「今年10月に予定されているジャパンレールパスの値上げに外国人から不満の声が上がっている」――。そんな話題が聞こえてきました。ただ、個人的な予想ですが、海外における物価上昇などの事情を踏まえるならば、多少の値上げでもパスが飛ぶように売れるという状況はあまり変わらない気がします。むしろ日本旅行が外国人観光客から見て安すぎるという状況については適正化する必要があり、その手段としては入国税が手っ取り早いのではないかと思います。
先日の『「黒幕」に早くも多数の穴…観光公害に入国税検討を!』などでも取り上げている論点のひとつが、環境公害です。
山梨県富士河口湖町の井ビシ歯科医院前の歩道から向かいの「ローソン河口湖駅前店」を眺めると、「まるでコンビニエンスストアの真上に富士山が乗っかっているかのように見える」として外国人観光客らに話題となっていたスポットの前に黒幕が設置されたところ、その黒幕に穴が開けられているというのです。
なぜこんな黒幕を設置せざるを得なくなったのか、そしてその幕の設置が「やむを得ない」といえる理由はなにか、については、当ウェブサイトですでに何度となく取り上げてきたとおりですので、本稿では繰り返しません。
ただ、ここで再び取り上げておきたいのが、外国人観光客を大量に入国させれば必ず生じるであろう「観光公害」という論点です。
そもそも『訪日外国人が2ヵ月連続3百万人台も…観光業の「穴」』でも取り上げたとおり、最近、訪日外国人はどんどんと増えていて、2024年4月は前月に続き、単月で訪日旅客数は300万人を超えました(これには円安も追い風となった一時要因という側面もあるのかもしれませんが…)。
ただ、多くの観光客が押し寄せるようになれば、「▼ゴミを捨てる、▼禁煙場所で喫煙する、▼地元民に暴言を吐く」――といった「質の低い観光客」もやって来ますし、それまで観光客が多くなかった地域も、観光客のために公共交通がマヒするなどの事態も生じます。
先日も指摘したとおり、例の「富士山ローソン」問題を巡っては、「この場所に有料の富士山絶景スポットでも開発して売り出せばよいのに」、などと無責任なことを述べる人たちがいるようですが、そんな事業リスクを地元自治体などが取るというのも、非現実的な話です。
やはりそれよりも、もっと簡単かつ確実に解決する手段とは、「日本観光のコストを引き上げること」ではないでしょうか。
当ウェブサイトにおいて提案して来たソリューションのひとつは、「出国税を廃止し、外国人観光客を相手に入国税を導入すること」、です。
もちろん、その大きな効果は税収を観光公害対策に充てることにありますが、それだけではありません。日本旅行のコストを高くすることで、外国人旅行者数の「総量規制」効果を狙うことにあります。
ウクライナ戦争勃発後、世界的なインフレが続いていますが、日本のインフレ率は諸外国と比べてマシであることに加え、ドルやユーロなどの外貨に対する円安が進み、いまや日本旅行が外国人観光客にとって、「安くなりすぎている」からです。
こうしたなかで取り上げておきたいのが、こんな話題です。
外国人7割が「もう使わない」ジャパンレールパス「3万円→5万円」大幅値上げで不満続出
―――2023.05.25付 乗りものニュースより
『乗りものニュース』が先月25日付で配信した記事によれば、JRグループが外国人向けに発売している「ジャパンレールパス」という乗り放題の乗車券の値上げを巡って、外国人の間で不満が高まっている、というのです。
ちなみにこの乗車券、10月ごろをめどに7日券を約3万円から5万円に、14日券を5万円弱から8万円に、それぞれ大幅値上げされるのだそうですが、『乗りものニュース』は外国人の間で、値上げ後もパスを利用すると答えた割合がわずか12%に対し、利用しないとする割合が7割に達したと報じています。
もちろん、この「利用しない」の割合は「絶対に利用しない」「たぶん利用しない」をあわせたものですが、ただでさえ外国人観光客で新幹線などの鉄道が混雑するなか、個人的には「これはこれで結構なことではないか」と思ってしまいます。
そもそもたった3万円で新幹線(※のぞみ号を除く)が7日間も乗り放題になってしまうという価格設定がおかしいのであり、物価が上昇しまくっている外国から見て、日本のさまざまな物価が異常に安いという状況は、少しずつ是正が必要であることは間違いないからです。
なお、あくまでも主観的な意見ではありますが、海外における物価上昇を踏まえるならば、値上げ後もジャパンレールパスは飛ぶように売れ続けるのではないかと予想しています(今年10月以降の値上げ後にパスの売れ行きがどうなるのかについては見てみたい気がします)。
ただ、このパスの値上げもさることながら、やはり外国人観光客にとって、日本旅行のコストを適正水準にまで引き上げる仕組みは必要であり、そうした仕組みという観点からは、入国税は最も手っ取り早い手段のひとつではないか、などと思う次第です。
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レールパスの値上げは私も賛成です。外国人観光客の利用料金を日本人が補填している様な状況は良くないでしょう。しかし、3日券とか利便性を上げるサービスを追加するとか考えも良いと思います。
入国税も賛成ですが、5000円の入国税を一律にかけるより、5万円の返金できないプリペイドを買わせた方が、来て欲しくない人を排除できるので、そちらの方が宜しいかと。
ジャパンレールパス、ジャンジャン値上げして、その儲け分、JR北海道の赤字補填に回して上げて。
まあ、何やったって黒字になるJR東海がこれ以上大儲けしても仕方がないから、是非、JR総指揮官北海道、助けてあげてください。
日本人の労働生産性ガーとか言っておいて、今までこの価格設定に誰も疑問を持たなかったのだろうか?
