自民党が14日、外交部会と外交調査会の合同会議を党本部で開催し、韓国の(旧)ホワイト国からの除外や日韓通貨スワップの停止などの「対抗措置」を求める声が相次いだのだそうです。ただ、偉そうに沿う議論するのは良いのですが、こうした議論がただのガス抜きになっても困ります。そもそも論として、こうした主張が出て来るタイミングも遅すぎます。韓国への対抗措置を「議論」する局面は過ぎ、「実行」しなければならない局面が到来しているからです。
自民党部会で対韓対抗措置論
ただのガス抜きになってしまうのは困りものですが、いったいどうなのでしょうか。
産経ニュースの次の記事によると、自民党は14日、外交部会と外交調査会の合同会議を党本部で開催し、日韓関係などについて議論したそうです。
「韓国をホワイト国から除外すべき」日本企業の供託金没収 自民部会が対抗措置を議論
―――2024/03/14 11:19付 産経ニュースより
とりわけ注目に値するのは、自称元徴用工問題で日立造船の供託金が韓国の裁判所により没収された件に関連し、「出席議員から対抗措置を求める声が相次いだ」、とするくだりでしょう。
産経によると外務省は2月21日、岡野正敬事務次官が韓国の尹徳敏(いん・とくびん)駐日大使を外務省に呼び、「日本企業に不利益を負わせるもので極めて遺憾」などと「厳重に抗議」したのだそうですが、これに対し合同会議では複数の議員から「より強い対応を求める意見が上がった」、などとしています。
韓国による違法な日本企業の資産没収という事態を前に、対抗措置ひとつ講じずに、なにが「厳重抗議」かと驚きます。
自民党の議論は周回遅れ
ただ、外務省が情けない組織であることは論をまちませんが自民党も正直、対応が遅すぎますし、議論も周回遅れです。
産経によると自民党の合同会議で出て来た「より強い対応」の例としては、たとえば▼韓国を輸出管理上の「グループA(旧ホワイト国)」から除外する、▼日韓通貨スワップを停止する――などの意見が上がったのだそうです。
しかし、これらの対抗策については、たとえば当ウェブサイトでは『数字で見ると日本が韓国への制裁をためらう理由はない』などでもいち早く指摘したとおり、正直、日韓関係問題に関心がある人であれば、誰もが思いつくような内容です。
というよりも、2018年12月に発生した火器管制(FC)レーダー照射事件に関する真相究明が終わっていないなかで、これに関して何も言及がない点は理解に苦しみます。
日本の側から韓国に対し、「あの事件はどうなった?」と蒸し返したうえで、日韓ハイレベル防衛交流を再び中止してしまう、ということも可能だからです(というよりも、本来ならば、日本政府は今すぐそれをやらなければならないわけですが…)。
さらには、たとえば「韓国国民に対するビザなしでの日本への入国に制限を加える」、といった措置は、経済制裁に関する法制を使わなくても十分に実行可能です。こうした制裁を、日本政府は明らかに、十分に検討していません。
数字で見て韓国への制裁をためらう理由はない
産経ニュースはこれについて、ある議員がこんなことを訴えたと述べます。
「日韓関係は日本側から荒立てることはしてこなかった。韓国の方でこんなことをするのであれば、日本にはこういう(対抗)カードがあるのだと、一度、整理すべきだ」。
この発言をした議員の真意はよくわかりません。
ただ、この「日本側から荒立てる」、とは、いったいどういう見識なのでしょうか。
そもそも論として、事を荒立てているのは韓国の側であり、これに対して必要な対抗措置を講じない時点で、日本は国家ではありません。しかも、日本政府が「このラインを超えたら対抗措置を講じる」と予告していたわけですから、日本政府が対抗措置を講じないこと自体、理解に苦しむところです。
このあたり、外務省関係者は、「現在の韓国は日本にとって、北朝鮮問題などで連携を取るべき重要な相手だ」、などと言い出すかもしれませんし、前任の文在寅(ぶん・ざいいん)政権時代と異なり、現在の尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権は「親日的だ」、などと述べる者もいるようです。
