XなどのSNSを通じて、一般人が気軽に情報を拡散できる時代が到来すると、事件、事故現場に「偶然居合わせた一般のユーザーがスマートフォンで現場の様子を撮影してXにポストする」、といったことも一般化してきました。ところが、こうしたユーザーに対し、テレビ番組取材班などが取材を申し込んだところ、一般人がにべもなく断る、という事例も出て来ているようです。
目次
「新聞に載った!」「テレビに出た!」が話題になった時代
「不特定多数の人々に向けて日々の出来事を伝える」、というのは、ひと昔前だと、新聞、テレビといったマスメディアの仕事でした。
昭和時代に生きた方々であれば、「新聞に写真が掲載される」、「テレビに出る」というのは、本当に非日常的で光栄な話だったのではないでしょうか。
すなわち、もしもテレビに出ようものなら、それだけで下手をしたら一生ものの名誉だったかもしれませんし、少なくとも数日は、職場、学校、ご近所様などでは、その話題で持ち切りだったのではないでしょうか。
たとえば、1970年代の静岡県清水市(現・静岡市清水区)を舞台にした、「丸山ちび子」さん(仮)一家に関するドラマでは、同居するおばあちゃんがローカルテレビ局の朝の情報番組を見ていて、「知り合いが出たよ!」と家族を呼ぶシーンがありました。
また、著者自身も子供のころ、従妹らが地元自治体の清掃ボランティア活動に参加した際、取材に来ていた地元新聞のカメラマンに撮影されていたらしく、その写真が地元紙の1面トップに掲載されたのですが、彼女はそのことを誇らしく感じていたらしく、その写真が彼女の結婚式で飾られていたのを記憶しています。
さらに、飲食店を営んでいる著者自身の知り合いでは、テレビの情報番組、雑誌の紹介記事などで店が取り上げられたら、それによって客がたくさん来てくれるという意味で、かつては新聞、テレビ、雑誌などの取材は「大歓迎だ」、と述べていたのを記憶しています。
SNSの発達で、誰もが気軽に投稿できるようになった
ただ、昨今だと、こうした「新聞、テレビの非日常感」は、かなり薄れて来ているのではないでしょうか。
その現象の最たるものといえば、X(旧ツイッター)などのSNSが発達したことで、それこそスマートフォンがひとつあれば、私たち一般人でも、それこそ気軽に写真を撮影し、投稿することができるようになったからです。
たとえば、山手線の駅名を冠した「会計士」と自称するXアカウントの持ち主も、以前から街中で見かけた写真であったり、検索エンジンの検索結果であったり、といった画像を、Xに頻繁にポストしているようです。
この怪しい自称会計士でさえ、頻繁にポストできるのですから、通常のXユーザーもそれなりに多くの情報を投稿することができると考えられます。
テレビの取材申し込み、本当に失礼!
そうなってくると、真っ先に出てくる影響は、「事件・事故報道の価値」の低下ではないでしょうか。
「報道する」という機能が新聞やテレビに限られていた時代だと、なにか事件、事故が発生したときには、新聞記者・新聞社カメラマン・テレビ局取材スタッフなどが現場を訪れて取材活動をしたものです。
しかし、事件や事故は、それこそ24時間・365日、さまざまな場所で発生しているものであり、それらのすべての現場にメディア関係者が出掛けることはできません。
そうなると、現場から臨場感あふれる写真・動画を配信するのは、新聞社、テレビ局員などではなく、その場に偶然居合わせた、スマートフォンを持った一般人である、というケースも増えてきます。
そして、これらの一般ユーザーが投稿した事件、事故の画像や動画に対し、最近だとテレビ局取材班などが取材を申し込んでくるケースも増えました。たいていの場合は、こんな感じの文面です。
「突然のご連絡大変失礼致します。『(番組名)』スタッフです。現在、昨日の事故の影響を調べており、お手数ですが、当アカウントをフォローの上、昨日の出来事について可能であればDMでお話を伺えないでしょうか。ご検討宜しくお願い致します」。
本当に、失礼です(笑)
テレビ局員にとっては、「お前、テレビに出してやるからありがたいと思え」、とでも思っているのかもしれませんが、実際、取材申し込みはこんな文面で、かなり無礼、あるいは高圧的なものが多いです。
一般ユーザー「おたくの番組を信用していないのでお断りします」
ただ、テレビ局から直々にお声をかけてもらって、一般ユーザーがそれで喜ぶ時代なのかといえば、そうでもないようです。
昨日、つまり2月4日は、首都圏ではずいぶんと雪が降ったのですが、これに関連し、乗車していた鉄道路線が雪の影響で止まってしまい、大幅に遅れて5日の朝9時25分にやっと新宿に着いた、というユーザーがいました(長旅、大変にお疲れさまでした)。
こうしたなか、このユーザーの方に対し、テレビ局が「自身のアカウントをフォローしたうえで、話を聞かせてほしい」と、取材を申し込んできました(どうでも良いですが、どうしてテレビ局の取材申し込みの文面は、ここまでソックリなのでしょうか?)。
ところが、このユーザーの方は、「おたくの番組を信用していない」として、即答で取材を断ったのです。
なかなかに、気持ちの良い断り方です。
いちおう、Xの規約上は、Xに投稿した内容をXの機能(リポスト、引用リポスト、返信、ウェブサイトへの埋め込みなど)により拡散することは自由ですので、もしこのテレビ番組が「みずからのXアカウント」などを使ってリポストするなどすれば、ポスト主の許諾なしにコンテンツを利用することは可能です。
ですが、テレビ局の場合はポストされた内容そのものをテレビカメラで映し、それをテレビで流すつもりなのでしょうから、こうした形式だとXへの投稿者の許諾を得る必要があります。そして、投稿者が「お断りします」といえば、このポストを無断でテレビ放送に使うことはできない、というわけです。
ひと昔前であれば、滅多にないテレビ局からの取材要請を断るということは考え辛かったのかもしれませんが、現代社会ではこのように、「テレビ局の取材を断る」という事例が普通に生じているというのも興味深いところでしょう。
当日の朝、出演依頼が来ても対応できませんので、あしからず!
