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日本国民の中露両国に対する親近感と意識は過去最悪に

『外交に関する世論調査』の最新版レポートからは、日本国民の中国、ロシア両国に対する意識が過去最も厳しい水準に落ち込んだことがわかりました。中露両国に対し親しみを感じる人の割合、関係が良好だと考える人の割合がいずれも過去最低水準となる一方、親しみを感じない人、関係が良好だと思わない人の割合が増えたのです。一方、諸懸案がほとんどまったく解決していないはずの韓国に対しては、日本国民の意識が改善したというのは、個人的にはかなり衝撃的な結果です。

外交に関する世論調査とは?

内閣府は『外交に関する世論調査』という調査を、ほぼ毎年、公表しています。

「ほぼ毎年」、というのは、実施・公表されるタイミングが安定せず、たとえば2015年や2020年のように調査自体が公表されない年や、2016年のように2回公表される年があるからですが、ただ、1978年以降で見れば、だいたい年1回程度の頻度で公開されています。

その最新版が19日、内閣府ウェブサイトに掲載されました。

外交に関する世論調査(令和5年9月調査)

―――2024/01/19付 内閣府HPより

今回公開されたのは、2023年9月時点で実施された調査の結果であり、現時点では詳細版データなどはまだ公開されていませんが、著者自身が手元に保有している1978年以降のデータとあわせて、その概要を確認してみたいと思います。

総括表:3つの視点で見る米中露+韓国

この調査で毎年出て来るものとしては、米国、ロシア(1991年まではソ連)、中国、韓国の4ヵ国に関する①親近感、②関係の良好さ、③関係の重要さ――に関する認識を問うというものですが、これをグラフ化したものが、図表1です。

図表1-1 4ヵ国に対する親近感

図表1-2 4ヵ国との関係が良好と思うかどうか

図表1-3 4ヵ国との関係が重要かどうか

(【出所】『外交に関する世論調査』をもとに作成。特段の注記がない場合は以下同じ)

これは、大変わかりやすいグラフができあがりました。

相手国に対する好意的な反応(「親しみを感じる」、「良好だと思う」、「重要だと思う」など)を青系統、ネガティブな反応(「親しみを感じない」、「良好だと思わない」、「重要だと思わない」など)を赤系統で示すと、米国が総じて青く、中国・ロシアが総じて赤で、韓国がその中間、といった具合です。

とりわけ①親近感と②関係の良好さに関する認識に関しては、中露両国は真っ赤であり、「親しみを感じる」、「良好だと思う」の回答がほとんどありません(「親しみを感じる」は中国が2.1%、ロシアが0.7%で、「良好だと思う」は中国が0.5%、ロシアが0.1%です)。

しかも、「どちらかというと」を含めても、①親近感に関しては中国が12.7%、ロシアが4.1%に過ぎず、また、①「良好だと思うかどうか」に関しても中国が5.6%、ロシアが2.4%に留まっています。

これに対し、③の重要性に関する認識に関しては、両国ともに、「重要だと思う」の回答割合が増え、中国が28.7%、ロシアが18.9%であり、また、「どちらかというと」を含めれば、中国は68.2%、ロシアも51.8%に上昇します。

いわば、日本国民は中国、ロシアに対しては「①親しみを感じないし、②現在の関係が良好だとも思わないけれども、③関係は重要だ」、と認識している、という姿が見えてきます。

米国の状況

続いて、各国の状況です。

ここでは①親近感と②関係の良好さに関する認識の2項目について、比較可能な過去からの推移をグラフ化してみます。ただし、単純化のため、「どちらかといえば」の項目をグラフ上は合算表示しているほか、調査方式が異なる年のデータもグラフに織り込んでいる点についてはご注意ください。

(※内閣府の元資料には、「令和元年10月調査までは、調査員による個別面接聴取法で実施しているため、令和2年10月調査以降との単純比較は行わない」との注記がありますので、データの単純比較は純粋に当ウェブサイトの加工である点にはご注意ください。)

