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林智裕氏が公表の待望「ネチネチ論考」が素晴らしい件

以前に当ウェブサイトで福島県出身・在住のジャーナリストでライターの林智裕氏が執筆した秀逸な論考を取り上げたのですが、林氏本人はその論考について、「初稿は倍くらいの文量があり、共同通信がこれまでやらかしてきた見出し詐欺とか風評加害の事例をもっとネチネチネチネチと書いて、ついでに朝日新聞のこともネチっと書いていた」と明らかにしていました。嬉しいことに、その「ネチネチ」版が土曜日までに公表されたようです。本稿では日本のジャーナリズムの問題点とともに、林氏の記事のリンクを示しておきましょう。

FHvsRSF

フリーダムハウスとRSF:一見似たような調査だが…!?

以前から当ウェブサイトをご愛読くださっている皆さまであれば、「フリーダムハウス」と「国境なき記者団(RSF)」という組織名を、それぞれ聞いたことがある、という方は多いでしょう(ちなみにRSFは “Reporters sans frontières” の略)。

フリーダムハウスは米国に、RSFはフランスに、それぞれ本拠地を置くNGO(非政府組織)で、一見似たような順位ないし評点を公表していることでも知られています。

フリーダムハウスは「グローバル・フリーダム」、つまりその国ないし地域が世界のなかでどれだけ自由であるといえるかについて、合計100点満点で評価したレポートを、直近(2024年)に関しては約200を越える国・地域について公表しています。

一方でRSFは世界180ヵ国・地域について、それぞれの「報道の自由度」をランク付けしたものを公表しています。

フリーダムハウスは社会全体の自由度(政治的な権利の有無や市民の自由度)を評点化しているのに対し、RSFは政治、経済、法的などの側面から報道機関やジャーナリストの自由度をランク付けしているという点で、両者は性格が異なります。

ただ、どちらも似たような指標ですので、片方(たとえばフリーダムハウス)で高得点だった国・地域は、もう片方(たとえばRSF)でも同様に高い評価を得ていて、片方で低得点だった国・地域はもう片方でも同様に低い評価に甘んじているに違いない、とする推察が働きます。

フリーダムハウスの評点はG7最高水準なのに…RSFではG7最低?

ところが、これについて調べていくと、じつに不可解な事実にぶち当たるのです。

「双方で高い評価を得ている国」や「双方で低い評価を得ている国」というものも、あるにはあるのですが、その一方で、片方で非常に高い評価を得ていながら、もう片方で非常に低い評価に留まっている、という事例もあるのです。

その典型例が、何を隠そう、わが日本です。

日本はフリーダムハウスの側で、100点満点中96点という、非常に高い評価を得ていますが(しかも9年連続)、少なくともG7諸国に関していえば、カナダ(2024年に関しては97点)に続いて2番目に高い評点です(図表1)。

図表1 自由度順位・G7比較

(【出所】Freedom House, Publication Archives データをもとに作成。なお、グラフタテ軸の起点はゼロとなっていない)

ところが、日本はRSFの側では、世界180ヵ国中、昨年より2位下げて70位という、非常に低い順位に留まっています。ちなみにG7諸国では最低(図表2)です。

図表2 報道の自由度順位・G7比較

(【出所】REPORTERS SANS FRONTIÈRES, CLASSMENT LISTEをもとに作成)

「96点の日本」が「20点のガボン」より下位という不思議さ

さすがに、この矛盾は大きすぎます。

もちろん、両者は評価する対象が別物ですので、たまたまある年において、評価が多少ずれる、といううことならばあり得る話ではあります。しかし、図表1と図表2を見比べていただくと、こうしたズレは「多少」というレベルでも、「誤差の範囲」でもありません。

明らかに、片方の調査がデタラメなのです。

ここで、「少なくとも片方はデタラメだ」と断言するのには、ちゃんとした理由があります。これについてもう少し「ねちねち」と見てみましょう。

先ほどから指摘している通り、今年のRSFランキングで日本は70位に留まったわけですが、それでは日本よりも上位の69ヵ国にはいったいどういう国があるのでしょうか。

たとえば、フリーダムハウスでいずれも日本よりも1点低い95点を獲得した豪州がRSFで39位、同じく95点だったエストニアがRSFで6位でした。ちなみにエストニアはバルト三国のひとつで旧ソ連構成国のひとつでもあります。