ちなみに山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士のもとにも、テレビ局から「本日夜収録の番組にコメントを頂けませんか?」、「本日夜の番組に電話で出演していただけませんか?」、といった無礼な依頼が、年に1~2回は来ます。
こんな弱小ウェブサイトの主催者に取材を申し込まないといけないほど、テレビ業界もすっかり落ちぶれてしまった、というわけでしょう。
ただ、現在までのところ、こうした取材申し込みについては、(一部を除いて)基本的には謹んでお断りしていることが多いです。その理由はもちろん、多くの場合、取材が唐突過ぎるからです。
もちろん、条件さえ合えば、コメントを出すくらいであれば協力するのにやぶさかではないのですが(実際、書籍を出版した際、産経新聞社が運営するウェブサイト『zakzak』にコメントを出したことはあります)、某テレビ局のように、その日の朝になって、「今日の夜に収録するから予定を開けておけ」、は、さすがに失礼でしょう。
いずれにせよ、新聞社やテレビ局といった「大メディアの権威」の凋落は、想像以上の速度で進んでいるのかもしれません。
View Comments (15)
「おたくの番組は信用してない」NHKに言ってみます。
>「おたくの番組は信用していない」
これ、間に"番組"が入っているうちは未だいいですが、番組が抜けたらどうなるか?
怖い!
>これ、間に”番組”が入っているうちは未だいいですが、番組が抜けたらどうなるか?
全てのメディアに向けて使えます。
Aさんは、税理士です。
Aさんは、言われました。
1、あなたの運転は信用できない。(運転が下手)
2、あなたの税務処理は信用できない。
こう言われた時、Aさんはどうしなければならないでしょう?
税理士辞めなきゃならないですね。
それでも、税理士を続けていたら、何と言われるか?
3、あなたは信用できない。
税理士が大嫌いなご様子ですが、何を仰りたいのか意図が全く読み取れないです。
セクシー◯◯さま、ひのえうまさま
>「おたくの番組は信用してない」
番組を作ることを生業・正業としている会社の番組が全部信用できないとなると、結局、
「おたくは信用していない」
ということになりませんか?という意味です。
例えが悪くて分かりにくかったですね。
因みに、税理士さんには何の思い入れもありません。
尚、税理士さんの運転の件は、本業・正業以外の事が上手く無くても、下手だね、くらいで済みます。が、これが、運転を生業としている人であれば、運転の仕事辞めた方がいいね、になるのでは?ということです。
従って、番組作り屋さんが、あなたの番組信用できないねと言われたら、大問題なのでは?
テレビカメラで配信しなくても、ネットで配信できる。むしろ、ネットの方が何度でも視聴できる、ということでしょうか。
もっとも現場に近い事実に近い1次ソースはネット投稿以外にあり得ないと誰もが知っています。
ですから TV 放送などは獲物をぱくるトンビ集団にすぎません。信用されないのはそのせいです。
かつては「TVで紹介されたところだから」なんて言われてましたけどね・・・
まぁ自分も同年代ですけど50代以上の人にはまだ少し有効かな?
札幌市営地下鉄もハングル併記で見るたびに得体の知れない不安感に襲われます。
併記は英語だけにしてほしい・・・。
もはやテレビに出た所で「それがどうした!」な時代ですからねえ。
自分の作品なり主張なりを広めたかったら、YouTubeに動画投稿すれば良いだけですし。
テレビよりもはるかに自由にやれる、上手くやればテレビよりはるかに儲かる。
これで今でも「テレビに出してやるってんだぞ!?なんで有難がらないんだよ!?」と
言う態度なのは、業界全体に「謝ったら負け」な雰囲気が蔓延しているんでしょうね。
家族の関係もあり、かなり減ったとはいえいまだにTVを見ている者です。
今回の能登半島地震報道について報告させて頂きますと、相変わらず避難所に入り込んで、ぼかし無しのプライバシー無視映像、コインランドリーでの洗濯物ドアップなど閉口するものでした。
支持率とかイロイロ言われますが、随分前に投稿したにですが、TV業界や新聞にに対しての回答率ですよね。 数年前は読売新聞ではチイチャイ文字(蟻くらい)で回答率(当時でも10%代)を出していましたが・・・。
数年前。携帯にも時々来て、ここでナンバーを表示し「注意報!」を出したのですが、新宿会計士様に削除されました。
実家の留守電に良く入ってます。某新聞社から。
留守電を聴くに自動音声方式のようです。
士業相談会にも来てました。
相談者の了解は取るけど、回答側の我々の了解は取らないのは失礼だと思います。我々にも肖像権、テレビに映らない権利は有ります。自称国営放送局様、猛省して下さい。
テレビを盛り上げようと意気込んでいますよ。
YouTube:
https://youtu.be/IRFuNO2Ks6Y?si=8uMOk4lL2dtEJU-i
ヒダリよりの偏向報道がますます酷くなりそうですね。
「自称」市民団体の正体がもろバレな時点で。これでは増々TVの寿命が縮まりそうですね。