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旭日旗騒動の正体は「韓国のアイデンティティの問題」

「日本からの独立」を象徴する祝祭日や記念日が、韓国には少なくとも4つはあるようです。そんな韓国で、日本の旭日旗を「戦犯旗」などと勝手に呼称する向きもありますが、そもそも「旭日旗=戦犯旗」は2011年に発生したウソであり、そのウソが原因で国際観艦式などで日韓関係がこじれるなどした、といった経緯もあります。その意味で旭日旗は「日韓関係の特殊性」ではなく「韓国の特殊性」の証拠です。そして、旭日旗を巡って6日、韓国でちょっとした騒動が生じたようです。

2024/06/10 22:37追記

誤植等がありましたので修正し再公開しております。なお、読者コメント等が消えてしまっていますが、原因につきましては調査中です。

「6月6日」は韓国の祝日

昨日、つまり6月6日は、日本でいえば「令和6年6月6日」、すなわち6が3つ並ぶ日として、一部のネット・ユーザーらの間では何となく注目されていた日だったようですが、それでも私たち日本人にとっては、特段の「特別な日」ではありませんでした。

しかし、この6月6日は、韓国では「顕忠日(けんちゅうび)」、すなわち「国家のために命をささげた人々を追慕する日」とされ、各種報道や韓国観光公社の説明などによると、ソウルの国立墓地で記念行事なども行われるのだそうです。

基本的に私たち日本人が外国の祝祭日にケチをつけるのも変な話ですし、記念日などもその国が独自に設定すれば良いだけの話です。したがって、韓国の皆さんが「日本からの独立」などをどう祝おうが、それは勝手になさればよいのではないでしょうか。

日本に関わる祝祭日・記念日が多い

ただ、ちょっと気になって調べてみると、韓国では、「日本からの独立」あるいは朝鮮戦争の戦死者などを追悼する独立記念日などが、かなりたくさんあるようです。

実際、韓国観光公社の『2024年度の祝祭日』というページでは12種類の祝祭日が列挙されているのですが(旧正月と秋夕がそれぞれ3日分であるため、祝日自体は振替休日を抜きにしてもトータルで16日です)建国あるいは国の文化などを記念するものが5つあります。

また、祝日ではありませんが、韓国には「慰安婦の日」というものもあるらしく、これを含めれば、少なくとも「日本」が直接・間接に関わる祝祭日・記念日は4つ以上存在する計算です。ほかにも「韓民族の優秀性」や古朝鮮の建国を祝う記念日も含めれば、もう少し増えます。

韓国観光公社や日本の「市民(?)団体」などの説明をもとに、個人的に気になった「記念日」を列挙しておくと、こんな具合です。

  • 3月1日…三一節(1919年3月1日に韓国が独立宣言文を通して全世界に独立の意思を知らせたことを記念してつくられた日)
  • 6月6日…顕忠日(国家のために命をささげた人々を追慕する日で、ソウルの国立墓地で記念行事が行われる)
  • 8月14日…慰安婦の日(1991年8月4日に日本軍「慰安婦」被害者が初めて名乗り出た日)
  • 8月15日…光復節(1945年8月15日の独立を祝う日であり、1948年8月15日の政府の樹立を祝う日)
  • 10月3日…開天節(韓国民族の最初の国家である古朝鮮の建国を記念して作られた日)
  • 10月9日…ハングルの日(世宗大王がハングルを作って世の中に広めたことを記念し、ハングルの優秀性を広めるために定められた日)

ここに挙げたなかでは、日本が直接・間接に関わっているものが4つあるというのは興味深い点です。

韓国の「独立」「建国」っていつ?

