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NHK不適切放送に対する「報道資料」の内容も不適切

国益を毀損する内容を放送するNHKが「公共放送」に相応しいのか、といった、新たな論点が浮上しそうです。先日から取り上げている、中国人のアナウンサーによる不適切な放送がなされた問題を巡って、NHK自身が22日に公表した『報道資料』の内容がまた強烈です。謝罪のことばもないだけでなく、再発防止策に関する記述も、まったくもって不十分だからです。

NHKの不適切放送は「とんでもない問題」

NHKがまた不適切放送…今度は「尖閣は中国の領土」』では、NHKの国際放送で、中国人の外部スタッフが「尖閣諸島は中国の領土」などと発言した、などとする話題を取り上げました。

端的にいえば、とんでもない話です。

NHKが自身を「公共放送だ」と名乗っていて、NHKがテレビなどを設置した人から受信料を半強制的に徴収することを正当化する趣旨も、結局はNHKが「公共放送である」とする立て付けにあったはずです(しかもNHK本体は利益が出ても非課税とされています)。

そのNHKが、公共性にそぐわないだけでなく、わが国の国益を破壊するような内容の放送を行ったことじたい、NHKの存在意義を自ら否定するようなものだと言わざるを得ません。

したがって、本件は謝って済む問題ではなく、また、再発防止策とやらを講じれば良いという話でもないのです。

NHKの22日付の『報道資料』

ただ、これに関するNHKの申し開きが、これまた強烈です。

NHKは2024年8月22日付で、こんな『報道資料』を公開しました。

NHKラジオ国際放送での中国籍外部スタッフによる発言への対応について

○中国籍外部スタッフへの対応について

NHKは、中国籍外部スタッフと業務委託契約を結んでいるNHKの関連団体を通じて本人に厳重に抗議するとともに、21日付で本人との契約を解除しました。今後、損害賠償請求を行うとともに、刑事告訴の検討を含め、厳正に対処します。

〇再発防止策について

ラジオ国際放送の中国語ニュースについては、20日から事前に収録して放送しています。ほかの言語についても今月中に事前収録にします。また、必要に応じて、AI音声の導入を検討します。今後、副会長をトップとする検討体制を作り、短期的な対応だけでなく、管理体制の強化等、中期的な再発防止策を策定し、国際放送に関するガバナンスの強化を行い、信頼回復に努めます。

※8月19日のNHKの短波ラジオと衛星ラジオの国際放送、ラジオ第2放送(13時1分から13時15分)の中国語のニュース番組の中での中国籍外部スタッフによる、原稿にはない、日本政府の公式見解とは異なる発言の内容は以下の通りです。

「釣魚島と付属の島は古来から中国の領土です。NHKの歴史修正主義とプロフェッショナルではない業務に抗議します」(中国語)

「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」(英語)

―――2024/08/22付 NHK広報局より

…。

謝罪もなく、再発防止策も不十分

「え?これだけですか?」

普通の人は、こう感じるのではないでしょうか。

声明文には謝罪のひとこともありませんし、具体的にどう「再発防止」を担保するのかについての記述もまったくもって不十分です。

というよりも、当ウェブサイトでもこれまでしばしば指摘してきたとおり、そもそもの問題は、「公共放送としての適格性」を担保する仕組みが、NHKが放送する内容(あるいはNHK自身)には、基本的に存在していないことにあるのではないでしょうか。

NHK解体議論の本格化が必要

いずれにせよ、「再発防止」よりも、そもそもこのインターネット時代に、国民の監視の目が行き届かないようなNHKという仕組みを温存すること自体の適切性を議論すべきではないでしょうか。

本当に公共性の高い放送については、たとえば「日本政府の公式見解」を放送するのは政府予算からなされるべきですし(わざわざコストがかかる地上波でそれをやる必要は薄れていますが)、たとえば教育番組も、文教予算で制作すべきです。