しかし、「北朝鮮に対する日韓連携」と「韓国による国際法違反」は論点としてはまったく別ですし、そもそも国際法に違反し、日本企業の資産を平気で没収するような国が「親日国家」であろうはずなどなく、ましてやそのような国を連携相手として、心から信頼することができるというものでもないでしょう。
それはともかく、現在はすでに韓国への対抗措置を議論している局面ではありませんし、『数字で見ると日本が韓国への制裁をためらう理由はない』でも指摘したとおり、そもそも論として「数字で見て」、日本が韓国に対する制裁をためらう理由はありません。
日本が韓国に講じることができる「対抗措置」はすでにいくつも挙がっているわけですから、つべこべ言わず、対抗措置を実施すべきでしょう。
そして、外務省などが主導してきた「日本が韓国に譲歩すれば万事丸く収まる」式の解決策については、そろそろ外務省とともに日本から除去すべきではないか、などと思う次第です。
View Comments (22)
自民党総裁が検討使ですから、少なくとも変わるまでは新宿会計士様が懸念されても無理な気がしています。
対韓強硬論を野党が唱えて衆院選で大敗とかあり得ないですし・・・。
DEEPBLUE さま
>対韓強硬論を野党が唱えて衆院選で大敗とかあり得ないですし
間違ってそんなことがあったときは、きっと悪い酒を飲んでいたに違いない。
韓国の総選挙結果を見てから、対処の仕方を考えると言う事では無いのかと。
ただのガス抜きと、アリバイ作りでしょうね。
(自民党は「保守」だ、と言う為のアリバイ作り)
何の期待もありません。
どうせ彼らには何もできません。
同様の自称徴用工訴訟はいくつもあって、いくつも敗訴しているんですよね。
日本政府が特に制裁措置を執らなければ、
(現金化がやばいと現金化するする詐欺をやっていたところも)大丈夫と踏んで、
あちらこちらで現金化が発生すると思われます。
「あそこは金をもらっているんだから、こっちもやれ」という突き上げ騒動が起こるでしょうから。
で、結局、日本企業の撤退というセルフ制裁になっていくんじゃないでしょうか。
通貨スワップの停止は日本国民に何も悪影響がなく、直ちに実施すべきと考えるが、輸出管理上のグループ変更は「韓国に輸出する日本企業に対して所定の追加手続を課す」ことになるので日本国民(日本の企業)の一部に不利益が生じるから、区分を変更するのにそれなりの手順を踏んでもらう必要がある。
個人的には、韓国経済は中国経済と密着しているので中国と同じ区分でよいと思うけど。
甘やかして育てた子供はどうなるか、賢明な人なら十分理解している筈ですが、外務省や自民党の政治家は理解していないように思われます。
情けは人の為ならずと言いますが、韓国に限っては、返ってくるのは仇しかないように思います。
揉め事の責任を取りたくない外務省には、譲歩して収めるという事なかれ主義が染みついているようですので、ここは政治家の出番なのですが。
>揉め事の責任を取りたくない外務省には、譲歩して収めるという事なかれ主義が
>染みついているようですので、
対立を嫌い、揉め事を嫌い表面的な和平で過ごそうとする事勿れ主義は、外務省や
自民党の特質ではなく、日本人全体の基本的な性向でしょ。
国益を担っている人達が庶民と同じ感覚では困るのですが・・・。
韓国人て困らなければ動きません。
いや、困っても文句を言うだけで動きません。
日本からなんとかしろと言っても、動くはずがありません。
常識です。
ただ、動かなければ死ぬ状況になって初めて動き始めるのです。
いや、李氏朝鮮をみてたら このままなら死ぬ状況でも動かない様に思えます。
触らぬ朝鮮人に祟りなし
関わりを持たないのが一番かと。
今の世界情勢だからこそ、国際法や国家間条約や国家間合意を一方的に破棄するとどういう目に遭うかを教えてあげるのが本当の優しさや未来志向の日韓関係なのではないでしょうか?
