ただでさえ再エネ賦課金のせいで上昇している電気代が6月以降、さらに値上がりする見通しです。ただ、そもそもの値上がり幅を調べていくと、原発が稼働している各社のうち、とりわけ関電や九電の電気代が、原発が稼働していない各社と比べて明らかに安いのです。
再エネ賦課金という理不尽な仕組み
『なぜ石油価格が下がると再エネ賦課金の額は増えるのか』などでも指摘したとおり、いわゆる再エネ賦課金は5月から1kWhあたり3.49円に値上げされるのが決まっています。月400kWhを使用する家庭の場合だと月1,396円、年間で16,752円となり、決して安い額ではありません。
図表1 再エネ賦課金の推移
(【出所】経産省、環境省ウェブサイト、各電力会社等の情報をもとに作成。横軸の数値は「年度」を意味し、「12」は「2012年8月~13年4月」、それ以外は各年5月から翌年4月までを意味する。たとえば「24」ならば「2024年度」、すなわち「2024年5月~25年4月」の意。また、「標準家庭の年間負担」とは毎月400kWhを使用する家庭を想定した毎月の負担額を12倍した数値を意味する)
正直、再エネ賦課金をなくすだけでも、電気代はかなり下がりそうです。太陽光発電を筆頭とする再エネが、いかに私たちの家計負担を不当に押し上げているかについては、国民としてはもう少し考えてみる必要があるのではないか――、などとも思えてなりません。
激変緩和措置の部分終了・終了に伴い6~7月に値上げ
ただ、電気代の上昇は、それだけにとどまらなそうです。
またしても、6月から電気代やガス代がさらに値上がりするようです。
電力大手各社・ガス大手各社は26日、同日に発表された貿易統計に基づき「燃料費調整単価」などが確定。とくに電力会社に関しては、燃料費は若干下がったものの、国の「緩和措置」に基づく補助金が半減する効果もあって、各社で値上げが行われるようです。
これに加えて「緩和措置」に基づく補助は7月に失効するため、電気代、ガス代とも、7月以降はさらに値上がりすると見込まれます。
庶民が負担する電気代は、どんどん値上がりしている格好です。
電力各社について調べてみたら…?
さて、電力各社が発表している、一般家庭に対する電気代の値上げ幅を集計してみたのですが、これが次の図表2です。
図表2 電力各社の値上げ幅(一般家庭のモデルケース)
電力会社 | 使用電力量 | 料金 | 値上げ幅 |
北海道電力 | 230kWh | 9,114円 | 357円 |
東北電力 | 260kWh | 8,436円 | 400円 |
東京電力 | 260kWh | 8,538円 | 401円 |
北陸電力 | 230kWh | 7,356円 | 368円 |
中部電力 | 260kWh | 8,345円 | 382円 |
関西電力 | 260kWh | 7,196円 | 442円 |
中国電力 | 260kWh | 7,894円 | 403円 |
四国電力 | 260kWh | 8,135円 | 414円 |
九州電力 | 250kWh | 7,101円 | 425円 |
沖縄電力 | 260kWh | 9,047円 | 585円 |
(【出所】各社発表をもとに作成)
モデル家庭の毎月の使用電力量が微妙に異なるため、厳密な意味での比較にはなっていませんが、値上げ幅が最も低い北海道電力で357円、最も高い沖縄電力は585円と幅がありますが、基本的には400円前後の負担増です。
地味に、家計への打撃は大きいといえます。
ただ、本稿でこの図表を紹介したのには、もうひとつ、理由があります。
値上げ後の料金が最も低い九州電力で7,101円、次に低い関西電力は7,196円ですが、この2社の共通点は、いったい何でしょうか。
そう、「原子力発電所を運転中である」、です。
うち6社は再稼働できる原発を持っている
厳密にいえば、原発を動かしているのは2社だけでなく、四国電力もそうであり(伊方原発3号機・出力89万kW)、原発が動いているにもかかわらず260kWhの家庭で電気代は8,135円とややお高めですが、原発の出力が関電・九電2社と比べて低いためでしょうか。
ちなみに原子力規制委員会の4月8日時点の情報によると、関電は美浜3号機、大飯3・4号機、高浜1~3号機を動かしており、これらの合計出力は453万kWです。また、九電は玄海3号機、川内1・2号機を動かしており、これらの合計出力は296万kWです。
これらに対し、もともと原発を持たない沖縄電力を除く6社は、いずれも再稼働可能な原発を抱えていますが、再稼働に至っていません。
