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トンデモさん大歓迎(ただしエビデンスで殴られます)

証明されていない言説を、さも事実であるかのごとく主張する――。こんな人たちを、「トンデモさん」などと呼ぶことがあります。彼らの共通点は、「説明」と「証明」の区別がついていないことにあります。ちょっと考えたらおかしいとわかりそうなことをまことしやかに主張するのは、心霊、UFO、超常現象、超能力、ユダヤの陰謀論などによく見られるものですが、それだけではありません。最近だと北朝鮮やロシアへの経済制裁に関しても、こうした「トンデモ論」の心理を使って説明できるのではないかと思える事例が出て来ています。

証明≠説明

「説明と証明はまったく違う」――。

著者自身、大学生時代に嵌った書籍のひとつに、『トンデモ本の世界』、あるいは「と学会」シリーズがあります。

ご存じの方も多いと思いますが、この「トンデモ本」とは「著者の意図とは異なる視点から楽しむことができる本」のことで、多くの場合は疑似科学(心霊、UFO、超常現象、超能力、ユダヤの陰謀論など)に関する書籍が「トンデモ本」とされています。

とりわけ「と学会」の元会長でSF作家でもあり、今年3月に68歳で逝去された山本弘さんが執筆されたいくつかの稿は、個人的には何度も何度も読み返した記憶があり、また、学生時代に山本論考で鍛えた論理的思考能力は、その後のビジネス人生においても大いに役立ったと思います。

それはともかく、著者自身の理解に基づけば、「トンデモ本」の多くは、「証拠がない説を飛躍した論理で主張する」というものです(「と学会」的には、「トンデモ本大賞」の授与対象にノミネートされるためには、「笑えたり楽しんだりできること」、という要件もあるようですが…)。

事実と意見をつなぐ「科学」

客観的事実と主観的意見の峻別を!

ただ、この「確たる証拠もなしに、何かを主張すること」は、べつに疑似科学などの世界に限られるものではありません。

新聞やテレビに代表されるマスコミ・マスメディア、財務省に代表される官僚機構、立憲民主党に代表される特定野党などがその典型理ですが、「ちゃんとした証拠」もなしにとんでもない言説を唱えたり、ときとしてそれらの言説に基づきとんでもない政策をゴリ押ししたりすることがあるのです。

「国の借金」論、すなわち「日本には国の借金がたくさんあるから、今すぐ財政再建しなければ日本は財政破綻してしまう」、といった言説などは、その典型例でしょう(ただし、この「国の借金」論については『【総論】「国の借金」説は、どこがどう誤っているのか』などで詳しく論じていますので、本稿では割愛します)。

この点、当ウェブサイトを長らくご愛読くださっている皆さまならばご存じかと思いますが、当ウェブサイトでは常々、「客観的な事実」と「主観的な意見・分析」については分けなければならない、と主張してきましたし、可能な限り、両者を分けて来たつもりです(※それが常にできていたかどうかは別問題ですが…)。

その趣旨も、つまるところ、「その主張に証拠があるかどうか」、あるいは「その事実をどう解釈するか」、という、議論としての当然の流れを尊重することにあります。

下手な図で恐縮ですが、世の中の議論には、多くの場合、次のような流れがあります。

  • 「(A)客観的な事実」→(科学的推論)→「(B)その事実をどう解釈するかに関する意見・分析」
  • 「(B)科学的に導き出してきた、何らかの意見・分析」←「(A)それを裏付ける客観的な証拠」

この両者は、表裏一体の関係にあります。

新聞部数を例にとって考察してみると…?

そして、「客観的な事実」には、「誰がいつどこで何をした」といった「出来事」だけでなく、「数値」(統計数値や会計数値など)も含まれます。

たとえば、「一般社団法人日本新聞協会が発表する統計によれば、日本で発行されている新聞の部数は、1996年の7271万部から、2023年には3305万部にまで減った」(図表1)とするデータは、ひとつの「客観的事実」でしょう。

図表1 新聞部数の推移

(【出所】一般社団法人日本新聞協会データ【1999年以前に関しては『日本新聞年鑑2024年』、2000年以降に関しては『新聞の発行部数と世帯数の推移』】をもとに作成。なお、「合計部数」は朝夕刊セット部数を1部ではなく2部とカウントすることで求めている。「合計部数」の考え方は以下同じ)

このグラフでもわかるとおり、日本新聞協会のデータは、日本で発行されている新聞の部数が年々減っていることを示しています。

ただ、ここで重要なのは、先ほどの、「客観的事実」から始まる、「その事実をどう解釈するかに関する意見や分析」の部分でしょう。

「(A)客観的な事実」→(科学的推論)→「(B)その事実をどう解釈するかに関する意見・分析」

ここで、「2023年の新聞部数が1996年のそれと比べて半分以下に減った」、というのは、あくまでも単なる「客観的事実」です。

そして、日本は自由・民主主義国ですので、この客観的事実にどういう解釈を与えるかについては、その論者の自由ですし、もっと言えば、この「客観的事実」をどう解釈するかが、その論者の力量でもあります。

これについてはたとえば、「部数が減った理由は一時的なもの」であり、「やがて部数は再び上向く」、などと結論付ける人もいるかもしれません。

実際、「新聞の強みはあらゆる分野の情報が網羅されており、ひとつひとつの記事が複数の目による厳しいチェックを経て世に出ている、信頼性の高いメディアであることだ」、などと考える人もいるようです(『「信頼性高いメディア・新聞を教育に活用せよ」=業界』等参照)。

