台湾の地震で犠牲となられた方々にご冥福をお祈りしますとともに、被災者の皆さまにお見舞い申し上げたいと思います。また、ひとりでも犠牲者が少ないことを祈りたいところです。さて、中国の耿爽(こう・そう)国連常駐副代表は3日、国連の場で今回の地震を巡り、「我々は国際社会の同情と懸念の表明に感謝します」と述べ、台湾政府がこれに抗議したのだそうです。災害時に政治的主張を持ち出す神経、理解に苦しみます。
目次
台湾支援をお考えの方はご協力を
3日午前に発生した地震で台湾に多くの被害が生じており、犠牲となられた方々にご冥福をお祈りしますとともに、被災者の皆さまにお見舞い申し上げたいと思います。また、ひとりでも犠牲者が少ないことを祈りたいところです。
これについては『日赤が台湾への支援金受付を開始』でも取り上げたとおり、日本赤十字社も支援金の受付を開始しているところですので、もしも台湾への支援をお考えの方は、是非ともご協力を頂けると幸いです。
岸田首相と蔡英文総統・頼清徳次期総統がSNSでメッセージやりとり
さて、この台湾地震に対しては、岸田文雄首相自身が台湾に向けて、X(旧ツイッター)で「お見舞い」を発信しています。
これに対し、台湾の蔡英文(さい・えいぶん)総統、頼清徳(らい・せいとく)次期総統が相次いで反応を示しています。
この点、日本政府は台湾を「国家」とは認めておらず、また、中国政府による「台湾は中国の一体不可分の領土」とする立場を「尊重」しているため(外務省『日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明』等参照)、日台首脳が公然と会談を行うことは困難です。
しかし、インターネットの発達の影響もあってか、今やこうやって公然と、SNS上でメッセージを取り交わすことは可能です。
SNS上でメッセージを取り交わせるということは、ウェブ会議システムでも使えば、公然と首脳会談が実施できる、ということではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
中国・国連常駐副代表「国際社会の同情と懸念に感謝」
さて、それはともかくとして、ちょっと唖然とする話題があるとしたら、これかもしれません。
耿爽大使在安理会儿童与武装冲突公开会上的发言
―――2024-04-03 15:55付 中国国連代表部ウェブサイトより
中国の国連代表部ウェブサイトによると、耿爽(こう・そう)国連常駐副代表は同日の国連「子どもと武力紛争に関する安全保障理事会の公開会議」での演説で、「国際社会の同情と懸念の表明に感謝する」、と述べたのです。原文は以下の通りです。
「最后,刚才有代表在发言中提到中国台湾地区发生的强烈地震。中国大陆方面对此次地震造成的伤害高度关切,已向受灾的台湾同胞表示诚挚慰问,并愿提供协助。我们感谢国际社会表达的同情与关心。」
1秒たりとも台湾を支配したことがない中国共産党が「中国台湾地区」という表現を使うことの厚かましさにも驚きますが、それ以上に呆れるのが、台湾の地震を受けて、「我々は国際社会の同情と懸念の表明に感謝します」、のくだりではないでしょうか。
何を勝手に台湾の主人として振る舞っているのでしょうか。
少なくとも日本を含めた世界各国が示しているのは、あくまでも台湾に対するお見舞いであって、中国に対するお見舞いではありません。この耿爽氏の発言からは、地震という未曽有の災害をも政治的に利用しようとする意図がありありと見え、正直、厚かましいと言わざるを得ません。
台湾外交部はこの発言を「恥知らず」と抗議
ちなみにロイターによると、台湾外交部も4日、この発言に対し、「国際社会の認識を操作するために地震を利用するのは『恥知らず』だと抗議」したのだそうです。
台湾、中国を「恥知らず」と非難 地震へのお見舞いに中国が謝意
―――2024/04/04 19:50付 Yahoo!ニュースより【ロイターより】
正直、「ひとつの中国」というプロパガンダを振りかざすのも、たいがいにした方が良いのではないでしょうか。
国際社会が災害時に助け合うのは常識です。
たとえば日中が仮に政治的に対立していたとしても、あるいは関係がギクシャクしていたとしても、中国で地震が発生した際にはもちろん私たち日本人の多くも義援金を送ろうとするでしょうし、逆もまたしかりです。
中国が普段から「ひとつの中国」という政治的主張を持っていることは事実ですが、それをこういう機会でも振りかざして良いのかといえば、そこもまた微妙でしょう。というのも、この手の発言は却って台湾国民の感情的な反発を招き、中国が望んでいる「祖国統一」の妨げとなるからです。
このあたりの発言の無神経さは、民主主義を知らない中国ならではのものだ、といえるのかもしれません。
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中国がこれを言わなければ台湾が自治をしていることを認めることになり、言ったら言ったで現地の反発や、近隣や無関係の地域からの冷たい反応を引き出してしまう。中共としては、どちらの対応がダメージが少なく済んだのでしょうね。
少なくとも実効支配は完全に失敗している上に、こういう時にゴリ押せる実力はイマイチ伴わず、周囲の賛同を取り付けられるような外交もしてこなかったわけですから、「中国は台湾を統治している」という主張が完全に現実離れしているのを証明された格好。
だからといってお構いなしで今まで通りの態度でしょうが、「中国って意外と逆らっても平気じゃん?」と、日米を始めとした対立国より、舎弟……おっと、友好国にそう思われると。台湾支配だけでなく、拡がったかに見えた一帯一路・中国陣営が、長期的に見てヤバそうです。
自分勝手なことを言い張ると、場違いな所で、不適切なことを言わざる得なくなる、という典型例ですね。
中国は台湾への義援金をくすねて、自分のものにしちゃいたい?