まず、米国に対しては、日本人は総じて良い印象を抱いており、また、日本国民も米国との関係は良好だと認識していることがわかります(図表2)。

図表2-1 米国に対する親近感

図表2-2 米国との関係の良好さ

これも、非常にわかりやすい傾向です。

米国に対する親近感は、ごく一部の年を除き、一貫して7割~8割程度で推移していましたが、近年、特に高まっており、現在ではじつに87.4%の人が米国に対して親しみを感じていることがわかります。また、米国との関係についても、9割近くが「関係は良好だと思う」と答えています。

中国の状況

これに対し、中国もまた別の意味でわかりやすい状況が生じています(図表3)。

図表3-1 中国に対する親近感

図表3-2 中国との関係の良好さ

なんと、中国に対する親近感も、中国との関係が良好だと思う人の割合も、どちらも過去最悪水準となりました。

とりわけ親近感に関しては1978年に調査が始まって以来、過去最悪で、中国に親しみを感じている人は12.7%と過去最低を更新。親しみを感じていない人は86.7%と過去最高でした。いわば、親近感だけで見れば、米中がちょうど対照的、というわけです。

ただ、中国に対する親近感が最初から悪かったわけではなく、国交正常化直後は1980年ごろに8割近くが中国に親近感を抱いていたこともあったことから、いわば、日中両国の国交が深まるにつれて、日本人の対中意識が悪化していった、という仮説が成り立ちます。

ロシアの状況

さらに凄いのは、ロシアでしょう(図表4)。

図表4-1 ロシアに対する親近感

図表4-2 ロシアとの関係の良好さ

ロシアに対しては親近感、関係性ともに過去最悪を更新してしまいました。

ロシアに親しみを感じない人の割合は95.3%と過去最高で、ロシアに親しみを感じる人は4.1%と過去最低です。また、ロシアとの関係が良好だと思う人も2.4%に過ぎないのに対し、93.5%もの人が、ロシアとの関係を良好だとは考えていないことがわかります。

韓国の状況

最後に韓国です(図表5)。

図表5-1 韓国に対する親近感

図表5-2 韓国との関係の良好さ

韓国に対する親近感は、調査が始まった1978年以来、プラスとマイナスが激しく入れ替わり、直近では韓国に親近感を持つ人の割合が、そうでない人の割合を、再び上回りました。韓国に親しみを感じない人が46.4%であるのに対し、52.8%の人が親しみを感じているのだそうです。

また、韓国との関係が良好だと考えている人の割合は46.1%で昨年と比べ急速に改善しており、良好だと思わない人の割合は49.8%と、依然「良好だ」という回答を上回っているものの、その割合が急落していることがわかります。

このあたり、米国への親近感が高く、中露両国への親近感が低いことは、ある意味では個人的な予想通りでしたが、日韓諸懸案がほとんどろくに片付いていないことを考えると、韓国に対する意識が好転したことに関しては、個人的にはかなり衝撃的な結果だと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (15)

  • >韓国に対する意識が好転したこと

    有効な回答の半数近くが60歳以上の方々であり、「好評価」に振っているのもこの方たちです。
    中露との相対なものだけでなく、大手メディア(工作員?)の影響を受けやすい世代でもあります。

    • あと、半島からの帰化日本人の方から3世代目くらいまでの方がどれくらい混ざってるかで数字が濁りますね

    • 韓国に親しみを感じているのは女性で18歳から39歳ですが?このサイトでは何時も私達高齢者が敵になりますが、マスゴミに影響されない高齢者もいます。

      • そうです。総じて若年層や女性の方が好感的な数値が出ます
        これは対韓国だけでなく、どの国に対してもです
        理由は若年層は相対的に考え方が理想的である事、女性は相対的に平和的、受動的だからでしょう
        女性については想像ですが、多分当たってるでしょう
        若者については自分も若者だった事があるので、これも想像ですがやはり当たってると思います
        若者は「話し合えば相手が誰であれ理解しあえる」と思いがち、思いたがりがちだからです
        人によって違うのは当たり前ですが、若者、女性にはそういう傾向があると思います

