生活を便利にする新たなツールとしての機能を拡充するマイナンバーカード。住民票などをコンビニで取得できる、金融機関への住所変更が簡素化される、健康保険証としての利用も可能、将来的には運転免許証も兼ね備える――。情報漏洩のリスクはゼロとはいえないにせよ、ますます便利になることは間違いありません。そんなマイナンバーカード、現在はAndroidに限定されているスマホ搭載、いよいよiPhoneも対応するようです。
マイナンバーカードといえば、一部の「左派」(?)の人々から目の敵にされているフシがありますが、なにかと便利です。
ひと昔前だと、何らかの理由で住民票などを取得する必要があるときには、多くの場合、わざわざ市区町村役場にまで出かけ、申請書を書くなどして申請する必要がありました。窓口が混んでいるときは長時間待たされることもあるなど、なかなかにストレスが溜まるシーンだったことは間違いありません。
ただ、現在だと、マイナンバーカードを持っていれば、多くの自治体において、住民票と印鑑証明についてはコンビニなどで取得することができるようになりました。利用できる店舗としては、セブン・イレブンやローソン、ファミリーマート、セイコーマートなどが含まれます。
また、戸籍謄本などについては、まだ対応していない自治体も多いようですが、このあたりも今後、徐々に対応している自治体が増えて来ることが期待されます。
これに加えて、最近だと、マイナンバーを取引金融機関に届け出ておけば、引っ越したときなどの「住所変更」手続も簡単になります。事前に同意を得ている場合などの要件を満たせば、金融機関に自動的に転居後の住所が通知されるからです。
さらには、マイナンバーカードの保険証としての利用もすでに開始されており、病院や歯科医院などで診察を受けるときも、マイナンバーカードを端末にかざせばよく、(同意などの条件は必要ですが)医療機関を受診した際の投薬情報の共有、医療費の集計などが簡単にできるなど、なかなかに威力は絶大です。
(【参考】マイナポータル『マイナンバーカードの健康保険証等利用がはじまりました。』等)
さらには、報道等によれば「2024年度末」を目標に、現在、運転免許証のマイナンバーカード搭載に向けた準備も進められているとのことです。
運転免許証との一体化は間もなく? 2024年のマイナンバーカード
―――2024年4月25日 08:20付 Impress Watchより
もちろん、個人情報の流出などについては最大限の注意が必要ですし、一部では情報漏洩事案なども発生している点については、懸念点ではあります。
世の中に「墜落するかもしれないから飛行機に乗らない」という人がいるのと同様、「マイナンバーカードは情報漏洩が怖いから持たない」という人がいても不思議ではありませんし、そうした懸念を、当ウェブサイトとしても無碍に否定するつもりはありません。
ただ、「飛行機が墜落するリスクは極めて低い」と考え、その利便性を享受することを重視する人がいるように、「情報漏洩のリスクは極めて低い」とみなして、マイナンバーカードを最大限、有効活用する人がいても良いのではないかと思います。
こうしたなか、あまり知られていませんが、じつはマイナンバーカード(正確にはその「情報」)を、スマートフォンに搭載することが可能です。
デジタル庁『スマホ用電子証明書搭載サービス』によると、現時点で対応しているのはAndroid端末(約200端末)で、利用可能なサービスは▼マイナポータル、▼銀行・証券の口座開設、携帯電話申込、キャッシュレス決済申込等、▼コンビニ交付サービス――などです。
(※なお、スマホを使った健康保険証としての利用はまだできませんが、デジタル庁によれば「今後対応予定」とのことです。)
想像するに、ごく近い将来、スマートフォンに運転免許証、健康保険証などの情報が登録され、スマホさえ持ち歩いていれば、自動車の運転もできるようになる――、といった時代が訪れるのではないでしょうか。
もっとも、iPhoneユーザーの皆さんにとって不満があるとしたら、それはマイナンバーカードのスマホ搭載がAndroid端末に限定されていたことではないでしょうか。
