程度、したがって、5㎏のコメを消費するために必要な期間は、長いと1ヵ月近くに達します。「コメを40㎏買い込んだ高齢夫妻」のエピソードが事実だとすれば、一気に8ヵ月分のコメを買いこんだ計算です。

どうしてそこまで買い込むのか?

余談は以上として、なぜ「自分が消費し切れないくらいに沢山のコメを買い込む」という人が出現するのかについては、冷静に考えておく必要があります。

そのようなことを申し上げるのかといえば、東日本大震災の直後、著者自身や著者の知り合いなどが、ほぼ同時期に、複数のスーパーで、一部の人々が、どう見ても食べきれないくらいの量の食品を買い込んでいるのを目撃しているからです。

たとえば東京都内は東日本大震災の被害が比較的少なかった地域ですが、その都内でも、著者の知り合いは冷凍食品コーナーで冷凍ハンバーグを買い物かごいっぱいに入れて買い占めている老夫婦を見かけたことがあるのだそうです。

この知り合いは怒りを込めて、「どう見てもあの夫婦で食べきれる量じゃないだろ?」と力説していました(※ただし、今になって思うと、もしかしてその大量のハンバーグは、老夫婦が子供や孫のために買い込んでいたものだった、という説は成り立つかもしれませんが…)。

なお、著者自身は高齢者ではなく、かなり若い人が、パニック的に商品を大量に買い占めているという事例を存じ上げています。

といっても、もしかしてその人物は当ウェブサイトを見ているかもしれないので実名は出しません。

仮にA君としておきますが、このA君という人物は、東日本大震災の直後に、ペットボトル入りの水だの、紙パックのお茶だの、といった液体物を、大量に買い占めていたのです。

それらを何に使うのかは知りませんが、A君いわく、「飲み物は店頭から真っ先になくなるから、今のうちにそれを買い占めておきたい」、というのです。そして、そのA君が「水やお茶を買い占めた」と述べてから1~2日経つと、店頭からはたしかに水やお茶が払底しました。

じつは、これは「A君がとても賢くて、水やお茶が店頭からなくなることを正確に予言した」というわけではありません。むしろA君を含め、パニック的に買い占めに走った人たちがモノ不足の原因を作っていたのですが、これについては後述します。

物不足を煽るテレビの罪

コロナ禍のトイレットペーパー不足、煽ったのはテレビだった!

議論を続ける前に、もうひとつ、著者自身の体験談を紹介しておきます。次は、コロナ禍のエピソードです。

コロナ禍が少し落ち着いた2022年頃、著者自身はとある理由で、高齢の方が住まわれていた住居に立ち入ったのですが(その事情については本稿には記しません)、住居のあちこちに、トイレットペーパーだの、ティッシュペーパーだの、マスクだの、洗剤だのといった日用品が大量に転がっていたのです。

冷静に思い出してみると、たしかにコロナ禍の初期には、店頭でハンドソープやティッシュペーパー、トイレットペーパーのたぐいが払底していましたし、一部のメディアもそのように報じていました。いずれにせよ、その住居に転がっていた大量の物資、どう考えても独り暮らしの高齢者1人が使いきれるものではありません。

これについては総務省『令和3年版情報通信白書』の『偽情報に関する情報の入手』という節にも記載されている、2022年2月末ごろに「トイレットペーパーは中国産が多いため、新型コロナウイルスの影響でトイレットペーパーが不足する」、といった偽情報のエピソードなども参考になるでしょう。

同白書に掲載された総務省『ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究』では、そのような偽情報をどこから入手したかについて尋ねたところ、テレビが58.2%と最も多く、続いてネット上のニューズ配信、SNSなどが続いたのだそうです(図表2)。

図表2 偽情報の入手源
メディア 割合
テレビ 58.20%
ポータルサイトやソーシャルメディアによるニュース配信 27.20%
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS) 23.20%
新聞 19.40%
検索エンジン 17.30%
このデマ情報は聞いたことがなかった 15.70%
ニュース系キュレーションメディア 11.90%
まとめサイト、ニュース以外のキュレーションメディア 11.30%
メッセージングサービス 11.00%
(以下略)