逆のアプローチも成り立つ

ただ、それとは逆に、この「新聞部数が激減している」という事実を、「新聞業界が終焉を迎えている証拠」のひとつに位置付ける論者もいます。

たとえば、こんな具合です。

新聞は記者クラブ特権や再販価格制度、資本規制など、長年にわたるさまざまな特権で甘やかされ、市場競争力を完全に失っていたところ、ネットの普及でその報道のデタラメぶり、情報のクオリティの低さが一般国民の目から見て明らかになった。だから新聞部数が激減しているのだ」。

これに関しては、先ほど示した、こんな関係を思い出しておく必要もあります。

「(B)科学的に導き出してきた、何らかの意見・分析」←「(A)それを裏付ける客観的な証拠」

つまり、「(A)新聞部数の激減」という現象は、「(B)新聞業界の終焉が近い」という仮説を導くもととなっている事実のひとつであるとともに、「(B)新聞業界の終焉が近い」とする仮説自体の証拠としても機能している、という相互関係です。

この「新聞部数激減」と「新聞業界終焉」の関係は、客観的事実と主観的意見の関係の一例ですが、世の中のさまざまな情報は、意外とこの「主観的意見」と「客観的事実」の関係があいまいにされているケースが多いことに注意しなければなりません。

とりわけ、「新聞を読んでいたら頭が悪くなる」、などと指摘した人物のひとりは麻生太郎総理大臣だったと個人的に記憶していますが、日本の新聞は、客観的事実を示さずに主観的意見ばかりを押し付けてくる傾向にあります(敢えて「どこの社」だとはとは申しませんが)。

科学的推論の大切さ

そして、もうひとつ重要なポイントが、「科学的推論」です。

ここで、「科学」と聞くと、多くの人は、物理学だの、化学だの、数学だのといった理系の学問を思い出すかもしれませんが、べつに理系の学問に限られるものではありません。たとえば経済学であったり、金融工学であったり、法学であったり、と、いわゆる「文系」の学問も、立派な科学です。

この点、一部の人は、金融や経済は「人間が行うこと」であり、「心理に流される」ものであるため、「科学ではない」、などとうそぶいているようですが(転記していて思わず苦笑いしてしまいます)、本当に物事を知らない人というのは、こういうことを平気で言い放ってしまうのでしょう。

おそらくこの人物は、経済学のなかに、「経済原理と人間の心理をもとにした学問」としての「行動経済学」ものがある、といった事実も知らなければ、金融の実務において導関数や積分などが用いられているという事実もご存じないのだと思います。

もちろん、くどいようですが、日本では(よっぽど反社会的なものを除けば)どんな意見でも自由に表明できますので、「経済学は科学じゃない」、「金融論は科学じゃない」、「会計学は科学じゃない」、などと主張することも自由です。

ですが、最低限の知識も持たずにそのような主張をすることは、その人自身が「私は勉強していませんよ~!」と世間に向かって大声でアピールしているのと同じですので、ちょっとくらいは「恥ずかしい」という気持ちを持っておいた方が良いのではないか、などと思う次第です。

さて、「トンデモさん」(あるいは日本の多くの新聞記者らもそうでしょうか?)に共通しているのは、客観的な根拠のない主張を好む、という傾向であるとともに、客観的事実を無視したり、それらの事実関係を、科学的なプロセスによらないで証拠として採用したりする、ということではないでしょうか。

こうしたなかで、ひとつ、注意点があるとしたら、とりわけ政治経済評論の場合、客観的なデータが容易に取得できる場合と、そうでない場合がある、という点です。

たとえば、私たち日本人が暮らしているこの日本社会を含め、多くの先進国では、GDP統計、物価統計、失業率統計、求人統計、資金循環統計、国際与信統計、はたまた株価データ、債券市場における金利データ、外為市場における為替レート、といった具合に、さまざまな統計が備わっています。

(※余談ですが、日本のメディアがこれらの基礎統計を無視して経済を論じたり、「悪い円安」論を展開したりするのは、日本のメディアがいかに科学を軽視しているかという証拠でもあります。)

客観的データが手に入らないケースもある

しかし、ここでひとつ、困った問題が生じます。

日本経済について論じるならば、それらの豊富なデータを経済学の知見に照らしながら使えば良いわけですが、相手が日本以外の国――とりわけ、経済統計すら怪しげな国――の場合だと、必ずしも「客観的な」データを使って議論できるとは限りません。

また、偶然、何らかのデータが手に入ったとしても、それらのデータに万全の信頼を置くことができるとも限らないのです。

たとえば、以前から当ウェブサイトでは、「北朝鮮に対する経済制裁」を話題として取り上げることがあります。

これについては、当ウェブサイトには「北朝鮮経済の窮状をもっとあげつらうように、いかに北朝鮮が経済制裁で疲弊しているかを強調してほしい」、といったリクエストも、ごくまれにはいただくのですが、残念ながら、それはできない相談です。

なぜなら、そもそも北朝鮮は、日本やその他西側諸国などと同じようなレベルでの統計データを公開していないからです(というよりも、おそらく統計すらまともに取っていないと思われます)。

