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「外国人公道カートに配慮して英語標識を」の本末転倒

自動車の一時不停止問題や違法駐車問題に加え、電動キックボードなど新たなモビリティの危険な運転の問題、さらには歩行者の不注意によるスマホ歩きによる事故――。これに、今度は外国人観光客らを相手にしていると思われる、公道カートの問題も考える必要があるのかもしれません。とくに外国人に人気の公道カート、外国人が日本語の標識を読めないこと、集団行動すること――あたりに、問題がありそうです。

当ウェブサイトでは最近、「道路上の安全」に関し、いくつかの論点から問題提起をしているのですが、これについてはいくつかのパターンがあるように思えます。

まず、すでに法令が整備されているにも関わらず、その法令がきちんと守られていない、というケースです。

たとえば、以前の『横断歩道で一時停止しない自動車は「システムの問題」』でも取り上げた、「信号のない横断歩道で一時停止しない自動車」などは、その典型例ですし、道路上にびっしりと違法駐車されている自動車の問題も悩ましい点です。

これに対し、新たに出現したモビリティ、あるいは技術の進歩などに対し、法規制が間に合っていない、あるいは法規制が不十分であるという問題もあります。『道路交通法制「抜本的見直し」を』などでも取り上げた、電動キックボードやモペッド、電動アシスト付き自転車などがの問題がわかりやすいでしょう。

さらにいえば、歩行者の側にも「問題がない」、というわけではありません。

昨日の『「歩きスマホの交通事故」で運転手の責任を負わせるな』でも取り上げたのですが、インターネット上で少し話題となっているのが、バスに向かって突進し、バスにぶつかって倒れる歩行者の動画です。

前後の状況が今ひとつよくわからない状況ではあるにせよ、状況から判断するに、スマホに夢中でバスにぶつかった可能性があります。バスの側に過失があるのか、ないのかなどについて断定は控えますが、素人的には歩行者の側にかなりの(下手をしたら100%近くの)過失がありそうです。

こうした新たな問題点を眺めていると、単純に、「自動車などの運転者に法律を周知徹底し、守らせなければならない」部分もある一方、単純に「既存の法律を守らせればよい」、といった問題でもないことは間違いありません。

こうしたなかで、もうひとつ、ちょっとした「厄介な問題」があるとしたら、外国人観光客などを対象にしていると思われる「公道カート」かもしれません。

この手の「公道カート」、数年前から増え始め、任天堂のゲームをもじったカートを(任天堂の許可なく)大々的に展開する業者が出現するなどし、数年前には任天堂が業者を不正競争防止法違反や著作権侵害などで訴え、勝訴するという騒動も発生しています。

「マリカー」訴訟、任天堂の勝訴確定 損害賠償額は5000万円

―――2020年12月28日 16時22分付 IT media newsより

ただ、さすがに最近だと、この手の権利侵害系のカートは姿を消したものの、やはりカート自体は現在でも各所で見かけます。これに関しての行政側の対応も、決してプロアクティブにはみえません。

カート自体は法的には「四輪原動機付自転車」に該当しているらしく、2018年には国土交通省が「視認性の向上及びシートベルトの設置義務化等の安全確保策を講じるため、道路運送車両の保安基準等を改正」しています(2018年4月27日付・国交省『公道を走行するカートの安全基準を強化します』参照)。

しかし、インバウンド旅客の急増という事情もあってか、やはりこの手の公道カートの人気は高いらしく、これに関して4日、カートとタクシーの接触事故が発生したそうです。

【危険】タクシーと“公道カート”が接触事故 外国人ドライバーが「止まれ」の表記読めず飛び出しか?

―――2024/06/05 13:57付 Yahoo!ニュースより【FNNプライムオンラインより】

この記事は『めざまし8』という番組で放送された内容をもとにしたものだそうで、FNNによると、事故では幸い負傷者はいなかったものの、タクシーの左前輪にカートがめり込み、タクシーには車体に無数の傷がつくなどの被害が生じたのだとか。

これについて記事では、カートを運転していた外国人が一時停止の「止まれ」を読めず、一時停止しなかった可能性が示されているのですが、番組MCの谷原章介氏が、こう述べているようです。

先の集団が行ってしまって焦った、外国の方で『止まれ』が読めなかったという可能性もありますが、そういう方にとって日本のルールを守るのは難しいのでしょうか?

改めて難しいと思うのは、『止まれ』の表記、漢字とひらがなで書いてあると、なかなかにわかりにくい観光客の方もいらっしゃるのかなと。場所によっては『STOP』と書いたりもしているじゃないですか。そういった表記も、これだけインバウンドが入ってくる国になってきたわけですから、改善の余地はあるのかもしれませんね

…。

この谷原章介氏の発言も、おかしな話です。外国人観光客らのカート運転需要に配慮して英語標識を整えよ、というのは、アプローチが逆転していませんか?