(【出所】総務省『令和3年版情報通信白書』の『偽情報に関する情報の入手』図2-5-2-3をもとに作成)

そして、先ほどは、「パニック買いをするのは高齢層に限られるものではない」、などと申し上げましたが、ただ、「テレビの視聴者層ほどにパニック買いをする傾向にある」という可能性については指摘しておく必要はあります。

「高齢者が買い占めをする」のではなく「テレビ層が買い占めをする」

実際、同じく情報通信白書に掲載されている調査によれば、高齢層ほどテレビの視聴時間は長く、しかもこの10年あまりでほとんど減っていない(図表3)ことから、東日本大震災直後と比べ、最近のパニック買いを主張しているのは高齢層ではないか、とする主張にも、それなりの説得力はあるのです。

図表3 平日のTVの利用時間
年代 2013年 2023年 増減
10代 102.5分 39.2分 ▲63.3分(▲61.76%)
20代 127.2分 53.9分 ▲73.3分(▲57.63%)
30代 157.6分 89.9分 ▲67.7分(▲42.96%)
40代 143.4分 134.6分 ▲8.8分(▲6.14%)
50代 176.7分 163.2分 ▲13.5分(▲7.64%)
60代 257.0分 257.0分 ±0.0分(±0.00%)
全年代平均 168.3分 135.0分 ▲33.3分(▲19.79%)

(【出所】総務省『情報通信白書』データをもとに作成)

ただし、くどいようですが、今回のコメ不足に関しては、「高齢層がパニック買いをしている」とするデータはありません。

また、「テレビを見る人は高齢層に多い」、「テレビを見た人がパニック買いをしている」、という2つの命題がともに正しかったとしても、それは「高齢層だからパニック買いをしている」のではなく、「テレビを見る人がパニック買いをしている」、という証拠に過ぎないのです。

ちなみにコロナ禍のときには、高齢層がドラッグストアに並んでいた、などとする主張も見かけますが、当時の報道写真などを確認する限り、「ドラッグストアで行列を作っている人たち」が「高齢者だ」、などと判断するだけの確たる証拠は見当たりません。

岐阜新聞に2020年3月5日付で掲載された『マスク争奪戦 ドラッグストア街道で行列』という記事には「ドラッグストアの店頭に並ぶ人たち」と称した写真が掲載されていますが、後ろ姿ではありますが、列に並んでいる人たちはそれこそ老若男女が含まれているようにも見受けられます。

よって、「パニック買いをしている人に高齢者が多い」とする説に関しては、(著者自身や著者の知り合いなども実際にそのような事例を目撃しているものの)現時点では「確たる事実」と断じるだけの根拠は見つからない、というのが結論です。

パニック買いをする者が物資不足を自己実現させている

それはともかくとして、先ほどの図表2でも明らかなとおり、テレビがときとして商品不足を煽っていることに関しては、それなりの確度がありそうです。

ここで、先ほどは東日本大震災でA君(当時20代)がパニック的な商品買い占めに関わった、とする話題を取り上げましたが、これについては心理学的な見地から、買い占めという行動が説明できるのだそうです。

つまり、テレビなどで「この商品がスーパーにない」と報じられているのを見た人が、実際に自分自身で小売店の店頭にその商品がないことを自分の目で確認すると、やはり不安になり、「次にその商品を見かけたら多めに買っておこう」、などと考えるのだ、といった行動です。

すなわち、テレビが商品不足を煽り、それをテレビで見た人が実際に店頭でその商品が払底しているのを確認し、「その商品がなくなると大変だ」とばかりに、次回、その商品を見かけたら必要以上に買いこむ、といった行動をとっている可能性はありそうです。

これについては、昨日も用いた「国民10人、マスク12枚」の設例を思い出しておきましょう。

設例

ある国は人口が10人で、この国の国民は毎日1人あたり1枚のマスクを必要としているが、この国では毎日12枚ずつマスクが生産されている

この10人の国民はお互いにマスクを何枚買ったかという情報交換ができず、また、この国のメディアは『マスク生産が止まり、国全体でマスク不足が生じている』と報じており、あなたを含めた全国民はこの報道を信じている。