また、RSFの順位が日本より高いにもかかわらず、フリーダムハウスの側で評点が日本よりも極端に低いという事例のなかには、たとえば中央アフリカの国・ガボンがあります。

ガボンはRSFランキングでは56位と、日本よりも14位も上位にある国ですが、フリーダムハウスの側の評点ではなんと100点満点中20点で、100点にたった4点足りないだけの日本と比べて、評点は5分の1少々に過ぎません。

やはり少なくともどちらかは「デタラメ」

ちなみにフリーダムハウスの側で評点が70点未満の国・地域のうち、RSFの側で順位が日本より上位の事例をリスト化したものが、次の図表3です。

図表3 フリーダムハウスで評点が70点未満、RSFランキングで日本より上位の13ヵ国
国・地域 フリーダムハウス RSF
モンテネグロ 69点 40位
ドミニカ共和国 68点 35位
北マケドニア 67点 36位
フィジー 66点 44位
マラウィ 66点 63位
ハンガリー 65点 67位
リベリア 64点 60位
モルドバ 61点 31位
シエラレオネ 60点 64位
アルメニア 54点 43位
ウクライナ 49点 61位
モーリタニア 39点 33位
ガボン 20点 56位

(【出所】Freedom House, Publication Archives データおよびREPORTERS SANS FRONTIÈRES, CLASSMENT LISTEをもとに作成)

もしもRSFのランキングが正しければ、日本社会の自由度が100点満点中、96点で、G7諸国・G20諸国などと比べてもカナダと並んで「ぶっちぎりのトップ」というフリーダムハウスの調査は明らかにおかしな話だといえます。

これとは逆に、もしフリーダムハウスの調査の方が正しいというのであれば、RSFの調査結果で、96点の日本が20点のガボンや39点のモーリタニア、49点のウクライナ、54点のアルメニアなどよりもさらに低い評価に留まっている、というのは明らかなデタラメでしょう。

これについて当ウェブサイトでは、どちらが正しくてどちらがデタラメだ、などと決めつけるつもりはありません。あくまでも、当ウェブサイトの記事を読んだ個々の読者の皆さまに決めていただくべきものだからです。

あるいは極端な話、両方、間違っているという可能性だってありますので、このあたりについては軽々に決めつけるべきではありません。

両者の「決定的な違い」とは?

ただ、客観的事実をもとに、ひとつだけ両者の決定的な違いを挙げておくならば、その得点ないし順位の「決まり方」にあります。

そもそもフリーダムハウスの側は「なぜその得点になったのか」というプロセスがすべて開示されていて、その評点となった根拠については各国のレポートを読み、それを検証することが容易です。

というのも、フリーダムハウスのレポートでは、各国共通の25個の評価項目それぞれについて、4点満点で評価が付けられ、各国・地域の評点はそれら25個の評価の合計値で表示されているからです。

日本の場合も100点満点中96点という高得点でしたが、25個の評価項目のなかで21個で4点満点を獲得しており、残り4項目に関しては4点満点中3点に留まった、ということが、レポートを読めばちゃんと書いてあるのです。

これに対し、RSFの側は「順位」という「結果」だけが示されていて、その順位となった数値的根拠がほとんど示されていません。

じつは、RSFの順位を調べていくと気付くのですが、2022年以降に関しては5つの評価軸(政治、経済、法律、社会、安全)の平均値の順で並べられているようなのですが、この5つの評価軸それぞれの得点は、2021年以前に関してはいっさい公表されていないのです。

また、2024年の日本の事例でいえば、この得点は総合で62.12点で、その内訳は政治53.07点、経済55.83点、法律64.35点、社会54.38点、安全82.95点なのだそうですが、この5分野それぞれの得点がどうやって出て来たのかについては知る由もありません。

RSF順位の事例(2024年・日本の場合)
  • 得点:70位・62.12点
  • 政治:73位・53.07点
  • 経済:44位・55.83点
  • 法律:80位・64.35点
  • 社会:113位・54.38点
  • 安全:71位・82.95点

(【出所】RSF・2024年順位 Japon データ)