いちおう、『アジアプレス・ネットワーク』というウェブサイトを見れば、『<北朝鮮>市場最新物価情報』という、同サイトが非公式に調査している北朝鮮の物価に関するデータなどを参照することはできます。このデータに全幅の信頼を置けるかどうかはともかく、データとしては存在している、というわけです。

これに加えて国際決済銀行(BIS)が作成している『国際与信統計』では、「BIS報告国(最大31ヵ国・地域)の銀行からの北朝鮮向けの国際与信」の金額については、限定的ながら、その金額を知ることができます(たとえば2023年12月末時点のものについては、図表2のとおり)。

図表2 所在地ベース・債権【債権国側】(債務国:北朝鮮・2023年12月末時点)
債権国 債権額 構成割合
1位:ブラジル 2548万ドル 52.67%
2位:メキシコ 462万ドル 9.56%
3位:イタリア 392万ドル 8.11%
4位:豪州 334万ドル 6.91%
5位:フランス 100万ドル 2.07%
その他 1001万ドル 20.69%
報告国合計 4837万ドル 100.00%

(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)

しかしながら、基本的に北朝鮮に関しては、手に入るデータは非常に限定的であり、したがって、当ウェブサイトでもこれまでに報告してきたとおり、北朝鮮に対する経済制裁については(おそらく北朝鮮経済にかなりの打撃を与えていることは間違いないにせよ)その正確なインパクトを測定することは困難です。

データがなければないなりに推論もできる

ただし、ここで思い出していただきたいのが、先ほどのこんな関係図です。

  • 「(A)客観的な事実」→(科学的推論)→「(B)その事実をどう解釈するかに関する意見・分析」
  • 「(B)科学的に導き出してきた、何らかの意見・分析」←「(A)それを裏付ける客観的な証拠」

ここで「経済制裁は北朝鮮経済に(何らかの)悪影響を与えている」とするのは、ここでいう「(B)主観的な意見」であり、ここでは「(A)それを裏付ける客観的な証拠」の決定打を欠いた状態です。

もちろん、北朝鮮経済の窮状を示す客観的な情報ないし状況証拠はいくつもあります。

たとえば「脱北者」によるさまざまな象限に加え、国内経済のデータをまともに出すことすらできないという事実も、その「状況証拠」のひとつといえるかもしれません。さらには、夜間の航空写真で北朝鮮の領域だけ真っ暗であるという事実も、北朝鮮経済の惨状の状況証拠です。

しかし、それと同時にこれらは「数字」とは言い難いものですし、ましてや「北朝鮮の経済や国家体制が崩壊していること」を示す「決定的な証拠」、とまではいえません。

現実問題として、北朝鮮の民間人の生活は、おそらくはかなり悲惨な状態になっているであろうとする「推察」は働くのですが、北朝鮮の全人口の正確な飢餓状況であったり、北朝鮮における貨幣の流通状況であったり、といったデータは、なかなか得られません。

もちろん、北朝鮮経済が実質崩壊状態にあるという可能性は非常に高いと思われる反面、それを「数値で裏付ける」ということがなかなか難しい、という点については、注意が必要でしょう。

北朝鮮やロシアの事例

北朝鮮経済に関する考察の事例

ただ、上記の議論で気を付けなければならないことは、「北朝鮮の経済が困窮していることを示す数値的な裏付け」が乏しいからといって、「北朝鮮経済は健全だ」、「西側諸国の経済制裁はなにも機能していない」、とする主張が正しいことの裏付けにはなっていない、という点です。

じつは、ここで「説明は証明にならない」、という、故・山本弘氏の「トンデモ本」を通じた教えが生きて来るのです。

ときどき、「北朝鮮に対する経済制裁は効いていない」として、たとえば上記で挙げたアジアプレス・ネットワークの北朝鮮物価データなどを持ち出してくる人もいるのですが、ここで勘違いしてはならないのは、「北朝鮮の物価が安定している」からといって、「北朝鮮に制裁が効いていない」ことにはならない、という点でしょう。

いちおう、目に見えている状況証拠からは、北朝鮮がかなりの窮状にあることは間違いないと考えられる一方で、北朝鮮の物価が(見た目には)安定しているようにも思えるため、「北朝鮮制裁は効いていない」、「北朝鮮経済は崩壊していない」という主張が出て来る余地があるのです。

ただ、それにしても、(アジアプレス・ネットワークの調査が正しければ)「物価が安定している(ように見える)」のはあくまでも「客観的事実」のひとつであって、それに対する説明は、ほかにもいくらでも成り立ちます。

たとえば、北朝鮮の物価が安定しているのは「物資が十分に流通しているからだ」、というのもひとつの「説明」ですし、それとは逆に、「北朝鮮で紙幣が足りていないからだ」、というのもひとつの「説明」です。

経済学の鉄則ですが、物価とは「モノの値段を貨幣的価値で示したもの」ですが、言い換えれば、「貨幣の値段をモノの価値で表現したもの」でもあります。

そして物価とは、数学的に見れば、「おカネを持っている人とモノを持っている人が、お互いの持ち物を交換するときのレート」であり、需給曲線の原理に従い、おカネを持っている人が少なければ、おカネの希少価値が上がる(つまり物価が下がる)という貨幣現象が生じるのです。