ただ、報道によると、ようやくiPhoneもマイナンバーカード機能の搭載に対応するようです。
iPhoneにマイナンバーカード機能搭載 米アップルが発表へ 行政手続き可能に
―――2024/05/30 09:52付 産経ニュースより
産経の報道によると、岸田文雄首相とアップルのティム・クックCEOが電話会談したそうであり、また、アップル社も30日にその旨を発表するのだとか。
すでにスマートフォンにはおサイフ機能(電子マネー機能、クレジットカード機能など)が搭載されていますが、これでiPhoneユーザーにとっても、マイナンバー(ということは、近い将来には保険証、免許証も)の機能がモバイル化する、ということです。
このあたり、著者自身のように「サイフも持たずにスマホだけで街歩きする」ということが常態化している者もいるようですが(ちなみにいまや、街中で現金を使うことはほとんどありません)、時代はどんどんと便利になっていくことは間違いありません。
(もっとも、スマートフォンの端末の「バッテリー切れ」などの論点には要注意といえるかもしれませんが…。)
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マスコミではマイナンバーやマイナンバーカードへのネガティブな印象付け報道がなされて来ました。
一方マスコミは記者クラブ制度により得た情報を殆ど無批判に流すという批判があります。(プライマリーバランスなど) マイナカードへのネガティブ報道を見ると、その目的や動機が?にせよ、政府や官僚の方針に反することをやればできるということなんでしょうか!?
かつて子宮頸がん予防接種に対して無分別に不安を煽るような記事を書いていた業界なので、官僚のやることに無批判だとは思いません。
彼らにとっては論理的に科学的に正しいかどうかは二の次で、どれほど大衆を煽れるか(センセーショナルに受け取られるかどうか)という点だけが取り上げる価値の全てなのだと思います。
個人番号(マイナンバー)制度が始まった当初より、マイナンバーを取り扱う企業・団体等はその番号の厳正な取り扱いが求められています。例えば、個人番号にかかわることができる担当者を限定する等、通常の事務とは別の仕組が構築されていることが多いと思います。そのように特別な取り扱いを行っている個人番号が表示されたマイナンバーカードを、健康保険証等として常時携帯することに違和感を感じます。実印と同じように大切なものじゃないの?? この違和感を超えることができず、マイナンバーカードを作りましたが、家で大切に保管しています。 いっそのこと身分証明書であり、日本国に居住する者は常時携帯すべきものであるといった観点からスタートしていれば、マイナンバーカードはこんなにいいことがあるという政府の説明も腑に落ちやすいのですが。 偏屈なだけかもしれませんが。。
リスクと利便性のトレードオフ。
マイナンバーカードは公共サービスへの適用を目的とされて導入され、銀行印レベルの管理が必要な印象があります。従って、私自身は普段持ち歩くレベルの用途にマイナンバーカードのアプリケーションを適用すること(認印レベル)に強い違和感を感じています。
不正利用されるリスクを鑑みたら、不利便も受容してよい、
そういう選択肢は各個人に用意されてよいと思っています。
高度偽造防止技術がされているというマイナンバーカード。
でも、確認するとき 大部分が目視確認。
ICチップの情報は偽造できなくても 表面印刷、陳腐なホログラムもどきは 簡単に偽造できます。
本人確認という高い役割をさせるのに 目視確認だけで 効力を発揮させてしまうのは お粗末すぎます。
本人確認の意味を成すには、マイナバーカードのICチップ情報の照合や 少なくとも表面記載事項の国データベースへの照会をしないと、不正利用が多発します。
マイナンバーカードの本人確認の利用範囲が増えると 偽造品も必ず増えます。
マイナンバーカード利用の信憑性に 注力いただきたいです。