このような設例だと、合理的に考えれば、国民ひとりひとりが今まで通りマスクを1枚だけ買えば、必要なマスクが必要な人にちゃんと行きわたるのですが、もしすべての人がパニック的にマスクを3枚買おうとすれば、マスクを買えるのは4人で、残り6人はマスクを買うことができません。

何のことはない、要するに、パニック買いをする者たちが「モノ不足状態」を実現させている犯人だった、というわけです。

メディアは役割を果たしていない

では、パニック的な物資不足に、どう対処すべきでしょうか。

これにはとりあえず、少なくとも次の5つの対策が考えられます。

  1. 国民の間で、「他の人は何枚のマスクを買ったのか」という意思疎通が可能となる
  2. マスクの生産者が「『マスクの生産が止まった』というのは根拠のない噂だ」と発表する
  3. 賢明な国民が「合理的に考えてこの噂はウソだろう」と判断する
  4. 買占めに罰則を適用し、強制的な配給制を導入する
  5. 政府などが備蓄しているマスクを、一気に市中に放出する

ただ、ここにもうひとつの解決策があるとしたら、6番目、すなわち「無責任なメディア報道を国民が見限る」、といったところではないでしょうか。

正直、今回のコメ不足にしても、コロナ禍のマスク不足にしても、メディアが本来果たせるはずの役割を果たしていないのではないか、と疑われる事例が多すぎます。

本来、マスメディアのように社会的影響力が大きい媒体の役割は、「今まで通り、マスクをひとり1枚ずつ買いましょう」と呼び掛けることであり、パニック的に、「見てください!マスクが!マスクがありません!!」などと叫ぶことではないはずなのですが…。

テレビや新聞が影響力を握り過ぎることの弊害

本日の結語です。

令和のコメ不足、現在のところ、当ウェブサイト的に得た暫定的な結論は、こうです。

コメ不足の原因は『実際にコメの生産量が足りていないから』ではなく、『一部の人たちがパニック的に必要以上にコメを買い占めている』ことが原因であり、したがって、こうしたパニック買いを防ぐために必要な処方箋とは、『正しい知識』である」。

つまり、あと1ヵ月も待てば新米が世に出て来るわけですし、いま、政府が備蓄米を放出したところで、パニック的にコメを買い占めている者たちは、買い占める量を増やすのが関の山、となる可能性もあるのです(コメ価格下落で悪質な「テンバイヤー」に損害を与えて駆除する、といった効果はあるかもしれませんが…)。

ただ、それ以上に懸念されるのは、やはり、テレビや新聞が必要以上に社会的影響力を握ることの弊害です。

先ほどから議論している通り、本来、テレビなどの影響力が大きいメディアほど、率先して、「コメの供給不足は生じていません」、「買い占める人がいなくなれば、みんなが問題なく買えるようになります」、と伝えるべきではないでしょうか。

もっといえば、不当な買い占めをする者たちは経済社会に対する加害者のようなものなのですが、もしもそのような買い占めはテレビなどが煽っているのだとしたら、テレビこそその加害行為の共犯者そのものです。

コメ不足を自民党政権に対する批判のために悪用する野党の存在は論外として、今回のコメ不足騒動は、わが国におけるテレビ改革―――ないしは、テレビの社会的影響力が削がれること―――の必要性を強調するエピソードのひとつではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士:

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    • 最近は、どのメディアからどなたが発信されたかをチェックするようにしていて、RPESIDENT onlineで元農水省出身の方との事で、残念ながら「要確認」の案件です。
      具体的にはリンク先の方は原因と結果を取り違えていて、根本原因は「コメが高く売れない為、逆ザヤや需要喚起、ブランド化など力を入れているが、思うように高く売れていない。(ごく一部成功している事例はあるが。。)その為、農家離れ・後継者不足により生産量が低下している」です。
      本当に農家に利権があるなら みんなも私も東京なんかで働かずに実家で農家やってますよ。
      Newsで実態を知った気になるのは危険ですので、どのメディアのどなたの発言かは確認をお願いします。

