X

「歩きスマホの交通事故」で運転手の責任を負わせるな

歩きスマホ、でしょうか。明らかに前方不注意な歩行者がバスの側面と衝突し、倒れ込む様子に関する動画が、Xにポストされていました。このようなケースにおいて、個人的に気になるのは、運転手の側の責任です。明らかに歩行者の側に問題があるのに運転手の側に過失があると認定されるのだとすれば、やはり理不尽です。

新たなモビリティと新たな脅威

道路交通法制「抜本的見直し」を』などを含め、当ウェブサイトでかねてより取り上げてきたとおり、道路交通法制などについては、いまいちど、抜本的な見直しが必要です。最近、あらたなモビリティが多く出現しているためです。

たとえば、今話題の電動キックボードの場合、最高時速6㎞などの一定の要件を満たしたものについては歩道を走行することが認められており、車道を走る場合も最高時速20㎞まで、といった要件を満たしている場合には、無免許で運転することができます(しかもヘルメット着用義務もありません)。

このため、東京都心ではとくに最近、電動キックボードに乗った人を頻繁に見かけるようにもなっているのですが、正直、彼らの中には最低限のマナー、あるいは運転ルールなどを守らないという事例もあります(著者自身が目撃した事例としては信号無視、逆走、強引な割込みなどがあります)。

ただ、どうして電動キックボードに関する規制が緩いのかといえば、おそらくは自転車、電動アシスト付き自転車などと規制の平仄を合わせたからではないかと思います。

自転車も歩道走行が可能ですし、ヘルメットの着用も「努力義務」であって「義務」ではありませんし、さらには運転免許証を持っていなくても、車道を走ることも可能です(正確には自転車も「軽車両」ですので車道の走行が原則ルールです)。

歩行喫煙や歩きスマホ

ちなみに最近街でよく見かける「モペッド」(モーター付き・ペダル付きの乗り物)についても、最高時速20㎞までしか出せないなどの要件を満たすもの(いわゆる特定小型原動機付自転車)であれば、運転免許証は必要ないとされています。

しかし、電動キックボード以外にも、自転車に関し、信号無視や逆走、強引な割込みなどを見かけることも多く、正直、これらのモビリティを「運転免許証なしで利用可能」としている現行法制については、やはり不備があると思わざるを得ないのです。

ただし、道路交通上の安全確保という観点からは、ほかにも検討すべき事項は多くあります。

個人的に気になっているもののひとつは、タバコを吸いながら自転車等に乗る者の存在ですが(※タバコの有害な煙を振りまきながら歩行しているという意味では、歩行喫煙と同様に、個人的には新たな法制で徹底的に取り締まることが必要だと思います)、それだけではありません。

スマートフォンの存在です。

スマートフォンはたしかに便利なデバイスであり、私たち現代人にとっては欠かすことができないツールといえるかもしれませんが、それと同時に道を歩いている人がスマホをじっと見つめていると、大変危険です。

他人にぶつかることもあるからです。

「歩きスマホ」?バスに向かって突進する歩行者

こうしたなか、本稿で取り上げようかどうか、少し悩んだ話題があるのですが、「わかりやすい」ことは事実であるため、取り上げることにしたいと思います。

動画では、ゆっくりと左折するバスに向かって人が歩いて行き、バスのぶつかって倒れてしまった、というシーンが映っています。

撮影地、撮影日時についてはわかりませんが、ポストでは撮影地点を「渋谷スクランブル交差点」と記載しており、また、動画から確認する限り、バスは東京都交通局のものである可能性が高いため、東京で撮影されたものである可能性は高そうです。

ただし、画像が不鮮明であるという事情もあってか、バスに向かって突進して行っている人物が本当に歩きスマホをしていたのかについては確認できませんが、少なくとも明らかに前方不注意であるため、この人物が脇見をしていたことは間違いないでしょう。