元気な人はいいのですが,要介護高齢者や,認知症高齢者のマイナンバーカードやマイナ保険証をどうするか,が今後の検討課題でしょう。介護士が写真を撮影するのも困難な人,カードを受け取る代理人がいない人,字が書けない状態の人,暗証番号を覚えられない人,入所型老人施設で入居者のマイナンバーカードと暗証番号の管理をどうするか,など,まだ解決しないといけない課題が山積みのようでうす。
もうチップ体内埋め込みの方が良いような気がして来た
スマートフォンにマイナンバーカードの機能が追加されるのは大いに結構ですが、例えば医療機関に置いてある読み取り機はスマホが入れられる構造になっていませんので、保険証廃止後は結局原本のカードを常に持ち歩かないといざという時に医療サービスを受けられなくなります。
多分単発のトラブル程度なら対応可能でしょうが、大規模災害や通信インフラがダウンしたら今の運用だと新規受付不能になる医療機関が続出するはず。
そもそも目視確認にしても運転免許証は一旦預かってコピーを取る事も可能ですが、マイナンバーカードの場合は"カードを預かってはならない"という謎ルールが有るので目視のみで偽造を見抜くのが極めて困難です。(だから悪用される)
通常、この手の新技術は知識の無いシロウト程無用な心配をするのがお約束ですが、ことマイナンバーカードに限っては真逆で、内情を知っている人の方が将来性を危惧というかほぼ絶望視しているのが実情です。
(ウェブ上で完結するサービスは問題無いが、それ意外が全部ダメ)
個人的に、このまま保険証廃止が強行されたら総選挙の結果に影響が出るレベルで混乱が発生する予感がします。
全くこの通りですね。
世の中、反対と賛成、という2項対立で、物事を論じる者が殆どなので、こういう客観的に、ほぼ確実に起こりうる事例を上げながら、反対というより、危惧、制度の不完全な所を指摘されるのは、大事なこと。
こんなことを具体的に上げることができるのは、知識と見識の幅が広くなければ出来ないこと。
元々、医療機関でのオンライン資格端末でスマホに対応できる予定として昨年中には厚労省も示してました(今年四月からだった)
私も異動になって今は担当でないのでその後の現場がどうなってるか存じないのですが、仮に予定より遅れるとしても、スマホを持ち歩けばマイナンバーカードは携帯不要というのが既定路線です。
なお、今般iOSが対応するというのは、以前からAndroidが対応しててiOSが未対応だったのは、スマホのセキュアエレメントに電子証明書のファイルとアプリを入れるためにスマホ側のOSを経由する必要があって、そのマイナポータルとOSとのAPI連携がAndroid側しか対応してないとのことでしたので、今後それをiOS側もやるということかと思います。
スマホのバッテリー切れは日常茶飯事だからなー
マイナーカードを使ったスマホの中国人による事件が最近ありました。そもそもマイナー番号の登録に中国企業が関わったと大騒ぎになったこともありました。まして肝心の公務員の取得率が低いなど、まだまだ安心できる状況ではないので、私はまだ取得していません。
マイナンバーカード(正確にはその「情報」)をスマホに搭載することで、物理的なマイナンバーカードにかかるリスクはなくなるのでしょうが、マイナンバーカードの情報を搭載したスマホにかかるリスクが発生するのではないでしょうか?
高齢になるとスマホの操作に時間がかかりますので、例えば窓口等でスマホの操作に手間取り、結局受付の担当者等にスマホを渡して(場合によっては暗証番号を教えて)スマホを操作してもらうというようなことになりそうな気がします。よって、マイナンバーカードを持ち歩かざるを得ないという状況になりそうな気がします。
また、マイナンバーカードをスマホに搭載しても、個人番号そのものにかかるリスクはなくなりません。
一つのやり方を全国民に強いるのではなく、個々人の能力・志向等を考慮したいくつかの方法を準備すべきだと思います。河野氏が推進している方向性は、岸田氏の韓国対応に匹敵する悪手であるように見えます。