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都知事選挙で落選の齊藤蓮舫氏と立憲民主党の「今後」

東京都知事選では立憲民主党を離党して出馬した齊藤蓮舫氏が無党派層や若年層に浸透し切れず、得票が伸び悩み、石丸伸二氏と2位争いをしているようです(報道等によれば3位だったとの観測もあります)。ただ、国会議員を「稼業」として位置付けるなら、齊藤蓮舫氏も自身の最近の得票数にかなりの危機感を抱き、焦りを覚えていた可能性があり、だからこその都知事選出馬と「強引な選挙違反の数々」という結果につながったのではないでしょうか。

またしても都知事選の話題です

最初にお断りです。

本稿では引き続き、東京都のローカルの話題である東京都知事選について取り上げたいと思います。

ふだん、当ウェブサイトでは「地方選挙の話題はあまり積極的に取り扱わない」という方針を掲げているフシがありますが、『過去の東京都知事選挙「泡沫候補」の状況を調べてみた』などでも取り上げたとおり、東京都政に関しては日本全体への影響力も大きく、取り上げざるを得ないという状況にあります。

この点、当ウェブサイトの読者の方は日本全国にいらっしゃることと思いますし、都民ではない読者の方には無関係な話題を繰り返し取り上げることに関し、大変申し訳ないと思いますが、少々お付き合いください。東京都は都道府県としては日本最大の人口と予算、経済規模を誇る巨大自治体でもあるためです。

齊藤蓮舫氏と都知事選

議論の前提:唐突感を覚えていた人も多かった模様

7月7日の七夕、東京都では都知事選挙の投開票が行われ、現職の小池百合子氏が3選を決めました。

その詳しい得票状況などについては東京都選管の公式データが出て来てから改めて検討したいと思いますが、本稿では、おもに7日夜9時前後の報道をベースに、どうやら石丸伸二氏が2位、齊藤蓮舫氏が3位らしい、といった情報をもとに、議論を進めていきたいと思います。

(※なお、確定した得票数において、仮に齊藤蓮舫氏が2位、石丸伸二氏が3位となる可能性がありますが、もしそうだったとしても「両者の得票差が少なかった」という点がポイントとなるため、議論の本筋はあまり変わりません。)

こうしたなかで、本稿で取り上げておきたいのが、「蓮舫」こと齊藤蓮舫(※)氏、さらにはその出身母体である立憲民主党、齊藤蓮舫氏を全力で支援した日本共産党です(※齊藤蓮舫氏の戸籍名は、2020年に離婚するまでは「村田蓮舫」氏ですが、本稿では「齊藤蓮舫」氏で統一します)。

そもそも論として、政治記者らの間では、なぜ齊藤蓮舫氏が今回、都知事選に出馬したのかを巡って、「唐突感」などがあったようです。

実際、一部のメディアなどは、齊藤蓮舫氏が今回、東京都知事選への出馬を「突如決めた」、などと報じており、たとえば朝日新聞の次の記事では「5月下旬に突如、『反自民政治、非小池都政』を掲げて都知事選への立候補を表明」した、などとあります。

蓮舫氏「きつい敗戦。私の力不足、そこに尽きる」 支持広がらず

―――2024年7月7日 20時32分付 朝日新聞デジタル日本語版より

一般に立憲民主党に対して「優しい」というイメージがある朝日新聞ですら、この「突如」という、齊藤蓮舫氏に対してややトゲがある(ようにもみえる)報道を出すくらいですから、齊藤蓮舫氏の今回の都知事選出馬には、とりわけ政治記者らの間では、「寝耳に水」感もあったのではないでしょうか。

齊藤蓮舫氏の得票数は減少の一途を辿っていた

ただ、これに関しては、ビジネスマン的な視点に立てば、「まぁ、そうなるよな」、と思えてしまいます。

ここからはしばらく著者自身の主観で恐縮ですが、齊藤蓮舫氏も、一種の「稼業」として国会議員を務めているのだと仮定すれば、「このままだと職を失う」という危機意識を相当に強く抱いていたであろうことは想像に難くないからです。