北朝鮮では2010年頃にデノミネーションが実施され、それまでの通貨(紙幣など)が回収されてしまった(あるいは無価値になった)ため、一部では恒常的な紙幣不足が生じているという可能性が指摘されていますが、北朝鮮の物価安定の正体は「紙幣不足」、という可能性があるのです。

もしそうだとすれば、「北朝鮮の物価が安定している」のは「北朝鮮経済が崩壊していない証拠」ではなく、むしろ「健全な貨幣経済がすでに機能していない証拠」だ、という言い方ができるのではないでしょうか。

もちろん、ここでいう「北朝鮮の紙幣不足」は、北朝鮮経済の現状を「説明」する方便のひとつに過ぎず、それを「証明」することは困難です。というのも、北朝鮮の中央銀行はマネタリーベースなどに関する統計を発表していないからです。

ただ、この北朝鮮の物価事情については、「説明と証明は別物だ」という点がよくわかる事例のひとつではないでしょうか。

すなわち、「物価が安定している(ようだ)」、という客観的事実からは、「北朝鮮経済は崩壊していない」という仮説だけでなく、「単純に北朝鮮では貨幣経済が機能していない」という仮説も導き出せるわけですので、やはり北朝鮮経済が崩壊していないと主張するならば、その証拠がもう少しほしいところです。

「BRICS域内取引の8割が自国通貨建て」

こうしたなか、陰謀論者(あるいは「トンデモさん」)が手を出すのは、たいていの場合、プロパガンダ系の動画であったり、出所不詳の情報源だったりします。

当ウェブサイトでは、「客観的な事実」(ないしデータ)については、最終的な出所(一次ソース)が明らかなものであることを望ましいと考えているのですが、この肝心の「一次ソース自体が怪しい」、あるいは「ミスリーディングである」、といった事例もあるので注意が必要です。

こうした観点から興味深い情報のひとつがあるとしたら、それは、これかもしれません。

BRICSの決済の80%以上が自国通貨=露下院副議長

―――2024年6月7日 01:21付 SPUTNIK日本より

読者コメント欄を何となく眺めていたら出ていた話題ですが、こんな趣旨の内容が記載されています。

現在、BRICS加盟国の決済の80%以上は自国通貨で行われている」(!)。

これについては該当するX(旧ツイッター)のポストについても紹介しておきましょう。

「BRICS」とはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5ヵ国を指す用語で、もともとはゴールドマン・サックスのアナリストだったジム・オニール氏の造語です。

地理的にまったくかけ離れていて、人口規模も1人あたりGDP規模も経済成長率もインフレ率も宗教も言語もまったく異なるこの5ヵ国を一緒くたに扱っている時点で意味がよくわかりませんが、当の「BRICS」諸国は何の疑問もなく、この「BRICS」連携を模索しているというから興味深いところです。

そして、この「BRICS諸国同士の貿易の80%が自国通貨建てで行われていた」というのは、なかなかに重要な情報です。私たち日本人が知らないところで、BRICS諸国同士の連携がそこまで進んでいたというのは、正直、まったく気づかない論点でした。

それが事実ならば、自身の不明を恥じたいところです(調べてみると、『スプートニク』の英語版に加え、それ以外のいくつかのメディアでも、ロシア下院のアレクサンドル・ジューコフ副議長の発言として、同様の内容が書かれているようです)。

統計データとは猛烈に矛盾する

ただ、冷静に考えると、これもおかしな話です。

「BRICS加盟国の決済の80%は自国通貨で」、という表現、非常に言葉足らずで不正確ですが、これを「BRICSを構成する5ヵ国の間の相互貿易については、米ドルなどの域外通貨ではなく、これら5つの国のいずれかの通貨が用いられている」という意味だとすれば、やはり不自然なのです。

もしそうであるならば、人民元、ロシアルーブル、ブラジルレアル、インドルピー、南アフリカランドの5つの通貨について、たとえば外貨準備の通貨別統計や債務証券統計、国際与信統計、さらにはSWIFT『RMBトラッカー』ランキングなどに、これら5つが出てこなければおかしいはずです。

しかし、現時点でこれら5通貨のうち、すべての統計に出てくるのは人民元くらいなもので、しかも人民元は日本円や英ポンドなどと比べ、分野によっては勝っているものの、分野によってはそれこそ「足元にも及ばない」レベルです。

とりわけSWIFTのランキングに関していえば、インドルピーとブラジルレアルの2通貨は、過去に1度もランキングに登場したことがありません(インドの場合は資本規制が強いため、ルピー自体が国際決済に不向きである、という事情も関係しています)。

また、ルーブルがランキングから消えた理由は、ロシアの銀行がSWIFTから排除されるという制裁を受けたからだと考えられますが、ランドに関しては準先進国通貨の扱いでSWIFTランキングでは細々と登場し続けているものの、その決済シェアが近年上昇しているという事実はありません。

というよりも、『人民元国際送金シェア増加も「基軸通貨化」には至らず』でも引用したSWIFTデータによれば、国際的な決済における米ドルの使用割合は下がるどころか、むしろ昨年7月以降、顕著に伸びています(図表3)。

図表3 国際送金における米ドル(USD)のシェア

(【出所】SWIFTの『RMBトラッカー』の過去レポートに掲載された国際送金ランキングデータををもとに作成)