    • >コメの値段が高くても低くても消費量はそれほど変わらない。

      そんなお米の消費量は、順調に右肩下がりですね。

      米を巡る状況について
      https://www.maff.go.jp/j/seisan/kikaku/attach/pdf/kome_siryou-209.pdf

      p6/162の全体需給を巡る状況を見ると、平成五年は冷夏による米不作で米不足。

      平成六年は大幅な米余り。

      今年の米不足を受けて作付けを増やすと、平成六年の繰り返しとなりそうですね。

      >また、減反は生産を抑える政策なので、コメの面積当たり収量(単収)を増加させる品種改良は、研究者にとってはタブーになった。単収とは生産性に他ならない。

      アメリカでは食味が劣るお米でも商品として流通してるようです。

      食味の高い日本産米がなぜアメリカでは売れないのか?【田牧一郎の「世界と日本のコメ事情」vol.27】
      https://smartagri-jp.com/agriculture/8195

      ハイブリッド米は中国でも広く生産されてますが、米過剰で転作が進んでいる様子。

      恐るべし中国のコメ戦略 ―― 中国・長江沿いの稲作地帯を見る
      梶井 功 前 東京農工大学 学長
      https://www.jacom.or.jp/archive01/document/kensyo/01082402.html

      紹介記事の趣旨は余り間に受けない方が良さげですね。

    • リンク先
      >しかし、コメ生産を維持するために、コメ生産を減少させる(減反である)というのは矛盾していないか。

       していません。
       農協はあくまで市場に対し売りかけます。(作物によりますが)高値を維持するのではなく"相場"を維持するために生産調整・等級調整をしています。野放図にたくさん作れば皆が幸せになるのでしょうか?なりません。超低価格の粗悪品が溢れかえり、農家は廃業します。農作物の高価格維持を悪徳利権のように認識されているのでしょうか。価格暴落で無対処であれば、その作物の農家は死ぬのですが。
       欧米で麦農家が手厚く保護されている(自由資本主義国家なのにほとんどが国の買い上げなど)のも、国民生活に必須な物資の割に市場では価格が乗らないためです。市場価値の高い作物だけを皆が作り出すと、国民生活は崩壊します。異常にパプリカ農家ばっかりだったり、劣化シャインマスカット農家が激増した国があるそうですが。

       減反をやめると専業の米農家は減ると断言します。消費者目線だけで語る経済議論は無意味です。

      • クロワッサンさん、農民さん 皆さん博識の方が多いので感心しきりです。

        個人的に減反は共倒れを防ぐための悲しい政策だと思っています。田んぼというコメを作るために特化されたシステム、先代が多大な苦労をし後世の為にと残した田を再び畑や果樹園にするのは、時代の流れとは言え無常を感じます。
        それを「高価格を維持するため」とか言われるとやはりカチンときてしまいました。ダメですね。なお、欧米では一次産業は当然安全保障の観点から補助金等で保護されていますが、日本では 食えるか食えないかの米価により冷遇されています。(JA職員も同じ)規模が大きいだけに 一長一短でどうこうできる問題ではないですが、アホな事言ってる人がいたら、「ちゃうで」言う事でこの国からアホが減る一助になればと切望しています。

  • テレビや新聞の影響力は低下し続けているのではないですか?

    トイレットペーパーにせよマスクにせよコメにせよなぜ不足し騒がれるのか?
    結局、メディアではなく一般国民(高齢者)の民度が原因ではないですか?

    管理人様はいい加減お花畑を出て、素直に認めたらいかがか?

    • 「慣性の法則」とか、ご存知ありませんか?

      「卵が先か鶏が先か」とか、ご存知ありませんか?

      思慮の薄い嫌味にしか読めないのですが、気が済みましたか?

    • > メディアではなく一般国民(高齢者)の民度が原因ではないですか?
      こう言う論法には賛同しません。

      例えば、狭いライブ会場で人がたくさんいる中に突然ある人が、
      「火事だー!!!」
      と叫んだとします。皆が一斉に非常口に殺到して、けが人が出たとしたら、それはその会場にいた人の民度の問題でしょうか。ぜったに煽ったやつが悪いに決まってます。

      夜道を歩いて襲われた女性に「こんな時間に出歩く女が悪い」とか、学校で「いじめられる側にも問題がある」とか、全部犯罪者の言い訳です。

      今回の件も、メディアだけが煽ったのかどうかわかりませんが、数が足りているにもかかわらず品不足になったのはメディアの責任もあるでしょう。むしろメディアは「米は足りている」と正しく報道すべきでした。今回のコメ不足は、国民の危機管理に付けこんだ、メディアが原因であると言っていいと思います。

    • >メディアではなく一般国民(高齢者)の民度が原因ではないですか?