実際、現時点において、政府インターネットテレビという仕組みは存在しますし、何ならNHKが保有している放送施設を国庫返納させ、国営テレビ局でインターネットテレビの内容をそのまま流してもよいかもしれません。

また、ドラマであったり、クイズ番組であったり、お笑い番組であったり、年末の「日韓歌合戦」を含めた歌番組であったり、といったコンテンツについても、正直、公共放送の枠組みで流すべき番組なのかは大変に疑問があるところです。

このように考えていくと、肥大化し、ガバナンスが効かなくなっているNHKという組織については、NHKが保有する巨額の資産については国庫に返納させたうえで国営放送部門と商業放送部門に分割し、国営放送部門は内閣府かどこかの管轄とし、商業放送部門は民営化するのが筋ではないでしょうか。

いずれにせよ、NHKの不適切報道問題とこれに対するNHKのふざけた対応は、NHK改革の必要性を浮き彫りにしたことだけは間違いないといえるでしょう。

新宿会計士:

View Comments (34)

  • NHKの短波ラジオと衛星ラジオの国際放送、ラジオ第2放送で訂正放送はしないのでしょうか?
    なんだNHKは、海外向けには「尖閣諸島は中国の領土」と言いっぱなしなわけで、絶対に訂正なんかするつもりはないのだろうな。
    再発防止より先にやることがあるだろう。

  • 放送通信業界は仕組みができた当時の技術水準(シーズ)や当時のニーズにより形作られました。当時はあまりVHF帯、UHF帯を広域で利用するニーズに乏しかった為、VHF帯UHF帯合わせて凡そ350MHzもの超広帯域を確保できたのです。その後時代は下って電波資源のニーズが高まった為地デジ化に伴いVHF帯は手放しUHF帯も一部移譲しましたものの、依然として広帯域を放送業務用として保持しています。

    一方、後からニーズが出てきた諸々の電波利用機器、例えば電子レンジ、無線LAN、ETC、有線電話の親子電話機、Bluetooth。このようなものは後発の悲哀というか、狭域の所謂ごった煮バンドであるISM(Industrial Scientific and Medical)バンドでの運用を余儀なくされており、常に混信のリスクにさらされています。

    これらのニーズ、シーズの時代的順番が逆であったら、TV放送帯として現在のようば広帯域を確保することは決して無かったことでしょう。
    おそらくは放送業務は一番効率の良い運用が可能な静止衛星による同報放送によるものとされ、地上波は通信ニーズで殆ど占められることになったと推察されます。

    現在のような「取るに足らない放送」を何時まで地上波電波で放送できるのでしょうか?

    現在、民法各局は土管部分をNHKに頼る方向で地上波の延命を模索しています。NHKが駅前ビルのオーナー兼冠店舗、民放はその他店子のようなものです。土管部分である地上インフラの更新維持管理が限界に来つつあるようです。おまけに店子も年寄り相手のつまらん商品だらけの場末の商店みたいなものだったら駅前ビルの高い家賃すら負担となるでしょう。

    地上波TVを遥かに上回るニーズが顕在化すれば、既得権益である地上波電波帯域を移譲し、さっさと衛星波に移動せよ、という流れは意外に早く来るかもしれません。NHKにしても地上波インフラの維持には相当の予算を投じており、そんなものの維持に手間暇掛けるより、相応数のトランスポンダを載せた静止衛星で一元運用し、枝葉はインターネットで運用したほうが良い。放送業界は安上がりで土管を維持でき通信業界は新たな電波資源を得る。総務省はその電波資源の大家として権利金や家賃を得る。
    そんな流れになるかもしれません。放送業界は盤石、一枚岩ではない気がします。

  • 再エネ会議資料の中国企業ロゴ問題もそうですがマスコミの食い付きが悪いですね。
    統一協会や収支報告書不記載問題なんかと比べ物にならないくらいの大事件ですが
    マスコミの報道に期待してます。