このため、少なくともランキングないし得点の透明性という観点からは、フリーダムハウスの側に軍配が上がることは間違いありません。

もちろん、くどいようですが、当ウェブサイトでは「フリーダムハウスの調査が全面的に正しく、RSFの調査が完全なデタラメだ」、などと申し上げるつもりはありません。

そもそも両者は評価している対象がまったく別物ですし、フリーダムハウスの側も透明性と客観性が高いというのは事実ですが、そもそもその25項目で評価するのが正しいのか、といった疑問を持つ人もいるかもしれないからです(あくまでも個人的感想に基づけば、べつにフリーダムハウスの25項目に違和感はありませんが…)。

しかし、同じような趣旨の評価項目であるにも関わらず、両者がここまで異なっているというのは、どちらかが正しくてどちらかが間違っているという可能性を強く示唆するものでもあります。

ジャーナリズムの歪んだ暴走

日本のジャーナリストの「マッチポンプ」と不都合な事実

ただ、日本の場合の問題点は、じつはそこだけではありません。

とりわけ一部のオールドメディア(新聞、テレビなど)に関しては、両者のうち、RSFのランキングの方を極端に重視する一方、フリーダムハウスの調査については「なかったこと」にしているフシがあるからです。

酷いケースだと、「皆さ~ん、日本のRSFランキングは今年も70位と非常に低かったですよ~!?」、「日本は民主党政権時代の2010年に12位を記録したのに、安倍政権以降はランキングが低迷したままですよ~!?」、など、さも安倍政権以降、政府が言論の自由に圧力を掛けているかのごとき言い草もあります。

少なくとも著者自身が知る限り、自民党政権がマスコミ各社に対し、警察力などを使って言論の自由を取り締まっているという事例はありませんが、それと同時にとくに一部のメディアは、しきりに「日本の報道の自由が危ない」、などと喧伝しているフシがあります。

ちなみにマスコミ業界に詳しい一部の方の指摘によると、RSFの日本のランキング評価に関わっている方々のなかには、一部の「ジャーナリスト・市民活動家」らが入っているとの情報もありますが、このあたりについては真偽不詳です。

ただ、もしその情報が正しければ、これは典型的な「マッチポンプ報道」の可能性があります。

つまり、RSFという「国際的に権威がある(?)組織」に入り込み、その組織に「日本の報道の自由度はガボンよりも低い」などと言わせて、さも日本社会で言論の自由が制限を受けているかの印象を作ったうえで、それを問題視する報道を行う、というものだからです。

余談ですが、このあたりは国際通貨基金(IMF)という「国際的に権威がある(?)組織」に人を送り込み、その組織に「日本の財政は危険な水準にある」などと言わせて、さも日本に財政破綻のリスクがあるかの印象を植え付ける、某反社会的な官庁と、やっていることのパターンはソックリですね。

いずれにせよ、RSFのランキングがやたらと低いのに、フリーダムハウスの評点がやたらと高いというのは、「日本で報道の自由が脅かされている」と主張する人たちにとっては「不都合な事実」、ということなのかもしれません。

権力の監視役?あんたらが権力だろうに!

さて、これを踏まえた上で、もうひとつ、重要な事実を指摘しておきます。RSFの日本に関する記述の中に、こんな表現が出てくるのです。

Le Japon est une démocratie parlementaire, où les principes de liberté et de pluralisme des médias sont généralement respectés. Cependant, le poids des traditions, les intérêts économiques, les pressions politiques et les inégalités de genre empêchent souvent les journalistes de pleinement exercer leur rôle de contre-pouvoir.

(【出所】RSF ASIE – PACIFIQUE / Japon より抜粋。下線部は引用者による加工)

文章の下線部分に注目してください。

ここに出て来る “le contre-pouvoir” という表現に、日本のジャーナリズムの腐敗が詰まっているのです。

この表現、一般には「反権力」ないしは「権力の監視役」という意味合いが込められていると考えられ(著者私見)、実際、英語訳を読むと、 “countre-pouvoir” には “watchdog” の単語が充てられています。

以上を踏まえてこの文章を意訳すると、こんな具合ではないでしょうか。

日本は議会制民主主義国であり、一般的にメディアの自由と多元主義の原則は尊重されている。しかし、伝統の重圧、経済的利益、政治的圧力、男女不平等により、ジャーナリストが反権力としての役割を十分に発揮することが妨げられることがよくある。

(【出所】RSF ASIE – PACIFIQUE / Japon を意訳。下線部は引用者による加工)