そもそも齊藤蓮舫氏といえば、良い意味でも悪い意味でも、民主党・民進党・立憲民主党を象徴する人物ではないかと思います。

齊藤蓮舫氏が参議院議員に初当選したのは2004年のことですが、そのたった5年後の2009年に発足した民主党・鳩山由紀夫政権では「事業仕分け人」として一躍有名になり、2010年に発足した菅直人政権では42歳で行政刷新担当相として初入閣を果たしています。

また、民主党が2012年12月の衆院選で敗北して下野してからも、齊藤蓮舫氏は民主党(とその事実上の後継政党である民進党)で代表代行などを務め、2016年以降は参議院議員でありながら党代表を務めるなど、まさに最大野党をさまざまな意味で象徴する人物だったのではないでしょうか。

ただ、その齊藤蓮舫氏、選挙では「転落の歴史」を辿ったのかもしれません。

というのも、2010年の参院選では、東京選挙区(当時は改選数5議席)において圧倒的なトップ当選を果たしたのですが、2016年、2022年と、改選を経るたびに得票数が減って来ているからです。それも、「激減」というにふさわしいほどに、です。

2010年の参院選では圧勝だったが…

総務省の『参議院議員通常選挙 速報結果』に残っているデータによれば、2010年の参院選では、齊藤蓮舫(当時は村田蓮舫)氏は171万票と、80万票少々を取り2番手につけた竹谷とし子氏(公明党)と比べても倍以上の圧倒的な票数で当選しています。

図表1 2010年参院選(東京選挙区、改選5議席、敬称略)
候補者と政党 得票数 得票率
1位:村田蓮舫(民主党) 1,710,734 28.06%
2位:竹谷とし子(公明党) 806,862 13.23%
3位:中川雅治(自由民主党) 711,171 11.66%
4位:小川敏夫(民主党) 696,673 11.43%
5位:松田公太(みんなの党) 656,029 10.76%
その他の候補者 964,112 15.81%
合計 6,097,768 100.00%

(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』データをもとに作成)

ところが、民主党が下野して以降2回目となる参院選では、齊藤蓮舫氏は112万票あまりと、相変わらず100万票を超える圧倒的な得票でトップ当選を果たしたものの、前回と比べ得票数は587,589票も減らしたうえ、得票率も18.05%と前回より10ポイント低下しました(図表2)。

図表2 2016年参院選(東京選挙区、改選6議席、敬称略)
候補者と政党 得票数 得票率
1位:村田蓮舫(民進党) 1,123,145 18.05%
2位:中川雅治(自由民主党) 884,823 14.22%
3位:竹谷とし子(公明党) 770,535 12.38%
4位:山添拓(日本共産党) 665,835 10.70%
5位:朝日健太郎(自由民主党) 644,799 10.36%
6位:小川敏夫(民進党) 508,131 8.16%
その他の候補者 1,626,107 26.13%
合計 6,223,375 100.00%

(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』データをもとに作成)

減った587,589票といえば、辛うじて最下位で当選した民進党の小川敏夫氏の総得票数よりも多いわけですから、これがゴソッと他党(自民党でしょうか?)に流れた格好だといえます。

直近選挙では4位に転落:危機感も!?

さらに直近、2022年の通常選挙では、前回、5位に滑り込んで当選した自民党の朝日健太郎氏がトップ当選を遂げ、齊藤蓮舫氏は竹谷氏どころか日本共産党の山添拓氏にも負けて得票数は67万票あまり、当選順位は4位に留まりました(図表3)。

図表3 2022年参院選(東京選挙区、改選6議席、敬称略)
候補者と政党 得票数 得票率
1位:朝日健太郎(自由民主党) 922,793 14.66%
2位:竹谷とし子(公明党) 742,968 11.80%
3位:山添拓(日本共産党) 685,224 10.88%
4位:齊藤蓮舫(立憲民主党) 670,339 10.65%
5位:生稲晃子(自由民主党) 619,792 9.84%
6位:山本太郎(れいわ新選組) 565,925 8.99%
その他の候補者 2,088,723 33.18%
合計 6,295,764 100.00%

(【出所】総務省『参議院議員通常選挙 速報結果』データをもとに作成)

齊藤蓮舫氏の得票数は2016年と比べて452,806票も減った格好であり、しかも得票率も10%少々に留まりました。5位には自民党新人の生稲晃子氏に50,547票差にまで迫られ、6位で滑り込み当選したれいわ新選組の山本太郎氏との得票差も104,414票だったのです。