そもそも今回の事故がカート側の一時不停止違反で発生したものなのかどうかについてはよくわかりませんが、日本で運転する以上、最低限、道路標識を読めない者に運転をさせることが妥当なのかどうか、という論点を考えるべきでしょう。

当たり前の話ですが、インバウンド観光業が潤うこと自体は悪い話ではないものの、外国人観光客需要は、日本国内の交通安全を犠牲にしてでも増やさなければならない、というものではありません。これこそまさに本末転倒ではないでしょうか。

この点、外国人であっても日本国内で有効な国際運転免許証などを所持しているなど、一定要件を満たした場合、法的には運転が可能です(レンタカーなどを運転することもできます)。これは公道カートについても同様といえるかもしれません。

ただ、レンタカー会社と比べ、公道カート運営事業者が、公道カート利用客らに対し、日本国内の道路交通法規を周知徹底しているのかに関しては、よくわかりません。

また、カートは多くの場合、集団で利用することが多いようであり、あくまでも個人的な見解ですが、今回の自己も、道路標識の見落としによるものではなく、「5人の集団でカートを利用していて、1人だけ遅れたので、前方を注視せず、慌てて飛び出した」ことに関しても疑う必要がある気がします。

いずれにせよ、公道カートも増え過ぎれば、道路の安全通行を妨げる要因となる可能性には注意が必要といえるかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (9)

  • 国交省偉い人「道路標識も電車の電光掲示板のように日本語、英語、ハングル、簡体字を交互に表示するようにしよう!」
    国交省部下「さすがです偉い人!」

  • 数日前,地方にでかけたとき,大きなホテルなのにホテル名が難読漢字(複数の読み方がある)で,屋外から見てホテル名の英語表記が1箇所もなくて(かな表記もなし),結局,ホテル名の読み方が不明,ということがありました。そもそも,外国人旅行客お断りのホテルなのでしょうか。
    現在の道路交通法は,外国人が日本でレンタカーを借りて運転することが極めて希な時代に作られたものが元になっているので,国際標準と異なる部分も多くあるようです。そろそろ,現状にあわせて国際対応しないとまずいでしょうね。私も海外でレンタカーを借りて運転することもありますし。

  • 東京大学は難しすぎるから、入試を簡単にしてくれ!
    みたいな?

    定められた基準を満たしてないならダメだ、というので何が問題あるのかな。

    入試なら合格すればよいし、道交法なら覚えればよいし。

    程度の問題ですが、例外に合わせて全体を変えるより、例外を変えるかオミットする方が合理的ですよ。

  • 渋谷でカートの一団を良く見かけます。先頭は日本人が誘導し、間に3〜4人の外国人を挟み、最後尾はまた日本人の組み合わせが多いようです。

    渋谷のバスターミナルから国道246号にかけてはバスはもちろんのこと、ラッピングカーや大型輸送車が行き交い、その間をカートが縫うよう走るのは大変危険と思われます。先頭と最後尾を日本人が誘導しているとはいえ交通量の多い道路なので、そのうち一団の列は長くなり、カートの間に大型車両が入り、バラバラ状態になってしまいます。そうなると、はたして大型車両の運転席からカートは見えているのか、車両に挟まれて潰される恐れはないのか……ハラハラします。

    さらに、危険だと思われるのは外国人利用者が頭からすっぽり着ぐるみを着用していることです。ゲームの一員になったつもりなのでしょうか? しかし、ちゃんと耳は聞こえているのか、身動きは自由にできるのか……日本の交通量の多い道路は、スマホ内のゲーム世界と違います。

    やはり、カートの利用範囲を制限するべきと思います。カートを利用する外国人の安全確保を考えるのが第一ですし、またバスや大型車両を運転する人々のハラハラ・イライラも減ると思います。

    • そもそも、公道は、遊園地じゃ無いんだから、あんな遊びだけが目的のものを走らせるのが、オカシイ。
      ちゃんと、通行禁止にするべき。

  • キチンと道交法の車両扱いにして免許取得者のみ運転可能とする
    国際免許(隣国人はインチキ免許と聞く?)で乗れる問題は出ますが免許保持者ならそれなりの責任は当然有りますよね。標識が日本語だからとは言えないはず
    早急に法律制定を望みたい
    この方法だけでなく機敏に政治家は動いてほしい
    政治家の仕事は法律を作ることなんだから

  • こんなもの、利用者の統計的所業から、事故で轢いても原則として第一当事者をカートとして扱う、不運にもぶつかってしまった側は原則無罪にするぐらいのことをしない限り認める必要はない。
    そもそもこれを歩行者に代表されるように、小さく被害が大きくなるから責任を軽くという発想が間違っていて、さらにこう言う変な物をその中に入れることが更に間違っている