「ジャーナリストの役割は権力に対抗することである」―――。

こんな思い上がった文章、滅多に見ることはありません。

ただ、ここで思い出すのが、以前の『日本のメディアは客観的事実軽視=国際的調査で裏付け』でも取り上げた、WJS(Worlds of Journalism Study)が公表した調査です。

これは、WJSが世界67ヵ国・27,500人以上のジャーナリストへのインタビュー調査結果をもとにした、世界各国のジャーナリズムの傾向で、その結果の概要については、現在でも “Country reports – WJS2 (2012-2016)” のページで閲覧・ダウンロード可能です。

調査自体が少し古いものではありますが、ここで日本のメディアに共通する特徴を改めて指摘しておくと、諸外国と比べ、日本のジャーナリストには、だいたい次のような傾向があります。

  • 政治リーダーを監視・精査することを何よりも最重要視している。
  • それら権力の監視と時事問題の分析、人々の政治的意思決定に必要な情報提供こそがジャーナリズムと捉え、それは事実をありのままに伝える責務以上に優先される。
  • 人々が意見を表明できるようにすることへの関心は極端に低い。
  • 政治的アジェンダ設定も人々に代わりジャーナリズムが主導するべきで、それは事実をありのままに伝える責務に比肩するほど重要な役割と考えている。

この4点、大変に重要な指摘です。

わかりやすくいえば、日本のジャーナリスト、あるいは一部メディアは、「客観的事実よりも自分たちの主義・主張を社会に広めること」に重きを置いている、ということでもあるからです。

あるいは自分たちを「権力と戦う勢力」と位置付けているフシが見られるわりには、そんな自分たちこそが「権力」(※しかも民主的に選ばれたわけではない「第四の権力」)である、などとする自覚は皆無です。

上川陽子氏発言の捏造報道問題

そして、その典型的な「事件」があるとしたら、そのひとつは、上川陽子外相の発言を、共同通信が事実上、歪曲して報じたものです。

本件については『上川発言報道で共同通信「全くひるむ必要なし」講評か』などを含め、当ウェブサイトではこれまでずいぶんと取り上げてきたとおり、端的にいえば、極めて悪質です。

共同通信は上川氏の発言を、発言者である上川氏が意図していない、あるいはその場で上川氏の発言を聞いていた人たちが思いもよらない意味で報じたからです。

事件は上川氏が5月18日、静岡県知事の応援で、自身が支援する候補者を県知事にするという意味で「うまずして何が女性か」と発言したところ、共同通信がこの「うまずして」を「出産」と強く関連するものであるかのごとく報じた、というものです。

また、問題はそれだけではありません。

共同通信は英語版の記事 “Japan minister queries women’s worth without birth in election speech” だと、さらに露骨に、「出産」を意味する “childbirth” という単語を用いて報じました。これは好意的に見て「誤報」または「誤訳」ですが、下手をすると「捏造報道」というレベルです。

この英語版記事に関し、産経ニュースが5月21日付で配信した『外相「うまずして」英訳記事、男性に言及あり「明示なくても『出産』比喩」 共同通信回答』という記事によると、共同通信は産経新聞の取材に対して、こう答えたそうです。

一連の発言は『出産』を比喩にしたものと考えられます。上川氏が『出産』と明示的に述べなかったとしても、発言の解釈として『childbirth』という表現を用いました」。

この回答が事実だとしたら、まさに、一種の「確信犯」として、勝手な解釈を混ぜ込んで事実誤認を誘発しようとしているかのようです。

これなど、WJS調査で示された「日本のジャーナリストの傾向」、あるいはRSFレポートで出て来る「権力の監視役」などとする思い上がりと、非常に整合する報道だといえるでしょう。

林智裕氏の指摘を読め!

こうした記事に対し、本稿で改めて引用しておきたいのは、日本のマスメディアの弊害を端的に表現した、こんな文章です。

マスメディアには専門的な知識と責任を担保する資格が不要かつ民主主義的な選挙で選ばれたわけでもない。任期はなく弾劾もできない。相応の責任を求められる制度すらない。情報開示の義務もない。これら巨大な権力が責任も問われず野放しにされたままでは、社会は国民主権ならぬメディア主権、法治主義ではなく『報治主義』にさえなりかねないのではないか」。