ちなみに民主党・民進党時代を通じ、東京で改選2議席を獲得して来た立憲民主党は、2022年の選挙では松尾明弘候補が得票数372,064票に留まり落選しているため、これは齊藤蓮舫氏の問題なのか、それとも立憲民主党自体の問題なのかは判断が難しいところです。

ただ、仮にこれが齊藤蓮舫氏の問題なのだとして、この調子での減少が続くなら(たとえば2028年の選挙では得票数があと20~30万票減ろうものなら)、齊藤蓮舫氏自身が次の参院選で落選し、政界引退、といった可能性も浮上してきます。

起死回生の都知事選とその後の「キャリアプラン」

だからこそ、起死回生の一策として都知事選に打って出て、あわよくば都知事に転身し、そこから東京都知事として「功を挙げ」、任期満了時には再び国政に戻り、日本初の女性首相を目指す、といったキャリアプランもあったのかもしれません。

また、都知事への当選が無理だったとしても、そこそこの得票を積み上げることに成功すれば、自身が所属していた立憲民主党に対し「得票力」をアピールすることもでき、たとえば少なくとも次の3つの国政選挙に出馬する、という可能性も出てきます。

一つ目は、自身の議員辞職に伴い、今年10月に行われるであろう参議院議員補選。

二つ目は、来年、つまり2025年夏に行われる参議院議員通常選挙。

三つ目は、遅くとも2025年10月までに行われる衆議院議員総選挙。

とりわけ三番目の衆議院議員総選挙に関しては、いわゆる「10増10減」に伴い新設される東京26区での立候補も取りざたされています(同選挙区は前回・2021年の総選挙では東京3区で当選も、2023年に立憲民主党を離党した現職の松原仁氏が立候補するとみられています)。

齊藤蓮舫氏自身が仮に小池百合子氏に惜敗していたならば、その集票力を使い、衆院への転進を図り、あわせて将来、立憲民主党の代表に就任する布石にするつもりだったのだ―――、といった仮説が成り立つのです。

なお、以上は齊藤蓮舫氏自身へのインタビューなどでたしかめた内容ではなく、あくまでも齊藤蓮舫氏の過去の得票数や最近の言動などに基づく著者自身による「憶測」に過ぎない、という点については、改めて強調しておきたいと思う次第です。

立憲民主党の一歩引いた姿勢と選挙違反の数々

ただし、上記がたんなる憶測ではなく、むしろ正鵠を射た仮説である可能性についても言及しておきたいと思います。

じつは、齊藤蓮舫氏自身が都知事選の告示日である6月20日に先立つ同18日、立憲民主党を離党している、という事実を「補助線」として考慮すると、立憲民主党現執行部と齊藤蓮舫氏の関係が悪化していたのではないか、といった仮説も成り立ちます。

もちろん、立憲民主党の泉健太代表自身は、X(旧ツイッター)などで齊藤蓮舫氏を応援する内容をポストするなど、表面上、両者の関係は良好であるようにも見えるのですが、それと同時に立憲民主党は今回の都知事選で、齊藤蓮舫氏への党としての推薦を見送っている(らしい)、という点も見過ごせません。

ここでもうひとつ考慮に入れるべき要素があるとしたら、齊藤蓮舫陣営の強引な選挙違反の数々でしょう。

告示日前でも、少なくとも6月2日、土砂降りの有楽町駅前で雨宿りする一般人らをひさしの下から強引に追い出してまで行われた演説は、公選法の規定などに照らし、明らかに「事前運動」という違法行為に該当しています(『「びしょ濡れ聴衆」が象徴する政治家としての立ち位置』等参照)。

(※余談ですが、この「有権者がびしょ濡れで齊藤蓮舫候補は雨に濡れない場所で演説する」という構図を見るだけでも、齊藤蓮舫氏の政治家としての立ち位置が理解できるのではないかと思います。)

また、「告示日前の事前運動」以外にも、違法性の疑いが極めて濃厚な行為は多く(これには著者自身がネット上で見かけたものだけでなく、自宅ポストに投函されていたビラなども含まれます)、なかには齊藤蓮舫氏の支持者と思しき者たちの投稿自体が違法行為、という事例も散見されました。

これらについては『「3位以下で落選→選挙違反で摘発」の流れとなるのか』や『選挙違反の通報方法を警視庁の窓口に電話で聞いてみた』などでも触れたとおり、著者自身も発見の都度、警視庁にネット、電話などを通じて通報し、また、情報提供しています(果たして捜査当局は動くのでしょうか?)。

強引な選挙違反の背後にあるもの

というよりも、今回の選挙で見られた選挙違反の数々は、齊藤蓮舫氏自身の「焦り」の証拠と見るべきではないでしょうか?