ただ、やはりこれらを眺めていて、個人的に違和感があるとしたら、「韓国の独立、建国はいつなのか」、という論点です。

これらのうち、たとえば「三一節」に関しては、「1919年3月1日に韓国が独立を宣言した」とありますが、これも一種の神話のようなものでしょう。当時、「大韓民国」という国は、存在しなかったからです。

また、韓国の独立記念日は8月15日とされていますが、「現実に韓国政府が樹立されたのは1948年8月13日であって、15日ではない」、といった指摘もあるようです。

さらに少し古い投稿ではありますが、在日本大韓民国大使館が2012年10月2日付で投稿したフェイスブックの記事によれば、10月3日は檀君(だんくん)が紀元前2333年に韓国最初の王朝を建国したことを記念する日だ、ということです。

ということは、今年は「檀君4357年」、ということでしょうか。

ただ、肝心の「韓国の建国・独立記念日」がいつなのか(3月1日なのか、8月15日なのか、10月3日なのか、など)については、なんだかよくわからないのです。

韓国人が恨むべきは日本ではなく自分たちの祖先?

いずれにせよ、くどいようですが、外国が自分の国の成り立ちをどう記録し、どう祝おうが、自由です。

ですが、「日本からの独立」「どこか外国からの独立」などを記念する日が乱立しているという点に関しては、個人的には非常に興味深い論点だと思います。というのも、日本の12個の祝日に関しては、「どこかの外国からの独立」に関するものが見当たらないからです(「建国記念日」は「独立記念日」ではありません)。

このあたり、韓国の祝日から、逆に韓国のアイデンティティとしての「日本」が垣間見えるのです。

これには米戦略国際問題研究所(CSIS)の上級アドバイザーでもあるエドワード・ルトワック氏が執筆し、日本語版に関しては2016年3月に出版された『中国4.0』という書籍の129ページ目に出て来る、こんな記述が参考になります。

日本の謝罪問題についても一言言っておきたい。日本は韓国に対してすでに十分すぎるほど謝罪したし、これからも謝罪しつづけなければならないだろうが、それらは結局、無駄である。なぜなら韓国がそもそも憎んでいるのは、日本人ではなく、日本の統治に抵抗せずに従った、自分たちの祖父たちだからだ」。

この指摘がすべてでしょう。

「日本は世界で嫌われている」と信じていたら…

実際問題、インターネットが今日ほど普及するより以前であれば、日本のメディアなども隣国における反日感情の激しさをこぞって取り上げていたこともあり、日本国内ではこんなことを考える人が、今よりも遥かに多かったのではないかと思います。

私たち日本はアジアの人たちに対し、とても悪いことをした。日本は世界中で嫌われているに違いない」。

実際、著者自身も大学生になるまではそう信じ込んでいましたし、格安航空券を求め、世界各地を訪れ、実際に日本人が外国でどう歓迎されているかを実感するまでは、「日本も日本人も全世界で嫌われている」と思い込んでいたのです。

ただ、冷静に考えてみたら当たり前の話ですが、過去の歴史に拘り、相手国に執拗に謝罪を求める国の方が、世界では特殊です。

たとえばベトナムといえば、米国から度重なる爆撃などの被害を受けたはずなのに、「米国大使館前で毎週のように謝罪を求めるデモが行われている」、「米国大使館前の公道上に変な銅像を置いて米国を侮辱している」、といった話は耳にしません。

また、世界には政府主導で特定国に対する憎悪感情を煽っているような事例もあるようですが(たとえば中国における反日感情、イランや北朝鮮などにおける反米感情、など)、韓国のような民主主義国家で、なかば公然と反日デモが日常的に行われているというのは、興味深いところです。

(※といっても、たとえば欧州でも、イタリアやギリシャなどでドイツに対する反発感情が強い、といった話を耳にすることもありますが…。)

旭日旗騒動を振り返る

さて、こうしたなかで、ひとつの事実を示しておく必要がある論点のひとつが、いわゆる「旭日旗」が「戦犯旗」なのか、というものです。

結論からいえば、旭日旗は「戦犯旗」などではありません。

外務省ウェブサイト『旭日旗』に掲載されている、菅義偉総理大臣のもとで内閣官房長官を務めた加藤勝信・衆議院議員(現在は自民党の「北朝鮮による拉致問題対策」本部長など)が述べた、こんな内容で、説明としては尽くされている通りです。