あえて原文のまま引用しましたが、これはいったい誰の指摘でしょうか。

これも当ウェブサイトをご愛読いただいている方ならば見覚えがあるという方は多いでしょう。じつはこれ、以前の『上川発言報道問題で林智裕氏論考が「社会の停滞」警告』でも引用したとおり、福島県出身・在住のジャーナリストである林智裕氏が執筆したものです。

林智裕氏といえば、X(旧ツイッター)などでも優れた意見・情報を続々と発信する人物として有名ですが、その林氏が『ウェッジ・オンライン』に5月31日付で寄稿した『上川法相「うまずして」発言の本当の問題点とは?メディアの印象操作は社会の停滞にもつながる』は、必読といえるほど優れた記事です。

ただ、ウェッジの記事自体もかなり読みごたえがあるのですが、林氏ご本人はこの記事に関しては文字数や読みやすさの都合でカットされた部分が多いとして、若干の不満を抱いていたらしく、Xで、こんなことも述べています。

すなわち、当初はこの倍くらいの分量で、「共同通信がこれまでやらかしてきた見出し詐欺や風評加害の事例」を「ネチネチネチネチ」と(ついでに朝日新聞のことも「ネチ」っと)書いていたとのことであり、こんなことを知ると、思わず「そのカットされた部分」についても読んでみたくなってしまいます。

待望の林氏の論考の「ネチネチ版」

そこで、個人的には林氏のその「ネチネチ」(×2)した部分を読みたいと思っていたのですが、なんと、大変嬉しいことに、林氏本人がXで、こんな内容をポストしていました。

気になって林氏のポスト先の記事をクリックしてみると、「お酒が好きなかえるさん」名義で書かれた、『note』のこんな記事に繋がります。

マスメディアによる見出し詐欺・情報テロリズム問題

―――2024年6月29日 07:31付 noteより

おそらくこの「お酒が好きなかえるさん」は林氏のペンネームなのでしょう。

記事では6月29日付で共同通信が報じた、「反基地活動家の老人がダンプの前に飛び出したのを止めようとした氷河期世代の警備員が巻き添えになって死んだニュース」の記事に関するポストが掲載されています。

この件、当ウェブサイトでも取り上げようかと悩んだのですが、若い方が無残に亡くなったという事件でもあるため、個人的には辛くてまだ当ウェブサイトでは取り上げられていないのですが、もし興味があれば、リンク先の『note』記事をお読みください。

そのうえで、この『note』記事に関し、「お酒が好きなかえるさん」こと林氏は、先月のウェッジの『上川法相「うまずして」発言の本当の問題点とは?メディアの印象操作は社会の停滞にもつながる』の「初稿原稿から文字数の都合でカットされた部分をそのままに、多少の加筆を加えた」ものだと述べています。

この「ネチネチ」具合がなんとも小気味良いのです。

現在のところはどなたでも読めるようでもあるため、当ウェブサイトでは具体的な内容について引用することはしませんが、秀逸な大作であり、比較的長文です。しかし、それと同時に文章にぐいぐい引き込まれ、あっという間に読み終えてしまうことは間違いありません。

正直、控え目に申し上げて、これは「国民必読」レベルではないでしょうか。

ネチッとした「国民必読」レベル

ただ、この林氏の論考で面白いのは、共同通信に対する「ネチネチ」だけではありません。

朝日新聞にも「ネチッ」とした文章を、『現代ビジネス』の記事に仕立てているのです。

ちなみに記事のリンクは次の通りです。

朝日新聞福島総局長の捏造疑惑炎上ではっきりした「不安な空気」を創っては拡散する「風評加害者」の正体

―――2024.06.23付 現代ビジネスより

日本で一番「説明責任」を求め続ける朝日新聞から「回答期限4分前」に届いた「捏造疑惑記事への説明」の中身

―――2024.06.23付 現代ビジネスより

これらも控え目に言って、「日本国民必読」というレベルではないでしょうか。

林氏のプロフィールにも「福島県出身・在住」とありますが、林氏は福島原発に関するメディアの問題報道記事に対しては、精緻な取材と確たるファクトをもとに、ときとして「あの大新聞」に対しても敢然と説明や訂正を要求して来たのです。

メディアなき世はどうなのか

このあたり、日本のメディアといえば、福島処理水の海洋放出に対しても、「科学を振りかざすな」だの、「科学を隠れ蓑にするな」だのとする社説などを掲載するなど、あたかも科学を正面から否定するかの姿勢を見せてきました。