そもそも2010年、当選者が5人の東京選挙区で、全610万票のうち、齊藤蓮舫氏が1人で171万票という圧倒的な票を獲得しているという状況が現在でも続いていたならば、齊藤蓮舫氏としても、あそこまで強引な選挙違反を重ねる必要はなかったのではないでしょうか。

すなわち、齊藤蓮舫氏にとっては立憲民主党本部(というか、泉健太代表)とはなかば「喧嘩別れ」のような状態となり、そのかわりに焦りのあまりに日本共産党などと結びつき、なりふり構わず強引な選挙違反を重ねたのだ―――と考えれば、辻褄が合うのです。

齊藤蓮舫氏といえば、立憲民主党からすれば「重鎮」のような存在です。

そんな齊藤蓮舫氏の陣営による、選挙前のかなり強引な選挙違反の数々については、「もともと立憲民主党に遵法意識がないからだ」、といった説明も成り立つのですが、やはり個人的には齊藤蓮舫氏自身の焦りの裏返しに見えてなりません。

もちろん、Xなどで指摘されている選挙違反は、齊藤蓮舫氏の陣営だけでなく、他陣営でも見られるものですが、それにしても2004年に国会議員に初当選して以来、20年も政治家を務めて来れば、正常な判断力があれば、「何をやれば違法」で「どこまでであればセーフ」かがわからないはずもないでしょう。

この点、捜査当局(とくに東京地検)が立憲民主党や日本共産党などに対し、やたらと甘い(ように見える)ことを考慮に入れれば、齊藤蓮舫氏らの選挙違反の数々が摘発されない可能性も高く、結果的には選挙違反は「やり逃げ」となってしまうかもしれません。

若年層に浸透し切れなかった齊藤蓮舫氏

ただ、検察の目をごまかせても、残念ながら、聡明な有権者を欺くことはできません。

こうしたなか、いくつかのメディアの出口調査などによれば、齊藤蓮舫氏の支持者は高齢層に偏り、若年層には浸透しなかった、との情報も散見されます。

たとえば東京新聞『蓮舫氏は失速…「2位」さえ危うい大誤算 「直接対決」かわされ、自民たたきの戦略も空回り 東京都知事選』によると、(齊藤)「蓮舫氏は若者支援を訴えたにもかかわらず、(東京新聞の)調査結果によると、40代以下の有権者の支持を得られなかった」のだそうです。

この調査が正しかったとすれば、「なぜ齊藤蓮舫氏の支持層が若年層に及ばなかったのか」が気になるところです。

しかし、『ネットが好調、新聞・テレビは苦戦=メディア利用時間』や『新聞は「価値がないから誰も読まないメディア」では?』などでも指摘した、新聞やテレビなどのマスメディア(あるいは「オールドメディア」)が現在、若年層のみならず、中年層からも見捨てられ始めていることとも関連しているのではないでしょうか。

いずれにせよ、本稿執筆時点で齊藤蓮舫氏や他の候補者の正確な得票数についてはまだわかりません。

ただ、報道等によれば、齊藤蓮舫氏は2位に食い込んだとしても石丸伸二氏に得票数で迫られてしまうか、石丸伸二氏に及ばず3位に留まってしまうかのいずれかであるとみられており、これは齊藤蓮舫氏自身の政治家としてのキャリアにとっても思わぬ打撃となってしまったかもしれません。

この点、一部では今回の都知事選が立憲民主党にとって「体の良い厄介払いだった」とする仮説もあるようですが(『「立憲民主党は齊藤蓮舫氏を厄介払い」心無いコメント』等参照)、立憲民主党側にその意図があるかないかは別として、結果的にそれに近い状態が実現する可能性があります。