旭日旗の意匠は日章旗同様、太陽をかたどっており、大漁旗や出産・節句の祝い旗等、日本国内で現在までも広く使用されているものであり、特定の政治的・差別的主張である等の指摘は当たらない。政府として、韓国を含め国際社会に向けて、旭日旗の掲示が政治的宣伝にならないという考えを累次の機会に説明しており、今後ともそうした説明を継続していきたいと考えている」。

ただ、この旭日旗が「戦犯旗」として韓国側から攻撃されるに至った経緯も、じつに理不尽です。

著者自身の手元メモによると、これは2011年1月25日、サッカーAFCアジアカップ準決勝(日本vs韓国)で、韓国側の奇誠庸(き・せいよう)選手がPKで得点をあげた直後にサル真似パフォーマンスを行い批判され、「スタジアムの応援席の旭日旗を見て激高したから」、と言い訳したのがきっかけです。

著者自身も当時、ウェブ評論を始めていたので、これについて関連動画等で事実関係を調査してみたのですが、スタジアムに旭日旗が掲揚されていたという事実はどう頑張っても確認できませんでした。ということは、奇誠庸選手がウソをついた可能性が濃厚です。

ただ、この2011年のできごとをきっかけに、韓国側が突如として、旭日旗を「戦犯旗」だといい始め、文在寅(ぶん・ざいいん)政権時代の2018年には、韓国海軍が主催した国際観艦式において、韓国側が参加する外国艦船に対し、艦旗を掲揚しないように要求。

日本側はその要求について「受け入れられない」として、観艦式への参加を取りやめるなどの騒動も生じています。

これなど明らかに、「ひとりのサッカー選手から出たウソが、日韓防衛協力自体にも深刻な影響を与えた」という意味で、非常に深刻な事例ですが、話はそれだけではありません。

旭日旗掲揚に「法的処罰を」の意見も

おそらくこの旭日旗騒動も、「反日感情」が韓国国内で依然として蔓延していて、いったん火が付くと韓国自身の国益を毀損してでも燃え広がり続けざるを得ない状況になっている、という証拠でしょう。室内にガスが充満している状態で火を付けたら爆発するようなものです。

こうしたなかで、ちょっと興味深いと思ったのが、こんな話題です。

祝日に旭日旗掲揚 市民から憤りの声も対処法なし=韓国

―――2024.06.06 15:14付 聯合ニュース日本語版より

韓国でベンツに続きマンションにも旭日旗…「一線越えている」

―――2024-06-07 06:57付 ハンギョレ新聞日本語版より

いくつかの韓国メディアの日本語版がこぞって取り上げていて、ニューズ・ポータル・サイトなどにも転載されているため、目にした方も多いと思いますが、これは顕忠日という祝日であるにも関わらず、マンションの窓に大きな旭日旗が掲げられていた、とするものです。

聯合ニュースやハンギョレ新聞、中央日報などの韓国紙の記事では、旭日旗を「日本の軍国主義の象徴」などと(勝手に決めつけて)表現していますが、この旭日旗を掲揚したのは日本人ではなく、韓国人医師なのだそうです。

また、メディアによっては韓国国内で、「強力な『処罰法』を作り、二度とこのようなことが発生しないようにすべきだ」といった反応が出ている、などとも伝えています。

ただ、「旭日旗≡戦犯旗」という決めつけも酷いですが、これに「処罰法を作れ」という主張が出て来るのも、ある意味では「韓国の特殊性」の象徴のようなものでしょう。

(※ちなみに「韓国の特殊性」については、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏が発明した用語ですが、これについては『「李朝の世界観」:鈴置論考で考える「韓国の特殊性」』などもご参照ください。)

つまり、旭日旗問題とは結局のところ、「日韓関係の特殊性」ではなく「韓国の特殊性」の問題であるとともに、韓国自身にとっては「日本との関係で市価自分たちの存在を規定できない」という点において、「アイデンティティの問題」でもあるのです。

いずれにせよ、旭日旗に関しては、引き続き、韓国のウソに対抗し続ける必要がありますし、また、ありもしない韓国が「戦犯旗」というウソをついて日本を貶めているという事実を、私たち日本国民としても、もっとしっかりと認識する必要があります。