  •  損害賠償請求って、賠償金額=こういった声明を出したりのチョイとの手間賃、賠償相手=NHK、ってことですかね。何の意味があるのそれ。
     やるならば、今後発生する中国等からの口撃に対しての日本国の反論広報等にかかる費用、日本国民がこの放送によって誹謗中傷されたりヘイトクライムの対象になった場合の補償、それら防止のための費用を、[NHKが] [日本国及び日本国民に]支払うのが筋では。廃局でもええぞ。

    >南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな
     彼らの論拠がかたっぱしから曲解とデマだって自白してくれましたね。

  • ゆるふんで仕事してるからこういうことになる。
    NHKのあの部署が脚光をあびるなんて考えたこともなかったんじゃないの?

  • まるで我々NHKも被害者ですと言わんばかりですが、株式会社日本国際放送(にっぽんこくさいほうそう、英: Japan International Broadcasting Inc.、略称: JIBまたはJIBtv)は
    日本放送協会(NHK)の子会社です。

    生中継なら尚更ですが放送は1人でやっているはずがありません。
    ディレクター・プロデューサー・エンジニアの誰でもがいつでもマイクオフ出来たはずですしJIBやNHKの外国語放送のスタッフが中国語や英語を理解出来なかったわけがありません。
    そのための子会社丸投げですし、ことNHK関連会社は無駄に人員使って人件費貪っているのでお馴染みです。
    よっぽど間抜けでなければ共犯者であり指摘されるまでしらばっくれていたのは常習だったからではないでしょうか。
    現場の関係者全員処分ですね。
    気がつかなかったねなら、その無能が処分理由になります。

    勤続22年だそうですから常習犯でしょうね。
    昨日今日の犯罪じゃないでしょ。
    もちろんNHKの犯罪です。JIBのトップNHK出身ですし。

    これは謝罪とか調査とかどころではなくNHK解体・放送法一旦廃止案件なんじゃないですか?

  • 朝日新聞によれば、今回の件でNHKの関係者は
    「番組内容への政治の介入がたやすくならないか、心配だ」と述べたそうです
    え、心配するのそこですか?

    • 何をやらかしても自分、自分、自分のことしか考えない。そんな風に見えるNHK関係者のメンタルに「特亜な風味」を感じさせてくれますね。

  • >ラジオ国際放送の中国語ニュースについては、20日から事前に収録して放送しています。ほかの言語についても今月中に事前収録にします。また、必要に応じて、AI音声の導入を検討します。

    事前収録の徹底は、対策としてはそれなりなんじゃないかなぁと。

    AI音声化はなるはやで実施して貰いたいですね。

  • この事案への対応を、NHKや日本政府が中途半端で実効性がない形で処理してしまうと、その様子を中国は観察していて、「ここが日本の弱点だ」とばかりに、今後、NHKを利用した情報テロ活動を仕掛けてくると思います。

    というより、日本がこのような情報テロの揺さぶりに対して、どの程度の対応能力があるのかを確認するために、実験テストとして中国が今回の事案を引き起こした可能性すら考えられると思います。

    そう考えていくと、すでにNHKの内部にすら、中国のhumint浸透工作がかなり深度まで進んでいる可能性を排除するわけにはいかなくなると思います。

    したがって、NHKが公共放送という立ち位置を今後も堅持しようというならなおのこと、このタイミングで徹底的にNHK組織自身をスクリーニングし、害虫の駆除を徹底する必要があると思います。本事案は情報テロということで、国家安全保障の領域にどっぷりと浸かっておりますので、害虫駆除に当たっては、公安調査、外事警察、防衛その他、国家安全保障に関与する政府機関に全面的に介入させる必要があると思います。

    もし、害虫の駆除ができないのであれば、もう、NHKは反国家的組織と見做して潰すしかないのではないでしょうか。

    • お説にまったく同感です。今回の件、「国営放送」としては致命的ミス、それも然るべき責任者等の不作為に起因する、と言えるのではないでしょうか。魔の手は、政府等の部署にも多々入り込んでいることでしょう。

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