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菅直人元首相、消費税増税掲げた自身の判断を「反省」

菅元首相が消費税の増税を掲げたことを「大変な判断ミス」と述べた、とする話題を発見しました。ただ、「菅」は「菅」でも菅(すが)義偉総理のことではありません。菅(かん)直人・元首相の事です。産経ニュースによると菅元首相は26日、都内の集会で自身が2010年の参院選で消費増税に言及したことを「大変な判断ミス」としたうえで、「仲間に苦しい思いをさせた」と述べたのだとか。

菅直人元首相、参院選公約で消費増税発言を「反省」

思わず口を衝いて出て来るセリフは、「なにをいまさら」、かもしれません。

産経ニュースの26日付の報道によると、「菅」元首相が都内の集会で、消費税率10%への引き上げを掲げた自身の言動を巡り、「私の大変な判断ミス」としたうえで、「仲間に苦しい思いをさせた」、などと述べたというのです。

菅直人元首相が反省「大変な判断ミス」 平成22年参院選の消費増税発言

―――2023/11/26 22:19付 産経ニュースより

ただ、記事タイトルでもわかるとおり、「菅」は「菅」でも「菅(すが)義偉総理大臣」、ではありません。

「菅(かん)直人元首相」です。

産経ニュースの記事自体は大変に短いので、菅元首相の発言の文脈がいまひとつよくわからないのですが、記事だけで判断するならば、菅元首相は自身が2010年の参院選に際し、消費税率(※合計税率)を10%に引き上げることを掲げたこと自体を「反省した」、と読めます。

合計税率10%に引き上げると述べたことで参院選で敗北したことを「反省している」、とでも言いたいのでしょうか。

政権交代翌年の参院選で議席を減らした民主党

この点、たしかに当時の報道によれば、菅元首相は在任中に、増税に言及しています。

菅首相が消費税引き上げに前傾

―――2010年6月18日1:25付 ロイターより

ロイターは2010年6月18日付記事で、「菅直人政権が消費税増税に大きくカジを切った」としたうえで、こう述べています。

菅首相(民主党代表)や民主党幹部が参院選マニフェスト(政権公約)発表に伴う記者会見で打ち出した消費税を含む税制抜本改革のシナリオは、2010年度内に消費税率を含む改革案をまとめ、菅首相が呼び掛けた超党派の協議で合意できれば、最速で2012年秋に税率を引き上げるというコースだった」。

なかなかに、強烈です。

なにせ、そのたった1年前の衆議院議員総選挙では、民主党は消費税の増税について打ち出していなかったからです。

ちなみに肝心の参院選では、民主党は獲得議席が振るいませんでした。民主党が獲得できたのは改選121議席のうち44議席に留まり、これに対し当時野党だった自民党が51議席を得たため、これだけで見ると民主党は「敗北した」、という言い方もできるでしょう。

当時は鳴り物入りで発足した民主党・鳩山由紀夫内閣が「普天間飛行場の移設問題」などで倒れた直後でもありましたが、まだ東日本大震災や福島第一原発事故が発生していなかったことを思い起こしておくと、与党になったばかりの民主党が獲得議席数で自民党を下回ったことは衝撃的でした。

おそらくはこの消費増税が影響を及ぼした可能性はかなりありそうです(※もっとも、比例代表では依然として民主党が16議席と、自民党の12議席を上回っていましたが…)。いずれにせよ、消費税等の増税は、国民にとっては大変に強い拒否感を伴っていたのでしょう。

公約にない増税を達成した民主党

結局、民主党政権は野田佳彦首相の時代の2012年8月に、当時5%だった合計税率(国税4%+地方税1%)を、14年4月以降は8%(6.3%+1.7%)、15年10月以降は10%(7.8%+2.2%)に、それぞれ引き上げることが決定されました。

政権公約にない増税を実現してくれたのは、まさに民主党政権の「功績」(?)なのでしょうか。

ただし、一時的であるとはいえ、菅直人元首相自身も民主党政権を率いた立場にあるのですから、消費税の増税による国民経済への打撃に対する責任が「皆無である」のかといえば、そこも微妙でしょう。

いずれにせよ、この民主党政権の消費増税は、民主党やその後継政党(とくに立憲民主党など)が2012年12月の衆院選以降の大型国政選挙で、獲得議席において振るわない理由のひとつであると思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (14)