責任問題についての法制度は必要ないのか

そして、個人的に気になるのは運転していたバスの過失割合です。

正直、バス運転手が正当な注意を払っていなかったようには見えませんし、歩行者の側が結構な速度でバスに向かって突進していて、しかもバスの(正面ではなく)側面にぶつかっているため、バス運転手の側に何らかの過失があったと認定されるのは、さすがに厳しすぎる気がします。

しかし、この手の「歩きスマホ」は、本当に危険でもあります。

現在、道路交通法規上、歩行者はべつに、「公道を歩行するための免許」などなくても道を歩くことはできるのですが、歩行喫煙や歩きスマホは、大変に危険な行為でもあります。

少なくとも歩行者の側が歩きスマホなどの不注意で事故を起こした、あるいは事故に巻き込まれるなどした場合には、自動車や自転車などの運転手には「過失がない」ことを、法制化すべきではないでしょうか。

このあたり、議論の深化が待たれるところではないかと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (16)

  •  凄まじい高額で"歩きスマホ免許"を創設したら良いかもしれません。安全に歩きスマホをするにあたっての注意点をしこたま講習し、事故を起こしたら"歩きスマホ法違反"に問えます。当然無免許の歩きスマホは大罪です。なんならスマホを法的に車輌にしてしまいましょう。

  • まず、いい年こいた大人が今までそんなにボ〜っと漫然と歩行していて生命が守られ死なないでいる日本の交通社会の素晴らしさを感じます。
    しかし、ハインリッヒの法則という経験則があります。
    なめてかかるとそのうちロシアンルーレットが発動し大火傷を負うかもしれません。
    ヒアリハットで済んでいるうちに年相応の危険予知能力を身につけることが本人の為だと思っています。

  • 自転車に乗りながら、スマホ。
    歩きながら、スマホ。
    ベビーカー押しながら、スマホ。
    ファミレスで友人知人家族と食事しながら会話もせずに、皆んなスマホ。

    所で、バスが横からぶつかられた場合、運転手に罪は問えないのでは?
    道交法には、前方不注意の罪はあっても、側方不注意の罪は無いのでは?

  •  跳ねられた方はスマホを見ているだけでなく音も聞こえてないような・・・
    信号の状況はわかりませんが映っている歩行者の殆どがフライングしているような
    気もします。

     運転手さんお気の毒に。m(_ _)m

    • 田舎で、歩きスマホしても、田圃に落ちてカエルに接吻されるくらいか?
      でもでもでも、用水に落ちると溺れ死ぬこともある得る。
      くれぐれも御用心を。

  • スクランブル交差点で歩行者が横断を始めている状況からすると車道は全部赤信号のはずなので、バスが赤信号を無視ないし黄信号で無理な侵入をしたのでは?
    歩行者が青になる前に横断を始めた可能性はあるし、歩きスマホの危険性に異論はないけれど、バスの運転手にも結構な過失がある可能性も少なくないと思います

    • さらに、青信号の横断歩道は歩行者の聖域です。
      止まっていようがそこにいる時点でバスの責任は重大です。

  • 対向車線はマリオカートでしょうか
    田舎に住んでると東京の道路は無法地帯に見えて車の運転無理と思っちゃいます

  • 確か踏切でスマホ操作して電車に撥ねられた人がいたはず

  • 現象だけ客観的に言えるとすれば、
    「スマホ中毒」
    ですかね。

    アルコールや麻薬の影響下にある歩行者と同じ挙動。
    でも規制するための血中濃度などの物質的ななにものも存在しない。
    困りましたね。

  • 普通に、停止線を超えて交差点内に赤信号で停車している車に、青信号の方の車が接触しても、赤信号側の車の責任の方が大きくなることがあります。停止線を無視するとはそういうことです。いわんや歩行者とぶつかったら10:0でも文句は言えません。

  • 青『進め』
    黄色は『止まれ』
    赤『止まれ』

    歩行者用が青点滅になったら"次を待て"
    てなところでいかがでやんしょ?

1 2