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【お詫び:記事撤回】「GWの渡航先として韓国が人気」記事を検証してみた

「数値で検証してみたら、また違った印象を受けるかもしれない」。世の中には、この手の話題がわりと多いと思います。何の話を述べているのかといえば、4月末ごろに一部メディアで話題になっていた、「ゴールデンウィークの渡航先として韓国が人気だ」、などとする話題です。「日本人にとって韓国が旅行先として大人気」、という印象を抱く方も多いかもしれませんが、韓国観光公社が公表した訪韓外国人に関する最新データをもとに検証すると、また違った印象を抱く可能性があります。

2024/07/02 14:00付 記事撤回のお知らせ

本稿のなかで、「2024年5月の韓国観光公社の数値」として引用していた数値が誤っていました。参照範囲の誤りにより、すべて2023年10月のものを参照していたため、議論が根底から崩れますので、本記事につきましては撤回します。

読者の皆さま、大変申し訳ございませんでした。

前提とする数値自体が誤っているため、記事自体の趣旨を引き継いで、一両日中に訂正版を掲載したいと思います。また、本記事は撤回としますが、撤回した事実と撤回前の内容については皆さまが参照できるように残しておきます。

インバウンドが史上最高水準の日本:アウトバウンドは?

【速報】訪日外国人数「3ヵ月連続で」3百万人を突破』でも指摘しましたが、訪日外国人が堅調に増えていて、すでに今年3~5月の3ヵ月間に関しては、いずれも訪日外国人が各月ともに単月で300万人を超えています。

ちなみにコロナ前においても訪日者数が過去最大だったのは2019年7月の2,991,189人であり、300万人を超えたことはありませんでした。

このことから、少なくともインバウンド(訪日外国人)観光客に関していえば、すでにコロナ前の水準を完全に超えたと考えて良いでしょう。

ただ、それと同時に驚くことがひとつあるとしたら、「コロナ前を超えた」のはあくまでもインバウンドに限定した話であり、アウトバウンドに関しては戻っていない、という事実です。

図表1は、インバウンド(入国外国人)をプラス、アウトバウンド(出国日本人)をマイナス表示したものです。

図表1 インバウンドvsアウトバウンド

(【出所】出国日本人は出入国在留管理庁、訪日外国人は日本政府観光局)

これによるとインバウンドは300万人を超え、過去最大水準であるのに対し、アウトバウンドに関してはコロナ前と比べ、せいぜい3分の2程度の水準に留まっていることがわかります。また、インバウンドとアウトバウンドの差は、いまや毎月200万人にも達している計算です。

もちろん、今後は多少、アウトバウンドが増えていくという可能性も否定はできませんが、それにしても「日本人は外国に出掛けなくなったものだ」といわざるを得ません。

とりわけ気になるのは、ゴールデンウィークがあった5月を含めても、日本人の海外渡航需要が低迷していることでしょう。

じっさい、出入国在留管理庁のデータによれば、2024年5月の出国日本人数は94万人に留まっていますが、これはコロナ前の2019年5月の144万人と比べて、だいたい50万人ほど少ない数値です。

これは果たして円安のせいなのでしょうか、それとも海外旅行が日本人にとって魅力のある余暇の過ごし方ではなくなってしまったからなのでしょうか?

訪韓外国人の内訳トップは日本人

それはともかくとして、本稿で取り上げておきたいのが、4月の末頃に当ウェブサイトで取り上げた、「ゴールデンウィークの人気海外渡航先」に関する話題です。

「GW人気渡航先は韓国」の実情』では、韓国メディアや一部の日本のメディアを中心に流れていた、「ゴールデンウィークの渡航先として韓国が大人気だ」、などとする話題を取り上げました。

その「答え合わせ」が、やっとできそうです。

というのも、韓国観光公社が5月分の訪韓外国人に関するデータを公表したからです。

図表2が、日韓双方の人的往来の変化を示したものです。

図表2 訪韓外国人(2019年5月→2024年5月)
人数の変化 増減・増減率
1位:日本 286,273→255,092 ▲31,181(▲10.89%)
2位:中国 429,654→223,319 ▲206,335(▲48.02%)
3位:米国 95,815→115,763 +19,948(+20.82%)
4位:台湾 101,779→96,845 ▲4,934(▲4.85%)
5位:タイ 52,660→46,482 ▲6,178(▲11.73%)
6位:ベトナム 44,416→46,026 +1,610(+3.62%)
7位:フィリピン 50,569→43,298 ▲7,271(▲14.38%)
8位:香港 56,186→40,684 ▲15,502(▲27.59%)
9位:シンガポール 20,114→34,710 +14,596(+72.57%)
10位:マレーシア 31,217→33,321 +2,104(+6.74%)
その他 317,001→294,359 ▲22,642(▲7.14%)
総数 1,485,684→1,229,899 ▲255,785(▲17.22%)