「ホワイト国から除外・スワップ停止」程度なら元通り通常の国としての扱いに戻るだけで制裁にも報復にもなり得ません。
既に韓国経済や産業は日本の意図するところとか関係なく破綻するのは確定なのですが「ホワイト国から除外・スワップ停止」ぐらいだとまた生き残り「日本にやられたから破綻した」とか妄言吐かれます。
きっちり引導渡してあげるのが本当の親切だと思います。
自民党があまりに手ぬるすぎてため息をつきたくなるのはいつもの事。
野党に到っては手ぬるいどころかもっと韓国に優しくしろと言う始末。
韓国に厳しくしろと言う党は弱小過ぎて戦力になりそうもない。
まだまだイライラの時代が続きそうですね。
これでも十年前、二十年前に比べれば随分マシになったのですが……
まず、ホワイト国からの除外は、除外したところで然るべき手続きを踏めば韓国が購入出来るので制裁にも何にもなりません。
そして、徴用工問題があったから除外したのではなく、あくまでも管理の杜撰さが確認され改める態度も見せなかったからです。
それでも、それ以前の日本なら、まだ辛抱強く、あるいは温情出して事情を聞こうとしたわけですが。
相次ぐ韓国の、信頼出来ない真似によって、そんな温情も無くお役所的冷淡さで除外したというだけです。
この辺の認識からして、ホワイト国とか言った自民党議員は話を理解しているのかと思います。
何らかの形で、制裁はするしかありませんが。やるなら、以下の条件を満たす必要があります。
①韓国側に問題解決をする意思が無く、極東情勢にとってマイナスであることを第三者に立証出来ること
②北朝鮮、中国、ロシアに対し、極東情勢に付け入る隙を与えないこと
一番ハードル高いのが、①の立証でしょう。
拙速な動きをすれば、韓国は「今勉強しようと思っていたのに」レベルの幼稚な言い訳で、日本に責任を転嫁し、混乱をばらまく可能性が高いと思われます。
じわじわと、経済支援や話し合いの場を削っていきつつ。
その上で、幾ら時間を与えても、韓国が動く様子が無い。すなわち、韓国に問題解決の意思が無い。という様を立証するぐらいしか、自分には思い付きません。
処理水放出と同様に、目立った動きが見えるのには時間が掛かると思います。
ホワイト国から除外して輸出規制を強化したところで規制対象は韓国に輸出している日本企業であって韓国(内の取引先企業)に実損がないのはそのとおり。対抗措置どころか日本の自爆にしかならない。そもそも経済制裁は肉を斬らせて骨を断つ類のもので、制裁を打つ側も痛手を被るのは今回の対ロ制裁を振り返るまでもなく、貿易相手国としてシェアは大きくないから経済制裁を打っても問題ないなどと威勢のいい方々は企業の経済活動や家計に与える影響に疎いというか関心がない。
幸か不幸かわが国にはかの国を祖国とする方々が一定数在留していて、彼等を対象にして出来ることも色々とある。わざわざ対抗措置ですとアナウンスする必要もないし、こういうときには中国のやり口も参考になる。事務方が上申したところで岸田氏や上川女史に実行する胆力はないだろうが。
ほぼ同感です。
威勢のいい方々は、気付いているかどうかはともかく、日本側の痛手というものには関心が無いんでしょうね。
所詮、他人事なので、自分の懐が痛まないなら幾らでも制裁をしろと言えるのでしょう。それが、有効打にならない方法だったとしても。
以下の一文は、あなた向けの返信ではなく、誤解している人がいるかもという人向けです。
自分が言っているのは、だから制裁するなという話ではなく、有効な制裁をしろという話です。
岸田総理らの対応については、自分はちょっと評価違います。
日本側からは特に何も言っていないですが、岸田総理の3月訪韓とか出ていた話が無くなりました。
韓国側が勝手に言って、勝手にそんな話は無い誤魔化したにしろ。日本側からキャンセルしたにしろ。
供託金の不正流用という問題は、首脳同士が会えば避けては通れない話であり、それが理由で他の話も滞るわけです。
韓国政府としては、話に上げられたくないでしょうしね。
結果、韓国側が逃げる。日本側も相手にしない。
そうして関係が細くなっていく、静かな制裁は、もう既に始まっている可能性があると見ています。
「実質的に制裁にならない」
のであれば、制裁を止める理由は無い理屈では?
日本は韓国に制裁する。(気が済む)
韓国はそれに反対しない。(困らない)
それで全て丸く納まる訳でして。
匿名野郎のくせに、いいことを言いますね。
思わずレスコメしちゃいましたわ。失礼。
・・・んな訳ねーだろ。(笑)
なんにも考えないで、脊椎反射で
「ヤメテー」
と書き込んでもいいことなにも無いと思います。
(制裁しても韓国にデメリット無いじゃん、という結論なんだもん。)
あなたみたいに、言っていることをまともに理解出来ない人が出てくるだろうと思ったので、上のコメントでも書いた訳なんですが。案の定ですか。
もう一度書きます。自分の主張は「有効な制裁をしろ」という話です。
きちんと、韓国にデメリットのある制裁をしろという話が、何で「ヤメテー」などという話になるんですか。
日本からの与信額で見た場合ほぼ切れていますよね。
朴槿恵さんの時からある意味、敵対関係に近いことを10年近くされていたのでまともな会社はデカップリングにそなえているわけですね。
更に大韓民国のあくまでも他人のせいにする気性からか考えると強い制裁が必要でしょうね。
10年からの不安定を了見できない経営者は見捨てても良いと言えます。
最も最悪はイランのようにある日突然国交がなくなる場合もありますからね。
中国べったりですのでイランの二の舞でしょうか?
当時、大きな企業はかなり痛手を受けたので学んでいますよ。
体力のない中小零細企業ならなおさら注意していないといけないのですけどね。