まさに、一部のメディア、ジャーナリストらには、専門的な知識どころか科学的な思考態度もなく、ただジャーナリストらの勝手な願望で社会を動かそうとする悪しき欲望しか見いだせないのです。

ちなみに新聞社、テレビ局の経営難に関しては、先日の『部数や広告費の減少で読む新聞・テレビ業界の「未来」』などを含め、当ウェブサイトでは頻繁に取り上げるテーマのひとつです。

メディア産業関係者らの間では、もしも新聞、テレビといったジャーナリズムの灯が消えることになれば、この日本社会の民主主義がさらに後退するのではないか、といった懸念の声が上がっていることは事実でしょう。

しかし、少なくとも著者自身は、新聞社やテレビ局の経営難は彼ら自身の「第四の権力」としての長年の振る舞いが招いた「自業自得」の帰結に過ぎず、いくつかのメディアが近い将来、廃業を余儀なくされたとしても、それにより社会が今より「悪く」なることはないと考えている人間のひとりです。

いずれにせよ、どちらの考えが正しいかについては、それほど遠くない未来に判明することでしょう。

新宿会計士:

View Comments (27)

  • 「なぜ新聞記者は憎まれるのか
     自己肯定意識の高いひとたちに共通する不可解な万能感」

  • 林氏は実に興味深い記事を連発してくれますね。ありがたや、ありがたや。

    ちょうど沖縄基地の周辺で危険行為に及ぼうとした活動家を止めようとした警備員の男性が
    不幸にも亡くなってしまった”らしい”のに、それを共同通信などが必死になって
    印象操作(警備員の男性の存在そのものを省いたり、警備員である事を書かずただの男性と
    したり、活動家が危険行為をしたらしい事を書かなかったり)している矢先だったので、
    こういう文章を読むと少しだけ不快感が薄れます。

    *注:上記の事件はまだ不明瞭な事も多いみたいなので、現時点では”らしい”と
    表現しておきました。続報で別の事実関係が判明する可能性もあります。

  • >記事では6月29日付で共同通信が報じた、「反基地活動家の老人がダンプの前に飛び出したのを止めようとした氷河期世代の警備員が巻き添えになって死んだニュース」の記事に関するポストが掲載されています。

    NHK①左折のダンプカーに2人巻き込まれ 1人死亡 名護市
    06月28日 19時31分
    https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20240628/5090028473.html

    >28日午前10時10分ごろアメリカ軍普天間基地の移設工事で使う土砂の運搬船が接岸する名護市安和の港付近で、港を出て国道に左折しようとしたダンプカーに警備員と移設に対する抗議活動中の那覇市の72歳の女性が巻き込まれました。

    NHK②普天間基地移設工事のダンプカー死傷事故 沖縄防衛局長が陳謝
    06月29日 19時18分
    https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20240629/5090028488.html

    >28日、アメリカ軍普天間基地の移設工事で使う土砂の運搬船が接岸する名護市安和の港付近で、埋め立てに使う土砂を運ぶダンプカーに警備員と抗議活動中の女性が巻き込まれ、40歳の警備員の男性が亡くなり、女性は大けがをしました。

    NHKだとまだ二人ともダンプカーに巻き込まれた扱いですけど、その内自殺テロ攻撃を繰り返すテロリスト警備員が巻き込まれたって扱いになるんじゃないかなーって待ってます。

    • >人々が意見を表明できるようにすることへの関心は極端に低い。

      在日韓国人の会社員が職場で上司から政治の話題を振られたら結局レイハラ扱いされちゃうのも、一定程度はメディアのそんな姿勢が影響しているのかもですね。

  • 中国の対外政策に関する記事の中で「各国のメディアの中に,中国の息のかかった記者を送りこみ,中国寄りの記事を書かせて,世論を親中に誘導していく」という話があったのを思い出しました。あと,市民団体や環境団体と旧共産党系勢力の関係,という説も傾聴に値するところがあります。もともと中国寄りでなかった人でも,ハニトラとか報酬とか脅しなどの手段で親中国派に変えていく手口もあるようです。記者だけでなく,政治家や官僚もそのターゲットということ。噂のレベルですが。
    話は別ですが「○○ランキング」というのは評価基準の設定から怪しいものが多いです。正確に覚えていないのですが,昔,住みやすさランキングみたいので,山梨が1位で千葉が最下位とかいうのがあったような。間違ってるかな。とにかく,ほしい結果に合わせて評価基準を設定する,という手法もあります。
    報道の自由については,記者の出身大学に偏りがあって,忖度が生じやすい体質がもともとあるのかも。