「のぞみ」と「みずほ」は除外されているが、「はやぶさ・こまち」と「かがやき」は除外されていない。
また、北海道や九州だけに限定しても3万円/7日間は安すぎ。
外国人を偽装して購入したいくらいだ。
https://trafficnews.jp/photo/126043
・北海道フリーパス
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Otoku/006980/
・ぐるっと九州きっぷ
https://www.jrkyushu-kippu.jp/fare/ticket/304
1年前の記事かと思って日付を見直しました。JRパスの値上げは去年(2023年の10月)ですよ。
英語圏のSNS(米国のRedit)ではかなりの騒ぎになって、旅程によっては代わりに安めの地域パス(JR西日本の北陸アーチパスや関西/広島パス、JR東日本の東北ワイドパスなど)を使うといいというのがコンセンサスでした。
それ以来SNS上での旅行レポートでは従来のJRパスを使う記事は激減しています。
ほとんどの旅行レポートでは短距離では交通系ICカードを使い、長距離では地域パスを使うか、通常の新幹線切符を買うかがほとんどでした。JR各社からの数字で確認する必要はありますが。
“市民がバスに乗れない” 京都市「観光特急バス」運行始まる
2024年6月1日 12時30分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240601/k10014467991000.html
京都ではこんな取り組みが。
外国人に入国税を課せば、こんな取り組みの原資に出来るんでしょうね。
JRパスとは別件で,JR東日本が海外旅行者向けに売っているWelcome SUICAというものがあります。メリットは購入時の500円のデポジットが不要というところですが,デメリットは帰国前に残高を返金してもらえないことです。JRも「帰国前に残額を使い切ってください」と注意しています。しかも,有効期限1ケ月程度とが短いので,次にまた日本に来たとき使おうとしても,カードの有効期限はたぶん切れています。「普通のSUICAを買えばいいんじゃない」と言う人もいるかもしれませんが,去年の夏から首都圏ではSUICAもPASMOも販売停止中です。IC不足でもWelcome SUICAは販売と続けてるんですよね。沢山残高を残したまま帰国してくれる外国人が多いのでしょうか。
入国税の導入が、"待ったなし" に必要と思います!
レールパスの値上げニュースは昨年10月ですので、その結果は、八坂神社の夜間に鈴緒を中に入れる措置や祇園の通行制限立札等から明白です。
昨年10月に新幹線に乗った時、京都に近づいた辺りから車内放送で「京都市内の道路が大変混雑していますので、移動には地下鉄等の交通機関をご利用ください」と再三案内をしていました。今年はそれに輪をかけた混乱・騒乱状態のようで、毎年楽しみしている関西旅行をどうしようか思案中です。結局、外国の一見客を優遇して、日本人のリピーターを失ってるんだよね。
〔余談〕
昨日靖國神社を冒涜した犯人確保協力に、高須院長が500万円の懸賞をかけました。
本名董光明、別名铁头(鉄頭)だそうです。
これじゃ、外国人と国会議員の新幹線代を一般の利用者が負担しているってことじゃないですか。
普通に金取れ!
JRの運賃が払えない貧乏外国人は、観光地に金を落とすとも思えん
入国税待った無し
「もう使わない」。。結構なことじゃないですか。。
満員で乗れないことが減るし。。。