      高齢者でない、若い人達はパニック買いをしていないというデータはどこにあるのですか。高齢者は絶対数が多いものだから目立ちますが、印象だけで決めつけているように思えます。

    • そう、民度が低い国民だからこそ煽り報道は避けなければいけないし、民度が低ければ低いほど自粛するようアナウンスしなければいけないのですよね。

      スリップするのは雪道が原因だからっていつも通りの運転をするってことはしないですよね、それで事故を起こせば運転者の責任です。

    • 今回は特に意味不明なコメントですね。

      テレビや新聞の影響力は低下しつつも”まだそれなりにはある”とは
      新宿会計士氏もこのサイトの常連も何度も言っていますし、
      この記事でもメディアを見限った人達ばかりではないと言う論説になっています。

      これでどうして

      >管理人様はいい加減お花畑を出て、素直に認めたらいかがか?

      に繋がるのですか?

  • >「コメを40㎏買い込んだ高齢夫妻」のエピソードが事実だとすれば、一気に8ヵ月分のコメを買いこんだ計算です。

    2か月後、こうした意識高い系?の人たちは、おいしい新米をよそに風味の落ちた古米を食したりするのでしょうかね。

    *個々に廃棄されかねないですね。

    • いえ、コメが出回った頃に子や孫、親戚知人宅に余ったコメを送り付ける算段です。
      送り付けられた方の困った顔が目に浮かぶようですが、本人は買い占めたコメが役に立ったと得意顔。
      『地獄への道は善意で舗装されている』を地で行くような光景ですなあ。

  • 田舎に田んぼがあるので、米がないわけではないけど、なるべく麺類等を食べることにしている。お米は15℃以下にしないと品質が劣化するので、買いだめにはあまり適さない食料品だ。田舎では米専用の冷蔵庫があるけど、都会の一般家庭にはないと思う。もし食料品を買いだめするなら、長期保存できるものにした方がよい。

  • 読者の皆様へのお詫びと連絡です。

    昨晩から今朝にかけ、ポルノサイトのスパムコメント(主に中国語とロシア語)が一気に数百件飛んできており、スパム判定ソフトが本記事などのコメントをスパムと誤判定し、いくつかのコメントが誤って削除されてしましました。大変申し訳ございませんでした。

    つきましては、「普段は問題なくコメントができるのに今回はご自身のコメントが反映されていない」と気付いた方は、お手数ですが再度コメントをお願い申し上げます。

  • いつもお疲れ様です。
    能登半島地震でも左派やマスコミが対策が遅いだのヘリからの物資投下だのとうるさかったですが、今回の米騒動でもやはり起きましたか。
    脱脳足りんのためには、会計士さんのおっしゃる通り知的レベルの向上なのでしょうかね。有権者が愚民になれば、民主政治は衆愚政治になるのですから

  •  私は皆さんの嫌いな高齢者ですが米の買い占めなどしません。
     消費者の方々で意識に無いのが"米"は"生"である事。乾燥しているだけで生なんです。冷蔵庫に入れて保存していれば良いですが、常温だと虫がわきます。虫を取れば食べれますが、現代人は如何でしょ?ちなみに小麦粉も生です。一年寝かすと熟成しますが虫は湧きますのでこし網を通して使います。食育が行き届くとこの様な事も無くなります。
     東北の震災時ペットボトルの飲料が品切れしました。これはキャップメーカーが東北に集中していた為です。メーカーはいち早く対策してペット飲料の中身と違うキャップを付けて流通を確保しました。日本人は馬鹿では有りません。

  • 今年1月2日に起きた羽田空港における航空機地上衝突事故。
    情報広報の重要性を正に生命をかけて証明した貴重な事例です。
    この機内にマスコミ・メディア記者志向の人々が無視できない規模でいたら死者重症者が多数出たことでしょう。
    連中をこういう世界に投入して体験させたら「生れかわる」のでしょうか?