(【出所】韓国観光公社)

韓国観光公社によると、2024年5月の訪韓外国人のトップは日本人で、255,092人と、訪韓外国人全体(1,229,899人)の約20%を占めトップでした。

これだけを見ると、たしかに「たくさんの日本人が韓国を訪れている」ことは事実であり、よって、「ゴールデンウィークの日本人にとって韓国は人気の渡航先だった」といえなくはありません。

しかし、データをよく見てみると、訪韓日本人はコロナ前の2019年5月と比べて3万人以上落ち込んでおり、「日本人が訪韓外国人のトップに浮上した」理由が、日本人の訪韓者数の増加を理由としたものであるとはいえないことがわかります。

実際、コロナ前の2019年5月に訪韓外国人トップだった訪韓中国人も人数が大きく落ち込んでおり、コロナ前の2019年5月に429,654人だった訪韓中国人は、2024年5月は223,319人と、約半分に減った格好です。

訪韓日本人は訪日韓国人の約3分の1

このあたり、訪韓日本人の人数はたしかに少しずつ戻りつつあるのですが、それでも韓国人がこぞって日本にやって来ていることと比較すると、日本人が積極的に韓国を訪れていると断じて良いのか、という疑問が浮かびます。図表3は、これをもう少し詳しく分解したものです。

図表3 2024年5月の訪日外国人vs訪韓外国人
訪日外国人(A) 訪韓外国人(B) A÷B
相互往来 738,800人 255,092人 2.90倍
中国 545,400人 223,319人 2.44倍
米国 247,000人 115,763人 2.13倍
台湾 466,000人 96,845人 4.81倍
香港 217,500人 40,684人 5.35倍
その他 825,400人 498,196人 1.66倍
合計 3,040,100人 1,229,899人 2.47倍

(【出所】JNTO、韓国観光公社データをもとに作成)

「相互往来」の欄は、「日本を訪れた韓国人」が738,800人、「韓国を訪れた日本人」が255,092人であることを示します。ここで明らかなとおり、「日本を訪れた韓国人」は、「韓国を訪れた日本人」の、約3倍近くに達しています。日韓両国の人口比を考えると、なかなかに驚異的です。

また、そもそも「日本を訪れた外国人」自体、「韓国を訪れた外国人」と比べて2.5倍程度の開きがあり、とくに近場の台湾や香港に関しては、その格差が5倍前後にまで開いています。

報道をデータで検証する重要さ

ちなみに米国人に関しては、両者の差は2倍強ですが、これは米国人が遠く離れた日本に出掛けるついでに、近場の韓国をも訪れているからなのか、それとも単純に「トランジット」で韓国経由の安い航空券を使用しているからなのかは、さだかではありません。

(※ちなみに韓国を巡る「トランジットツアーでの入国者水増し疑惑」については、『トランジット・ツアーで入国者水増し?韓国観光の課題』あたりもご参照ください。)

いずれにせよ、個人的に大事だと思うのは、メディアが報じた内容については、それを「事後的に」検証することだと思います。

ここでは「ゴールデンウィークの渡航先として韓国が人気だ」、などとする報道を取り上げましたが、本件に限らず、この手の「実際にデータで検証してみたら、また違った印象を受ける」とする話題は、案外多いのではないか、などと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (11)

  •  >実際にデータで検証してみたら、また違った印象を受ける

     岸田内閣の支持率とか。

  • 確かにHISの売り上げ数(金額ではない)ランキングは,1位ソウル, 2位台北, 3位ホノルル, 4位バンコク, 5位プサン, 6位香港, 7位パリ, 8位グアム, 9位シンガポール, 10位チェジュ島, ですね。このうち, 費用が高いところは,パリ,ホノルルで次いでグアムでしょうか。それ以外は料金の安いところが並んでます。香港は敬遠する人が多いかと思ったら,意外と大勢行ってるのですね。「韓国が人気」というより,安く行ける国を探したら,結局韓国がしか手が届かなかった,というのが現実かと思います。もっとも,シンガポールでも,受託荷物無しでスクートあたりを使えば安い(1万8千円安くなる)です。1週間くらい滞在するなら,ホテル代等の差で韓国よりバンコクのほうが安くなると思いますけど。

  • *本稿の率直な感想、

    渡航先は韓国が大人気!!の実態を、
    数字で検証した大人気ない事実陳列。
    ・・。

    (良かったです!)