        中年以降は長い経験から、ここでは対象がアメリカ、中国、ロシア、韓国ですが、
        各国の傾向が掴め、「あー、やっぱりこの国変わんねーな」と分かるので、悲観的というか現実的な回答になりますわな

      • 私も「あれ?」と思ったので横から失礼します。
        昨年度令和四年度版との比較では、若年層世代の対韓印象は変わっていないんですが、その他の年代ではやや改善し、特に70代以上が大きく改善しています。
        今回の改善を引っ張っているのが70代以上という分析は間違っていないように見えます。

        令和四年・外交に対する調査
        https://survey.gov-online.go.jp/r04/r04-gaiko/#T1

  • 韓国に対する感情が”改善”しているのは個人的にはため息をつきたくなるものの、
    以下の理由で「割と妥当だな」と思っています。

    ①過去の問題は一切解決していないものの、日本のマスコミは必要最低限以下しか
    それらに触れない為、外交や政治に興味のある人以外は印象が薄れてしまう
    ②芸能だの韓流だので死に物狂いでイメージアップを図っているので、
    自力で情報を得ようとしない層はどうしてもある程度印象操作されてしまう
    ③前任者に比べれば今の韓国大統領は死に物狂いで反日行為を抑え込んでおり、
    今のところはレーダー事件の様な”新たな火種”が発生していない

    とはいえ、「嫌韓を叩きたくても叩けない(エビデンス付きで殴り返されてしまうから)」
    状態は継続しているので、マスコミにとって冬の時代が続いているのは変わりませんが。

  • >意識が好転したことに関して

    個人的には、昔から、この4ヶ国以外も含めて世界の各国に対するイメージが変わらないので、この調査のように、毎年こんなに変化することが分からない。

    気が付いたのだが、
    イメージが良い、悪い、何とも思わない
    親しみを感じる、感じない、何とも感じない
    好き、好きではない、嫌い、何とも感じない
    これらの感情は、国に対して感じるものなのか、国民性に対して感じるものなのか?
    質問項目に、もう一つ、脅威を感じるか?というのを入れるとどうなるのだろう。

    • さより様

      >この調査のように、毎年こんなに変化することが分からない。

      こんなに頻繁に相手国へのイメージ、関係への認識がブレるのは、対韓国に限った話。

      経済、外交、安全保障どの分野を取っても、今ではたいていの人が「どうでも良い国」と見做してるからこそ、毎年こんなに変化するんじゃないでしょうか。

      そのときそのときの気分で、ノージャパンと言ってみたり、対日関係をうまくコントロールすればG8(9)入りできるなどと、勝手に騒いでるのを見ても、「ああ、またやってる」くらいにしか感じないから、こちらでも、そのときそのときの気分で、お情けで及第点付けたくなることもあれば、ちょっとこれは落第だなと思ってみたり、そんなところじゃないかという気がします(笑)。

      • 流石ですね。

        もう一つ、

        「どうでも良い国ですか?」

        という質問項目を作れば良いのですね?

        選択肢は、
        ・そう思う
        ・そう思わない
        ・どうでもいい(思慮の外、存在すら認識していない)

  • それぞれの国の数字を眺めて
    もっとも懸念を感じるのは
    韓国への数値です。

    住んでいる身近な町にも、
    チンピラや鼻つまみ者がいることがありますが
    追い出せないのなら、人々が正しく警戒し
    付け込まれないように暮らすことが必要です。
    ところが、
    そんな警戒すべきなのに
    「ええやつやでえ 日本のほうが悪いんや
     もっと歩み寄らな(?)」などと
    おかしな言説流すチンピラのお仲間さんが
    涌いてくるものです。
    韓流汚染された日本のメディアは、これまで
    朝日吉田捏造での自称従軍慰安婦台本の
    劇場型詐欺までを繰り広げてきていて
    日本の韓流政党民主党政権の悪政で痛い目にあって
    さすがにその危険性に気付いて
    近年ようやく、そうしたものを正しく認識し
    安全な距離を取れていたのです。。