米ドルの決済シェアは、ユーロ圏を込みにしたデータで46~47%程度で推移している一方、ユーロ圏を除外したデータだと、じつに60%近くに跳ね上がるのです。

もしも「BRICS相互間の貿易決済の80%が自国通貨で行われている」のであれば、とくにユーロ圏除外データにおいて、米ドルの決済通貨としての割合が60%を超えているというのは、極めて不自然です。

GDPの規模が大きな中国とインドの両国において、貿易の80%が人民元ないしルピーで行われているのだとしたら、そもそもSWIFTランキングでも、IMF統計でも、BIS統計でも、インドルピーが出てこないことの整合性も取れませんし、人民元のランキングも低すぎます。

果たして、この「BRICS加盟国の決済の80%以上は自国通貨で行われている」とする情報は、正しいのでしょうか。

南アフリカメディアにも報道を発見

これについて、「BRICSの域内貿易の80%が自国通貨だ」とする趣旨の英語版の記事を『スプートニク』以外で探ってみたのですが、その結果、南アフリカのメディア『DFA』が12日付で配信した、こんな記事を発見しました。

BRICS starts off on payment system toward common currency target

―――2024/06/12付 DFAより

記事には、「BRICS相互間の貿易における決済の80%を加盟国の通貨で行う」とする趣旨の記述が出て来ます。記事冒頭には、こうあります。

“The rapidly expanding Brazil, Russia, India, China, South Africa (BRICS) bloc is starting its quest for a common currency with a strategy to make 80% of all trade amongst members in local currencies”.

こちらの記事だと、英語をよく読んでいただければわかりますが、これは「BRICS相互間における貿易決済のうちの80%を相互の通貨により行うことを目標にする」、という意味であって、「現在、すでにそうなっている」、という意味ではありません。

しかもDFAの記事を信頼するならば、この「80%」とは、BRICS相互間で合意された目標ではありません。

あくまでもサンクトペテルブルクで開かれた「国際経済フォーラム」(SPIEF)のサイドラインで開催された、「世界の新たな秩序模索におけるBRICSの役割」と題したディスカッションで、ロシア下院副議長がそれを一方的に発表しただけの代物だ、と読めます。

こちらのDFAの記事が正しいのか、それともスプートニクの記事が正しいのかについては、読者の皆様のご判断に委ねたいとは思います。

しかし、「BRICS域内の貿易の決済の8割が域内通貨でなされている」、とする点に関して、それがいかに不自然であるかに関しては、改めて繰り返すまでもありません。

「8割」を勘違いした可能性も?

これに加えてこの「8割」を巡っては、また違う情報源もあります。

中国共産党の機関紙とされている『環球時報』の英語版『グローバルタイムズ』が昨年配信した記事によれば、ウラジミル・プーチン容疑者自身が「中露間の貿易の80%はルーブルか人民元で決済がなされている」と述べた、と報じられています。

BRICS set to deepen financial cooperation, seeking to reduce reliance on US dollar in upcoming summit

―――2023/08/21 09:26付 グローバルタイムズより

これならば、まだ話はわかります。

ロシアは西側諸国の通貨の利用網から排除されてしまっているため、やむなく、中国との取引ではルーブルか人民元、インドとの取引ではルーブルかルピー(か人民元)を使わざるを得ない状況にあると考えられますが、それはあくまでもロシアが当事者となる取引の話です。

つまり、ジューコフ下院副議長の「8割が自国通貨建て」発言は、「BRICS」ではなく、「中露間の取引」に限定された話であり、それをジューコフ氏自身がBRICS全体の話だと勘違いした、という可能性もあるのです。

だいいち、もしも中国とインドの両国での取引の8割が自国通貨建てになれば、それだけで統計データ(とくに債務証券統計、外貨準備統計、SWIFTランキング)に大きな影響が生じます。

そうなっていない時点で、先ほどの「BRICS相互間の貿易の8割が自国通貨」云々の記述はデタラメだ、という可能性が極めて濃厚なのです。

環球時報はまた、5ヵ国が2015年に共同で設立した開発銀行が現地通貨建ての与信比率を現在の22%から2026年には30%に引き上げる目標を掲げた、などとしていますが、これもこれら5ヵ国の通貨の使い勝手が悪いことの証左でしょう。

なぜBRICS共通通貨は実現しないのか

ちなみに余談ですが、「BRICS通貨の国際通用力を高める」、あるいは「BRICS共通通貨を創設する」、といった考え方を巡っては、中東メディアのアルジャジーラが昨年8月に、「ハードルは非常に高い」とする記事を掲載しています。

Can BRICS dethrone the US dollar? It’ll be an uphill climb, experts say

―――2023/08/24付 ALJAZEERAより

なぜBRICS各国の通貨の通用度を高めるのが難しいのか、あるいはBRICS共通通貨の創設がいかに難しいかについて、(ところどころ間違いはありますが)非常にわかりやすく記載されている記事です。

そのなかでもとりわけ重要な指摘は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のShirley Ze Yu(「シャーリー・ツー・ユー」、とでも読むのでしょうか?)教授の、こんな趣旨の発言です。

“Creating the BRICS currency will require a set of institutions; Institutional creation requires a common set of standards and underpinning values. These are very difficult to achieve, although not impossible.”