立憲民主党の今後

というよりも、齊藤蓮舫氏自身が今後、国政に戻れたとしても、少なくとも民進党の代表を務めた2016年頃の状態に戻ることは難しそうです。

このあたり、『選挙権は「志と実務能力」を見極めたうえ正しく行使を』を含め、これまでに当ウェブサイトにおいてしばしば指摘して来たとおり、そもそも政治家に必要なのは、政治家としての「志(こころざし)」であり、「実務能力」です。

政治家に必要な少なくとも2つの要素とは、志(こころざし)と実務能力です。そして、これらを兼ね備えた人物を、私たち有権者は自身の判断と責任において選び出さねばなりません。非常に幸いなことに、これまで有権者の投票行動を歪めて来た最大の犯人であるオールドメディアが社会的権威と影響力を猛烈に失い始めています。選挙権は正しく考え、正しく行使しましょう。政治家に必要な2つの要素当ウェブサイトでは常々、政治家には少なくとも2つの要素が必要だと指摘してきました。ひとつは、志(こころざし)です。政治家は私たち...
選挙権は「志と実務能力」を見極めたうえ正しく行使を - 新宿会計士の政治経済評論

たとえば、社会にはさまざまな利権を持った人も多く、社会をより良くして行こうとすれば、こうした利権を整理・適正化していくことが必要です。しかし、利権を打ち壊そうとしたら、現在利権を持っている人が激しく抵抗することは間違いありません。

だからこそ、利権を整理・適正化するためには、利権を持っている側を説得しなければならないのです。

日本のように成熟した社会では、社会を変えていくためには、常に受益と負担の調整が必要であり、「大企業や金持ちに重税を課して貧乏な人を助ければ良い」、といった単純な原理では動かないのです。

ところが、立憲民主党にはこうした高度な調整をなし得る人材が極端に不足しているフシがあり、それどころか、「誰か」を攻撃することが国会議員の仕事だと勘違いしている人も多いのではないかと思えてなりません。

選挙違反を含め、なりふり構わぬ選挙戦を展開したわりに、いまひとつ、有権者層に浸透し切れなかった齊藤蓮舫氏。

あくまでも個人的な見解ですが、今回の齊藤蓮舫氏の得票状況自体、現在、そして今後の立憲民主党の状況を象徴しているように見えてならないのです。

前回までの都知事選

なお、本稿末尾で参考までに過去2回の東京都知事選の状況を振り返っておくと、図表4のとおりです。

図表4-1 2020年執行東京都知事選挙(敬称略)
候補者と順位 得票数 得票率
1位:小池 ゆりこ 3,661,371 59.70%
2位:宇都宮 けんじ 844,151 13.76%
3位:山本 太郎 657,277 10.72%
4位:小野 たいすけ 612,530 9.99%
5位:桜井 誠 178,784 2.92%
その他 178,566 2.91%
投票総数 6,132,679 100.00%
図表4-2 2016年執行東京都知事選挙(敬称略)
候補者と順位 得票数 得票率
1位:小池 ゆりこ 2,912,628 44.49%
2位:増田 ひろや 1,793,453 27.40%
3位:鳥越 俊太郎 1,346,103 20.56%
4位:上杉 隆 179,631 2.74%
5位:桜井 誠 114,171 1.74%
その他 200,376 3.06%
投票総数 6,546,362 100.00%

(【出所】東京都選挙管理委員会データをもとに作成)

これで見ると、どちらも投票総数は600~650万票程度で、注目すべきは保守系と左派の得票数の違いです。

「保守系有力候補」をどう定義するかという問題はありますが、ここでは便宜上、自民党、公明党、日本維新の会などが応援する候補を「保守」、日本共産党、立憲民主党、社民党、れいわ新選組などの候補を「左派」と仮定します。

すると、2016年に関しては「保守系有力候補」と見られていた小池氏と増田寛也氏があわせて470万票強(つまり全体の約72%)、同じく2020年も「保守系有力候補」である小池氏と小野泰輔氏が合わせて427万票(約70%)でした。

一方、「左派」は2016年において、鳥越俊太郎氏が135万票で全体の約20%強、2020年において宇都宮健児氏、山本太郎氏が合わせて150万票で全体の25%ほどでした。

すなわち、過去2回の選挙では、保守系が全体の70%前後、左派が20~25%ほどを占め、残りを「泡沫候補」が占める、といった構図です(※桜井誠氏らを「泡沫」と呼んでよいのかはわかりませんが)。