そりゃ、お礼を言うよね。。。
中国の国連常駐副代表としては、中国国内と習近平国家主席向けに、あういう発言をしたのではないでしょうか。(国連常駐代表は、後々、問題になる危険性を考慮して、副代表に発言させたのかもしれません。もちろん、副代表が代表を追い落とすための点数稼ぎということもありますが)
謝意を伝えるなど、今までの盲点でした。セコい手だと思いますが。
パンドラの箱を開いてしまいましたので、今後は台湾で災害が起こる度に謝意を表明「しなければならなく」なり、そのたびにあからさまな欺瞞を口にする国家であることを再認識させるのでしょう。
台湾の「恥知らず」という批判はスジがいいと思います。
離婚した奥さんの誕生日会に、
「みなさん集まってくれてありがとう」
と遠くから元夫が電報を打ってきたような?
まだ離婚協議中だから!という立場なの?
だっさ。
喧嘩して別居中だけど、困ってるならなにも言わずに金一封置いてくるくらいならまだ、可愛げあるのになあ。
どっかのアニメの二期で
とっくの昔に辞めた監督が「酷い出来になった事」を謝罪する
という出来事があった気がする
岸田首相のXの文面。
冒頭がさりげなく『「台湾」の皆さんへ』となっていますが、
もう一歩踏み込んで
『親愛なる蔡英文「総統」閣下』とやったら
件の大使、
『「わが国への」お見舞いに感謝』と
素直に受け取ってくれたろうか(笑)。
>『親愛なる蔡英文「総統」閣下』とやったら
彼の国が何か言う前に、CN付きそうですね。
「前」が抜けてますよ、ってのと、現任者で無い人に向けたものであれば、私的なものになるよ、って。
蔡さん、まだ任期中だったと思うが、
そうですね。台湾は、前任者の任期が長いですね。
余談ですが、今回、同じ政党だから余り問題ないかもしれませんが、ライバル政党になることが決まっていて、かつ、議会が優勢だったら、最後にいろんなこと出来るかもです。隣の国が、そんなことやって、検察の力を弱めたり、大統領が辞めた後、捕まらないような法案作ったりとか。
お陰で、尹さん、手も足も出せない。
横から失礼します。
伊江太様ご指摘の通り、蔡英文(さい・えいぶん)氏は現在の台湾総統で、任期は今年5月までです。頼清徳(らい・せいとく)氏は「次期総統」です。
これはまた台湾パイナップルとか買うぐらいしますか。私には義捐金を出す器量は無いが動いている経済をなるたけ回して間接的に気にかけるぐらいは出来ます。
岸田首相のXのポストに使われている漢字が興味深い。
「臺灣」 ではなく 「台灣」 なのは、台湾人でも 「台灣」 と書く人が多いから、敢えてそうしたのか?
「日本國」 「總理」 ではなく 「日本国」 「総理」 なのは、固有名詞だからか?
台湾の今回の地震を受けて、中国が対台湾の軍事行動を活発化させていたら、なおさら恥知らずコメントってなりますね。
「恥知らず」と言われても
我々とは全く異なる「恥」の概念なのか、
そもそも「恥」の概念が無いんだから仕方ない。
相手の弱みに付け込むのをうっかり忘れてしまったら
かなり恥ずかしいのかもしれません。