つまり、BRICSが共通通貨を作ろうと思えば、まずは通貨を発行する機関(中央銀行)が必要であり、その前提として共通の基準の土台となる「共通の価値」が必要とる、という指摘です。Yu教授は “although not impossible” 、すなわち「不可能ではないが」と述べていますが、ぶっちゃけ、不可能です。

結論的には現時点において、国際商取引における米ドルの使用は不可避である、とするのが記事の結論ですが、現実のデータ(決済データ、外貨準備データ、債券発行残高データ、国際与信データなど)も「米ドルなしでは世界経済は廻らない」という状況を示唆しています。

それに、政治経済を論じるうえでの最低限の知識があれば、「BRICSの貿易決済の8割が域内通貨でなされている」などとする情報を目撃したら、たいていの場合は「おかしい」と気づくでしょうし、それに気づかないどころか真偽も確かめずに使ってしまうというのは、相当に恥ずかしい話といえるかもしれません。

いずれにせよ、「説明」と「証明」は別物です。「北朝鮮(ロシア)に対する経済制裁は北朝鮮(ロシア)経済に打撃を与えていない」、などとする主張は、単なる「説明」であって、多くの場合は「証明」を伴っていないのです。

トンデモさん大歓迎(ただしエビデンスで殴られます)

もっとも、この手の「トンデモさん」は社会から排除すべきなのかといえば、そういうわけでもありません。

巧妙なウソならばともかく、この手の「BRICS域内取引の8割が自国通貨だ」、「経済や金融は科学ではない」といった言説は、あまりにも強烈過ぎ、圧倒的多数の人が「ウソではないか」と疑ってしまうというレベルの代物ではあります。

ただ、それでもこの手の言説を自由にさせておくべきではない、といった指摘があることも事実でしょう。

しかし、病原菌を一切排除した無菌培養の環境で子育てができないのと同様、私たちの社会には、多少の不純物があっても良いと思います。

ただでさえインターネット上には虚偽ないし曲解された言説が飛び交っているわけですから、それらのなかで真贋を見極める力を養うためには、この手のレベルが低いトンデモ説のたぐいをたまに眺めることも必要です。改めて正しい考察の重要性を再認識することができるからです。

いずれにせよ、少なくとも当ウェブサイトは「コメントのレベルが低い」というだけの理由でコメントを排除するつもりはありませんので、陰謀論者の皆さまも安心して妙な陰謀論を書き込んでいただくことができるというプラットフォームであり続けたいと思います。

(※もっとも、生半可な陰謀論を書き込んだところで、大量のエビデンスで殴られるのが関の山だとは思いますが…。)

新宿会計士:

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  • 経済学や金融論は科学じゃない,とはいいませんが,適切な数学・統計学モデルを作るのがとても難しいですね。株価変動モデルだけでも十分難しい。正確なモデルが作れれば儲かるはず。会計学は,いつも予算・決算書類を眺めているのに素人です。公認会計士の方に説明してもらっています。すいません。
    客観的データが手に入らないのも困ったものです。中国・ロシアの統計に限らず,日本の金融機関でも同じ。今朝,農林中央金庫の債権含み損のニュースを聞いて「やっぱり」とは思ったものの,他の金融機関の状況は全然伝わってきません。
    北朝鮮とロシアの話題は,今日は別のところに注目すべきでしょう。現状は,中国よりロシアからの物資で北朝鮮経済が何とか回っているらしいですね。
    北朝鮮の物価については,お金だけでは買えないものが多い(配給券やコネ・特権など別のものも必用)という前提で議論すべきでしょう。

    • >経済学や金融論は科学じゃない,

      これを書く前に、「科学」とは何か?を先ず、理解、又は、定義しなくてはなりませんね。
      その人が利口かどうかは、言葉をどう理解し扱えるか、です。
      「科学」って何ですか?
      科学という言葉は、主に2つの意味で使われているのではないかと思います。
      1.科学的な事実=因果関係=再現性のある現象のこと。
      2.科学的な方法論のこと。科学的な方法論とは、仮説検証のやり方のこと。仮説検証の目的は、法則性=再現性を探究すること。仮説検証の仕方はいろいろありますが、ここでは割愛します。

      2による一連の思考の仕方や思考姿勢のことを学問=科学と言います。つまり、学門とは、法則性を探究する思考姿勢のことを言いますが、これは、法則が見つからないから、学問=科学ではないということではありません。
      仮説を見つけ、それを客観的な方法で検証しようとする思考姿勢が、科学=学問なのです。

      ですから、人間が仮説と検証で探究する学問は、全て科学です。

      科学=学問分野には、自然科学、社会科学、人文科学の3つの分野があります。
      文学も科学です。
      恋愛も単なる好きだ、位の認識しかないレベルでは科学ではありませんが、恋愛論、恋愛とは何か?人は何故恋愛をするのかしたがるのか?などと、仮説検証を始めれば、学問になります。
      つまり、この世に学問のネタは沢山ありますし、「人間は探究したがる動物、つまり、科学=学問したがる動物」と言えます。