なお、この点については今回の都知事選の詳細データが出てきた時点でいろいろと眺めてみたいと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (26)

  • 社会人でも新人は意欲、知識技能、実績の評価項目の内、意欲だけで基本的に評価されるので、20年前は蓮舫氏の意欲だけで投票がされた部分もあるのではないかと。

    で、在職年数が増えるにつれて意欲の評価割合が減り、知識技能や実績の評価割合が増えてきて、その結果が有権者離れだったのではないかと。

    蓮舫氏は、東京都知事としては新人でも政治家としてはベテランだから、立候補するにあたって意欲だけで投票して貰える訳ではないって事なんでしょうね。

    • 同じ理屈で
      石丸氏の二位も「意欲」が評価されてのものだとも言えるかも
      地方では市長やっていたらしいが、東京では無名だから
      国会議員から知事への鞍替えは「ベテラン」扱いされるが
      市長や地方議会から知事への鞍替えは、地方での歴がそれなりに長くても「期待の新人」扱いされる。NPB選手がメジャーリーグで新人王取るようなもの

      • ドラちゃん さん

        そですね、石丸氏は意欲の評価割合が高そう。

        岸田文雄には自民党議員から「岸田のままじゃ野党に転落しかねない!」と声が上がり始めたので、総理の座に見苦しくしがみつく岸田文雄に引導を渡す為にも石丸vs岸田が良さげですね。

  • 石丸氏の貢献が大なのでは。
    立憲共産党の基礎票だけでは駄目という事を解らせた。
    無党派層が無責任に流れるのを止めたのは評価できる。
    「2位じゃ駄目なんですか?」婆さんを3位にしたのは、GJ。

    • 「二位じゃダメなんですか」当時から言われているけど
      どんな分野でも「一位を狙わないと二位すら取れない」という傾向がある

  • >東京都知事選への出馬を「突如決めた」
    共産への移籍と比例区終身2位を打診されてたりとか・・。

    そうでなければ、辻本氏の後を追いかけるのかと?
    ”前身前例(ぜんしんぜんれい)”を掲げてですね。

    • (R4木曾節♩)

      基礎票の無い 石丸さんに
      基礎票で落とされたんは ナンチャラほい
      夏でもサムい ヨイヨイ良い!

      *事実です。後悔はありません。

    • 「二位のアマ」は(記者会見のひな)壇の裏で最期を遂げる運命なのでは?
      所業無情(≠諸行無常)ですかね...

  • 東京都政ってそんなに日本全体への影響が大きいですかね?県知事や国会議員が都知事を詣でるって話もそんなに聞かないし、最もポピュリズム政治がまかり通る地域ってイメージがあっても、それが日本全体に影響しているかというとそこまででもないし、「なんかまたカリフォルニアが勝手に突っ走っとる」ぐらいの感覚なんですが。あ、公金チューチューシステムのテスト場として日本全体への影響はありそうですが、あれは都政というよりは厚労省利権ですよね。

    • 東京都はこれからの試金石にはなってるかと。

      最初からマスコミが持ち上げた四人の選挙戦でしたね。

      この四人の中からネットの影響で世代によって票が分かれた感じ。
      ネットに馴染みがある若者世代が石丸
      テレビに馴染みがある高齢世代が蓮舫
      幅広く小池
      上記以外の候補者以外ならで田母神

      やはりまだまだ影響力はマスコミ≫ネットかと。

  • >立憲民主党現執行部と齊藤蓮舫氏の関係が悪化

    その後の選挙で、立憲民主党に復党できないor公認されない可能性はないのでしょうか。
    そうすると、

    ①無所属で出馬する
    ②共産党に鞍替えする
    ③「新党ひとり」(仮名。よい名称を考えてください)を立ち上げる

    もちろん公選法違反で有罪が確定し、公民権停止になる可能性はありますが。

  • 東京都知事選で蓮舫候補は3位になりました。もしかしたら、立憲はこれを「共産党との協力が足らなかったからだ」と言い出す可能性があるのではないでしょうか。(2位になった石丸候補が「ネットで一時的な風を吹かしたからで、次の選挙では消える」かもしれません)