  • お米については結構早い時期に「足りてないらしいぞ」と書き込んで、それなりに無理ない範囲で買い足ししてましたが、その後は
    「どうやら吊り上げ狙いの動きがありそう」
    と感じたのでコメントは控えておりました。
    中途半端な囚人でしたね。(笑)

    「煽り立てよう」
    「パニックにしよう」
    「流行を作り出そう」

    というのはマスメディアの本性ですね。
    50年前に、星新一か山口瞳のエッセイで読んだような。

    口ではキレイな事ばかり言うけど、合法893みたいなもんですよね。
    やらかしてばかりで、止まらない。
    原因究明も再発防止も、しない。できない。

    内部統制とか外部監査とか、
    「善意に頼らず、仕組みで改善する」
    という要素が無いので、ザルからは水が漏れるのと同様に、今のマスメディアからは不祥事がとまる訳がありません。

    アカンわ、あの業界は。

    • >お米については結構早い時期に「足りてないらしいぞ」と書き込んで、

      宮崎の地震の日でしたか、記憶しています。
      当時嫁に聞くと「米の安売りがなくなった」と言っていました。そろそろ早場米が出回るころだからと、とくに対策はしなかったですが。

      例年より米が少ないことには違いなかったのだとは思います。

  • 「どこに行ってもない」“コメ不足”拍車かかる“巨大地震注意”…落ち着くのは10月頃か
    https://www.youtube.com/watch?v=nLWaQX5cqd4

    スーパーから米が消えた…令和の米騒動? 在庫ひっ迫せずも「巨大地震の備え」影響か
    https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/900006899.html

    https://www.sankei.com/article/20240826-WRSPMKJAFRF33ECSHZQLQT2KGQ/
    「コメ不足」あおりすぎで品薄に拍車か 外食では深刻度低く、農水省「9月に解消見通し」

    「令和 米騒動」や「地震 米」あたりで検索して引っ掛かって出てきたものを適当に持ってきましたが。
    実際、テレビ静岡のニュースの動画が説明しているように、切っ掛けは南海トラフの巨大地震注意報を見て「自分の米を確保」と動いた人が出たことでしょう。
    マスコミは、米不足が落ち着いてくると予想される時期についても、説明しています。煽っているようには見えません。
    「米が不足」は単なる事実でしかありません。
    というか、自分はこれらの報道を見ても、慌てて米を買いに行く必要性は無いと考えたでしょうね。
    ネットでも、同様の情報を仕入れていましたが、米を慌てて買おうとは思いませんでしたし。スーパーで米が無い光景を見ても、何も不安を感じてません。

    ただ、「米が不足」の部分だけを強く受け取った人は、いるだろうなと思います。
    この手の人達の頭には、「米不足は解消される」という説明は届きません。自分の不安を解消したいという感情だけが先行しているので。
    繰り返しになりますが、「米が不足」は単なる事実でしかありません。これを伝えることは問題が無いでしょう。
    問題は、この事実をあまりにも危機的に解釈してしまった人達です。
    自分が見た限り、ネットでも見掛けるので、こういう人達はテレビ層でもネット層でも一定の割合でいると思います。
    結局のところ、情報の仕入れ先がどことかは関係無く、自分で自分の不安を煽ってしまう情報受信者側に問題があると思います。
    そして、この手の人達には付ける薬はありません。マスコミとかネットとか関係無く、勝手に自分達で不安を煽るんですから。
    マスコミもネットも見ていなくても、初動で店頭で米が少ないのを見ただけでも不安から買い溜めしてますよ。この手の人達。

    • そのような人たちにはこちらから何をいっても「響かない」だろうな・・
      というのは個人的に痛感しています。

      自分たちにできる最大は、「こういうことをする人間にならない」ではあるのですが、
      年齢的にそれも正直自信がありません・・・。

      なんにせよいろいろなことを考えることができました。
      投稿ありがとうございました。

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