      ここ迄来れば、オタクと研究者の違いが分かりますし、オタクは、何故、特有のオタク顔になるのかも分かります。

    • >会計学は,いつも予算・決算書類を眺めているのに素人です。

      現在行われている会計の仕方が、会計「学」という程の学問領域に達しているかについては、個人的には、?、です。
      単に、データの纏め方のルールの域から出ていないのでは?と感じます。
      この領域に、AIを適用出来る方法を見つければ、学、になるかもしれませんが。
      名だたる会計事務所がありながら、何故、エンロンやGEの粉飾決算を見抜けなかったのか?
      これ、多分、会計AIがあれば、ホントに直ぐに見破ったと思います。
      また、会計AIがあれば、企業の事業予測もかなり精度が上がると思われます。何しろ、単にデータだけでなく、事業方針や投資分野の分析などを膨大なアナログデータも含めてやってくれるのではないかと思うからです。
      そうすれば、シャープの大型LEDへの愚かとも言える偏った投資や、多くの企業が行うM&Aの失敗もかなり防げるし、有効なM&Aも見つけ易くなるのではと思います。

      • 会計は、思想や価値観によって判断が変わります。
        会計にどのような思想や価値観を採用するかで違った決算書が出来上がります。
        アングロ・サクソン的価値観が反映された国際会計基準は日本人の感覚とは相容れないところもあるようですが、時代と共に修正されて行くものではないでしょうか?

        • レスありがとうございます。

          日本の会計基準の方が、ご都合主義のような気がします。
          まあ、どうでもいいですが、どんなデータや結論を見るのにも、これは、どんな基準で纏められ、どんな基準や考え方・見方で、結論付けされているかを、自分で判断しなくちゃならないということですね。

  • 科学は人を説得、納得させる道具ではありません
    科学は未来を確定的に予想しません

    科学的な考え方を使って実践をすれば、無駄な努力をする可能性が若干減る。失敗した時の原因究明が若干しやすくなる。その程度のものなのです。

    実践しない、知識だけの人にとって科学かエセ科学かなんてどうでも良い話なんです。自分に心地良い結論さえ出てれば良いんです。

    ただ、1つめんどくさい話があって、民主主義ってのは、そんなエセ科学で心地良い結論によった人の意見も一票とカウントして多数決で政治が動くということです。下手すれば妄想でもって政治が決まってしまう。

    とするとある程度他人を説得する作業が必要になる。

    他人を説得するのに何が有効か。科学で説得される人もいますが、これは少数派かもなと思ってます。あくまでも聞き心地のよい、自分のことをちゃんとわかってくれてる(ように聞こえる)論説なのかなと。

    そういう意味で、旧民主党や朝日新聞やらはうまくやってたorやってるなと思いますよ。

  • 『誰がケインズを殺したか?』という本では、経済学を
    ソフトサイエンス
    という呼び方をしてましたね。

    科学(サイエンス)として成立するミニマム要件は再現性ですが、それが無いから。

    これは似非科学だという意味ではなくて、完全に同じ条件を準備することができないから、という意味です。

    なんらかの法則性はあるように思われます。
    ただ、ひたすら長い連立方程式の彼方。
    変数より観測項目が少なすぎて、仮説だらけで前に進めないのが現状、でしょうか。

    物価も、エエ加減なもんです。
    戦時中も公定価格は安定してましたよ。
    モノ(供給)が無いだけで。(笑)
    闇市のデータがない統計は無意味。
    北朝鮮の統計は、どうなんでしょうかね。

  • 昔、昔のことじゃった。新聞業界に「新聞はネットに駆逐される」と言ったトンデモさんがいました。彼は嘘つきとして、業界から追放されました。めでたしめでたし。

  • sputnik引用は論外として。(笑)
    「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」ってなんやろ、と。

    サンクトペテルブルク国際経済フォーラム開催、プーチン大統領はロシア経済の力強さ強調
    JETRO: https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/06/112345a8f95827ea.html

    大統領出席の商談の場というか「ロシア経済大丈夫」宣伝イベントですかね。
    そんな場で、ロシアの第一副議長が「BRICS加盟国の決済の80%以上は自国通貨」と語った。
    仮にそれが間違っていたとしても、誰にも迷惑もかからないし、誰も責任を問わないし、仮に問われても無視すりゃいいし(プーチンから怒られれば別だけど)。
    そもそもロシア経済を対外的によく見せることで利益を得る「利害関係者」の発言なのだから、よほど客観的な根拠が添えられてなければ信頼はできないですね。

    クルーグマンのような経済専門で食ってる人がウソを言えば世の信頼を失いますんで、信憑性もあろうというものですが。

    • sputnikの引用はなぜ駄目なのでしょうか。
      日本で言うところの日刊SPAとか元総理大臣ということでの鳩山由紀夫やゴルバチョフ氏のような信用力の言説というような理解で正しいでしょうか?