    • やはり、記事・番組を捏造(つく)ってるのは、「”中(ちゅう)”のひと」・・。

    • 通りすがり様

      もっと怖い話もありましたよ。

      自民党員になるのに資格審査が、ないに等しいことを利用して、チャイナの息の掛かった人間が、大勢党員登録してるんじゃないかというんですがね。

      キシダ下ろしが、最近総裁選への意欲を隠さなくなった、チャイナの子飼いが疑われる某大物議員の首相誕生に繋がったなんてことになれば、それこそ悲劇ですよ。

  • 毎度、ばかばかしいお話を。
    マスゴミ:「我々のことをネチネチ批判する林なんとかは、けしからん」
    蛇足ですが、マスゴミが「そんな人はいないことにしたい」と思っている人は、あと何人、いるのでしょうか。

    • もしかして、マスゴミのなかでは、「自分たちが嫌いな○○(好きな言葉を入れてください)が、林なんとかに書かせた」ということになっているのでしょうか。

  • 共同通信社について ウィキペディアで調べてみた。不祥事・疑義が持たれた報道等
    当事者と見解が対立した報道 批判  不祥事 の各段落を読むと虫唾が走る。
    選挙がない以上 読まないか徹底して真相を究明するしか手がなさそう。

  • ネチネチといっても、説明しなかったり自ら糺さなかったマスゴミの不正や誤りの蓄積が、それだけ膨大だからということでしかないのですよね。一般企業だったらとっくにやってるだろうことを一切やらずに。

    常日頃「マスゴミ」と読んでからかったりするのですが、そうなってしまった始まりは「怒り」の感情であったことを、林氏の文章を読んでみて改めて思い出しました。
    強者にいいようにされてしまう理不尽さ。

    潰れてもらっても全然構わないと思ってしまいます。

  • 高い頻度で朝日新聞社や共同通信社の話題を取り上げていただきありがとうございます。

    以前紹介させていただいた松浦さんのコラムで、記者は自分が書きたいことを相手に言わせる。手段は問わない。嘘でなければ良い。というような内容を記者の心構えとして挙げていました。
    https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00562/031500037/

    既に最低な心構えですが、本件、それすら下回っているように思います。

    確信犯なのか、究極のすっとぼけなのか、ぶっ飛んだ社長メッセージを会社案内に載せる共同通信社。
    https://www.kyodonews.jp/company/

    それに比べると面白みに欠けるが、工作員の矜持を述べたメッセージなのか人の考えを変えることを求人ページで第一義に謳う朝日新聞社。
    https://www.asahishimbun-saiyou.com/

    どちらも社会システムに混入したバグ或いは有害菌の類に思えます。
    今後もその存在が許容されるほど世の中甘くないと思いたいです。

  • >中立的な第三者を装いつつ世論や関係者の理解と合意形成を自ら困難に導き問題を深刻にさせておきながら、それら理解と合意形成の困難そのものを新たな記事や社会問題にすることで更なる利益を得ようとするマスメディア・学者・活動家などによるマッチポンプ・クレイム

    これって極左の工作員そのものですやん。公安も警告したほうがよいのでは。

    • これも、メディアの役割が「権力の監視」であることを前提にした記事。後進国や独裁国家を引き合いに出しているが、事情が全く違う日本に対して「メディアが弱体化して民主主義が揺らげば、日本の国力はさらに低下する」と、意味不明な主張をしている。

      https://courrier.jp/news/archives/368305/

  • どなたも突っ込んでくださらない。では当方がぼけかまし役を続けましょう。
    「マスゴミ」と「ネチネチ」。ついに「ネオネチ」「ネオネチネチ」という造語を生み出してしまう。

    • ネチネチ言いたくなくても、言わざるを得ない人はたくさんいると思います。
      「どっちもどっち」の姿勢が残した社会問題はたくさんある気がします。
      どちらが先に仕掛けたのかは大事なことだと思います。

    • 「ネオネチ」なる単語を創造したのは、気に入らない相手全部を極左とかネオナチと呼びそうな勢力に先手を打つためです。

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