とりわけ料金が9,000円台の北海道の場合、泊原発(1~3号機、合計出力207万kW)が稼働すれば、もう少し電気代は下がりそうなものですし、東京電力も柏崎刈羽原発(1~7号機、合計出力821万kW)を、部分的にでも再稼働すべきではないでしょうか。
いずれにせよ、「電気代の高止まりを何とかすべきだ」、などの話が出るときは、必ずセットで、「何が電気代を押し上げているか」を考えるべきです。
もっとも、円安のデメリットを一生懸命主張している人たちも、なぜだか知りませんが、原発再稼働や再エネ賦課金制度廃止などに言及することはほとんどないようであり、これも不思議と言わざるを得ないのですが…。
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毎度、ばかばかしいお話を。
核嫌い教信者:「核兵器でも原発でも、嫌いなものがあること自体、許せない」
ありそうな。
全ては中国様の利益の為にですよ。
左系の方々の判断基準は好きか嫌いかです。
論理的思考力は著しく欠如しているようです。
昔、駄目なものはダメと言った野党指導者がいましたが、左系の典型ですね。
これで「革新」を名乗っているのですから呆れたものです。
「脱原発株主」って一体何考えてるんでしょうね。原発停止が電気料金が高額である原因の一つなのに、この期に及んで未だに脱原発を唱えるって正気ではありません。現在稼働中の原発が一つもない北陸電力に対し、脱原発派の株主が停止中の志賀原発の廃炉を求める要望書を「今年も」提出したとか。彼らは能登地震を引き合いに出しますが、東日本大震災で女川原発が持ち堪えて避難所になった事は全くのスルーなんですね(大体福一の事故原因の一つが地震でなく津波であることもスルー)。それに彼らが再エネ賦課金についてどう思ってるか全く判らないんですよね。糞の役にも立たない太陽光発電の為に末端のユーザーが理不尽な負担を強いられているのに彼らは憤りを感じないんでしょうか。それを無視して原発の廃炉を求めるって正気の沙汰ではありません。
こういう連中は総会屋と変わりないので株主総会に顔を出す事自体不健全としか思えません。
反原発団体が再エネを賛美する資料を見つけました。
https://www.ccnejapan.com/CCNE_GX_QandA2023.pdf
>関電や九電の電気代が、原発が稼働していない各社と比べて明らかに安い
不都合な真実がバレ始めて、
原発を再稼働しても電気代は安くならない!と必死に叫ぶ人たちがいるようです
https://twitter.com/fffsendai/status/1722148627085451762
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20240423/biz/00m/020/009000c
リンク先観ましたが、まさにエコーチェンバーの中のカルト信者って感じですね。
あるいは外を見ずに胴体の中に首突っ込んでるダチョウみたい。
東北大震災以降、石油をがぶ飲みしてきた日本。SDG諸兄には原発稼働を強力に推進していただきたいところ。
事故発生時の影響の大きさ、ミサイル攻撃等を考えると、既存の原子力発電所の再稼働推進はあまり乗り気がしません。
素人考えですが、浮体式原子力発電所を強力に推進する方が安全で、早道なような気がします。個人的には、原子力発電船と水素製造船で船団を組み、複数の船団を太平洋に展開してはどうかと。嵐が来そうな時は影響が少ない海域に移動して操業します。製造した水素は、海路で全国へ運べます。
既存原発は安全性認後に再稼働。これでベースロードを固めてから、ピークロードに揚水を強化した水力を充てる。その揚水の余力部分に新エネルギー。海外に支払う油代を絞るにはこれしか無いでしょう。まぁ、脱炭素を外せば石炭火力もありですが。
左翼メディアや反日野党といっても、誰か黒幕がいて一枚岩で活動してる訳でもないでしょうから、1つ踏み絵みたいなジレンマをキャンペーンしてみたら如何でしょうかね。
お題
「日本で原発を再稼働させる」
「原油や天然ガスの国際需要が減る」
「原油や天然ガスの国際価格が下がる」
①外貨不足の韓国にはメリット
②外貨不足の共産党中国にはメリット
③産油国にはデメリット
日本の貿易赤字も減りますから、
「原油代金のために円を売ってドルを買う」
というボリュームも減りますから、
「悪い円安」
も緩和されること間違いなし!
影のスポンサーの中国や韓国のアシストにもなるし、どんなもんでしょうかね?
→大手メディアさん