      • 別にダメではないですよ。私が禁止する立場にあるわけもなし。
        他人に対して説得力を持ち得るかという点で、「論外」と述べました。
        sputnikは捏造報道の実績も多いので信頼性が低いという背景もありますが、今回の引用には副議長の発言の他に補強する根拠情報もありません。
        「sputnikが信頼に足る情報源だ」という前提がなければできない引用方法だと思います。

        私がsputnikを引用するなら、他の情報との合わせ技で使うこともあるかなと思います。

        >日本で言うところの・・・
        これ以降はすみません、少し意味がわかりません。

        • ご回答ありがとうございます。
          sputnikというメディアの信用力の参考になりました。
          赤旗、聖教新聞と同等か、その辺りという評価に個人的に落ち着きました。もっとも内容次第でごさいますけれど。

        • それで言えば、sputnikはロシア政府系メディアの傘下企業でロシアの政策の対外広報がミッションとのことなので、人民日報、環球時報、Voice of America(VOA)とか、そんな感じでしょうか。
          政府の政策遂行に沿った報道をすると思います。

  • BRICS共通通貨、是非見てみたい。どんな騒動がおこるか。

    私の感想はアメリカを横目でみながら「この指と~まれ!」と言ったら金のない連中が(エチオピア。アルゼンチン)ぞろぞろ集まってきて、サウジアラビアはそれを見て「このままじゃたかられる、やばい」と思い加盟を躊躇してる。
    この状況に言い出しっぺの中国が閉口しているといった感じ。

    • 上手い、分かり易い説明ですね。

      ただ、これは何もこの件に関わらず、責任感も力も無く、何かいい事あるんじゃないかなと他力頼みの淡い期待感を持つ、烏合の衆の集まりでは定番の様相ですね。

    • なんか、AIIBの焼き直しの様にも見える構図ですね。

      アメリカは無理でも日本が引っ掛かってくれれば……と思ったけど、またもダメ。
      結局また「誰も肉を持ってこないバーベキューパーティ」。

      そもそも経済力的に脅威と言えるのは中国だけですし、その中国は
      いつ破裂するか分からない爆弾満載(西洋諸国や日本の比ではない)。
      こんな危ないパーティ、そりゃ参加したくありませんわ。

  •  20年程前に慰安婦問題の虚構を論拠を上げて指摘したら、女装趣味のパヨから「トンデモさん」の称号を戴きました。パヨにとって「トンデモ」とは「自分たちの考えに異を唱える連中」の意味らしく、例え事実であっても彼らの意向にそぐわないものは全てキワモノ扱いされてたみたいです。多分今も殆ど変わらないでしょうし、朝日新聞が実質降伏しても連中の本質は子々孫々変わる事はないでしょう。
     ところでブログ主さんの「トンデモさん大歓迎」の呼びかけに早速他のスレで食いついたトンデモさんがいたようです。この手の人種はマゾなんでしょうか。

    • クリント・イーストウッドの映画で
      『ガントレット』
      てのがありました。

      まさにあのラストシーンみたいに、アオキさん全方位から蜂の巣にされてますね。

      もう書くことないわ。(笑)

      フワッと総論を書かないで個別に具体的な各論を書けばよいのに、どうしてもぼくのかんがえたさいきょうのせんりゃくを語る全能感に抗えずに、カッコ付けてしまうみたいですね。

      すごい人だ。
      (ホメてませんが)
      普通はいじけてフェードアウトしちゃうから、できるだけ永く頑張ってほしいです。
      (応援はします)

    • いやー、意外と大勢の人々から反応がある状態がマンザラでもなさそうに見えますけど。(笑)

  • トンデモ論の見破り方について、持論を一つ。
    その昔、MMRというオカルト漫画がありましてね?
    これは、一つのテンプレートで出来ていました。

    「持論に都合のいい事実をピックアップする」
    「不明確な部分は、都合のいい推測で埋める」
    「都合のいい推測を集めて、前提としている結論が正の可能性が高いという」
    「ΩΩΩ<な、なんだってー!?」

    自分は、この漫画でトンデモ論の作り方と見破り方を学んだように思います。この手の論理の誤りを見破るのは、慣れれば簡単です。
    ハンロンの剃刀やオッカムの剃刀に従って、単純で変哲もない、汎用性の高い理屈で説明出来る理屈が無いかを考え、比較するだけです。
    他には、その論に都合の悪い事実が無いかを確認します。
    ただし簡単とは言いながら、誰だろうと実のところ認知バイアスに陥るとあっさりと嵌まるので、だからこそ注意が必要です。

    こういった例に対して、そんな事は無いと言う人もいるんでしょうけどね。
    例えば「〇〇は●●と癒着しているから、〇〇対して強行に出ず甘やかすんだ」という主張があったとします。
    その根拠が、過去の事例で●●に対する対応が温いものだったからというものだとします。
    「対応が温い」ということは過去の対応に対する意見になりますね。
    では、過去の対応が何故そうなったのか? これには、いくつか可能性は考えられるでしょう。
    ①●●と癒着していたから
    ②横着して楽な解決を選びたかったから
    ③●●の事をよく知らなかったから
    ④過去の問題に対し、経験が不足していたから
    ⑤時代情勢や常識的に、厳しく出来ない状態だったから

    可能性を5つ並べましたが、①②は「無能で十分説明されることに悪意を見出すな」というハンロンの剃刀から考えると可能性として低いものになります。よって、前述した「癒着している」説は、可能性として低い。陰謀論的なものだと判断出来るのです。
    こうして、登場人物を代数に変更してみて、入れた値によって信憑性が変わると思うなら、それは権威論法による錯誤に陥っている可能性を疑った方がいいと思います。
    特に、●●に対して厳しい内容について、軽く見ていたり無視している場合があるなら。

    また、こういう陰謀論に陥っている人は、適当に〇〇教とか腐敗〇〇とか、悪し様な呼称を批判相手に付けることで、より信念を強固にする傾向があるので。
    そういった呼称を使っている主張を見掛けたら、眉唾で見た方がいいと思っています。

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