  • 22年の参院選の得票
    >3位:山添拓(日本共産党) 685,224 10.88%
    >4位:齊藤蓮舫(立憲民主党) 670,339 10.65%
    今回の都知事選の得票
    >1,283,262 18.8%(NHKの速報サイトより)
    を比較すると、共産支持+立憲支持1,355,563票から72,301票の流出、約5.3%減。
    蓮舫氏不支持を表明した連合の都内組合員数は23年12月時点2,428,917人(連合東京Webサイトより)。
    どのぐらい組合員が自主的に蓮舫に投票したのか判らないが、蓮舫氏を支持すると表明している組合もあることから0ではないでしょう(選挙運動は応援するけど投票はしない、なんて悲しいことはさすがに…蓮舫氏の人柄ならあるのかなぁ)。

    他の支持団体の状況を具にみないと判らないが、ざっくりとした結論としては、
    ・支持勢力は固められたが外には殆ど支持を拡げられなかった
    ことが鮮明ですね。

    このまま学生運動のように支持者・勢力が先鋭化して過激化していきそうですが(既に選挙戦ではその兆候出てますよね)、立憲・共産支持者の高齢化もありこのまま弱小勢力化していく可能性の方が高そうに見えます。

    ここからどうやって盛り返していくつもりなのか…と他人事ながら心配になりますが、もう内輪受けしか狙っていないので諦めて野党利権だけで食っていくつもりマンマンなんでしょうね。

  • 小池さんの票田は,70歳以上,女性,のようでした。人口的にもボリュームゾーンです。蓮舫さんは,40代以下の票を期待していたと思いますが,ここは石丸さんのほうに逃げてしまいました。蓮舫さんの票田も70歳以上だったのも興味あるところです。2022年の参院選の,蓮舫さんと生稲晃子さんの票数の差も少なかったのですね。
    自民党は不戦敗の意味はあるのですが,中堅層以下の若い世代に関しては,既存政党離れ,つまり,自民党も立憲民主党も公明党も共産党も嫌だ,という姿勢が強くなっているように見えます。維新のようなやや新しい政党も,欠点が表面化してくると,新規支持層もすぐ離れていくようです。政党政治の構造的欠陥なのでしょう。
    イギリスやフランスも,今後どうなるのでしょう。インフレや生活難や移民政策に対する一般国民の不満は,欧米のほうがずっと激しいですね。中国やロシアはどうでしょうか。とにかく,世界的に政治が不安定な時代になってきました。こういうときに,イデオロギーに流された政治をすると大失敗します。実際,そいういう国が出てくるはずなので,しっかり観察しておきましょう。
    P.S. 欧米の治安もちょっと悪化しているように見えます。失業者増加が原因でしょう。渡航される方はご注意を。

  • 実質3人の争いで蓮舫は最下位ということ。

    批判以外に言ったこと「支えたい」。
    こりゃあ落ちるよね。

    • 本当に、批判を政策だと思っている。これは、東京都の事を何も勉強していないということ。政治家としての基本が分かってない。
      具体的な問題を取り上げて、自分ならこうする、と主張することが基本だ。

  • 政治家としての賞味期限が切れて発酵段階に突入した噛みつき亀がさも、やり切った感を出しながら満足げにワタシの力不足でした。と弁解を述べている姿にずっこけました。そこは諦めが早いというか自分に甘いのですね。支援者のためにも灰になるまで
    噛み付く気は無さそうに見えました。

    まあ昨今、法のグレーゾーンを積極的に突くことを良しとする価値観の人が増えたように思えます。法を時代に合わせてメンテナンスしない側が悪いと、
    放置国家においての小賢しいデバッガー的役割を自認しているのかもしれない。

    • 瀬戸際戦術をクレバーなものと考える、挑戦的(朝鮮的?)な発想をする人たちが一定数いるようですね。

      • 短期的利益至上主義者ですね。奴らは白鵬関です。
        勝つ為には手段を選ばず自分のことをクレーバーだと考えています。
        反対に手段を重視する人たちもいます。横綱とは四つに組んで勝つ美学を持っている貴乃花関や悪法も法だと毒杯を仰ぐソクラテスです。
        前者は勝利を後者は名誉を得られるようです。
        見苦しくても挑戦(朝鮮)には価値があるのかも?いやないか。

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