こうしたなかで、旭日旗に関する自爆的な話題が韓国から定期的に出てくることは、私たち日本人にとっての「事実の再認識」という観点からは、じつは悪い話ではないのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (23)

  • どっかのサッカー選手が言い出したのは、思いつきだったのか、それとも何かあったときに言うことが決まっていたのか、そうだとすれば誰が仕込んだのか。
    おそらく、今後もこの「大発明」のくだらない舞台裏が判明する機会はないんでしょうね・・・

  • >ということは、今年は「檀君4357年」、ということでしょうか。

    Q.大韓憲法の起始を、開天節ではなく「三一節と定めた」本当の理由は?
    A.日本による「清国からの救済(馬関条約)」に触れたくないからですね。
    ・・。

    • 李承晩という人間を大統領に据える都合上、
      1920年代からパルチザン活動をしていると思われていた金日成の神話に対抗するために、古い歴史を持ってきただけかと・・

  • 戦犯旗などと妄言垂れ流すのは
    戦犯国の一地方のそのまた南半分だけですね
    軍旗は準国旗待遇ですが、戦争当事者からは一切文句がない
    戦犯国の一地方のそのまた南半分の妄言が世界に支持されると良いですね
    戦犯国の一地方のそのまた南半分の皆さん
    戦犯国の一地方のそのまた南半分の方々がナニ根拠に「戦犯旗騙る」かは不明ですがw

  • このまま日本大嫌いを強め続けてほしい
    嘘つきで強がりですがりつくことが大好きな韓国人
    中国が怖くてロシアが怖くて北朝鮮には怖いけどあこがれて(王朝になりたい)
    アメリカ日本にはクレクレを言い続け、くれなきゃ中国様に行くぞ~ と脅す
    こんなめんどくさい民族。
    忘れてしまいたい! 離れたい!
    早く3年後になれ~

  •  韓国人がいつの日にか「世界で、旭日旗を問題だと考えているのは、韓国人だけだ」ということに気付くと良いのですが、そうならないのが韓国人なんでしょう。
     「韓国人が正しいと考えることについては、世界の人々を啓蒙しなくてはならない」と考えるのが、韓国人なんでしょう。
     他人を変えることはできません。ましてや他民族の習性なんか変えられるわけがない。
     日本が、韓国との付き合い方を変えるしかないと思うのですが、そう思わない日本人がまだまだ多いんですよね。それを憂えております。

  • 日本だと大抵は『自分の評価は他人が決め、自分の幸せは他人が決める』だと思うのですが、

    韓国では『自分の評価は自分が決め、自分の幸せは他人が決める』に見受けられ、

    それが『虚栄心の塊』となって韓国人の思考を縛っているのだろうな、

    と、なんとなく思いました。

    人格形成が民族レベル国家レベルで未成熟なんでしょうね。

    • 誤記訂正です。

      誤>日本だと大抵は『自分の評価は他人が決め、自分の幸せは他人が決める』だと思うのですが、

      正>日本だと大抵は『自分の評価は他人が決め、自分の幸せは自分が決める』だと思うのですが、

  • 中国は 逆らうものに きついお仕置きをしますから 韓国は何も言えない。DNAレベルで 刷り込まれているのでしょう。
    日本には 何をやっても 遺憾砲でおしまい。
    そりゃ 舐められますよ。
    弱い鎖の輪は 補強するより 除外しないと 組織が腐る。

  • 韓国という国を長年見てきた感想です。

    人の声真似をするだけの、言葉の通じない猛獣

    とあるアニメのもろパクリですが、決してわかり合えない国だと思います。

  • 韓国のアイデンティティの復活は無いでしょうね。
    これからも反日しながらストーカーを続ける事でしょう。

    1つだけ楽しみな事があります。3年後の韓国大統領選挙。
    左派が勝利して李在明が大統領になる事。
    ワクワクが止まりません。

    • ※訂正
      韓国のアイデンティティの復活

      韓国がアイデンティティを持つことは

      謹んで訂正いたします。

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