  • 訪韓外国人の滞在日数とかも見てみたい気もするのですが、こんな数字は出てこないでしょうね。
    朝、羽田を発ってその日の夜に帰って来ると往復で1万円位でしょうか?
    夕方九州から釜山に船で行って飲み会するって言うのも聞いた事があります。
    他にも何処に行っているのかなども興味はありますが、観光公社は把握していても絶対に出さないでしょう。

    比較の為に無いよりマシですが、数字は嘘を付かないがそれを使う人が嘘を付く典型的な例と思えてきます。
    息を吐くように◯を付く隣国に毒されていたり、大陸の擁護のようなメディアの記事は、見ても話半分で斜め読み程度でしかない感じです。

  • 「日本に来たついでに韓国も・・・」と「単純にトランジットで韓国経由の安い航空券を使用して日本に来た」は少々無理があると思います。ま、会計士さんはご存知だし書かないだけでしょうが(笑)。アジアよりも富裕層が多い米国人、わざわざ遠い「ファーイースト」の日本、それに加えて「ナニがあるか知らないが韓国もついでに」、とはならないでしょう。逆張りで「韓国は外せないが、ついでに日本も行くか」は、もっと少ない行動パターンだと思います。

    私はズバリ言って「朝鮮系米国人が日本に遊びに寄って、最終目的地の故郷のある半島に一時帰国する」パターンを捨てきれません。郷里ではええかっこしたいですからね、韓国人だもの。「日本にも時間があったから立ち寄った。コレ土産!」って渡せば、尊敬されるのでは?どんなビジネスかは知りません。スミマセン、妄想です。

  • 同じレベルで、直接に検証しようとすると、コスパ&タイパ悪いです。
    人生は有限ですから、そんなことに時間を使うのは勿体ない。

    「今、世界で韓流が大人気!」と、

    ①これまで何について言われてきたか?
    ②今、それらで大人気のままのものがあるのか?
    ③そのそも当時、本当に人気だったのか?
    ④当時の大人気!と今の大人気!と、なにが違うのか?

    ①については、具体的な歌謡ユニット名や、トッポギやホットグやチーズなんちゃらや、キーセンや犬肉で思い返してみるとよいのですな。

    キムチと東方神起くらいですかね、今でも根強く息長く売れ続けているのは。
    どちらも、韓国&韓国人からすると今一つ
    「韓国の代表」
    だと認めたくない(ウリではない)ような扱いに見えますけどね。

    とにかく、50年くらい前から常に
    「韓流は世界で大人気!」
    なのに、50年前でも40年前でも30年前でも20年前でっも10年前でも、
    「今でも、売れてるモノが存在しない」
    ことが、なんかおかしいな、と思わないもんなのかなぁ。

    とっかかりは何でもいいのですが、せっかく好きになった韓なので、調べて調べて調べるほどに、
    ①オリジナルが別にあるパクリだ。
    ②どうも安くない(=ボッタクリ)だな。

    先輩たちがすでに見切って、結論が出ているのですな。

  • 韓国には観光地ないから
    結構あった仏教寺院や仏像も、儒者がほとんどぶっ壊したから
    日本の明治初期の廃仏毀釈のでっかい版が長期間行われていたイメージ

  •  居酒屋で(100%出される)「お通しが一番人気です」とか、スーパーの(売上個数を見て)「モヤシが人気食材です」と言ってもね、という。モヤシ"は"好きですけど。
     韓国旅行が多いのは事実なのでしょうから、人気だなどと言わずに賑わっているとだけ言えばネチられずに済むものを。

    • お通し、とは言い得て妙です。

      ナンチャッテですが一応は儒教の国なので、在日&帰化人の法事定期帰省はペースロードとして観光客数値から除外するべきですからね。

      なんで、無駄な背伸びをするのでしょうかね。