  • 菅から野田を経て安倍政権での増税に至るまで財務省の強固なシナリオ遂行があったことはほとんど確かである。安倍総理はかなりの抵抗を示していたが、2度の消費税上げは返す返すも残念だった。あれがなければアベノミクスは大成功でGDP2倍増も軽く達成していただろう。
    ここからは陰謀論的な想像に過ぎないが、安倍総理が消費税増を渋っていたことに財務省は激怒して安倍おろしを画策していたのではないだろうか。抵抗を続ければ失脚させられる。安倍総理はそれを察していたから渋々増税を認めた。更には財務省や検察の人事での不可解とも思えるような対応も彼らとの攻防でギリギリの綱渡りをしているようにも映った。証拠はないのであくまで想像である。
    ただいま休暇中につき不規則な時間に投稿。

    • このコメントを書いた後に1つ前の記事「岸田首相の高額会食で市民感覚とのギャップ」=報道」を読んだが、某怪しい会計士氏が、アベノミクスについて同様の評価らしい。
      ついでに言うと、アベノミクスは経済学的には極めて当たり前の理論で、アベノミクスは失敗という世間の評価は間違いで、アベノミクスを完遂しなかったことが安倍政権の経済政策の失敗、というのがより正確だ。

      • 第二次安倍政権では完遂できないほど民主党政権がたった三年の間で残した爪痕があまりにも深過ぎた、ということでしょう。
        おそらく安倍さんも第三次安倍内閣で、アベノミクス完遂のため捲土重来を期していたはず。
        それをあのマザコンテロリストによって強制終了させられた、ということですね。
        返す返すも口惜しい。

        そしてアベノミクスを引き継ぐどころかかなり後退させてしまったのは、やはり財務省の走狗こと岸田文雄だと言わざるを得ない。

        •  帰ってきた「ウルトラマンたろうちゃん」でしょ。
          ねえねえ。

  • むしろ民主党政権という凶事において、ほんのわずかでも国民の利益に資する良い判断が何かあったか問い詰めたいレベル。
    判断ミス、というか故意に国民を苦しめるベクトルを向いて運営していたとしか思えない。
    そこに特定アジアへのあの対応。外患誘致を適用してもいいくらい。

    • 強いて言えば野田元首相が「こりゃダメだわ」と非常にあっさりと諦めた事ですかね?
      彼は前任者二人の尻ぬぐいなどしたくなかったのか、さっさと首相の椅子から
      降りました。そして野党に落ちた後も(鳩山元首相や菅直人元首相に比べれば)
      基本的に大人しくしています。

      これはギリギリかろうじて功績と言えなくもない……と思うのですが。

  • 幾多のやらかし謝罪してない
    菅直人が反省とは珍しいもんですなあ(笑)

    まあ、普通に真面目に働き納税する
    大多数の国民は増税には反対でしょう、
    ただ民主党の場合は
    世界が羨む日本の社会保障制度の
    恩恵受けながら感謝せず
    もっとクレクレ騒ぐ支持層が多いので
    その原資に国民から増税は必要です。

    菅直人の反省というのは単に
    他の企みと同じように
    国民に隠しておいて選挙のあとで
    突然上げればよかった
    という意味なのでしょう、

  • 仲間に苦しい思いをさせた?
    「国民」を苦しめたとういう自覚がないのでしょうか。
    組織(民主党)第一、国民第二という意味では、民主党も帝国陸軍の亡霊だったのでしょうね。

  • >合計税率10%に引き上げると述べたことで参院選で敗北したことを「反省している」、とでも言いたいのでしょうか。

    こういう趣旨だとすると、菅直人元総理らしいなって思うのです♪
    政策ではなくて政局を、国民よりも自分をみてるって、よくわかるのです♪

  • ポジティブイメージを抱かせる発信ではないという点で政治屋的には落第なんだろうが、
    「最小不幸社会」を目指すべきとした姿勢だけは評価している。
    実際にやったことはとても評価できないので、看板倒れ甚だしい残念さん。
    正に三列目の男、か。

  • 民主党政権下における円高放置・経済停滞・事業仕分不発・国債増発等の流れの中で、舌も乾かぬうちに沸き上がった「消費増税」は、政権担当能力の無さを露呈したものでした。

    鳩山政権:消費税率維持(4年間)
    カン政権:消費税率10%への増税

    参院選での惨敗は「二股公約(二股膏薬?)の禊ぎ」が得られなかっただけのことです。
    増税を公言したタイミングの問題ではないのです。後悔と反省は似て非なるものです。

    •  ルーピーの脱税疑惑が有耶無耶になった後に民主党政権は突然公約を反故にして消費税アップを言い出しましたが、その間何があったのでしょうね(棒)。

      • 官僚・・増税に言及するんなら、手加減(党に対する調査を)できなくもないぞ・・。
        菅・・・了。

        とか(ボソっと)・・。
        m(_ _)m