    ところが、弱小派閥で総理にしがみつきたい
    岸田が半島とウッシッシをしてしまいつつある中で
    ましてや、ウォン暴落韓国経済崩壊の足音が囁かれているのに
    半島の見栄を張った浪費の付けを
    日本になすりつけようとする悪手スワップまで結んでしまった
    いまこそ、警戒心を高めなければ行けないときなのです。

    それが逆に、好感度が上昇してしまうとは
    ボロが出て衰退しつつあるとはいえ
    韓流汚染の日本の偏向メディアの汚れた影響力に
    あらためて舌を巻いてしまいます。

    • 世相マンボウさま

      私も韓国に対する好感度の回復ぶりこそが問題と思います。
      大統領が少し日本にいい顔するようになっただけで、しかも実際には日本に対してはたいしたことしてないのにこんなに好感度が回復してしまうところに、日本人はお人好しというかだまされやすい人が多いなと思ってます。
      最近、私がよく見ている李相哲テレビではこのところ李在明襲撃事件について何回か取り上げているのですが、李在明の様々な支離滅裂な説明を多くの韓国人やマスコミがそれほど問題視していないところを見ていると、韓国人がいかに嘘つきで、日本とは異なる常識で生きているというのを感じざるを得ません。そうした韓国人の正体をよく理解していないと、韓国マスコミとそれを受けた日本のマスコミが垂れ流す親韓言説に惑わされてしまいます。

  • 「親しみがある」「親しみがない」は、国に対するイメージと、来日者に対するイメージがあります。
    ロシアと中国は日本を仮想敵としている国ですから 国に対しては「親しみを感じない」が 多数となっても当然。
    来訪するロシア人に対しては あまり多くはないので お酒以外で多くのトラブルはきかない。
    来日中国観光客は マナーが・・・ と 評価されるけど、 いまは評判のいい 海外での日本人旅行者でも、 50年前での海外パックツアーでは 群れる騒ぐ買い物に集中 と、 低評価でした。
    中国人も海外旅行慣れしてくれば マナーも行動も改善してくると思います。中国への親しみと、来日中国人への評価は 別物と思います。
    韓国ですが 一番厄介な存在です。
    ロシア、中国のように反日国なら反日国なりのおつきあいができますが、反日政権と用日政権が拮抗し 国の政策がコロコロ変わる国とは 信用してお付き合いすることはむずかしいとおもいます。
    日本は 簡単に騙される。ほんと政治家も役人も、経済界も学習しない 嘆かわしいです。
    来日韓国人数が最多のため その中のわずか一部の人だと思うのですが 寿司テロ捏造、日本女性を侮蔑、また海外での日本人に成りすますなど いいイメージがもてません。
    「若い世代で韓国への親しみが高い」
    とのことですか。
    歴史をちゃんと伝えないからこういうことになるんですね。
    うちの年寄りはよく言っていましたよ。
    終戦直後 日本の治安組織が弱ってるとき、戦勝国顔して朝鮮人が渋谷で暴れまくった。警察が手を出せなくて 安藤組が渋谷を守った。戦争、空襲で所有者不明になった土地を不法占領。そういうこと若い人は知ってるのですかね。

  • 韓国へはそんなに心配していません。
    反日捏造教育を強力に行っている韓国ですもの焚きつけるのはマッチ一本で十分。
    次回大統領選挙が楽しみです。
    間違い無く最高の結果を出してくれるでしょう。
    ※心配なのは野党党首が首を切られても血が出た居なかったとか。
     んな馬鹿な! バレバレやン

  • 似たようなエントリーがありましたよね。

    中国共産党によれば、
    「台湾の選挙の結果は、民意ではない。」
    同じロジックで言えば、
    「このアンケート結果は、民意ではない。」

    日本の大手メディアは、モノサシは一つにした方がよいですよね。